監修
銀座エルクリニック
昭和63年6月 日本医科大学付属病院形成外科入局
平成7年6月 西新井皮膚科形成外科院長就任
平成18年10月 医療法人社団友輝会エルクリニック理事長
平成23年5月 新宿、銀座エルクリニック兼務
今回は、「肥満度とは何か、無理なく健康的に痩せることができる方法を監修医の簡野先生に解説していただきます。
肥満とは!基準と病気のリスク
1.肥満の基準
BMI(肥満度)で分かる理想の体重
肥満とは、体脂肪が過剰に溜まった状態のことを言います。WHO(世界保健機関)が定めた肥満判定の基準をBMI(Body Mass Index)指数といい、
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
の計算式で求めます。
日本肥満学会では、BMI指数が25以上を肥満としています。なお、病気になる割合が最も少ないBMIが22なので、健康面からみて理想的な体重すなわち
標準体重は、身長(m)×身長(m)×22
の式で求めます。
体脂肪のつき方によって、肥満には2つのタイプがあります。皮膚の下に脂肪がつく皮下脂肪型肥満は女性に多く、内臓の周囲に脂肪がつく内臓脂肪型肥満は、比較的男性に多いようです。見た目はやせているのに体脂肪脂肪率が高い、という人も、ほとんどが内臓脂肪型肥満です。
2.肥満症とは!生活習慣病のリスクを高める病気
肥満になると、糖尿病や高血圧、痛風、脳出血などの生活習慣病を発病しやすくなります。肥満の人が糖尿病や高血圧などを発病する確率は、そうでない人に比べて2~4倍高いといわれています。
また、睡眠時無呼吸症候群、不妊症などを発病しやすくなったり、心臓やひざや腰の関節などに負担がかかりやすくなったりします。
BMI指数が25以上で、糖尿病や高血圧、高脂血症、痛風などの合併症が現在あるか、将来発病する可能性が高い場合、または、腹部CT検査で腹部断面の内臓脂肪面積が100平方cm以上ある場合は、「肥満症」と診断されます。
肥満症になると、生活習慣病などを合併しやすいだけでなく、それぞれの病気が互いに影響しあって症状が悪化しやすくなります。反対に、食事療法や運動療法で肥満症を改善すると、糖尿病などの病状もよくなってきます。
つまり肥満症は、外見上の問題だけではなく、健康にも深刻な影響を及ぼすのです。
1日3食!食べながらダイエットができる
1.現在の体重より5~10%ダイエット
肥満症のダイエットの目的は、生活習慣病を改善したり、発病するリスクを減らしたりすることです。標準体重まで落とすのが無理でも、現在より5~10%体重を落とせば、かなりの改善効果があります。
2.短期決戦のダイエットは逆効果
肥満症になるのは、遺伝的な体質も関係しますが、過食と運動不足が主な原因です。ダイエットするためには、食事療法と適度な運動が必要です。
短期間で効率よくやせようと、食事を抜いたり、食べる量を極端に減らしたりするのは逆効果です。食事と食事の間隔があいてしまうと、人間の体は食べ物が入ってくるまでのエネルギーを確保しようと、食べ物からエネルギーを吸収する割合をアップさせます。
また摂取するエネルギーが少ないと、体は基礎代謝量(呼吸や体温調節など人間の生命活動を維持するのに使われるエネルギー)を減らして、少ないエネルギーで生きていけるように順応してしまうため、空腹を我慢してダイエットしても全然やせない、ということになってしまいます。
さらに、食べないで我慢しているストレスから、一時的にやせたとしてもすぐにリバウンドしてしまうことが多いのです。そのうえ、急激なダイエットは、肌や髪が荒れてしまったり、生理がとまったりすることもあります。
3.無理なく痩せる!1日240kcal抑えるダイエット
つまり確実にやせたかったら、1日3食きちんと食べて、1ヵ月1~2kgのペースでやせるのがベストなのです。
食事療法は、1日あたりのエネルギーの収支のバランスがつりあうことが大切です。まず自分が1日に必要とする栄養所要量を少なめに計算します。
1日の栄養所要量は体重1kgあたり20~25kcal、たとえば、体重60kgの人なら1200~1500kcalを目標としましょう。これに基づいて栄養バランスのよいメニューを考え、動物性脂肪や油脂、糖分を摂り過ぎないようにします。
1日の栄養所要量を守れば、体重の増減はありませんが、1ヵ月に1kgの体重を減らすには、食事から摂取するエネルギー量を1ヵ月7200kcal減らさなければなりません。
1ヵ月30日とすると1日あたり240kcalずつ。
したがって、1日に大福もち1個分(240kal前後)ぐらい摂取エネルギーを減らします。
体脂肪を減らす有酸素運動と運動前に心がけること
1.適度な運動で体脂肪の燃焼率がアップ!
