特にここ10年ほどは、”低インスリンダイエット”なるものが、効果的なダイエットの方法として取り上げられてきた。
すでに実践している人も少なくないと思うが、今回はその効果について投稿したい。
はじめに
まずは、低インスリンダイエットとはどのようなものなのかを確認しておく。
それには、”インスリン”と言うホルモンについての知識が必要だ。
インスリン
我々が食事をして糖質を摂取すると、当然のことながら血糖値が上昇する。
すると、膵臓からインスリンと言うホルモンが分泌される。
血中にある糖質は、エネルギー源として利用されるほか、余分な糖質は肝臓や筋肉に運ばれ、グリコーゲンとして貯蔵されるが、その作用を大きく促進するのがインスリンなのだ。
血中の糖質が速やかに運用されることで、上昇した血糖値が再び下り、もとの値に戻る。
簡単に言えば、インスリンは、血中の糖質の処理を司るホルモンなのである。
このインスリンの働きが鈍り、食事により上昇した血糖値が下がらずに高い状態が続いてしまう状態が”糖尿病”であることも同時に理解しておきたい。
糖質→脂肪
インスリンの働きは、我々の生命活動に欠かすことができないものであるが、ダイエットにとってはマイナスに作用することもある。
例えば、多量の糖質を摂取した場合、当然ながら、血中には多量の糖質が溢れ出し、血糖値も急上昇する。
すると、より多くのインスリンが分泌され、血中に多量に存在する糖質を処理しようとするのだが、なかなか厄介なことになる。
我々の体は、”グリコーゲン(体内に蓄えられた糖質)”として肝臓や筋肉に糖質を貯蔵することができるが、その量には限りがある。
よって、余った糖質は、”脂肪”という形で貯蔵される。
これこそが、内臓脂肪や皮下脂肪であり体脂肪なのだが、インスリンは、この”脂肪の合成”をも促進してしまうのだ。
そこで、なるべくインスリンの分泌を抑えようとするのが、”低炭水化物ダイエット”や”炭水化物カットダイエット”なのである。
GI値(グリセミック指数)
低インスリンダイエットのカギとなるのが”GI値(グリセミック指数)”である。
これは、一定量の糖質を摂取した場合の血糖値の上昇スピードを示す指標である。
この値が高ければ高いほど、急激に血糖値が上昇するので、多量のインスリンが分泌されてしまうことになる。
インスリンは、糖質を脂肪として合成されるのを促進してしまうので、ダイエットにとっては好ましくない。
よって、このGI値が高い食品をなるべく摂取しないようにすると言うのが、低インスリンダイエットなのだ。
血糖値を上げるのはもちろん糖質なので、たんぱく質や脂肪のGI値は、当然低い。
また、糖質でも、白米よりも玄米、通常の小麦よりも全粒粉入りの小麦やライ麦と言ったように、精製されていない穀類や食物繊維を含む食品ほど、そのGI値が低い傾向にある。
意外なのは、オレンジやメロンと言った果物のGI値が、白米やうどんなどの穀類よりも低い傾向にあると言うことだ。
以前は、単糖類(糖質が最も細かい状態にあるもの)すなわち甘いものは、血糖値を急上昇させると言われてきたが、必ずしもそうではないことがわかる。
果物に多く含まれる”果糖”は、吸収が早いものの、血糖値の上昇は緩やかという特殊な性質を持っているのだ。
しかし、砂糖の主成分である”ショ糖”や、ショ糖がさらに細かく分解された”ブドウ糖”は非常にGI値が高いので注意が必要だ。
| GI値 | 穀類 | GI値 | 野菜・芋類 | GI値 | 果物 | GI値 | デザート | GI値 | 糖質以外の食品 |
| 110 | 砂糖 | 90 | じゃがいも | 65 | パイナップル | 95 | あんぱん | 46 | 牛肉 |
| 100 | ブドウ糖 | 80 | 人参 | 60 | すいか | 94 | グミ | 45 | 豚肉 |
| 91 | 食パン | 70 | とうもろこし | 55 | バナナ | 91 | チョコレート | 36 | チーズ |
| 85 | うどん | 65 | かぼちゃ | 39 | りんご | 88 | 大福 | 26 | ヨーグルト |
| 80 | もち | 55 | さつまいも | 31 | オレンジ | 82 | ショートケーキ | 25 | 牛乳 |
| 81 | 白米 | いちご | 80 | ホットケーキ | |||||
| 59 | そば | 77 | クッキー | ||||||
| 55 | 玄米 | ||||||||
| 55 | ライ麦パン | ||||||||
| 50 | 全粒粉パン |
効果
血糖値の安定
低インスリンダイエットの効果としては、”血糖値が安定しやすい”と言うことがある。
