大手会社の化粧品開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。無事にノラ犬となりましたw
ノラ犬となった化粧品犬が、新しい化粧品を開発する過程で得られた面白い情報を発信していくブログです。

化粧品犬です。

前回のエントリーから、ロート製薬さんのケアセラケアセラ 泡の高保湿ボディウォッシュの解析をお送りしています。
今回は処方解析編です。

前回も書きましたが、この商品は、
 1)アミノ酸系洗浄剤を使用し、低刺激(ただし主剤はノニオン系)
 2)泡が従来の3倍量出てくる、「3倍泡ポンプ」を採用
 3)たくさんの種類のセラミドが使われている
 4)新素材・新原料を積極的に採用している

といった特長があります。
今回の処方解析編では1)の、実はノニオン主剤、とか、4)の新原料の採用、の辺りを主に解説しようと思います。

早速処方の整理をしていきましょう。
今回は比較のため、牛乳石鹸の無添加泡のボディソープ、ライオンのバストロジーの処方も併記します。
この2製品については、これまでもたびたび言及していますが、最近売れている同種の製品です。
製品概要を再掲載しておきます。


リーバの泡ダブについては、今回は触れませんが・・・3倍泡ポンプでは無いし、泡立ち自体も悪く、しかも使うと体が痒くなる。。という、ちょっと困った製品です(^_^;)

左側の3製品について処方を整理するとすると以下のようになります。



この3製品はどれも泡製品なんですが、共通点が少ないです(^_^;)
しかしアセラは、原料数では突出してますね。

まず洗浄剤から見ていきましょう。
ここは、新原料が特に多いパートです。

まず主剤で最も多く配合割れている、ラウリン酸PEG-80ソルビタン。
これは数年前から使われ始めた新規原料ですね。最初から新規です(^_^;)
化粧品犬も、この原料は最新過ぎて、単独で触ったことはありません。
ノニオン系洗浄剤としてはアルキルグルコシド系洗浄剤が特に海外製品を中心に使われているのですが、アレは例外的に泡立ちの良い原料で、一般的にはノニオン系洗浄剤は、低刺激ですが、泡立ちは悪いです。
ラウリン酸PEG-80ソルビタンのカタログには、もっちりした泡が立つと書いてあるのですが(^_^;)、ケアセラを見る限り、アルキルグルコシド程の泡立ちは無いですね。
泡立ちについては、前エントリーで比較実験をしましたので、興味がある方はそちらを参考にしてください。

この原料には、泡ポンプで使用した時に目詰まりしにくいという性質があるため、そちらの方が採用の理由かもしれません。
また安全性は、高いです。最も低刺激な洗浄剤であるアミノ酸系のココイルグルタミン酸と、同じようなレベルです。
専門的な書類ですが、ラウリン酸PEG-80ソルビタンのカタログのアドレスをアップしておきます。
ラウリン酸PEG-80ソルビタンのカタログ
https://www.nof.co.jp/cosmeticlounge/material/pdf/LT-280.pdf

次に多いのが洗浄剤の中では最も低刺激な活性剤の一つである、アミノ酸系のココイルグルタミン酸Naです。
この洗浄剤は泡立ちが特に悪いので、ケアセラの泡立ちを悪化させている原因かもしれません。
しかし、これも目詰まりさせにくい洗浄剤です。

次がココイルグルタミン酸Na程の低刺激では無いが、そこそこ泡立ちも良いアミノ酸系のココイルグリシンNa。
そして、安全性はそこそこだが、低価格な両性洗浄剤のラウリルヒドロキシスルタインや、資生堂にも採用されているココイルメチルタウリンタウリンNa(別名: W-AMT)が続きます。
ココイルメチルタウリンタウリンNaは、ココイルメチルタウリンを「NaOH」ではばく「タウリンNa」で中和した物です。「NaOH」で中和した場合に出来るココイルメチルタウリンNa(別名AMT)に比べ、保湿感が増している洗浄剤です。まあこれは、新原料とは言えませんね(^_^;)

