ワキガ臭は、アポクリン汗腺から出る汗が、皮膚の常在菌により分解されることで発生します。
これは、実に今から約60年以上も昔から知られていること。
もっと詳しい原因や、なぜワキガの人とそうでない人がいるのか、まで解説します。
ワキガの原因・理由
わきがの主原因は、ワキの下にあるアポクリン汗腺から出た各種タンパク質や脂質を含む汗が、皮膚にいるブドウ球菌などの常在菌によって分解され、それによって独特の臭いが発生することが原因です。
また、エクリン汗腺から出る汗や、皮脂腺から分泌される脂肪と混ざり合うことで、人それぞれの臭いのクセや強弱が特徴づけられます。
主な特徴:ほとんどが水分で透明。全身にあって体温調整が主な役割。
主な成分:水分、塩分、カリウム、カルシウム、電解質、尿素、アンモニア
主な特徴:乳白色で粘り気があるが、元々は無臭。
主な成分:タンパク質、脂質、中性脂肪、各種脂肪酸、コレステロール、鉄分、糖質、アンモニア、ステロイド類、蛍光物質、リポフスチン(黄ばみの原因色素)
主な特徴:顔や背中だけでなくワキの下にも多く分布する。
主な成分:トリグリセライド、ワックスエステル、スクワレン
ブドウ球菌、ジフテロイド菌(コリネバクテリウム属)など
※常在菌の種類は200種以上、わきが菌種はワキガの程度によって異なる
ワキガの原因究明の歴史
ワキガの原因については、かなり昔から研究されていました。
最初に、細菌が原因だとする説が唱えられたのは、1953年のアメリカでのこと。
コリネバクテリウム属菌
当時は、ワキ汗やワキの皮脂が臭っているなど諸説ありましたが、この細菌説が登場して以降、多くの研究者によって追試が重ねられ、それが正しいこと明らかになり現在に至っています。
ワキガの原因が全容解明へ
わきがの主原因が、アポクリン汗と常在菌の活動によるものであることは知られていましたが、より科学的な全容解明には至っていませんでした。
しかし、10年ほど前に花王がこのメカニズムを解明したと発表しました。
花王株式会社(社長・尾崎元規)香料開発研究所は、ワキガ臭(ワキの下に特有のニオイ)の解明を目的に研究を進めてきました。ワキガ臭は主に3種類のニオイ(硫黄臭、スパイシー臭、脂肪酸臭)で構成されていますが、今回、以下を明らかにしました。
(1) ワキガ臭を最も特徴付ける硫黄臭(生臭く鼻をつくニオイ)の発生メカニズムについて、硫黄臭も他のニオイと同様、臭気物質はアミノ酸と結合した状態(無臭)で汗腺から分泌され、これが皮膚の細菌によって分解されてニオイが発生することが明らかになりました。これによりワキガ臭の発生メカニズムの全体像が明らかになりました。
(2) ワキガ臭を引き起こす汗腺分泌物を正確に測定する技術を開発し、メンタルストレスによってワキの下の分泌物が増えてワキガ臭が強まることを、定量的に確認しました。
【引用】ニュースリリース 企業情報 花王株式会社
ワキガ臭の原因物質は、次の3つが混ざったものされています。
- 硫黄臭:3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール
- スパイシー臭:3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸
- 脂肪酸臭:3-メチル-2-ヘキセン酸
このうち、硫黄臭というのがワキガ臭の本体のようなものですが、この成分の量が他の1/100以下と微量であることもあり、その生成過程がよく分かっていませんでした。
花王が発表したのは、「3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール」に、アミノ酸の一種である「システイン」が結合した状態の無臭物質がワキの下に分泌され、それが常在菌の活動によりシステインが外れることで硫黄臭が発生するというものです。
よく言われる「常在菌により分解されて臭いが発生する・・・」
というのは、無臭物質からシステインが外されて、本来の臭気が姿を現す、ということだったんですね。
エクリン汗や皮脂腺もワキガの原因
アポクリン腺はワキガの主な原因ですが、その立役者ともいえるのが、エクリン腺からの発汗と、皮脂腺からの皮脂の分泌です。
なので、ワキガの原因をより正確に表すと、
であり、これは多くの専門家の方々の共通の意見となっています。
