ピルの "悪い" 副作用
ここではピルの悪い副作用を、発生する頻度でよくある副作用とまれな副作用のふたつに分類して紹介します。
よくある副作用とは、別名マイナートラブルと呼ばれるような不快な症状のことです。ほとんどが軽い症状のため、大きな問題につながることはありません。もしピルを飲み続けても副作用がなくならなければ、副作用をなるべく軽くするために他のピルへ変更できます。副作用を我慢して飲み続ける必要はありません。
もうひとつはめったに起きないまれ(稀)な副作用です。症状があらわれることは少ないものの、一度発生すると生命に関わる重大な問題につながるものがあります。重大な副作用は種類が極めて少ないうえに、リスクの高い女性は問診で服用を止められたり、事前に分かる場合がほとんどです。無闇に怖がる必要はありません。
よくある副作用・マイナートラブル
よくある副作用は出血に関する副作用と、それ以外の副作用に分類されます。ここでいう「よくある」とは、ピルを服用した人のうち、5.0%以上に人に発生している症状を指します。
ピルによるマイナートラブルの発生頻度
| 5%以上の マイナートラブル | 0.5%~5%の マイナートラブル |
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参考:低用量ピル適正使用マニュアル / 堀口雅子:本
出血パターンに関係した副作用
出血パターンを変化させる副作用として不正出血があげられます。ピルを服用している間に不正出血や点状出血が起きる、ピルの休薬期間中に出血が起きない、というふたつの症状です。
- ピルユーザーが体験した不正出血
- 低用量ピルで体験した副作用・不正出血
1シート目の終わり、生理がはじまる2日前に、おりものに血が混じったような微量の不正出血がありました。不正出血があったのはその時だけでしたし、かかりつけの先生から事前に説明も受けていたので、気にせず放置しました。2シート目からは出血がなくなり、生理も予定通りにきています。服用初期のお約束のようなものなので、不安がったり怖がったりしてやめちゃったら損だと思いますよ。その分のお金ももったいないし(笑)(ムーミンさん・30歳)
不正出血に関する詳しい説明は、以下の記事でくわしく紹介しています。
その他の副作用
出血以外のよくある副作用(マイナートラブル)は、乳房の張りや痛み、吐き気や嘔吐、頭痛などです。
副作用の基礎で紹介したように、乳房の張りや吐き気などの副作用は妊娠初期の症状と似ています。ただしこれらの症状は妊娠と異なり、ピルを飲みはじめてから3カ月ほどで徐々に改善していくものです。
ピルを飲むと体重が増えるのではないかという心配をする人もいますが、ピルの服用と体重増加との間に因果関係はありません。ピルで体調が改善された結果、食欲が増して体重が増えるという関連があるのかもしれません。食事と運動でしっかりと体重をコントロールすることも覚えておきましょう。
女性ひとりひとりでホルモンバランスが異なるように、ピルも商品によって成分の種類や量、効果の特徴が異なります。エストロゲン活性、プロゲストーゲン活性、男性ホルモン活性の強弱で、発生するマイナートラブルが変化します。
ホルモンによる副作用の特徴
| エストロゲン作用 | プロゲストーゲン作用 | アンドロゲン効果 |
|---|---|---|
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参考:低用量ピル適正使用マニュアル / 堀口雅子:本
肌荒れやにきびの副作用が気になる場合は、男性ホルモン作用が少ないピルに変更する。体重増加の副作用が気になる場合は、男性ホルモン量の少ないピルに変更してみるなど、医師と相談しながら最も適したピルを決めていくといいでしょう。
- ピルユーザーが体験したマイナートラブル
- トリキュラーで体験した副作用・嘔吐
あの体験は忘れもしません!1シートの9錠目の朝のことでした。寝ていたのに気持ちが悪くて置きてしまい、耐え切れずに吐いてしまいました。ただ吐いたあとは気分爽快(笑)昼間は問題なく普通に働けました。(なむ子さん・31歳) - オーソで体験した副作用・嘔吐
最初にオーソを服用したときは、夜中に急に起きて吐いてしまいました。その時は彼氏に止められて一時的に中断。それからマーベロンに変えましたが、その後は特に気持ちが悪くなったり、吐いてしまったりといったことはなくなりました。(ミコトさん・19歳) - 低用量ピルで体験した副作用・吐き気や悪心
