診断、治療法を誤ると、シミが薄くなることはありません。
それどころか「炎症後色素沈着」といった、悪化した状態が長引く可能性もあります。
各シミについての見分け方を簡単なチェックシートで確認をしてみましょう。
シミ、および肌の状態を治療前に正確に診断する判断材料になれば幸いです。
老人性色素斑
日光黒子- 30歳代以降に発症した。
- 顔面、胸部、手背など、日のあたりやすいところに出来きている。
- 褐色である。
- 形は大小様々である。
- 大きさは大小様々である。
- 手の甲にも似たような褐色斑がある。
- 表面がざらざらしているものもある。
老人性色素斑日光黒子
- 症状の特徴
顔や手の甲、腕など、日光によくあたる部分にできる茶色いシミで、形は不定形で、米粒位の大きさから5cmほどにまで及ぶことがあり、単発のことも多発することもあります。
紫外線などによる皮膚損傷によって生じる皮膚の変化であり、最初は色が薄く目立ちませんが少しずつ濃くはっきりしてきます。
通常は平らですが、時間の経過でと隆起してくることもあります。- 年齢
20代から〜60歳以上と幅広く発症し、シミの為の皮膚科外来を受診される患者様の中で、最も多いシミでもあります。
- 対処方法
Qスイッチヤグレーザーで治療するのが最も望ましいと考えており、通常レーザー治療は1回の照射で完治することが可能です。
ただし、レーザー治療には炎症後色素沈着(レーザー後に一時的に色素が濃くなる状態)という副症状が一定の確率で発生し、ひとたび発生すると患者さまには大変なストレスとなります。- 当院からのご提案
当院では独自の前処置を行うことで発生率を半減することが可能になりました。
またレーザー治療に抵抗がある方は、トレチノイン・ハイドロキノン療法にて治療することも可能です。- 主な治療法
-
- Qスイッチヤグレーザー
- ハイドロキノン・トレチノイン療法
雀卵斑
そばかす- 3歳以降の比較的幼い時期に発症した。
- 両頬、鼻の頭を中心に左右対称に発症している。
- 1〜5mm大の小さな色素斑がほぼ均等に分布している。
- 色素斑はやや明るい褐色である。
雀卵斑そばかす
- 症状の特徴
-
鼻を中心に左右対称に散らばる茶色の小さなシミで、1〜5mm大でほぼ均等に並びます。
- 年齢
3歳以降
- 傾向
-
女性に多く、思春期以降に目立つようになり、中高年になると目立たなくなります。
- 悪化要因
-
日焼け・妊娠により増悪します。
遺伝的体質と言われていますが、適切な治療で薄く目立たなくできます。 - 悪化要因
紫外線を浴びると濃くなります。日々の紫外線には注意が必要です。
- 対処方法
Qスイッチヤグレーザーによりいったん完全に取りきることができますが、数年すると再発することがあります。
- 主な治療法
-
- Qスイッチヤグレーザー
- レーザートーニング
肝斑
かんばん- 30代〜40代に発症した。
- 両頬に左右対称にぼんやりと広範囲に広がる褐色斑がある。
- 褐色斑はまぶたを避けている。
- 髪の毛の生え際、眉毛などを避けている。
- 鼻には症状が見られない。
肝斑かんぱん
- 症状の特徴
-
頬や眼の下、額などに左右対称にみられる薄茶色のシミです。
- 年齢
-
30代〜60代の女性、特に40歳前後の方に多くみられます。
- 傾向
-
女性ホルモンによる影響、皮膚の過度な摩擦、肌に合わない化粧品など様々な原因があると言われています。
- 悪化要因
-
また日焼けや妊娠、避妊薬(ピル)内服によって増悪することがあります。
- 対処方法
-
肝斑の治療に先立ちスキンケアが特に重要となるためまずその説明をさせていただいております。
治療はトラネキサム酸、ビタミンC、Eの内服が中心となります。約3ヶ月で効果が現れ、通常1年〜1年半程度内服を続けます。
トラネキサム酸は副作用の少ない内服薬ですので、1年以上内服を続けても問題はないのですが、早く治療したいという場合は、ルミキシルや、イオン導入を併用することをお勧めしたいと思います。
また、肝斑は高出力のレーザー照射により増悪しますので、禁忌とされています。 - 主な治療法
-
- イオン導入
- ピーリング
- 美白剤内服
- ルミキシル
- ハイドロキノン
炎症後色素沈着
PIH- 火傷や湿疹、ニキビが治った後にできた。
- やや赤みをおびた褐色斑である。
- 表面はザラザラしていない。
- よくこすれるところに出来ている。
炎症後色素沈着PIH
- 症状の特徴
-
PIHとは皮ふ表面の炎症に伴って生じるメラニン色素が異常に増加した状態のことです。
ニキビ跡の色素沈着、アトピー性皮膚炎の色素沈着、傷跡の色素沈着、レーザー治療後の色素沈着などがこれにあたります。