血糖値が急激に上昇すると、血中の糖質の濃度を下げようとインスリンが多量に分泌される。
その際に、糖質が脂肪として蓄えられてしまうことが問題なのだが、厄介なのはそれだけではない。
多量のインスリンが分泌されると、今度は血糖値が急降下してしまう。
食事をした後に急に眠くなることがあるが、あれは、上昇した血糖値が下がったことによるものだ。
ひどい場合は、たくさん糖質を摂ったにも関わらず再び空腹を感じ、さらに糖質を摂取してしまうと言う最悪のパターンに陥る可能性すら否定できない。
低インスリンダイエットを正しく行うことでこのような悪循環を防ぐことができるが、これは太りにくいだけでなく、糖尿病の予防という観点からも非常に効果的だ。
やはり、普段の食生活で、なるべくGI値の低い食物を摂取するように心がけることは、健康維持にとって、一定の効果があることは間違いないだろう。
食物繊維
特に炭水化物に関しては、GI値の低い食物には多くの食物繊維が含まれることがほとんどだ。
食物繊維は、体に吸収されないものも多く、腸の機能を整えたり、有害な物質を体外に排出する役割を持っているので、これを積極的に摂取することは健康維持にとって大切だ。
普段から意識的に食物繊維を摂取すべきなのだが、GI値の低い糖質を食べれば、食物繊維も摂取することができるわけで、一石二鳥である。
脂肪の燃焼
我々が普段の生命活動を維持する上で、糖質と脂肪からそのエネルギーを発生させている。
たんぱく質もエネルギー源にならないわけではないが、それは非常事態であり、メインは糖質と脂肪である。
両者がエネルギーとして消費される割合なのだが、激しい運動に貼ればなるほど糖質が多く燃焼される。
よって、散歩やジョギングなどの比較的軽い運動をではむしろ脂肪の方が多く利用されているのだ。
また、我々がエネルギーを消費しているのは、必ずしも運動をしている時だけではない。
眠っている間でも椅子に座り本を読んでいる間であっても、生命活動が行われている以上はエネルギーを消費しているのだ。
安静にしている時も、脂肪が利用される割合が高いのだが、糖質を摂取しインスリンが分泌されると、その脂肪の燃焼効率が悪化する。
血糖値が高くなればインスリンが糖質の処理を促進し、糖質が優先的にエネルギー源になってしまうので、脂肪の燃焼が妨げられてしまうのだ。
低インスリンダイエットを正しく行えば、血糖値の上昇を緩やかにすることができるので、脂肪の燃焼効率を高めることができるのだ。
注意点
糖質の摂りすぎ
GI値が低い糖質とはいえ、摂り過ぎれば血糖値が大きく上昇し、インスリンも多量に分泌されてしまう。
その結果、体脂肪が増えることは言うまでもない。
GI値とは、”同じ量の糖質を摂取した際の血糖値の上昇度合い”を示す値である点に注意しなければならない。
いくらGI値が低い食品といえども、多量に摂取してしまえば意味がないのである。
カロリーオーバー
この低インスリンダイエットに関して、”GI値が低い食品ならいくら食べても構わない”と主張している人もいるが、残念ながら正しくない。
GI値が低い食品であっても、食べ過ぎれば間違いなく太る。
正しいダイエットを行うためには、GI値に注意しつつも、摂取カロリーにも注意しなければならない。
カロリーオーバーになってしまっては全てがお終いなのだ。
肉類や乳製品はGI値が低い一方で、多くの脂肪を含み、高カロリーになる傾向が強いので特に注意が必要だ。
もちろん、適切な筋力トレーニングを行っていれば、たくさん食べて体重が増加したとしても、筋肉の割合多くなる可能性はあるが、運動をしていなければ脂肪が増えるだけだ。
カロリーコントロールを適切に行いつつ、なるべくGI値が低い食物を摂取することで、初めて、ダイエットの効果を最大限にすることができるのだ。
筋トレ後
どんな時でも低GI値の食品ばかりを食べればよいと言うわけではない。
高GI値の食品を摂取し、あえてインスリンを分泌させる必要があるケースもあるのだ。
詳しくは専門に投稿したページを読んで欲しいが、筋トレ後には、インスリンを分泌させ、筋肉の合成を促進させる必要がある。
低インスリンダイエットを実践していても、場合によっては、高GI値の食品を積極的に摂るべき場面もあることを理解しておく必要がある。
終わりに
正しい低インスリンダイエットを行うことで、ダイエットの効率を高めることができるし、糖尿病を予防することもできる。
しかし、筋力トレーニング等の運動と、適切なカロリーコントロールを同時に行うことで、初めて理想的な体を手に入れることができるということを忘れてはならない。
繰り返しになるかもしれないが、ただ単にGI値が低い食品を食べ続けるだけでは不十分であることは理解しておかなければならない。