臭いは病気のサイン!体臭の変化で考えられる原因と要注意ポイント
誰もが言われてショックを感じてしまう言葉がありますが、皆さんは他人から何と言われたら心に突き刺さるような衝撃を受けますか?
デブ、ハゲ、バカなどは単なる悪口であり、こんな言葉は無視してもかまいません。こんな言葉を言っている人こそそのものなのですから…
そうではなく悪口ではない何気ない言葉にこそ、言われた方はダメージを受けると思います。言った相手は悪気がないのですからね。
「ちょっと…口臭いよ(沈黙)」どうですか、この言葉を深刻な顔で言われたらちょっと気になって落ち込んでしまいますよね。
近年では体臭を気にしている人が増加しているそうです。これはエチケットとして当然なのですが、実は体臭の変化で病気が判明することもあるのです。病気と体臭の変化について紹介します。
無臭な人はいない?人間が発する臭いの原因とその役割
最近テレビを見ていると「潔癖症」の特集を見かけることが多くなったように思います。テレビで扱う潔癖症とは「極端な綺麗好き」であり、一日中掃除や洗濯を繰り返しています。
彼らから出される言葉には「菌」が多く使用されており、ちょっとでも汚れているものを見つけると「菌が、菌が~」と大騒ぎしていますよね。
また臭いにも敏感でちょっとした臭いでも「オェ~」と反応して、その反面自らを「無臭」と言い放っています。しかし人間で無臭なんてあり得るのでしょうか?
人間の体臭の原因は汗
私は小学生の頃から剣道をやっており、大人になるまで一筋で頑張ってきました。皆さんは剣道のイメージをどのように思っていますか?
「武道」「礼儀」「叩き合い」「怖い」など色々ありますが、やっていた本人が言いますが、はっきり言って「クサい」がイメージのダントツ一位ではないでしょうか?
そうハッキリ言って剣道はクサいのです。何と表現すればよいのでしょうか?スッパイような…カビのような…とにかくクサいのですよ。
まあ練習が毎日なので仕方がないのですが、この剣道着が汗で凄まじい臭いを放つ原因になります。夏場は特に臭いが酷く、翌日には汗で乾いてない剣道着を着るのですから、たまったものではありません。
想像して下さい。汗で濡れて冷たい剣道着を着るのですよ…「武道は修行」とはよく言ったものですね。
イメージ調査でも剣道や柔道には「クサい」とのイメージがあるそうですが、それはやっている人の体臭ではなく、剣道着や防具から出ている汗の臭いなのです。
剣道のクサい臭いは汗が原因だったのです。このように汗は人間の体臭の大元になっており、最大の原因になります。汗を知ることで体臭の原因が解ってきそうですね。さっそく調べてみましょう。
汗には「臭う汗」と「臭わない汗」がある
汗のイメージは臭いばかりではありません。「青春の汗」などはどちらかと言うとよいイメージで使われることもありますよね。
実は汗には臭う汗と臭わない汗があります。正確に言いますと「臭いの強い汗」と「臭いの弱い汗」なのですが、同じ汗でもこれは大きな違いだと思いませんか?
「私は臭わない汗しかかかないわ~」と思った貴方。ちょっとこの汗の違いを聞いて下さい。
汗は汗腺で作られて排出されている
全ての汗がクサいと思っている人もいると思いますが、実は汗には臭いの少ないものがあります。汗は皮膚上にある汗腺と呼ばれる穴から分泌されますが、これには2つの種類があります。
- エクリン腺
- アポクリン腺
人間がなぜ汗をかくのかと言うと、第一に体温の温度調節作用が考えられます。つまり上昇した体温を下げるために、皮膚上に汗を出して気化熱作用で体温を下げるのです。
汗腺とは皮下組織から皮膚表面につながる汗を作り出して排出させる上皮性の器官だと思って下さい。
臭わない汗はエクリン腺から分泌される
先程も紹介しましたが、皆さんの中には全ての汗がクサいと考えている人もいると思いますが、実はエクリン腺で出される汗は無臭であることが一般的です。
エクリン腺は身体中の皮膚にある汗腺ですが、その作用は体温調節を行うことです。
- 体温の上昇を脳が感知する
- 自律神経の交感神経が優位に立つ
- 交感神経がエクリン腺に汗を分泌するように促す
- エクリン腺が血液から水分を抽出して汗を分泌させる
- 皮膚上に汗が分泌されて身体を冷やす
- 体温が低下する
エクリン腺から分泌される汗の成分は99%が水分であり、残りの1%の大部分がナトリウム(塩)になります。つまりエクリン腺で作られる汗には、臭いの元となる成分は含まれていません。
エクリン腺から出される汗はクサくない汗だったのです。それでは体温調節以外で出されるエクリン腺の汗には、どのような種類があるのかを紹介します。
エクリン腺から汗が出るシチュエーション
基本的に無臭であるエクリン腺から出される汗ですが、体温調節以外ではどのような場面で分泌されているのでしょうか?
