わきが多汗症治療に長年携わってきた五味クリニック院長が、様々な対策や治療法をご紹介します。
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細菌と一緒になると臭う 体臭・ワキガ・頭 汗をかくと出る臭い

夏になると汗をかいて体のあらゆるところが臭うような気分になります。汗が出るのは、人間の生命を維持するのにとても大切なこと。汗を嫌うのではなく、汗と上手に付き合うことが大切です。

体臭はどこから出てくる?

  激しい運動をした後や、更衣室、蒸し暑い電車の中などで言われる「汗くさい」臭い。体全体から出る汗はエクリン腺からの分泌物ですが、汗そのものに臭いはありません。
 臭いの原因は、皮脂、角質層が汗と混じり、そこへ皮膚の常在菌が増殖、分解されることによって臭い成分を発生させます。
 常在菌は皮膚を外敵から守るバリアのような役割をしていますが、汚れがたまりすぎると、このような臭いの元になってしまいます。もし、皮膚から強い臭いが出ている場合は感染症の疑いもあります。臭いが重大な症状のシグナルになることもあります。気になる場合は専門医を受診しましょう。

日本人には少ないワキガ
少ないからこそ、気になる?!

 あの独特な臭いの元はアポクリン腺から出る汗が元。ワキガ体質の人は、わきの下にアポクリン腺からの汗をたくさんかきます。
 欧米人と比べて、日本人はワキガが少ないと言われています。欧米人は活発にアポクリン腺が働き、お風呂に入る習慣があまりないため、多いようです。
 ただし、汗をたくさんかくからといって、ワキガであるとは限りません。もともとわきにはエクリン腺も多く存在しています。また、常に閉じている部分でもあるので汗が蒸発しにくく、臭いの作用がおきやすい状況が”わき“なのです。
 アポクリン腺からの汗は、いろいろな成分が含まれています。また、粘性もあるので、下着が黄色くなることもあります。もし、制汗剤以外で下着が着色しているようだったら、アポクリン腺が多いのかもしれません。
 実際は、アポクリン腺からの汗自体に、臭いはありません。では、どうして、臭うようになるのでしょうか。
 その正体はブドウ球菌などの皮膚の常在菌です。体臭の臭いと同じ仕組みですが、アポクリン腺からの分泌物がこれらの雑菌によって分解、酸化されることによって、独特な臭いを放つようになるのです。さらに、エクリン腺からの汗の蒸発と一緒に臭い成分が拡散され、臭いやすくなるのです。
 対処法もいくつかあり、治療をすることもできます。しかし、病院や科によって方法が異なるので、専門医とじっくり話し、納得のいく治療法を選択するのが良いでしょう。
 
「一時的に治療する」
 外用剤やスプレーを使って臭いを一時的に抑えることができます。皮膚を収縮させて発汗を抑える方法と、細菌の繁殖を抑える方法があります。また、美容的に高周波電流で脱毛する方法から考案された治療法もあります。
 
「手術ができる」
 ワキガが気になる人、臭いが強い人の場合、手術をすることもできます。手術には、皮膚を切り、アポクリン腺を除去する方法と、アポクリン腺を吸引する方法などがあります。


頭の臭い

 頭は皮脂腺が発達しています。皮脂がたまりやすく、汗と一緒になると臭いを放ちます。角質と皮脂が分解されてできるフケも臭いの原因に。放置すると、かゆみや炎症を起こすこともあります。
 頭皮にたまった皮脂は、臭いの元になるだけではなく、毛の成長を抑え、抜け毛などのトラブルも起こります。かといって、洗いすぎも良くないので、適度に清潔を保つことが大切です。
 また、髪の毛が臭うこともあります。髪の毛は臭い成分を吸着して、発酵させやすい性質を持っています。たばこ、焼き肉などの煙の中にいるとすぐに臭いがつきます。傷んでいるとなおさら臭います。
 洗髪した後、生乾きのままゴシゴシ拭きすぎると、キューティクルに隙間ができたり、傷がついたりしたところへ細菌が入り、臭いを強くさせてしまいます。

 

【汗が出る仕組み】

●エクリン腺
 通常、私たちが「汗をかく」と言うとき、エクリン腺からの汗を言います。エクリン腺から出る汗の成分のほとんどが水と塩分。体温調節をするため、体のほとんどの部分に存在しています。

●アポクリン腺
 わきの下、外陰部、乳輪、へその周囲など限られた場所にあります。ここからの汗は、脂肪、鉄分、色素、尿素、アンモニアなどの成分が含まれており、臭いの元になっています。粘性もあります。多くの動物では仲間同士の確認や異性をよりつけさせるフェロモンのような役割をしています。
 
 汗は、皮下組織の中にある「汗腺」という場所から出てきます。汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」があり、それぞれ異なった成分の汗が出ます。
 
皮脂腺 毛根 表皮 真皮 皮下脂肪

気になる人はチェック!

