医師からみた脱毛サロン・クリニックの選び方

2016.10.28

普段は外科医として勤務しているdoc. KAと申します。週末等、都内有名脱毛クリニックでの勤務経験がありますので、その経験をもとにお話していきたいと思います。

今回は、医師が友人に「脱毛をしたい」と相談されたときにどのような基準で勧めるか、を視点にまとめてみました。

脱毛サロン(エステ)とクリニック(医療機関)の違いとは?

脱毛サロン(エステ)とクリニック(医療機関)の違いとは、主に、脱毛処理に使用する機器(脱毛器)の違いによります。脱毛サロンでは、フラッシュ脱毛器(光脱毛器)が主に使用されますが、クリニックでは、医療用レーザー脱毛器が使用されます。

どちらの脱毛器も、多くは毛根細胞に熱を与えることで脱毛をはかる、という点は同じですが、使用される波長が異なります。脱毛サロン(エステ)で使用されるフラッシュ脱毛器では複数の波長が混在した光を用いますが、性質上、比較的広い範囲に照射されることになります。一方、レーザーは単一の波長であり、一か所に集約して照射を行うことができます。

フラッシュ脱毛器は効果が弱い分痛みが少なく手軽ですが、狙った部位以外にも当たってしまうため、出力に限界があり、脱毛を完了するまでに回数がかかります。レーザー脱毛器は威力が強く、体の組織を破壊するため医療行為であるため、医師の監督下での施術が必要であり、そのためレーザー脱毛はクリニック(医療機関)でしか行うことができません。

また、効果が高い分痛みも強いので、それに対して麻酔を行うことで痛みを軽減しますが、それに対しても医師の監督が必要です。

つまり、

脱毛サロン(エステ)のメリット&デメリット:身近で手軽、通いやすい。痛みは比較的少ない。1回あたりの費用が安い。反面、効果が弱めであり通う回数が多くなる(10回程度)。

クリニック(医療機関)のメリット&デメリット:効果が高く、通院回数が少なくてすむ(5回程度)。

痛みに対してしっかり麻酔を行うこともできる。反面、「美容整形外科」の看板のあるクリニックに入るには心理的な敷居が高い。麻酔などに対して費用がかかることもあり、支払いが高額になる可能性がある。

以上のような違いがあります。

クリニック(医療機関)でのレーザー脱毛を選ぶべき人とは?

両者の違いを踏まえたうえで、クリニックを選ぶべき人とは下記のような人たちです。

顔やデリケートゾーンの脱毛

顔やデリケートゾーンは通常、繊細であるため、より細かい治療ができる、クリニック(医療機関)をお勧めします。皮膚というのは全身同じではありません。皮膚科で軟膏を出す場合も、吸収率が部位によって異なるので同じ病気に対しても薬の強さを変えるのが通常です。脱毛も同じで、より繊細な施術が求められます。

また、脱毛サロン(エステ)での脱毛は痛みが少ないというものの、それでも痛い部位ですので、しっかりと麻酔をかけた状態で行うことがよいでしょう。

男性

男性は毛が太いため、特に男性で体毛が濃くて悩んで脱毛をするような人は、かなりの痛みを覚悟しなければなりません。そのため、きちんと麻酔をかけた状態で施術を受けることをお勧めします。

また、脱毛中は日焼けを避けなければなりませんが、男性はつい日焼けをしてしまうこともあるでしょう。そうした場合に脱毛を安全に続けられるかどうか適切に判断しないといけません。

また、日焼けによって脱毛を延期せざるを得ないとしてもその期間を短くするためにドクターズコスメを併用するなど、対策がとれるというメリットもあります。

アトピー性皮膚炎など、皮膚疾患をもっている人

もともと皮膚が弱い人は、脱毛によって皮膚トラブルが起こる可能性が高くなります。皮膚科に精通した医師がいるクリニック(医療機関)での施術をお勧めします。

以上のように、脱毛したい部位・性別・持病によっては脱毛サロン(エステ)よりクリニック(医療機関)での脱毛が向いている場合があります。

脱毛クリニック(医療機関)に勤務している医師とは?

