妊娠中の過ごし方

専門家/メーカー

会陰切開・裂傷予防にアロマオイル湿布

2015.11.04

妊娠中期を過ぎると、ちらほら耳にしはじめる「会陰マッサージ」。お産をスムーズにするためのものですが、その方法やポーズを知るとビックリしてしまうママも。足を上げて膣に指を入れてグイグイと押し広げるようなマッサージ法は、なんだか痛そうだし、衛生面も気になります。
でも、おののくプレママに朗報!「たったそれだけ?」「超カンタン!」なアロマを使った会陰マッサージがあるのです。今回も、マタニティアロマセラピストで助産師の浅井貴子先生にレクチャーしていただきます。

取材協力・監修

助産師・マタニティアロマセラピスト 浅井貴子さん

新生児訪問指導歴約20年以上のキャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行うほか、母親学級、マタニティースイミング、アクアビクスのコーチとしても活躍。最近では、タレント・大島美幸さん(森三中)のアロマ指導をしたことでも知られる。病院勤務時代、プレママのむくみや腰痛、肩こりなどの悩みに対して「妊娠中だからしょうがない」「出産すれば治るからがまんしましょう」としか言えない医療の限界に直面。残念そうな表情を浮かべていたプレママたちを笑顔にしたいと志し、13年前から『プレママ★アロマ教室』を主宰。東京・調布市で隔月開催している教室は、キャンセル待ちが出ることもある人気の講座。

会陰マッサージは
何のため?

会陰といえば、まっ先に頭に浮かぶのは、「会陰切開」。お産のときって、やっぱりアソコを切られちゃうの? いやいや、できれば切られたくない! 赤ちゃんが苦しくて出られなかったらしょうがないけど……そんな複雑な気持ちにとらわれます。

「会陰というのは、膣と肛門の間のつるんとした平らな部分。直径10cmの赤ちゃんの頭が出てくるためには、ここがスムーズに伸びないといけないのです。会陰の伸びが足りないと赤ちゃんが出られないのです」と、浅井貴子先生。

赤ちゃんになるべく負担をかけず、スムーズに出てきてもらうために、多くの病院では3~4cmほど会陰を切って出口を広げる"会陰切開術"を行っています。

しかし、この切開したあとの傷がなかなかふさがらない! 産後、数日から数週間は"イスに座る"という普通の日常動作でさえも、つらい痛みを伴います。だから、「できれば会陰は切りたくない!」と切望するプレママが多いのです。

医学用の資料を使って、わかりやすく説明してくださる浅井先生。

「筋トレ」より
「スキンケア」で会陰を
やわらかくする

そこで、最近よくすすめられているのが、会陰の伸びをよくする「会陰マッサージ」。母親学級などで助産師が指導しているところもあるし、マタニティ雑誌や本でもよく取り上げられています。

しかし、その方法が、ちょっと怖い……。

たとえば、「親指をすべて膣に入れて、息を吐きながら親指を肛門の方に押し下げる」とか、「膣に親指を入れ、親指と人差し指で会陰をはさんでグイグイと伸ばす」とか……。うーん、そこまでしないといけませんか、という気持ちになってしまいます。

「指を膣に入れるとか、性器の近くに直接触れる…という行為そのものに、抵抗を感じる人も多いようですね。衛生的にも気になりますし、赤ちゃんになにか影響が出ないかしら、と心配になる人もいるようです」

そこで、浅井先生が推奨しているのが、とってもカンタンで抵抗の少ないアロマオイルを使った会陰マッサージ、そしてオイル湿布。オイルの力で皮膚を保湿してやわらかくし、出産までに時間をかけて"よく伸びる会陰"をつくっていく方法です。

「会陰は皮膚です。だから、筋トレみたいにストレッチをするよりも、スキンケア感覚で保湿をしたほうが、よほど簡単にやわらかくなります。私が主催するプレママアロマ教室はもう13年になりますが、これまで参加した生徒さんの約半数から、オイルによる保湿マッサージだけで会陰切開をせずに出産できた!という報告をいただいています」

す、すごい! それではさっそく、浅井先生、教えてくださいっ!!