当てはまる項目が多いほどワキガ体質かもしれません!!

□ 耳あかが湿っている
  外耳道のアポクリン腺の働きが活発だと耳あかが湿っています。

□ わき毛の量が多い
  (女性の場合)わき毛が太い
  アポクリン腺の数が多い傾向にあります。

□ 衣服や下着のわき部分が黄ばむ
  アポクリン腺から出る汗で黄ばむことがあります。

□ 肉親にワキガ体質の人がいる、または両親のどちらかの耳あかが湿っている
  遺伝による影響は3割程度と言われています。

□ わきの汗が多い
  汗に粘り気がある場合も注意。

□ 肉食中心
  動物性脂肪がアポクリン腺の皮脂腺の働きを活発にすると言われています。

 


大切な“汗”の役割

 人は1日に700~900mlの汗をかきます。なぜ、これほどまで大量に汗をかくのでしょうか。

体温の上昇を防ぐ
~温熱性発汗~

 私たちは正常なときは常に36~37度ほどの体温を保っています。周囲の環境が寒くても暑くても、ほぼこの体温です。これは、体内で産生された熱と、体外へ放出される熱量のバランスが取れているからこそできる、体のメカニズムです。熱を放出させる方法にはいくつかありますが、その中の一つが発汗。体の水分を蒸発させて、体温を調節しているのです。

緊張したり驚いたりしたときにかく
~精神性発汗~

 ストレスや緊張、不安など、精神的、心理的な問題があると、交感神経が活発化し、エクリン腺から汗が分泌されます。「手に汗握る」などと言いますが、手のひらや足の裏、わきの下など局部に汗をかきます。
 最近、このような精神性発汗で悩む患者さんが多いと言われています。ちょっとした緊張に反応して異常に汗をかく場合、「多汗恐怖」「発汗恐怖」などが疑われ、心理的な治療法を行うことがあります。

酸っぱいものや辛いものを食べたときにかく
~味覚性発汗~
 刺激のあるものを食べると、発汗神経が刺激されて、エクリン腺から汗が分泌されます。主に、額や鼻、唇に汗をかきます。


体臭・ワキガ・頭の臭い防止法

  臭いの原因は汗と雑菌が混ざること。そのため、どちらかの発生を抑えれば、臭いは少なくなるはずです。どちらにしても、毎日のケアは必要。一日の終わりに石鹸を使って汚れを落とし、汗もさっぱり流す。良い気持ちになって就寝しましょう。その他の時間に、何度も汗を流したいときは、石鹸は使わず、シャワーで軽く流すと良いでしょう。

■お風呂にコップ一杯の酢

 酢に含まれるクエン酸には殺菌効果があり、皮膚を弱酸性に保ち、雑菌の繁殖を抑えます。竹酢液、木酢液もお勧め。漢方茶風呂、笹風呂など、臭いの予防や解消に良いものを入れて、リラックスしながら入るのも良いでしょう。

■適度な清潔を保つ

 体からの臭いの多くは細菌が原因。皮膚を守る常在菌が減少すると別の病気にかかったり、外敵からの防御が弱くなってしまうので、適度に清潔でいることが大切です。また、ゴシゴシ洗いすぎて、皮膚や髪、頭皮を傷つけないようにしましょう。

■デオドラント剤を適切に使う

 汗を抑える、菌の繁殖を抑える、脱臭する、他の香りでマスキングするなど、様々なタイプのデオドラント剤があります。使いすぎると汗腺をふさいでしまうこともあるので、気をつけましょう。

■洗髪後は濡れたまま寝ない

 髪の毛を濡らしたまま寝ると、枕やシーツとの摩擦でキューティクルが痛み、細菌が繁殖しやすくなります。ドライヤーの高熱も痛みの原因になるので、優しく乾かすようにしましょう。

■汗をかいたらすぐ拭く

 汗が皮膚に留まると、細菌が繁殖しやすくなります。夏は特に、タオルを持ち歩いたり、吸湿性、放湿性のある服を着て、肌に汗を残さない工夫をしましょう。

 


くらし、楽しくキレイに咲かすマガジン なごや咲楽SAKURAさくらネット [2009年7月号]

 

 


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