セティの誕生日~一にして全なる場所

●あなたの隣に便利なお店
 何故そうなったのか。
 どうしてそう思ったのか。
 分からなかった。でも確かに彼女はそう言った。
「コンビニです!」
「……」
 セティ・フォルネウス(オラトリオの鹵獲術士・en0111)の誕生日をお祝いしようと梅庭・茶太(ウェアライダーのヘリオライダー・en0174)が声をかけたのだ。
(「今、僕は、誕生日にどこ行きたいか聞いたよなぁ」)
 聞き間違いだろうか。
「コンビニに行きたいんです?」
「それはもう、とっても!」
 聞き間違いじゃなかったらしい。
「だってだって、コンビニって何でもあるんですよ。駄菓子に始まり生野菜や軽食、お弁当まで! 何よりドーナツですよ、ドーナツ!」
 食べ物ばかりの点には言及しないでおこう。
「はっ、私はたったいま、とてつもないことを思いついてしまいました……!」
「うんまぁ、なんとなく想像つくけど、なんでしょーか」
「コンビニに売ってるものだけでパーティーとか出来ませんか!?」
 かくしてコンビニパーティーが計画されたのである。
 
 場所は都心のコンビニ激戦区。近所に大小のコンビニが集まるところのビルの一室だ。テーブルと椅子くらいは用意してあるが、基本的に何もない。
 ここにみんなでいろいろ持ち寄ってパーティーをしようということだ。
「ルールはただひとつ。持ち込んで良いのはコンビニで買ったものだけ」
 基本的に食べ物や飲み物になるだろう。
 オモチャや飾り物なんかも良いかもしれない。
「そうですねぇ、コンビニで集めた材料で作ったものもありということで」
 生鮮食品やお菓子の材料も売っているわけだから、存分に活用すべきだろう。
 普通にあれこれ持ち寄って騒いでも楽しいだろうし、アイディア次第で意外なコンビニの楽しみ方も見つかるかもしれない。
「それじゃあ、そんな感じでみんなを集めてきましょうかね」
「ええ、よろしくお願いします」
「ちなみにセティさんは何を買おうと思ってるんです?」
「もちろんドーナツですね」
 聞くまでもなかった。
「ふふふ、近隣のコンビニからドーナツを買い占めてやりましょう」
「あの、いちおう確認しとくけど、君の誕生日ですからね?」
 なんかもう当の本人は忘れていそうである。
 ま、みんなで楽しく過ごせればそれで良いかと茶太は苦笑い気味にため息をついた。


■リプレイ

●7時から11時
 折り紙やボール紙で作った飾りに大きめのプレートを取り付けて、おめでとうのメッセージを書き込む。
「うん……案外形になった、かな?」
 樹斉とエンさんが見上げると、思いの外立派な飾り付けが出来ており、とてもその辺のあり合わせの材料で出来たものには思えなかった。
「んーじゃま、とりあえず……」
「誕生日おめでとう、セティ」
 シズネが盛大に折り紙の紙吹雪を舞い散らせ、夜がシャボン玉を吹いた。きらきらふわふわ、七色の泡が辺りに広がっていった。まるでセティみたいだとは夜の言葉。
「わああ、素敵です!」
 これにはセティも大歓喜。
「良いってことよ。ほら、プレゼントだ」
「似顔絵入りの風船、メッセージもね」
 シズネと夜がふたりで用意したものだ。それをセティが嬉しそうに受け取る。
「おひげ描いてもいいですか?」
「やめてあげて」
 自分の顔なのに容赦ない。
「って、誕生日だったのか……」
 ようやく合点がいったという顔で聖が頷いた。どうやらコンビニにいたらわけもわからず連れてこられたらしい。
「いやー、飛び入りだけど混ぜてもらっちゃって悪いねー」
「いえいえ、たのしければいいんです」
 張本人の八幡はセティに挨拶中。そしてここで彼はとんでもないことをいいだした。
「俺、八幡! よろしくねェ。で、こっちが……あー、名前教えてくれる?」
「今さら聞くのか……聖な」
