足裏には目で見てわかる信号が出ている
たこや魚の目がある位置には大きな外力が加わっていることを理解し、除去した後も日常のケアで再発防止を
たこや魚の目ができる位置から原因が推測できる
たこや魚の目は、皮膚の正常な反応が原因で起こります。つまり、歩き方にくせがあったり、靴と足のミスマッチで、靴の中で足にくり返し力が加わると、その力に負けないように皮膚が厚くなってたこや魚の目ができるのです。したがって、たこや魚の目がある位置には、大きな外力が加わっていることがわかります。
着目したいのはたこや魚の目のできる位置です。発症が多いのは、下の写真のように足拇指や拇指球、足第5指、足第3指の付け根、踵のほか、足指の関節部分などです。その原因の所在を環境因子と身体的因子に分けてみましょう。まず足拇指や足第5指にたこや魚の目がある人の環境因子では、先のとがった靴や硬い靴、サイズの合わない大きめの靴が原因となることが多いです。身体的因子では、歩き方、立ち方に原因があります。「こんなことが?!」と思うような日常的なくり返しが、大きな影響をおよぼしていることを理解しましょう。
皆さん自身やお子さんや身の周りの人を観察してみましょう。靴を脱いだ後に、足指や甲が赤くなっていたり、皮膚に靴のあとがついていたり、皮がむけたりしていませんか? だとしたら、動作中などにその部分が靴に当たっている可能性があります。このような観察からさまざまなことが推定できます。
写真1は、足第5指の付け根に大きなたこがあります。先のとがった靴や硬い靴を履くと、足の前方の両サイド(足拇指の付け根と足第5指の付け根の横の部分)が靴に当たります。サイズが大きいと歩行中に靴の中で足が動いてしまい、やはり足の前方の両サイドが靴に当たることになります。最近は、家庭菜園なども流行っていますし、雨の日におしゃれな長靴を履く人も多くなってきました。長靴は大きめのものを選びがちなので注意が必要です。
通常歩行で踵に加わる1歩あたりの衝撃は、体重の1.3~1.5倍程度と考えてよいので、体重60kgの人なら、約80kgの力がくり返し踵に加わっています。さらに接地のときに足が前後にずれていたら、足が靴にぶつかる力も加わり、かなり大きな衝撃になることが推定できます。その結果、たこや魚の目ができてしまうのです。インソールや靴の履き方を少し工夫することでずいぶん改善されます。
次に写真2、3のように、足第3指の付け根にたこや皮膚が硬くなる皮膚硬結がある人は要注意です。写真2では、足第2指が足裏から見えないことに気づきましたか? そして足拇指が足第2指側に傾いています。つまり外反母趾が進み、足拇指が足第2指を浮き指にしてしまっているのです。足第3指にたこがある人は、身体的因子の観点から外反母趾や内反小指のリスクが疑われます。その原因は前足部アーチの低下、または崩壊にあります。
前回、足裏にはアーチが3つあることを示しました(『フットケア1 足病、足部の筋力、骨格系』)。足第3指の付け根は通常、前足部アーチのピークの部分です。このアーチが前足部に加わる荷重をクッションのように吸収することで、膝や腰に加わる衝撃が低減されます。写真2、3のように本来アーチのピークがある部分に強い力がくり返しかかっているということは、アーチが壊れている、またはアーチが押しつぶされていることを示しています。アーチを支える筋肉や骨の構造が弱く、荷重に負けてしまうとアーチ構造自体が壊れ、外反母趾のリスク群に発展します。したがって、まだ外反母趾ではない人も足第3指の付け根にたこがあれば、外反母趾リスク群と思ってよいでしょう。
すでに外反母趾や内反小指の人は重度化を予防し、リスク群の人は発症しないようにケアをする必要があります。足裏には目で見てわかる信号が出ています。
足圧分布にも現れるたこ・魚の目