カレンデュラオイルを
用意しよう!
市販品でOK

用意するのは、カレンデュラオイルと清潔なコットンとフタ付き容器。

「カレンデュラというのは、マリーゴールドの花です。この花で作ったオイルには、皮膚粘膜や血管を修復したり、保護したり、なめらかにする作用があるのです。花を乾燥したものが売られているので、それをスイートアーモンドオイルなどに漬け込んで作ることができます」

これがカレンデュラ。乾燥したマリーゴールドの花。

とはいえ、自分で作るのはなかなか面倒そう……。

「ですよね。ですから、私は手軽に入手できる市販品を勧めています。WELEDA(ヴェレダ)の『カレンドラベビーオイル』、またはAMOMA(アモーマ)の『カレンデュラオイル』がいいと思います。ベビー用なので産後は、赤ちゃんの乾燥肌やちょっとしたひっかき傷のお手入れ、おむつかぶれなどにも使えます」

さあ、カレンデュラオイルを手に入れたら、フタのしまる保存容器にコットンを20枚ほど入れ、カレンデュラオイルを注ぎ入れます。コットンの表面にジュワッとにじむくらいたっぷり入れます。

さあ、これで準備完了!

  • キク科にアレルギーのある方は使用を控えてください。また、肌が弱く心配な場合は、パッチテストをしてから使いましょう。

会陰を"くるくる"
やさしく撫でて
マッサージ

コットンを1枚取り、オイルが滴り落ちなくなる程度まで、軽く絞ります。

「こんなスタイルでやってみてね」

ショーツを脱ぎ、トイレやイスなどに腰かけて両脚を開くか、踏み台などに片脚をかけた状態で行います。入浴後、パジャマに着替える前のタイミングもおすすめです。

「会陰の皮膚の厚さは、親指と人差し指の間の水かきくらいです」

浅井式会陰マッサージのやり方

step1

コットンを人差し指・中指・薬指の3本で挟んで持ち、まずは会陰をUの字にくる~っとなぞります。これを2~3往復します。

親指と人指し指を会陰に見立てて。「やさしく撫でてくださいね」

step2

次にコットンをすべらせながら、くる、くる、くると円を描くように会陰を撫ぜます。

以上、たったこれだけ。あの怖い"グリグリ"などは一切なし! まさに毎日のスキンケアと同じ感覚で、会陰をやさしく撫でるだけです。

まるで美容マスク!
オイル湿布でさらに
効果アップ

会陰マッサージをしたあとは、生理用ナプキン(またはおりものシート)にコットンを広げ、ショーツにそのままつけて一晩過ごします。つまり、「オイル湿布」で、ダブルの効果を狙います。

早い人なら、翌朝には、ぷるん!とみずみずしい皮膚に生まれ変わるといいます。

「まるでお餅のようにぷよんぷよんと弾力があって、ペタッと吸い付くようなやわらかな会陰に変わっていきます。肌のうるおいも見違えて、助産師は見ただけで"会陰マッサージをしている人だわ"とわかります。ほんとに、見るからによく伸びそうな皮膚なんですよ(笑)」(浅井先生)

オイル湿布の効果は、まさしく美容マスクのそれ。寝ている間に潤うわけですね。

28週ごろから2、3日に
1度の頻度でスタート!

この浅井式会陰マッサージは、28週ごろから始められます。

「最初は2日か3日に1回程度でいいと思います。臨月に入ったらほぼ毎日やりましょう。脱衣所やトイレにコットンを置いておくと、気が付いたときにマッサージができるので便利です」

会陰の傷は、無理して裂けてしまう裂傷よりも、ハサミで切開したほうがふさがりやすいとか、また切開のほうが痛みが長引くとか、いろいろ言われています。でも、これらは「傷の大きさやその人の体質(肌質)によるところが大きく、一概にどちらがいいとはいえない」と言います。

「ただ、初産と2度目、3度目のお産の人とでは、初産の方がダメージが大きいと思います。一度お産を経験して、伸びたことのある会陰は伸びやすくなっているので、二人目は切らずに済んだ!という人も多いですね」

しかし、お産は何が起こるかわかりません。どんなに準備していても、会陰切開という結果になることもあります。

「たとえ切開したとしても、血流のいい、伸びやかでしなやかな会陰を作っておくことに、ソンはないと思います。会陰がよく伸びると、産後の回復も違います。妊娠中に適切な運動をするのもオススメです。私はマタニティスイミングも指導しているのですが、会陰マッサージと湿布に加えて、スイミングをした、という人は、7割が"切らずにすんだ"という結果が出ています」

取材協力・監修/助産師・マタニティアロマセラピスト 浅井貴子さん

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