「じゃ、ひーちゃん」
「まて、ちゃん付けはやめろ」
「えー」
 初対面ですっかり仲良しの様子、コンビニの魔力恐るべしとりあえずタワー用ドーナツはもらっておいた。
「ま、俺も煙草ついでなんだがな」
 なんて言ってのけてるのは陣内だ。買ってきたのはコンビニスイーツのようだが、煙草なんかよりよっぽど量が多いのはつまりそういうこと。
 前に買ったときにあかりが喜んでくれたのが嬉しかったというのは秘密である。
「んで、買ったのは……」
「桃のゼリーと、焼きプリンと、チーズケーキ、だよ」
 袋を掲げるようにみせてあかりが言う。
「今日は好きなだけ買って良いって言ったのに3つだけとはなぁ。遠慮しなくてもいいんだぞ」
「ううん、とんでもない。僕、おやつ3つもいっぺんに買ったの初めて。盆と正月が一遍に来た気分だよ」
 みみがぴこぴこ揺れた。よほど楽しんで選んできた3つなのだろう。おもわず陣内の表情も綻んだ。
「楽しんでいるようですが、まだまだ……」
 ゆらりとひとつの影が割り込んできた。
「……コンビニといえばひきこもりの生命線。深夜フードを目深に被りご近所の目を忍びこそこそ食糧調達にでかけること数年……」
 顔を掌で覆う謎のポーズの東西南北だった。
「コンビニマスターといえばこのボクの事です!」
 そして広げられるスナック菓子の数々。特にジョロキアやらハバネロやらの激辛ラインナップ。砕いてカップ麺に入れてもおいしい。
「ふ……まだまだ甘いっすね」
「何い?」
 さらに割り込んできたのが宗次郎。
「コンビニと言ったらホットスナック一択っすよ! 揚げ鶏、コロッケ、おお! アメリカンドックも忘れちゃ駄目っす」
「これがコンビニを巡る龍虎の戦い……!」
 東西南北と宗次郎の一触即発な空気にセティもどきどき。ちなみに戦いはそれ以上発展しなかった。
「コンビニは僕にとって庭のようなもの、いわば自宅。つまり……つまりっ……」
 なぜならこよみが仲裁に入ったから。
「……寝る」
 仲裁になってなかった。語彙と発想が足りない。
「そういえばこよみさん遅かったですね。寝坊ですか?」
「ん~、聞こえんな~?」
 ウィニティさんとごろごろし始めた。ごまかす気だ。
「まあ、揚げ物は俺がほぼ買い占めてきたんだけどな」
 そういって大量の唐揚げやらその他諸々を蒼眞がみせてみる。なんだかんだで肉も好きなセティが近寄ってきた。
「何か新作ありました?」
「からあげの某回復魔法味とか」
「……」
「……」
「ちょっとドーナツタワーのつづきしてきます」
「ああ。しかし、どんだけドーナツ推しなんだ……」
 そんなセティに倣ってフライドチキンタワーを作ろうと考える蒼眞だが、作るそばから食われていくことを彼はまだ知らない。

●家族のお店
「ドーナツタワーどんな感じ……ってうわあ」
 様子を見に来た樹斉の最初のセリフがそんな感じ。何しろ、タワーを作ると言いつつ、セティがもうすでに高く積むことに飽きている。
「鈴カステラとチョコをつかって……イエローぴよとホワイトあざらし!」
「わ、すごい!」
「これをドーナツの穴にはめ込めば~」
「浮き輪みたい、かわいいですね!」
 蓮華が作ったマスコットがタワーの一部を支配。そこだけファンシーさ7割増し。
「もっとかわいくデコっちゃおっか!」
「ならこの辺をお菓子の家っぽくするのはどうでしょう?」
 すっかりノリノリの蓮華とセティである。
「もーちょっとみぎ、みぎですー。あ、ぎゃくでしたー」
 その反対側で高く積もうとしてるのがリリウムだったりする。ルシエドに乗って背伸びして重ねようと必死だが、右と左の区別が付いてない。
「むむ、こうなったら……」
 加えて高くなったせいで上までも届かない。ここでリリウムが決意。
「じゃんぷです! そして必殺の、だぶるじゃんぷ!」
 ずがんっ!