似た名前の原料が続きますが、次に出てくるカプロイルメチルタウリンNaという原料。これは新規原料ですね。
これも化粧品犬は単品を触ったことがない(^_^;)
ちょっと専門的に言うと、カプロイルメチルタウリンNaというのは、ココイルメチルタウリンNa(いわゆるAMTのこと)のアルキル鎖長を短くしたものですね。一般的に言うと、アルキル鎖長は長い方が、安全性は高いんですよ。石けん(脂肪酸)で言えば、アルキル鎖長が12のラウリン酸より、14のミリスチン酸や、18のステアリン酸の方が安全性が高く低刺激です。
しかし、脂肪酸以外の洗浄剤はけっこう違うのです。
このカプロイルメチルタウリンNaが属しているタウリン系の洗浄剤は、脂肪酸とは逆に鎖長が長くなると、刺激が上がります。そこで刺激を下げようと試みると、必然てきにアルキル鎖長を下げることになる。
その検討の結果生まれたのが、カプロイルメチルタウリンNaというわけです。
通常のタウリン系洗浄剤のアルキル鎖長は12なのですが、こいつのアルキル鎖長は10になっています。何となくの予想とは反対に、より低刺激です。
原料のメーカーの方で細胞毒性のデータを公開しているので、興味のある方は見て見るのもいいでしょう(専門的資料です)
カプロイルメチルタウリンNaのカタログ
https://www.nof.co.jp/cosmeticlounge/material/pdf/diapon01.pdf
カタログを見る限り、泡立ちもなかなか良さそうです。

次はコンディショニング剤・オイル類のパートに移ります。
まず、7種のセラミド類が配合されています(セラミド1 セラミド2 セラミド3 セラミド6II セラミドEOS 、カプロオイルフィトスフィンゴシン、カプロオイルスフィンゴシン)。おそらく全て微量なので、配合しないよりは良いかな、という感じでしょう。
他には、ピーナッツや菜種油に少量含まれる、重い感触の油のベヘン酸や、滑りの良いエステル油のイソステアリン酸イソブチル等が少量配合されています。

次は防腐剤のパート。
ここも新原料のブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルが配合されています。
これも化粧品犬は触ったことがないんですよね(^_^;)
この防腐剤については以前に下記エントリーでとりあげましたが、特にロート製薬さんが積極的に採用してる原料ですね。
サイトジャパン2015で見た、新しい防腐剤
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12035921637.html

普通の商品ならともかく、低刺激をうたう商品に使うには、配合上限がやけに低いなど若干不安な点もあります。
使用実績が積まれるのを見守りたいですね。

最後は保湿剤のパートです。

ココで重要なのは溶媒成分です。
泡ボディソープに使われる泡ポンプは内部にメッシュを使う構造なのでなので、目詰まりし易いのです。そこでそれを溶かすため、どの製品にもなんらかの溶媒的原料が配合されています。

例えば牛乳石鹸の無添加泡のボディソープはDPG。ライオンのバストロジーと日本リーバのダブはPGです。
溶媒というか、「溶剤」的な成分ですね。

しかし、ケアセラは他の2品とは違い、溶媒といては最も温和なソルビトールの配合で済んでいます。ソルビトールはDPGやPGよりはむしろグリセリンに近く、目詰まりを防ぐ力は、比較すれば低いです。
ソルビトールなんかで済んでいるのは、洗浄成分の配合で、詰まりにくいラウリン酸PEG-80ソルビタンに、更に詰まりにくいアミノ酸系のココイルグルタミン酸Naを併せて配合したからだと思われます。
なかなかすばらしい工夫です。

その後に、ロートさん言うところの、こだわりの植物エキス(タンブリッサトリコフィラ葉エキス 、フキ葉/茎エキス 、カミツレ花エキス)が配合されているのですが、ココまでの工夫に較べれば全く面白くないです(^_^;)

その次にポリクオタニウム-7が配合されてます。これはヘアシャンプーや洗顔に使用されている、汎用的なカチオンポリマーですね。ボディソープにも簡単にしっとり感のw付与できます・・まあ、ケアセラのしっとり感は、多分にこの原料による演出だということです(^_^;)

というとkろで解析は終わりですね。

しっとり感は安易な演出ではあるけれど、安全性の高い素材でまとめた点は、本物です。
特に他社がDPGやPGを使わざるを得ないところをソルビトールで済ませたところなど、本当に秀逸です。

個人的には防腐剤フリーな牛乳石鹸さんの商品が好きなのですが、このケアセラも良いですね。
あとはこの、ケア世良に使われている新規防腐剤ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニルをどう思うかです。
まあ、大ヒット商品のSUGAOにも使われてるし(^_^;)
まあ、いいかなー?
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