体を変えることとは?
脂肪を落とす目的にしても、スポーツ選手が行うトレーニングにしても、自分の体を変えるということは科学的に言うとどういうことでしょうか?
例えば腕立て伏せをすると筋肉がついたり、陽に当たると肌が黒く焼けたりと、考えてみれば不思議ですよね? 人間の体は機械ではないのに、勝手にアップグレードしていくのですから(笑)。
実はこれらは、人間の体に備わっている“環境適応能力”のおかげなんです。
例えば重いものばかり持っているとそれに必要な筋肉が発達したり、何かを強く握っていると血管を傷つけないよう手の平にマメができたり、強い日差しばかり浴びていると紫外線から体を守るために肌が焼けたりといった風に、人間の体は環境に合わせて勝手に変化していくのです。
つまり環境が変わると無意識の内に脳から、肌や筋肉に体を変更するように命令が出ているのですね。
この機能は人間に限ったことではなく、他の生物でも同様です。例えばカエルやカメレオンなんて、背景に合わせてコロコロ肌の色を変えちゃいますからね。
つまり自分の体を変えようと思ったら、この体に備わる“環境適応能力”を使う以外に方法はないのです。
さて、もうわかったと思います。正しくダイエットをするためには、
”あなたの理想とする体型に合わせた環境を作ってあげれば良い”
だけなのです。
ええ、それ以上でも以下でもありません!
リンゴやトマトばっかり食べろとか、特別な〇〇をしろなんて話はありません(笑)。
科学的に考えれば、とてもシンプルなんです。
なぜ石器時代ダイエットは失敗するのか
さて、はじめに書いた日本にはびこる石器時代ダイエット。食事制限をしたり有酸素運動をしたり、或いは毎日腕立て伏せや体幹トレーニングをしたり……。 これらはなぜ太りやすくなるのでしょうか?
答えは簡単です。これらは、体が太りやすくなる環境を作っているからです。
まず始めに人類の歴史は、“飢餓(飢え)との戦い”だったことを知って下さいね。
人類の歴史は数百万年と言われていますが、その殆どの時代では餓死しないように食料を確保することはとても困難だったのです。日本においても江戸時代までには飢饉などで沢山の人が餓死していますし、戦後にも多くに人が餓死しています。ダイエットなんてものが叫ばれるようになったのは、日本人が飢餓を克服したこの数十年の話なのです。
よって人間の体に仕組まれている最大の優先プログラムは、“餓死しないようにすること”なんです。
では石器時代ダイエット時に体は具体的に何をするのかというと、食事から摂取するカロリーが減ってきた途端に、餓死しないよう飢餓に備えて脂肪という形でエネルギーを溜め込もうとするのです。
そのためにまず、体の中でもエネルギーを最も消費する器官である筋肉を落としてしまいます。
そもそも筋肉というのは、ただ生きているだけならそれほど必要ではないのです。実際にしばらく入院したりすると、ビックリするくらい足の筋肉が落ちますよね? 長期間無重力の宇宙に居る宇宙飛行士なんて、地球に帰ってきたら筋肉が落ちすぎて歩けなくなるほどですから……。
要するに、体はとにかく使わない筋肉を落とそうとするわけです。でもそれでも実際に筋肉が落ちて死んだ人は聞いたことがありません(笑)。 つまり飢餓に備えて、体は真っ先に無駄なエネルギー消費器官である筋肉を落としてしまうのです。これが正に上記の環境適応能力ですね。
そしてそれに加えて石器時代ダイエットでとどめを刺すのが、有酸素運動です。
有酸素運動というのは、文字通り酸素を使って脂肪などを燃焼する運動ですね。では有酸素運動には脂肪を減らす効果がないのかと言えば、ええ、もちろんありますよ。
ですが脂肪というのはとても優れた燃料で、とてつもなく燃費が良いのです!
