強皮症とはどのような病気なのか
強皮症の特徴
強皮症は膠原病の中でも皮膚が硬くなる変化を代表的な病気です。古くは「鞏皮症」という字が使われていましたが、この「鞏」というのは動物のなめし皮を堅く縛ることを意味する漢字です。
強皮症には内臓にも変化を伴い手足の末梢から皮膚が硬化してくる全身性強皮症と、体のごく一部の皮膚のみが境界鮮明に硬化し内臓には変化を伴わない限局性強皮症の2つの病気からなります。
単に強皮症という場合は全身性強皮症のことを意味することが多く、難病に指定されているのも全身性強皮症だけですので、以下単に強皮症と略して全身性強皮症について説明します。
強皮症は、皮膚だけでなく、肺、食道、腎臓、心臓などにも線維化(コラーゲンという蛋白質が蓄積して硬くなる)という変化が起こるのと同時に、血管の異常、免疫の異常なども伴ってくるのが特徴です。
強皮症の患者さんは日本では推定2万人とされており、男女比は1:10程度で圧倒的に女性が多く、30~60歳代の中年期に発症することがほとんどです。
強皮症は皮膚硬化の範囲により、肘関節、膝関節より近位にまで皮膚硬化が及ぶびまん皮膚硬化型(diffuse cutaneous 型、以下dc型と略す)、皮膚硬化が遠位に留まる限局皮膚硬化型(limited cutaneous型、以下lc型と略す)の2型に分類されます。
なお、かつてクレスト症候群(CREST sydrome)と呼ばれていた病気は現在ではlc型を意味するとされています。 CRESTの症状は「、C=Calcinosis : 石灰化、R=Raynauds : レイノー現象、E=Esophageal involvement : 食道症状、S=sclerodactylia : 硬指症、T=Teleangiectasia :血管拡張」です。
強皮庄は比較的ゆっくりとした経過をとる膠原病ですが、逆に言い換えると5年後、10年後を見すえた冶療が重要です。そのため、内科、皮膚科のいかんにかかわらず、強皮症に詳しい医師の元でじっくりと治療を続けることが大切です。
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強皮症の症状
皮膚の硬化は多くの場合は手指から始まります。やがて、顔や腕、胸部などに広がっていきます。また、硬化はいきなり固くなるわけではありません。多くの患者さんに場合では「むくみ期→硬化期→萎縮期」といった3段階をたどって慢性に経過していきます。
最初は、手指の腫れやむくみに気づき、しばらくして、パンパンに張ってソーセージのように腫れあがってきます。これをソーセージ様腫脹といいます。次に、指のシワが消えてテカテカに光ってきます。皮膚が突っ張って固くなり、指を曲げることが困難になってきます。
皮膚は黒ずんで色素沈着もおこします。顔に広がると、顔のしわが無くなって、表情も乏しくなります。また、口の周りに縦じわが出来て、口を開けにくくもなります。
さらに進行すると硬化はやわらいできますが、皮膚が薄くなって傷つきやすくなり、潰瘍が出来やすくなります。人によっては指の先端の骨が短くなることもあります下記に強皮症の具体的な症状を示します。
皮膚症状
皮膚硬化
dc型では肘関節、膝関節より近位に及び、1c型では遠位に留まります。
手指の屈曲障害
高度の皮膚硬化を伴う例では、手指の関節が曲がったままで十分指が伸びなくなったり、握れなくなったりします。同じ様な変化はまれに肘関節にもみられます。
開口障害
顔面の皮膚硬化のため、囗が開けにくくなることがあります。
指尖陥凹性瘢痕
原因は血流障害のためと考えられますが、手指の先端を中心に、虫喰い状に陥凹した傷跡がみられます。
色素異常
特定の部位ではなく、全身あるいは一部の皮膚が黒ずんだり、逆に点状に色素が減少して白く見えます。
毛細血管拡張
顔や手足などに小さい赤いあざのような斑点がみられることがありますが、これは皮膚の毛細血管の拡張です。
カルシウムの沈着
指先などの皮膚に小さなカルシウムの塊(皮膚の石灰化)がみられることがあります。
血流障害
レイノー現象
レイノー現象とは寒い空気や水に触れるなどの刺激によって、急に手の先が白くなったり紫色になったりする一過性の血流障害のことをいいます。典型例では白→紫→赤という順に変化します。
強皮症の初発症状の約50%であり、すべての経過を通じると90%以上にレイノー現象がみられます。
皮膚潰瘍
手指や足趾の先端部にできやすく、一旦生じると治りにくいことも少なくありません。
爪上皮出血点
早期の強皮症を診断するために重要な症状ですが、血流障害のため爪上皮(いわゆる爪の「あまかわ」)に小さな黒い出血点がほとんどの例で観察されます。
内臓病変
