営業KPI管理の理解を深める(ダイエットの例)
ここに女性が一人います。彼女は最近素敵な人と知り合って惹かれています。彼女は自分の体型に自信がなくて、これを一つの機会と捉えてダイエットを決行することにしました。彼女が目標にしたのは一ヶ月で3キロ痩せるというもの。そのためには毎日のkcal摂取量を1,000kcal以内に抑えることと、1時間のランニングを週に4回することを決意しました。
しかし彼女には大きな不安があり「彼に彼女がいるかどうかを知らない」ことです。もし素敵だなと思っている彼に彼女がいたとすると一気にダイエットに対するモチベーションをなくす気がしています。
もう一つは彼女はすごく付き合いがよくて、仕事終わりにほぼ毎日と言っていいほど誰かにお酒を飲みに誘われるということです。お酒をのみにいけばとても1,000kcalに抑えることはできないでしょうし、帰った後にランニングをできるとも思えません。誘われても断るか誘われる前に退社ができるか、がすごく不安です。またちょうど梅雨時なので雨も心配です。
彼女が3キロ痩せるのを財務的な目標(=売上)としたときに、KPIに該当するものは何でしょうか?なかなか理解が難しい営業KPIについて、このダイエットの事例をベースに解説していければと思います。
財務的指標にあたるもの
この事例におけるゴールは3キロの減量です。これが一番の目的であり最上級の概念としての指標となるため、企業での財務的目標(=売上や利益にあたるもの)にあたります。
先行指標とプロセス指標にあたるもの
3キロの減量を実現することを目的とした時に、目的達成の構成要素として挙げられるものが毎日1000kcal以内の摂取に抑えることと、週に4日以上のランニングを実現することです。この二つが実現できた時に、3キロの減量も同時に達成できることになります。これらがKPIに当たるのでしょうか?
KGI(Key Goal Indicator)という考え方
KGI(Key Goal Indicator)とはつまり財務的目標の手前にあるゴールとなる指標が何かということです。またその達成度合いを示すべきものです。KGIはゴールとして実現できたかどうかをきちんと把握する必要があるため、数値として定量的測定できるものでないと機能しません。毎日1000kcalの摂取と週に4日のランニングは3キロの減量と同義であるのであれば、1日のカロリー摂取量を1000kcal以内に抑えることと週に4日以上のランニングをすること、それがゴールそのものにあたるという考え方です。
先行指標にあたるもの
この事例においては先行指標は複数存在します。
- 天候
- 気持ち・モチベーション
- 飲み会
天候については、ランニングへ影響を与える可能性があります。例えば週の大半で雨が降ってしまえば、週に4日以上のランニングの実現は非常に困難になるでしょう。また気持ち・モチベーションの持続については、恋をしている相手に彼女がいるかどうかという点です。もしくは今現在いなくても、ダイエット中にできしまうという可能性もあります。もしその事実を知ってしまえば、このプロジェクトの失敗可能性は大幅に上がります。飲み会については週に4日のランニングにも、1000kcal以内の摂取の両方に影響を与える可能性があります。
とすると、週に4日以上の雨を先行指標としてKPI管理するのであれば、ランニングする時間帯にあたる20時〜23時の間の1ミリ以上の雨が降る確率と言っていいでしょう。週に3日、降水確率が40%以内がギリギリ達成ラインと言えるでしょう。
気持ち・モチベーションについては、定量的な測定が困難かもしれません。知るか知らないか、もしくはいるかいないかという話で0or100なので、本当はあまり先行指標管理としては適正ではないかもしれません。しかし、その可能性をグッと下げることは可能です。「いる/いない」「知る/知らない」ではなく、そもそも知る術や機会を極力少なくできるかどうかという点を指標管理することは可能です。つまり、彼との連絡頻度を少なくすればするほど、その事実を知る機会を減らすことができるため、接触頻度そのものを先行指標として管理することは可能でしょう。また、プロジェクトそのもののを一撃で失敗に持っていける破壊力を持っているため、この先行指標管理は極めて重要と言えるかもしれません。
最後に飲み会については、単純に行った/行っていないの管理だけでなく、どのような行為が行くことになってしまった/行かずに済んだにつながるかを追うことが大切です。つまり飲み会の参加そのものを一つの結果と捉えた時に、「断れない性格」と「お誘い」の二つの要因がそれらを誘引しているとすると、どちらかを断てているかどうかを先行指標管理の対象とすることもできます。例えばお誘いが当日の20時以降に頻発しているのであれば、19時半までの退社と言ったものが一つの先行指標として機能するものと言えるでしょう。
プロセス指標にあたるもの
プロセス指標にあたるものは、明確にゴールから四則演算で分解していけるものでなければならないため、1000kcalの三食の摂取量などがそれにあたるでしょう。
1日のカロリーの和が1000kcal以内ということは三食をどのような配分で摂取するかという設計はとても大切になり、1日で1000kcal以内という目標よりも朝食は300kcal、昼食は400kcal、夕食は300kcalと明確に置き直す必要があります。この積み上げが1000kcal以内に収まっていれば、プロセス指標管理としては機能します。他にも週に4日ではなく月曜日と水曜日と金曜日、土曜日、日曜日と置き直すこともゴールから逆算したプロセス管理で、具体的に平日と休日であればどちらが達成しやすいのかなどを振り返ることが大切です。
管理不能先行指標と管理可能先行指標にあたるもの
何が管理不能先行指標にあたるか?