次に「足圧分布図」を見てみましょう。図1は外反母趾の人の足圧分布です。赤みのある部分は、圧が強くかかっていることを示します。外反母趾のほとんどの人に足第3指の付け根にたこが見られ、足圧分布でもその部分が赤くなります。外反母趾になったから足第3指の付け根にたこができるのではありません。順番はたこができて、放っておいた結果、外反母趾になったと思ってよいでしょう。
図2はまだ外反母趾はひどくなっていませんが、足第3指の付け根に荷重が強く現れてきており、すでにリスク群の状況です。この部分のたこや魚の目は、皮膚が硬くなるという問題だけではなく、足の骨格の変形にも影響をおよぼす可能性があるという理解が必要です。
図3は足第5指の付け根にたこがある人の足圧分布です。この方の場合、縦アーチ(土踏まず)が低下傾向で、中足部(土踏まずの最もくびれた部分周辺)に荷重が出てきています。(図2の同じ部位に荷重は見られません)図3は65歳以上の方ですが、前回登場した足指力、膝間力が低下傾向で下肢筋力が下がっていることがわかっています。その結果、足部にもさまざまな影響が現れてきていると言えます。このままでは年齢を重ねるごとに転倒のリスクが上がるので、たこの発生を予防するのと同時に転倒予防という観点からも注意が必要です。
たこ・魚の目を除去したら、日常のケアで再発防止
たこや魚の目のケアは、一言でまとめると削って不要なものを除去すればよいと言えます。たこのケアは薬局などで販売されているたこ用のやすりやケアセットを使って、硬い皮膚の部分を除去すればよいでしょう。風呂上がりなど皮膚の柔らかい状態で行うのが効果的です。一方魚の目は芯があり、痛みを感じます。芯を除去する必要がありますが、無理にほじったりすると化膿したり悪化させることが多いので、皮膚科やフットケア外来で治療を受けるほうがよいでしょう。
自分でケアする場合、たこも魚の目も削りすぎには注意しましょう。特に糖尿病の人の場合は要注意です。末梢神経が障害され痛みを感じにくいため、傷ができても気づかないことがあります。そのため足の傷から感染症を起こしやすく、さらに血流障害によって傷が治りにくいため、壊疽(えそ:皮膚や皮下組織の細胞が死んでしまうこと)を引き起こし、足を切り落とす要因にも発展する重大な危険因子になります。
また高齢者も、無理な姿勢でたこを削ったり、目が悪くてよく見えない状態でケアを行うと、思わぬけがに発展する危険もあります。
たこや魚の目で困っている場合は、フットケア外来を行っている医療機関を受診したり、フットケアの相談やケアを行っている「メディカルフットケアJF協会」などに相談するのもよいと思います。メディカルフットケアJF協会ではたこや魚の目のケア以外にもさまざまな足病の相談に乗ってくれます。
*メディカルフットケアJF協会:http://tsumekiriya-haruki.com/index.html
ただし、治療やケアを受けてたこや魚の目が治っても、それは一時的なこと。荷重が加わっていることが原因なのですから、再発することは容易に想像できます。再発防止のための日常のケアとして、たこや魚の目ができる位置が当たらない靴を選ぶ(靴の選び方)、下肢筋力の向上などで歩行機能を修正する(運動などによる歩行方法の改善)、靴ひもなどを工夫することで歩行中に靴の中で足が動かないようにする(靴の履き方)、パッドなどを利用して荷重を分散する(用具の利用)などがあげられます。
【フットケア前後の足部の変化】
フットケアの直前と直後の写真を比べてみましょう。下の写真は、上述したメディカルフットケアJF協会と一緒に研究を進めたときのたこのケアの一例です。写真左は、足第5指の付け根と足拇指の付け根にたこがあります。右はケア後の写真で、たこはだいぶ小さくなっています。このように適切なケアを行うことで、快適な足部が得られ、見た目も美しく、歩きやすい状況を作り出せます。
しかし、この方は歩き方などが改善されていないため、2カ月も経過すると同じ位置にたこが形成されました。したがって、一時的な対策はとれますが、ケアと運動などを組み合わせ、根本的な原因を改善することが必要です。