また、それを裏付けるかのように、ワキガのひどい人ほど、エクリン汗が多かったり、皮脂腺が活発に活動していることが知られています。
エクリン汗は、ワキの下に水分を与え、細菌類の増殖を促します。さらに、発生したワキガ臭の成分を押し流し、周辺部や衣服に付着して臭いを蒸発・拡散させます。
一方で、皮脂腺から分泌される皮脂類は、酸化脂肪となってそれ自体が臭いを発します。
また、細菌の活動に影響を与え、様々な腐敗臭の元となりワキガを強めます。
ワキガになる人ならない人
ワキガになるかならないかは、ワキの下に、活動しているアポクリン腺があるかどうか、ただそれだけで決まります。
つまりアポクリン線には、それが有る人と無い人がいるのです。これは後天性ではなく、生まれつき決まっています。
アポクリン腺が無い人は、汗臭くなることはあっても、ワキガになることはありません。
さらに、アポクリン腺が活動していなければ、ワキガにはなりません。
アポクリン腺がある人のうち70~80%の人が実際にワキガになるといわれています。
ちなみに、ワキガの人のアポクリン腺は、そうでない人よりも大きいそうです。
また、アポクリン腺の活動は、年齢によっても決まります。
一般に思春期の頃から活動を開始し、高年期にかけて弱まっていきます。
腋の左右では、利き腕の方にアポクリン腺が多い傾向があり、片方だけワキガという人もいます。
また、日本人のワキガの割合は、10人に1人で、女性に多いといわれています。
誤解されやすいワキガの原因
「ワキガは不潔が原因ではない」と時々いわれますが、これは誤解のもとです。
これが意味するのは、「アポクリン腺からの発汗があるかないかが根本的な原因だ」ということであって、不潔にしていても大丈夫ということではありません。
不潔にしていると、当然ながらワキガもひどいものになります。
それから、ワキの下が乾燥するとワキガになるという話も誤解のもとです。
ワキの下が乾燥したり肌荒れすると皮脂の分泌が多くなるため、ワキガを強める原因にはなりますが、ワキガかそうでないかが決まるわけではありません。
脇の下は元々汗腺類が多く、皮脂の分泌が盛んなうえに乾燥しにくい場所でもあります。
ワキガの人ならわかると思いますが、ワキの下がどんなに潤っていても、プルプルの肌になったとしても、ワキガの悩みがなくなることはありませんよね。
人種のよるワキガ率の違い
諸説あるようですが、一般的には次のような割合といわれています。
欧米人:70~90%
日本人:10~15%
中国人:3~5%
日本ではワキガは悩みの種ですが、ワキガ率の高い諸外国では、逆にワキガの人が多いため、悩みにまで発展するケースは少ないようです。
なので、ワキの治療というと多汗症の治療というのが一般的で、臭いに対する治療というのは、あまり例がないそうです。
また、母国では何も問題なかったのに、日本に移り住んだとたん、ワキガで周りからブーイングを受け、ワキガ治療を余儀なくされたという外国の方もいるようです。
太古の日本人はワキガ率100%!?
縄文時代、体毛が濃い縄文人が日本列島を占めていた頃は、ほとんどの人がワキガ体質だったといわれています。
一方で、西の大陸から渡来してきた弥生人は、体毛も少なく耳垢も乾いていたことがわかっています。
その後、二つの種族の混血が進む中で、ワキガ体質の人は減っていき、今では10人に1人という少数派になったことで、ある意味目立つ存在になってしまったのです。
ワキガ体質の方は、縄文人の血を受け継いでいるのかもしれません。
ワキガが存在する理由
わきがはフェロモンの名残りだといわれています。
さらには、名残りなどではなく、今でもその役割を果たしていると主張している人もいるようです。
ほのかなワキの匂いは、異性を惹きつけるというのですが、何となくわからないこともありません。
一般的には嫌われるワキガ臭ですが、逆にワキガ好きな人も結構いるんですね。
太古の時代、人類の祖先が四足歩行していたころは、フェロモンの分泌器官は性器周辺の位置、つまり股間の辺りにありました。
鼻の位置(高さ)も、ちょうどその辺りになるので都合がいいわけです。
しかしその後、二足歩行になり鼻の位置が高くなると、それに合わせて匂いを分泌する位置も高くなりました。
それがワキガとして残った、といわれています。