一般に、1Kgの脂肪を燃焼するためには7200Kcalの運動が必要だとされています。
これは、な何と、フルマラソン3回分です!! これを数日でやるのは、まあ、まず不可能ですよねえ……。
(有酸素運動をして体重が落ちるのは、殆どが汗で水分が抜けただけです)
逆に少しウォーキングやジョギングをしただけでは、殆ど脂肪は消費されません。疲れて帰ってきてビールを一杯飲んだり、ケーキを一つ食べたら完全にチャラどころか、逆にカロリーオーバーです(笑)。
それでも食事の量を同じとすれば、有酸素運動で多少でも脂肪が落ちるので、痩せることはあっても太ることはないと考えると思います。その考え方はとても論理的で正しいです。でも実際には違うのですよ。
ここでも同じく“環境適応”がキーワードです。例えば毎日でなくても、定期的に何時間もウォーキングをしていると、徐々にその環境に合わせた体になっていくのです。
歩くだけなら大きな筋力は殆ど必要ありません。それよりもむしろ、持久力が必要です。そうなると体は、持久力を上げるために筋肉を最低限まで落として燃費を良くしてしまうのです。(実際に競歩のような陸上の長距離選手は皆、ガリガリですよね?)
つまり出来る限りエネルギーを消費しない、長時間のウォーキングに合わせた体になってしまうのです。
そして体は、食事を減らして毎日有酸素運動ばかりされると、より深刻な飢餓で毎日食料を探して歩きまわっているのだと判断し、命の綱である脂肪を出来るだけ溜め込んでより使わないようにするのです。
そして同時に、脂肪を燃やす悪党である筋肉を更に細くしてしまいます。 更に付け加えるなら、長時間の有酸素運動は“カタボリック”と言って、体はエネルギーを得るために筋肉を分解してしまうことが判っています。
つまり食事制限と有酸素運動を組み合わせて行うと、体は相当に深刻な飢餓だと思って環境に合わせて脂肪を燃焼しにくい、燃費の良い体にモデルチェンジしてしまうのです。
言ってみればこのダイエットは、仮想飢餓状態を作っているのですから。
(たまに(というか良く)、ジムに行ってランニングマシンだけを長時間やって帰る人を見かけますね。結果的にあの人達はお金を払って、疲れて汗をかいて、一生懸命太りやすい体にしているわけですね……)
モデルチェンジした体は、最後の命の綱である脂肪は使わずにエネルギーは筋肉を分解して取り、更に髪の毛や肌からもタンパク質を分解して取るので、髪は痛むし、肌や爪はボロボロに……。
要するに体は命に関わらない所から順にエネルギーを取ってしまうわけですね。
これは何百万年も昔から、人類が餓死せず生き残るために備わった体の重要な仕組みなのです。
だから食事制限と有酸素運動を組み合わせると、ダブルパンチでとても脂肪が落ちにくい、太りやすい体に変化してしまうというわけですね。
あなたがもしも、そんな生活を長く続けられるのなら、体力が落ちたり健康状態が悪化することはあっても、確かに太りはしないでしょう。ですが、ひとたびそんな生活が辛くなったり、或いは病気をするなどしてダイエットをやめた途端に、とてつもなく太ってしまうのです。
これが俗に言う “リバウンド”です。
リバウンドのメカニズムはとても簡単で、太りやすい体に変化させた後に、急にカロリー収支を元に戻すからです。飢餓に備えて燃費が良い体にモデルチェンジしているぶん、同じ生活に戻せば当然ダイエットを始める前よりも太ることになりますよね?
更にダイエットのストレスから開放されてドカ食いすれば、結果は言うに及びません……(笑)。
これが、“石器時代ダイエット”が上手くいかない、科学的な理由です。
余程のドMでもない限り(笑)痩せるという目的だけのために、空腹を我慢し、時に摂食障害になり、毎日長時間の辛い有酸素運動をし、結果筋肉が落ちて見た目が老化し、肌や髪がボロボロになるダイエットを何年も続けられる人は居ませんよね?
結局辛すぎて続かないダイエット法は、使い物になりません。 それよりもリバウンドを繰り返すごとに、毎回確実に以前よりも飢餓に強い、つまり太りやすい体へとアップグレードしていくのです。
これはまるでサイヤ人が死の淵から回復するたびに強くなるように(笑)、ダイエットにトライするたびに徐々に太っていく大きな罠です。
そもそも石器時代ダイエットは始めから上手く行かないように出来ていて、だから次から次へと新しいダイエット法が出てくるのでしょう。まったく、ダイエット業界の商売はいつまでも半永久的に儲かるように上手く出来ています(笑)。
賢明な消費者は、そろそろそこから抜け出さなくてはいけません。
さて、石器時代ダイエットが上手くいかない理由がわかったところで、早速正しいダイエットについて考えてみましょう。失敗する理由がわかったなら、成功する方法も自ずと分かるはずですね。