 飛びすぎた。気合いを入れて立ったアホ毛が天井に突き刺さった。リリウムはぶら下がった。
「……」
「……」
 ぱらぱらと欠片が落ちてくるなか、ヨエルとイングヴァルが静かにアホ毛を見上げた。
「なあ、エル」
「なんでしょう、イーさん」
「日本のコンビニは凄いな。24時間大抵の物が買える……」
「本当に便利で素敵ですよね。今回は普段気になってても買えなかったものを買っちゃいました」
 イングヴァルがごとりと大量の買い物袋を置き、ヨエルが中身を取り出す。
「ほぼ缶詰なわけだが……」
「このままじゃ酒のつまみですし……」
 つぶ貝・赤貝・鯖水煮・鰯……。ふたりは顔を見合わせた。そしてレシピの検索を開始した。
「コンビニって意外とお酒とそのおつまみが充実しているのよね」
 日本酒をジュースグラスになみなみ注いだオルネラが、余った缶詰を確保しにきた。
「今日は祝いの場だしいっぱい飲んじゃいましょう、うふふ」
「オルネラ、羽目を外すのも程々にな」
 ドーナツにワッフルやスナック菓子を黙々と積み重ねていたお兄様ことシグリットが口を挟んできた。
「良いじゃない、祝いの場なんだもの。あ、お兄様はこっちかしら」
「ああ、そこに置いておいてくれ」
 ドーナツタワーから視線を外さずに答えるシグリット。ちゃんと見ておけば良かったのに。
「で、ひとつだけ言わせてもらって良いかしら」
 ふう、と大げさに芍薬がため息をついた。
「それは、食べられないから」
 セティにあげた巨大ドーナツ型クッションにエルトベーレが今まさにかじりつこうとしていた。ハイルさんが恥ずかしいからやめろと頭を叩くが止まらない。
 そんな様子を遠巻きに、灯がわざとらしくハンカチで目元を拭った。
「うう、違うんです。ベーレは度重なるドーナツ食べれない事件のショックでドーナツの記憶を失ったんです」
「えっ、そうでしたっけ? でもなんかそんな気もします」
 失いすぎである。
「さあ今日はドーナツ三昧ですよ。過去を乗り越え前に進みましょう! セティさんと一緒に!」
「さすがぷりてぃーぷりんせすです! その想いに報いる為にも沢山ドーナツを食べて私は上に行きます! ね、セティちゃん!」
「もぐもぐ」
 このまま勢いで巻き込もうと、ふたりしてセティに声をかけるが、肝心の本人はなんかもうドーナツ食べてた。
「タワーに飽きてんじゃない」
「やっぱりドーナツは食べるものでした」
 なんかアホ毛が天井に刺さったまま何かアピールしてるけど気付かない。
「あ、あぅ……」
「あら、どうしたんですか」
 そんな折り、どこか困った様子でオロオロしながらウフルがやってきた。心配したエルトベーレが声をかける。
「えと……アイス、溶けちゃって……どうしよう……」
「えええ! 大変です! どうしましょう、どうしましょう!?」
「あんたの方がうろたえてどうすんのよ」
 芍薬の言葉に反論の余地がない。
「食べちゃえばいいじゃないですか」
「……あ、そっか」
 至極真っ当な答えが灯から出た。納得したようにウフルも頷く。
「それじゃ、まずみんなでアイス食べちゃいましょうか」
「うん」
 なんとか安心、ウフルも笑顔になったのだった。

●ミルク屋さん
 結果的にドーナツタワーは完成しなかった。食べたせいで。
 それは良いとして、料理も頃合い。
「イワシのパスタ。缶詰のイワシを炒めてほうれん草とパスタで和えた」
「その完成品がこちらです」
 イングヴァルが説明するとヨエルが素早くテーブルに並べた。さながら助手。
「つぶ貝のエスカルゴ風。つぶ貝を缶のまま火をかけ、バターとニンニクと大葉、それから醤油で味付けした」
「その完成品がー」
 他にも赤貝のポテトサラダや鯖水煮の炒め物などなかなか凝ったものが出来上がっていた。