主なものを紹介します。肺高血圧症が1C型に多いことを除けば、概ねdC型の方により頻度が高く症状も強くみられます。
肺線維症
肺胞というガス交換を行うすき間の間質と呼ばれる部位に線維化か起こって、呼吸困難などを生じます。
消化器障害
口、食道、胃、腸にも線維化か起こりいろいろな症状を起こします。最も多いのが食道の線維化で、食べ物の逆流による逆流性食道炎を起こします。腸の線維化では、便秘、下痢、ときにイレウスという排便障害を起こします。
肺高血圧症
肺に向かう肺動脈における血流障害により起こる症状で、肺に向かう酸素の少ない血流が肺動脈に滞ってガス交換が不十分となり息苦しくなります。
強皮症腎クリーゼ
腎臓に向かう血管の内壁が狭くなり腎臓への血流が悪くなるため、腎不全と共に高血圧、めまい、頭痛などの症状を起こします。この症状はゆっくりとではなく、数日の間に突然発症することが特徴です。
心臓病変
不整脈がみられたり、まれに突然の心停止を起こします。
その他の障害
関節炎(関節の腫れ、痛み)と筋炎(筋肉の痛み、脱力)を伴うことも少なくありません。またシェーグレン症候群の合併も半数近くにみられます。
強皮症の診断と検査
診断の確定
強皮症の診断に際しては、厚生労働省の強皮症調査研究班による診断基準を参考にしますが、診断基準を満たさないこともあるので注意が必要です。
触診による皮膚硬化の診断が難しい場合には、皮膚生検(皮膚の一部を検査で切り取って、皮膚で線維化が起こっているかどうかを観察する検査)を行います。
強皮症の一般血液検査の中で最も重要な検査は抗核抗体で、全体の90%以上で陽性となります。現在、保険適用て測定てきる抗核抗体について以下に紹介します。
抗セノトロメア抗体
主として1c型てみられ、庄状は全般に軽く留まります。内臓病変としては胚高皿圧症に留意します。
抗Scl-70 (トポイソメラーゼⅠ)抗体
主としてdc型でみられ、比較的典型的な症状を起こします。肺線維症に注意が必要です。
抗RNAポリメラーゼI/Ⅲ抗体
2010年より保険て判定てきるようになりました。ほとんどがdc型で皮膚硬化も通常重症です。強皮症腎クリーゼに注意します。
抗u1-RNP抗体
通常、混合性結合組織病で陽性になるとされていますか、他の膠原病を合併していない型の強皮症でも陽性となります。肺線維症や肺高血圧症に注意が必要です。
検査
強皮症の主な検査は下記の通りです。
- 胸部X線、胸部CT … 肺線維症に診断をします。
- 心ドップラーエコー … 肺高血症の有無と心病変のチェックをします。
- 心臓カテーテル … 肺高血圧の検査です。
- 心電図、ホルター心電図 … ホルター心電図は携帯型の心電図を24時間付けて心臓の一過性の異常を見つけ出す検査です。いずれも心臓の病変をチェックします。
- 呼吸機能検査 … 肺活量など肺の機能を判定します。
- バリウムによる上部消化管透視、胃カメラ … 逆流性食道炎などの消化器病変のチェックをします。
強皮症の治療
副腎皮質ステロイド薬
強皮症に対して副腎皮質ステロイト某を使用するかについては未だ膕否両論かありますが、早期の活動|生の高いdc型に限定して、中等量以下を使用するのが効果的です。
シクロフォスファミド
早期の肺線維症に対しては近年シクロフォスファミドの有効性か証明され、比較的良く使用されるようになってきています。
血行拡張薬
レイノー現象や皮膚潰瘍に対して使用されます。
消化器系薬剤
逆流性食道炎に対してはプロトンポンプ阻害薬といわれる薬が使われます。
肺咼血圧症冶治療薬
以前は、肺高血症に対する冶療薬は無いとされてきましたが、、近年優れた内服薬か開発されてきています。ボセンタン(商品名:トラクリア)、シルデナフィル(商品名:レバチオ)、ベラフロスト(商品名:ベラサス)、タダラフィル(商品名:アドシルカ)、アンブリセンタン(商品名:ヴォリブリス)などです。
その他の対症療法薬
皮膚潰瘍に対する冶療薬、その他の感染症に対する鎮咳薬、去痰薬、関節の痛みに対する消炎鎮痛薬など様々な対症療法があります。
強皮症の日常生活の注意点
日常生活上の注意は、それそれの患者さんの状況で違ってきますが、主なものは下記の通りです。
レイノー現象や手足の冷えのある人
手袋をこまめにするなど保温に努めることが大切です。
逆流性食道炎などの胃腸障害のある人
消化の良いものを少しずつ食べるなどの工夫が必要です。
肺線維症のある人
二次的な肺炎をおこさないよう、人混みに出る際にはマスクをする、帰宅時にはうがいを徹底するなどの注意が必要です。
その他の注意
いつもと異なった症状が出現した場合には積極的に主治医いに相談しましょう。
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