医師の経歴のみかた

~出身大学、学会、博士号、専門医、いろいろあるけど、一体何をみればいい?~

クリニックによってはホームページに医師の経歴を載せています。
大抵は○▲学会所属、~~に関する研究で博士号取得、など輝かしい経歴が書いてありますが、どのような点に注目すればよいでしょうか。実は、医師が医師を探す場合に重視するのは、以前の勤務先と専門医の有無です。

日本において、医師は卒業後、自由に進路を選ぶことができます。臨床医、研究者、産業医、医系技官(官僚)など、いろいろな進路がある中で、自由診療(保険適応されない診療)を専門として行う道を選ぶのは医師の中ではやや変わった進路です。

普通の勤務医としてキャリアをスタートした場合、どの科を選んでも、研修医で年収500万、臨床経験4-5年で1000万をこえ、10年目で1500万程度、その後定年までに2000万円弱に緩やかに上昇する賃金カーブをとることが一般的です。

一方、自由診療や美容外科クリニックにおいては、研修医をあけた医師が1年目から年収2000~2500万円を得ることが多く、その後腕次第で数年で5000万円をこえるようになることもあります。そのため、自由診療の現場においては競争が激しく、生き馬の目を抜く世界といえます。

病院であれば、年功序列で徐々に待遇がよくなっていくのを待つほかないので、せっかく自分のもとにきれくれた可愛い後輩には一生懸命指導しよう、という文化がありますが、自由診療の現場においては競争が激しいため、仕事の上で表面的には指導をしても、最も重要なコツなどは他人にはあまり教えません。なぜなら、そんなことをしては自分の優位性が無くなってしまうからです。

そうした背景を考えると、きちんと病院で数年間は医師として皮膚科や形成外科の研鑽を積んだ経験があるかどうか、というのは非常に大切だと言えます。その点において指標となるのが、以前の勤務先と専門医です。

学会は会費を払えば医師であればだれでも所属できますし、学会に行った時にも基本的には講演を聞いたり発表したりしているだけです。また、博士号は大抵、小難しい名前がついていますが、大学院によってはほとんど通学しなくても論文さえ書けばとれてしまうこともあり、医師としての腕を表すものとは言えません。

素人任せのクリニックがあるって本当?

きちんとした経歴の医師が経営しているクリニック(医療機関)だから安心かといえばそうではありません。通常、脱毛を主にやっているところではあまり大きな合併症が起きることはありません。

そのため、実は勤務している医師が単なるアルバイトであることが多々あり、全く皮膚科や形成外科を診たことが無い医師が勤務していることもざらにあるのです。もちろんアルバイトであってもきちんとした診療のできる医師は大勢いますが、場合によっては脱毛についてよくわかっていない場合もあることに注意すべきでしょう。

医師が教える、よいクリニックを探すコツ

それでは、良いクリニックを見つけるには実際どのようにすれば良いのでしょうか。

雑誌や口コミはアテにならない?

雑誌や口コミの評判がいいことも確かに大切です。しかし、よくある「信頼できるクリニック」などは専門家からすると疑問符を呈したくなる内容であることも多々あります。これは自由診療以外でも同じことですが、手術成績のランキングなどはデータのとり方によっていくらでも変わります。例えば、がんに対する手術をしてくれる病院を探す場合に、■○病院の成績がトップであったとします。

しかし、もしかすると元々元気でないような人は手術しない、確実に治せる人しか手術しない、といったことを行っている場合もあるのです。何事も妄信せず、冷静に情報を吟味する必要があります。

脱毛においては手術成績で比較するようなものではありませんが、広告が多いからといってそれを妄信するのは賢明ではありません。常識的に考えれば、その費用が価格に反映されているはずだからです。

信頼できるクリニックを見つけるコツとは?

以上のように、信頼できるクリニックを見つけるためには、口コミを参考にするのは難しく、最もよいのは皮膚科・形成外科・美容外科の医師・看護師に聞くことでしょう。患者の評判と医療者の評判が異なることはよくあります。

知り合いにいない場合は、近くの美容皮膚科に行って、そこで訪ねてみるのもひとつの方法です。

まとめ

  • 手軽にある程度の脱毛をしたいのであれば、脱毛サロン(エステ)
  • 腰を据えてしっかりと脱毛したい場合や、脱毛部位・男性・持病によってはクリニック(医療機関)
  • クリニック(医療機関)でのアフターフォローの質を考えれば、きちんと医師の経歴を確認することも大切
  • 広告が多い大手だから安心、というのではなく、きちんと情報を集め、比較検討することが大切

これらのことを踏まえて、満足できる脱毛サロン(エステ)・クリニック(医療機関)を見つけましょう。

普段は外科医として勤務しています。週末等、都内有名脱毛クリニックでの勤務経験あり。