「茶太もどうだ? 熱いから気をつけろよ」
「ありがとう熱ゥい!!」
「言ったそばからか」
 どうやら茶太は猫舌だったらしい。ちなみにセティは平気そうで黙々食べてる。
「とても缶詰とは思えないおしゃれな感じですね」
「ホント、缶詰って凄いですよね」
 セティの言葉にそんな答えを返すヨエルだった。なんかちがう。
 さて、缶詰といえばこれも缶詰。器に盛られたツナのような何かを見て、シズネは首をかしげた。
「もしかしてこれが昼飯かあ? つかさ……」
 顔を上げると、用意してくれた夜の笑顔が目に入った。優雅に足を組んでコーヒー片手にチョコがけドーナツを楽しんでいる。
「笑顔が気味悪ぃなあ……お、薄味だが案外うめえじゃねえか」
「そうか、旨いのか」
 シズネがわりと良い感じに食べ始めたのを見て、夜がしれっといった。元の缶を眺めながら。
「ってこら、それ猫缶じゃねえか!! でもイケるのは俺が猫だからか……茶太も食ってみるか?」
「意外とおいしいですよね、猫缶」
「食べたことあるんだ……」
 犬ごはんより猫ごはんの方がおいしいとは茶太の弁。
 さて、料理の横にはフライドチキンの数々も並んでいたりして、見た目も壮観。
「これが都会のトレンディ、立食パーティーというものですね!」
「そ、そうだな」
 なんかちがう感じがするが、蒼眞は素直に頷いた。
「ちなみにこっちがチーズ入りの奴、こっちは辛い奴な」
「同じチーズでもいくつか種類があるみたいですけど」
 その言葉に蒼眞がにやりと笑う。
「同じようなものでも店ごとに若干違っていてな、それがまた面白いんだ。ただ、飲み物は大抵どこも同じなのが残念なんだよな」
「そこでコーヒーですよ」
「なるほど、最近はカウンターで淹れてくれるところ増えたしな」
 ペットボトルばかりではないのだ。
「えっとね……これは、僕からタマちゃんに」
 そういってあかりが後ろ手に持っていたコンビニ袋から缶コーヒーやらカップのカフェオレが出てきた。
「こんなものまで買ってたのか」
「だってタマちゃん、自分のものは煙草しか買ってないんだもの」
「あー……まぁ」
 あかりの言葉にちょっと気まずげに陣内が頬を掻く。
「これ飲みながら、半分こずつして食べようよ。僕の嬉しい気持ちや、幸せな気持ちもタマちゃんにお裾分けしたいんだ」
 陣内の顔を見上げながら言ってくる。
「……お手軽だな」
 返ってきたのはそんな言葉。だけど尻尾の動きが気持ちを物語っている。きっと、次はいつ連れて行こう、なんて考えているに違いない。
「うーん、なんだか光栄です」
「なにがっすか?」
「ずっとぼっちだったボクがだれかの誕生パーティーにおよばれするなんて、ってポテチどうぞ」
「いただくっす。こんなパーティーも意外と面白いっすからね。じゃ、記念に乾杯でも」
「ありがと……うっ」
 東西南北の差し出した手が停止した。宗次郎が渡してきたのは噂に名高いあのペッパーな名前の炭酸飲料だった。

●午前午後
「そうそう、私たちもセティさんにプレゼント用意してたんですよー。はい、うぇぶま……魔法のカードです!」
「えっ、魔法なんですか!?」
 灯がカードを取り出すと、エルトベーレがびっくりした。
「一説によると、ここに記された暗号を解読した者は星すら手中にできるとか」
「ええっ、お星様まで買えるんですか!? あのお空の!?」
「なんでベーレさんがプレゼントを全く把握してないんでしょうか。ところで今日はドーナツ食べられたんですか?」
「はいっ、灯ちゃんと半分こしました!」
 何故か灯が目を反らした。エルトベーレは半分の小っちゃいドーナツを大事に大事に食べるつもりのよう。って、ちっちゃい?