ピルを飲みはじめた1週間は、吐き気が続きました。このまま吐き気がずっと続くのかも…と不安になって、ピルを飲むのが怖くなってしまいました。レディースクリニックの先生に相談したところ、「ピルは毎日飲み続けなければ効果が出ない。飛ばし飛ばし飲んでいても意味がないよ」と説明を受けました。その後、2周期目、3周期目と飲み続けているうちに、吐き気の回数は減ってきました。いまでは吐き気はなくなりましたが、思い出すと結構つらい体験でした。吐き気以外の体調の変化はありませんでした。(リョウコさん・24歳)
その他のマイナートラブルに関する詳しい説明は、以下の記事で紹介しています。
まれな副作用
まれな副作用とは、起きる頻度がとても低いか、ほとんどのピルユーザーが症状を一度も経験しないような副作用です。
正確な診断と的確な治療のため医師に相談する、医師の許可が出るまではピルの服用を中止する、避妊にはコンドームなどの他の避妊法を使う、などの対応をしなければなりません。
万が一、以下のような副作用が発生した場合は、すぐに医師の診察を受け、ピルの服用を告げる必要があります。
ピルの服用を中止すべき症状または状態
| 副作用の症状 | 疑われる疾患 |
|---|---|
| 片側または両側のふくらはぎが痛む、むくむ | 深部静脈血栓症 |
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| 肺塞栓 |
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| 脳静脈血栓症 |
| 網膜動脈血栓症 |
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| 肝腫瘍 |
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| 原因不明の異常性器出血 | 性器癌 |
静脈血栓症のリスクは?
まれな副作用の代表的なものが静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)です。ピルの服用をスタートして最初の周期に起きる確率が高いとされています。
では実際に、低用量ピルによって静脈血栓症が発生した割合はどのくらいなのでしょうか?海外の疫学調査のデータを引用して紹介します。
低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは、年間10,000人あたり1人から5人(0.01%から0.05%)。低用量ピルを服用している女性では、3人から9人(0.03%から0.09%)と報告されています。一方で、妊娠中の静脈血栓症の発症頻度は、年間10,000人あたり5人から20人(0.05%から0.2%)、分娩後12週間では、40人から65人(0.4%から0.65%)です。
妊娠中や分娩後と比較すると、低用量ピルによる静脈血栓症発症の頻度はかなり低いことが分かります。
もちろん血栓症が疑われる副作用が出た場合でも、早期に発見し適切な処置を行えば、治療によって重症化を防ぐことができます。
また服用するピルのホルモン用量が低くなればなるほどリスクも下がり、服用をやめればリスクはなくなることもわかっています。
乳がんのリスクは?
過去には「ピルを飲んでいると乳がんにかかるリスクが増える」ということが定説だった時期があります。研究が進んだ現在では、低用量ピルと乳がんの関係性が少しずつわかってきました。
- 乳がんにかかっていて治療中の女性は、乳がんが増大するリスクが高いためピルの服用ができない。
- 乳がんを発症してから5年以上再発していない場合は、乳房検診や経過の観察などを行うことで服用できる。
- 乳がんの家族歴がある女性も、乳房検診や経過の観察などを行うことで服用できる。
- 低用量ピルの服用は、わずかながら乳がんの発症リスクを増加させる可能性がある。
最新のガイドラインを詳しく見てみると、「わずかながら乳癌発症リスクを増加させる可能性がある」というあいまいな表現が使われています。これは「乳がんの発症リスクを増加させる」という調査報告と、「増加しない」とする調査報告の両方があるためです。
さらに最新の調査では、EE(エチニルエストラジオール)20μg以下の低用量ピル(ヤーズ、ルナベルULDなど)の使用した場合には、乳がんリスクは増加しないことがわかってきました。日本国内での研究の報告が待たれるところです。