食事療法は「ダイエットのカギ」ですが、食事だけでダイエットしようとすると大変です。また、運動をして筋肉をつけた方が基礎代謝量が上がり、より体脂肪を燃焼させやすくなるので、食事療法と並行して適度な運動も行いましょう。
たとえば、1日に20分間ウォーキングをして100kcal消費し、食事から1日あたりシュークリーム1個分(200kcal前後)のエネルギーを減らせば、1日300kal、1ヵ月で約1.25kgやせることができるのです。
2.運動前にはメディカルチェック!健康的に減量
ただし、肥満の場合は、運動すると心臓に負担がかかったり、腰やひざの関節などを痛めてしまったりすることがあります。また、糖尿病や高血圧などの合併症があると、急に運動を始めると体調が悪くなる恐れがあります。
そのため、運動を始める前は、血圧、心電図などのメディカルチェックを受け、どんな運動をどの程度行うか、必ず主治医と相談してから始めましょう。
3.種類の運動をバランスよく組み合わせる
体脂肪を消費させるには、ウォーキング、スイミング、自転車こぎなどの有酸素運動がおすすめです。しかし、体脂肪はゆっくり20分ぐらいかけて体を温めてやらないと燃焼し始めません。
また原則として、運動を始める前にはウォーミングアップ、そして運動終了時にはクールダウンを行うことが大切です。そのため、(1)ウォーキングなどの動的な運動と、(2)準備運動・整理運動としてストレッチなど柔軟力や調整力を養う運動、(3)筋力トレーニングなどの静的な運動をバランスよく組み合わせて行いましょう。
1日の運動の目安
健康状態、体格などで個人差があるので、ご自分が始めるときは主治医の先生と相談してください。
ダイエットを成功させるライフスタイル
肥満である人は、自分の今までの食生活や生活習慣を振り返ってみましょう。必ず太る原因が見つかるはず。それを改善すれば、ダイエットに成功します。
1.間食はNG!食生活の改善
1日の栄養所要量を守るのは基本中の基本。ただ、食事量は大丈夫でも、間食を摂り過ぎていませんか?あんパン1個280kcal前後、ショートケーキ1個340kcal前後と思いのほか高カロリーです。
食事を作りながらのつまみ食いや、テレビを見ながらのだらだら食い、帰りの遅い家族に付き合って食べる付き合い食い、などもトータルのエネルギー量が多くなりがちなので気をつけましょう。
また、夜遅くに食事をすると、エネルギーを消費しきれないで体脂肪が溜まりやすくなってしまいます。夕食は、最低でも寝る3時間前までにしましょう。
さらに、早食いも要注意。満腹中枢は食事をはじめて15分した頃から働き始めます。そのため、早食いすると、つい食べ過ぎてしまうことが多いようです。
2.カロリーを抑える!調理の工夫
揚げ物は材料を下ゆでして揚げる時間を短くする、衣をつけないで素揚げにする、サラダはノンオイルドレッシングを使うか、かんきつ類やハーブなどで味をつける、など、カロリーを減らすよう工夫しましょう。
また、食事の量が少なく感じられる場合は、脂肪の少ない肉、魚、豆腐などのたんぱく質と、野菜やきのこ類など食物繊維の多い食材を組み合わせると、比較的カロリーが低い割にカサが増えます。食べるときはよくかんで食べると、より満腹感が出ます。
3.こまめに体を動かす
デスクワークが多かったり、子どもが成長してきたりすると、どうしても1日の運動量が少なくなってきます。日頃から、自宅から駅や、バス停ひと駅分歩いたり、移動は車ではなく自転車を使ったりしましょう。家事の合間に、軽いエクササイズなどをするのもいいでしょう。
4.ストレス解消を心がける
今まで、ストレスがたまってやけ食いしたりしていませんでしたか?そうならないようにするためには、友人とおしゃべりしたり、趣味を楽しんだりしてストレス解消を心がけましょう。
「思う存分食べられない」とイライラするときは、「目標体重までやせたら、○○しよう」と、自分に対するごほうびを用意し、それを楽しみにダイエットを続けましょう。