- 体温調節(これは基本)
- 辛いものを食べた時に出る汗
- 驚いたり怖かったりする時にでる汗
- その他
たしかに激辛料理を食べると大汗をかくことがありますが、特に臭いを感じることはありませんよね。この時に出る汗の大部分は水分であることから、臭いは気にならなかったのです。
また人間にはハッキリと汗をかいた時に自覚する汗と、目には見えない汗があります。そのような皮膚を潤わせる汗も、臭いがないことが多いようです。
臭いが出る汗はアポクリン腺から分泌される
それでは汗は臭いの元ではないのでしょうか?イヤイヤそう考えるのは早計だと思います。汗腺には2種類ありもう一つ残っているのですから。
実はアポクリン腺から分泌される汗は臭いの原因になります。アポクリン線は「脇の下」「外耳道」「乳輪」「鼻翼」などに多くある汗腺で、「毛包」とつながることで汗を分泌します。
毛包とは体毛の穴で、要は皮膚上にある体毛の穴を使って汗を分泌しているのです。
また幼少期にはアポクリン線は未発達であり、思春期以降に発達することから性ホルモンと大きな関係性が指摘されているのです。
アポクリン腺から出される汗は80%程度が水分ですが、それ以外に「アンモニア」「タンパク質」「脂質」などが含まれており、これらが臭いを作り出す原因となります。
いわゆる「ワキガ」は脇の下にあるアポクリン腺から出される汗が原因であり、分泌された汗に含まれる成分が微生物により分解されることでさらに強い臭いとなります。
アポクリン線は白人や黒人に多く、ワキガ臭は彼らにとって当たり前の現象です。西欧文化で香水が発展した理由の一つには、このような理由があったのですね。
臭いで解る体調の変化に気をつけろ!注意すべきポイント
人間の体臭の大部分が汗によるものだと理解して頂けたと思いますが、中には急に臭いに変化が出ることがあります。これは一体何が原因なのでしょうか?
シャツの襟元が黄色くなっていたら食事に注意
体臭がチーズのような古い油のような、スッパイ臭いに感じることがあります。まぁ「加齢臭」と言われてしまえばお終いなのですが、この原因は食生活かもしれません。
1日着たシャツの襟元など汗が付着する場所を見てみると、黄色いシミがついて付いていることもありますよね。
このような症状は食生活に問題がある可能性があります。この臭いの元はコレステロールが原因で、皮脂が大量に分泌されている可能性があります。
コレステロールの増加は「動脈硬化」「高血圧」などの原因になるサインです。食生活を見直して油の多い食事や、ファストフード依存があれば改善するようにしましょう。
汗からアンモニア臭がする場合はストレスに注意
身体からアンモニア独特のツーンとした臭いが出ることがあります。加齢臭と呼ばれる汗に近いのですが、スッパイ酸化したような臭いと感じることもあるでしょう。
急にこのような汗をかくようになったら、それはストレスが原因である可能性があります。
ストレスが蓄積されるとうつ病などの精神疾患の原因にもなることから、このような汗をかいた場合は十分に身体を休ませることが大切です。
体臭や汗が魚臭くなるのは肝臓が原因か
私は昔から魚の臭いが苦手で、子供の頃には魚屋さんに行くと必ず口呼吸でその場をしのいでいました。特にあの腐敗したような生臭いような臭いは今でも苦手なのですが、これが体臭として出ることがあります。
このトリメチルアミンが汗や口臭に混ざることで、魚が腐った体臭となるのです。
しかし本来トリメチルアミンは、肝臓で分解される物質であり、臭いの元になることはありません。つまり肝臓がトリメチルアミンを分解しきれなくなることが、臭いの原因となるのです。
これらのことから魚臭症は肝臓の機能が低下したサインであると考えられ、この症状が出た場合は病院で肝臓の検査を受けるようにしましょう。
甘い香りには落とし穴があると思え
魚の腐った臭いはご勘弁願いたいのですが、これがマンゴーやバナナなどの完熟フルーツの臭いだったらどうでしょうか?