「それ、駄菓子のドーナツじゃないですか。よん……むぐぅ」
 灯が咄嗟にセティの口を塞いだ。駄菓子のヤングなドーナツ。小っちゃいドーナツ4個入り。つまり、3個半の行く先は……。
「ぷは。というか、普通にドーナツ食べれば良いのに」
「そういえばそうでした!」
 そこに積んであるドーナツを食べれば良いのに、貰ったものを大事に抱え込んでるのがエルトベーレらしい。
「でも食べないとなくなっちゃいますよー」
 ドーナツもぐもぐしながらリリウムがやってきた。その頭の上ではリヒトさんがものすごい勢いでドーナツに穴を開けてたりする。
「ほんとにへっちゃってる気がするんですけど、ルシエドさんどーなつどこに行ったかしりませんかー」
 ルシエドがリリウムのぽんぽんにお手した。ドーナツはここだ。
「あ、セティさんにはどーなつの王さま、おーるどふぁっしょんあげます!」
「ありがとうございます。お礼にアホ毛いじってあげます」
「きゃー、あー!」
「じぐざぐー」
 なんてアホ毛で遊んでたら芍薬が戻ってきた。
「何してんだか……チョコフォンデュも出来たわよ」
「おお、さらに立食パーティーっぽく!」
「ほら、セティにはドーナツももってきたから」
「ドーナツにドーナツをまぶせば良いんですか?」
「チョコをつけなさい、チョコを。あと茶太は……あ、いや犬じゃないから大丈夫か」
「なんかさっきからペット扱い進んでません!?」
 さすがに茶太も抗議の声を上げた。
「でもいいか。ペットでも」
 そしてすぐ引っ込めた。
「まあまあ、気を落とさないで」
 ぽんぽんと樹斉がなだめるように茶太の肩を叩いた。
「このドーナツあげるからさ」
「ありがとう……って犬用じゃないかーい!」
 でも意外とおいしかった。
「俺からは……ココアと、ガトーショコラとティラミス、新作のチョコアイスとミルクチョコ……」
 目の前のチョコフォンデュに触発されたのか聖も怒濤のチョコ推し。もともとそれが気になっていたのだろう八幡がまたちょっかいかけてきた。
「やっぱし甘いものだらけか~。野菜も肉も食べなきゃ大きくなれないぞ☆」
「うるさいな、お前だってそう背は変わらないだろ。後甘い物の何が悪い」
「あ、怒った? ごめんごめん! チョコドーナツ好き? 食べる?」
「……食べる」
 なんだかんだで八幡のペースに飲まれている聖である。
「お味はどう?」
「炭酸がさわやかでゼリーがつるつるです!」
 オルネラがセティに作った炭酸とゼリーを合わせたフルーツポンチだ。若干質問の答えがずれてるがおいしいということだろう。
「ドーナツとワッフルのスイーツタワーも用意したんだけど」
「だけど?」
「お兄様がふにゃふにゃになっちゃって……」
 見るとシグリットがうつらうつらと頭を左右に揺らしながらスイーツタワーに話しかけていた。
「今日は誕生日おめでとう。誕生日といえばバースデーケーキが妥当なんだろうが……」
 そしてタワーにショートケーキを差し出していた。
「ジュースだと思っていたのだけどお酒だったみたい」
「もう2,3杯飲ませましょうか」
 とどめを刺す勢い。
「なんか出遅れた! 結局出遅れたー!」
 宴もたけなわという所になってこよみが起きた、そして体当たりしてきた。
「たんじょうびぷれぜんとー」
 なんかそんな事いいながら買ってきたリボンを自分にぐるぐる巻き始めた。
「大事に育ててねーごろごろ」
 転がった。ウィニティさんまでごろーん。
「持って帰っていいんですか?」
「えっ」
 きゅっとリボンを縛られた。こよみは動けなくなった。
「……お持ち帰り?」
 ウフルが首をかしげて聞いてきた。
「わたしも、ねむい……」
「寝てても大丈夫ですよ。ええ、すぐに済みますから」
「え、なにが!?」
 ぽんぽんとウフルをあやしながら、こよみに対して笑顔を振る舞うセティ。嫌な予感しかしない。
「じゃ、蓮華も混~ぜてっ」
「きゃわっ!?」
 どーんと蓮華がセティの背中に突撃。女の子たちのじゃれ合いは遊びなのか死闘なのか区別が付かない。
「ねぇねぇ、そういえばセティちゃんドーナツ以外だと何が好き?」
「えっ、そうですね……ううん、そうはいっても好きなものって多すぎて……決められませんっ」
「へぇ~、それじゃあ仕方ないねぇ」
 ちょっとだけあやしく蓮華が笑みを浮かべた。
「いろいろと食べ歩きしなくちゃね、今度行こうよ!」
「ホントですか! ぜひ一緒にお願いしますねっ」
 ぱんっ、とハイタッチ。
 セティにとっても誕生日という区切りではあるものの、これからも楽しいことがいっぱいあると予感させる一日になったのだった。

重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年6月11日
難度:易しい
参加:21人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 6
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