レーザー治療後生じないかたもいますが、一定確率で発症し、詳細な発症原因が明らかにはされていません。 - 傾向
-
前述の老人性色素斑のレーザー治療を他医院で行った後PIHとなり、びっくりされて当院を受診されるかたがいらっしゃいます。
これは治療前の説明不足、およびその方の肌質を的確に見極めることができなかったことが要因です。 - 悪化要因
-
通常放置した場合にも3ヶ月~半年程度で消失もしくはかなり薄くなります。
- 対処方法
-
早期改善を希望される場合にはイオン導入や、ルミキシル、ハイドロキノンにて治療を行います。
- 主な治療法
-
- イオン導入
- ハイドロキノン
- ルミキシル
ADM
アザ- 20歳代〜30歳代で発症した。
- 両頬を中心に左右対称性に発症する。
- 両頬に直径1〜3mm程度のやや青み、灰色を帯びた色素斑が、幾つかまとまって見られる。
- 鼻の穴の横(鼻翼部)にも同様の色素斑が見られることもある。 ※該当する場合、ADMの可能性が極めて高い
ADM後天性真皮メラノサイトーシス
- 症状の特徴
-
真皮内にメラノサイト(メラニンを作る細胞)が増える疾患で、多くは成人になってから頬や額の両側に現れます。
太田母斑の類縁疾患とされており、そばかすより少し大きいくらいのグレーから紫がかった色調が特徴です。
アザと聞くと、生まれつきあるものと思われがちですが、成人になって発現するアザもあり、ADMはその代表です。老人性色素斑や肝斑との区別は難しく、シミ治療の経験豊富な医師による判断をおすすめします。
時に後々のトラブルのもとになりやすい疾患でもあります。
また肝斑と合併していることも多く、その場合にはまず肝斑の治療を優先します。 - 対処方法
-
治療はQスイッチヤグレーザー照射を行います。
老人性色素斑の治療と異なり、強めの出力設定にてレーザー照射を行う必要があります。
さらに2~3ヶ月おきに合計3回前後の照射を要します。
そのため、患者様にはある意味根気が必要となるのですが、徐々に改善してきますので心配はいりません。 - 主な治療法
-
- Qスイッチヤグレーザー
- 肝斑との区別の仕方
-
- 肝斑は鼻翼部に出現することはないのに対し、ADMは鼻翼部にも出現する。
- 頰骨部病変は肝斑はびまん性を呈することが多いが、ADMの場合、小指の先ほどの小斑状のシミとなることが多い。
- 肝斑は生え際や、眼瞼をさけることが多い。
- などを参考に診断を進めていきます。
脂漏性角化症
しろうせいかっかしょう- 60歳〜で発症した。
- いぼ状に盛り上がりがある染みが診られる。
- 紫外線をよく浴びている。
脂漏性角化症老人性いぼ
- 症状の特徴
-
いぼ状に盛り上がりのある茶~黒色のシミで別名「老人性いぼ・日光性いぼ」。
紫外線による肌の老化が原因と考えられており、角質が厚くなったできものです。
- 年齢
-
中年以降の男女に好発し、60歳以降では必発といっていいほど一般的なシミです。
- 傾向
-
老人性色素斑から発生することも多いことから、脂漏性角化症と色素斑が同時に合併することもよくあります。
- 悪化要因
-
悪性化することはありませんが、かゆみなどの原因となることはあります。
フェイスライン(額やこめかみ)に多くみられ、首まわりや胸元などにも認められます。 - 対処方法
-
脂漏性角化症は炭酸ガスレーザーにて簡単に治療することができます。部位によっては液体窒素による冷凍凝固法が適する場合もあります。
- 主な治療法
-
- 炭酸ガスレーザー
- 冷凍凝固法
顔全体のくすみ
- 症状の特徴
-
お肌にツヤや透明感がなく、暗く見える状態のことをいいます。
乾燥、血行不良、角質のターンオーバーの乱れ、過度の摩擦、化粧品による慢性的な刺激など様々な要因があります。 - 悪化要因
-
まずは喫煙されている方は禁煙を行い、睡眠・食生活の乱れを整えます。
さらに皮膚の摩擦をさけるためのスキンケア指導、紫外線対策を行い、皮膚に適度な保湿を行います。 - 対処方法
-
早く美しくなりたい方は、ルミキシルやレーザートーニングやピーリング、イオン導入を行います。
- 主な治療法
-
- イオン導入
- ピーリング
- ルミキシル
- レーザートーニング
複数のシミが
合併する場合
老人性色素斑+肝斑
- 主な治療法
-
3〜6ヶ月、トラネキサム酸内服+ピーリング+イオン導入+ハイドロキノン外用にて肝斑の治療を行います。
その後 Qスイッチヤグレーザーにて残った老人性色素斑を治療を行います。
老人性色素斑+雀卵斑
- 主な治療法
-
3〜6ヶ月、レーザーフェイシャルにてある程度淡いシミを取りきります。
その後、残ったシミをQスイッチや、グレーザーにて治療を行います。