最近ではフルーツ系の石鹸や香水を愛用している人もいるので、「私の臭いはフルーツよ!」とご満悦に浸ることもあるかもしれません。しかし甘い体臭には落とし穴があることを覚えておきましょう。
糖尿病を発症すると症状にある特徴が見られます。それが「あまーーい」体臭です。糖尿病は血液中に糖が多く含まれる病気ですが、何もそれが体臭や汗を甘くしているのではありません。
その成分こそが「ケトン体」です。身体に蓄積された脂質から作られるケトン体を、エネルギー源として使用するのです。
近年話題になっている「低炭水化物ダイエット」は糖質をカットすることで、ケトン体の生成を促すダイエット法です。簡単に言えば擬似的に糖尿病と同じ環境を作り出して、脂質をケトン体として消費していたのです。
ケトン体には「ケトン臭」と呼ばれる独特の甘い臭いがあり、これが体臭を甘くフルーツのような臭いに変えていたのです。
特に炭水化物をカットしていない状態で、体臭や汗が甘く感じるようになったら、それは糖尿病のサインであることが考えられます。病院で血液検査を受けるようにしましょう。
身体からドブ沼のようなアンモニア臭がしたら腎臓を疑うこと
腎臓は血液から余計な水分や老廃物を濾過して尿を生成する臓器ですが、この濾過機能が低下すると血液中に老廃物が蓄積されてしまいます。
血液中には老廃物だけではなく、毒素も溜め込む結果となりそれが汗に入り込んで、ドブ沼のようなアンモニア臭の原因になるのです。
腎臓が原因で体臭に変化が出るのは、機能低下が一定上進行してからであり、その時点で尿量は減り尿自体も濁ったり血液が混じっていたりしているはずです。
このまま放置していると腎不全となり、身体に毒素がたまって命の危険も出てくる可能性があります。症状が出ている場合は直ぐに病院の腎臓内科で検査を受けるようにしましょう。
火山の硫黄?腐った卵?このような臭いは消化器疾患か
火山や温泉に行くと何か「ゆで卵」の臭いがしますが、これは硫黄因が原因の臭いです。この硫黄の臭いが身体から出ている場合は、消化器疾患である可能性があります。
しかし消化器疾患を患っていると、消化不良を起こしてしまい、いつまでもガスが胃の中に蓄積されて、硫黄のような悪臭を放つ原因になるのです。
また胃に溜まった臭いの成分はゲップとして排出されるだけでなく、腸から血液中に入り込んで呼気や汗を硫黄臭くさせてしまいます。
消化器不良を起こす原因は、主に「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」「腸炎」などの胃や腸の病気です。これらの病気は食生活などの生活習慣に直結している病気であるため、このような症状が出た場合は生活を見直してみる必要があります。
また近年では「ピロリ菌」が胃の病気の原因だと考えられていますので、硫黄臭い体臭が出る人はピロリ菌検査を受けるのもよいでしょう。
死の病気はまるで腐ったリンゴの臭いだった
皆さんは「ペスト」と呼ばれる病気をご存知でしょうか?ペストは「黒死病」とも呼ばれる病気で、腸内細菌に属する「ペスト菌」による感染症のことです。
14世紀にはヨーロッパの人口の約半数がペストにより命を落としたと言われていますが、イギリスの哲学者である「フランシス・ベーコン」は、ペストに感染した患者の臭いを「腐って柔らかいリンゴ」と表現したそうです。
つまりペスト菌に感染することで、汗や呼気に含まれる成分が変化して、甘く腐ったリンゴのような臭いがしたのですね。
日本では1926年からペスト菌による感染は報告されていませんが、またいつ流行するかもしれません。もし周りの人から「腐って柔らかいリンゴ」のような臭いがしたら…どうしますか?