全く自分に起因することなく起きてしまう事象がそれにあたるので、このケースにおける管理不能先行指標は天気がそれに該当するでしょう。つまり毎日の降水確率のチェックがいわゆる管理不能先行指標の管理にあたります。では自分ではどうしようもないものに対してチェックすることに何の意味があるかというと、その対応策を協議する点にあります。
つまり、本日の降水確率が80%であるということを知った時に、代替手段として、同等のカロリー消費を見込めて雨天でも可能なものとしてどのような運動が可能かという点について自分の中で議論をし、決定をした上で行動にうつします。この決定行為そのものを行う場がリアル指標管理の場では「モニタリング会議」などの名称で、週次や月次で開催されるものになります。
このような形で管理不能先行指標が自身や自社に不利益な方に針が触れた場合には基本的に代替手段の検討という形で策を講じることになります。
何が管理可能先行指標にあたるか?
このケースにおける管理可能先行指標は、19時半退社からの誘われ率の低減はある程度自分の意思でコントロール可能と考えられるため、管理可能先行指標と言えるでしょう。例えば残業を頼まれる、他人のミスで仕事が増える等の事象がないわけではありませんが、リアルの世界においてはgoogleの検索順位なども踏まえて自社管理可能先行指標を管理せねばならないことを考えると、自社だけで完璧にコントロールできなくとも、自社に改善余地が残されているものについては管理可能先行指標とすべきです。
なぜなら、管理不能先行指標としてしまった場合は自社努力が0ということを意味し、代替手段の検討しかできません。一方で管理可能先行指標とおく限りはあくまでも自社にとってはリソースやコストの投資対象であり、改善可能性を追求できるからです。
また彼に彼女が存在するかどうかという点については、存在そのものを指標管理するのであれば完全に自分が管理不能でしょうし、彼女が存在する機会を極力減らすという置き方をするのであれば管理可能指標と言えます。
未来予測にあたるもの
未来予測にあたるものとしては、施策として講じたものが果たして結果に結びつくかという点に言及した論点になります。いくつかの階層があるのですが、例えば財務的指標とKGIの関係性もそうですし、KGIとKPIの関係性もそれに該当します。
本当に1日1000kcalの摂取と週に4日のランニングで3キロの減量が可能かどうかという点については、例えば体質というものが考慮されていません。また今現在の体重が何キロかに寄っても痩せ方は変わる可能性があることを考えると、あくまでも一般的な数値を自分に当て込んだにすぎないので、マイルストンとして置かれている減量の目安に対して、KGIが予定通りであるが財務的指標が遅れている場合はKGIそのものを変更するか、KGIの目標値を上方修正する必要があります。
またKGIとKPIの関係性についても同様です。天候や連絡頻度、帰宅時間がそれぞれ守られていてもKGIである1000kcalの摂取と週に4日のランニングができていないのだとすれば、例えばそれ以外の要因になりうる、誘惑に負けないポイント探しやダイエットそのものに対する気持ちの持続性について、KPI指標を置き直す必要があり、これらは最終ゴールである3キロの減量達成の日を期限とした時に、その日に未達成を確認してから変更するのでは遅すぎます。管理対象指標の変更は、実績の進捗を考慮しゴールの期日変更をせずに、間に合うタイミングで実現されるのが理想です。