臭いで病気を見つける試みがある
医学は日々進歩していますが、その進歩によって失われていく医療技術もあるようです。MRI、CT画像装置…など様々な医療機器により私達の健康は守られていますが、その影で昔ながらの手技や技術は徐々に衰退しています。
それは医療における臭いも同じことが言えるのです。
昔の医師は臭いを重要な診断材料にしていた
医療器具の発達していなかった昔は、病気を診断するのに様々な身体の異変を観察していました。レントゲンや血液検査、ましてやCT画像装置などない時代ですから、第一に身体を観察することが大切だったのです。
身体の異変を感じ取るポイントは以下のようなものです。
- 皮膚の色(顔を含む皮膚)
- 舌の状態
- 声の出し方
- 臭い(体臭や口臭)
昔の医師は患者と話しをする時に「顔色」や「声の大きさ」そして「体臭」をさり気なく見極めて、それを診断の要の一つとして利用していたのです。
現在でもこのような患者の様子を大切にしている医師も、少なからずいると思いますが、多くは血液検査などの検査を重視した診察を行っているように見受けられます。
しかし東洋医学の漢方では未だに臭いは、重要な診断材料として扱われており、臭いをかぐだけで病気の診断ができる漢方医もいるそうです。
まぁ体調が悪い時に医師の診察を受ける状況で、クンクン臭いを嗅がれたら…ちょっと微妙ですよね。若い女性ならそれだけで「セクハラよっ!」って怒られるかもしれません。
しかし、もしかしたらこれからは病気で診察を受ける時に、医師から臭いを嗅がれる時代がやってくる可能性があります。医療技術の進歩によって、衰退してきた「臭いによる診断」が最近見直されてきています。
癌(がん)には特定の臭いがあることが判明した
アメリカ科学雑誌ネイチャーが発表した論文によると「がん患者の尿には、一定の臭いがありそれを線虫が嗅ぎ分けることができる」との驚くべき内容だったのです。内容の概要を簡単に説明します。
この論文は日本の九州大学大学院生物科学部門の研究グループが発表したもので、がん患者が持つ特有の臭いを嗅ぎ分けることでがんの有無を調べることができるとの内容です。
実際には「C・エレガンス」と呼ばれる線虫を使います。線虫とは体調が1mm程度の線形動物門に含まれる生物です。この線虫、臭いに敏感な虫で犬の1.5倍の嗅覚受容体を持つと言われています。
要は犬よりも1.5倍も鼻が利く虫なのです。そして注目するべきはC・エレガンスの特徴で、がん患者から摂取した尿には近づき、健常者から摂取した尿からは逃げる習性があることが解明されたのです。
その精度は95%以上でした。また研究ではC・エレガンスが本当に臭いに反応しているのかを確かめるために、線虫の嗅覚組織を破壊して実験したところ、尿に反応することはなかったそうです。
この研究では95%以上の確立で尿によるがんの有無が判定されています。つまり今まで一般的な健康診断では見逃されていた初期のがんや、膵臓がんなどの解りにくいがんも尿検査で簡単に判定できる可能性がでてきたのです。
現在がん検診で行われている血液検査(腫瘍マーカー)では、陽性と判断されても精密検査の結果、異常がないことが多くその精度は20%以下と考えられています。線虫を使用した臭いの検査では95%以上ですから、これは凄い技術だと思います。
また検査にかかる費用も安価になるので、これからガン検診の主流になる可能性があります。
がんと臭いの研究はまだまだあるぞ
がんと臭いの研究は線虫だけではありません。名古屋大学大学院の研究チームは、「大腸がん」の患者の「おなら」には大量の「メタンチオール」が含まれていることの研究論文を発表しています。
健常者と比較して約10倍もの量が検知されたメタンチオールは、おならの臭いの元の一つでまるで「タマネギが腐った」ような臭いが特徴です。
もしかしたら近い将来、人間ドックでおならを採取する日がくるかもしれませんね。
また「乳がん」患者には「たくあん」のような臭いが特徴の「ジメチルトリスルフィド」が含まれていることを、東大の研究チームが発表しています。
このように体臭から病気を診断する技術が日々研究されています。これらの研究は世界規模で行われており、近い将来体臭によって病気が診断される日がくるのではないかと思っています。
病気の診断は人間がするのか…それとも
臭いと病気の診断で使われているのは、人間の鼻ではありません。また機械による判定でもないのです。
アメリカでは犬を利用した研究が勧められており、ドイツでは「キイロショウジョウバエ」を利用したがん診断の研究を行っているそうです。
どちらにしても人間の嗅覚では限界があるようなので、彼らに頼るしか方法はないようですね。それでも虫やハエに診断してもらうなんて…微妙です。
昔の医学も捨てたものじゃない!臭いは病気のサインになる
臭いによる医療技術は学問としては残っていますが、実際の医療現場で臭いを嗅いでいる医師は少ないと思います。また患者サイドもそれを望んでおらず、香水などで臭いを隠そうとしているのも一因かもしれません。
しかし本来臭いは人間の体調を知る上で重要な要素であり、がんなどの重篤な病気を検知するサインにもなるのです。
人間には五感がありますが、便利になった現代社会では五感全てを極限まで使用することはありません。考えてみると食事をしても、十分に味わうことをしなくなったように思います。
少し噛んで飲み込む食事は、味覚を十分に活用したとはいえません。嗅覚も同様であり、臭いを十分に意識することは少なくなりました。(嫌な臭いにからすぐ逃げ出す、不快な臭いには口で息をする…)
その意味で不便だった昔は五感をフルに利用していたのですね。やっぱり昔の人も捨てたものじゃないですよ。
これからの医療で臭いは重要な要素になることは間違いないと思います。「頼みますよ、虫先生と犬先生!そしてハエ先生!」