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添付文書情報


販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分
Bonalon Tablet 35mg 帝人ファーマ 3999018F2036 591.4円/錠 劇薬 , 処方箋医薬品

禁忌

次の患者には投与しないこと

食道狭窄又はアカラシア(食道弛緩不能症)等の食道通過を遅延させる障害のある患者[本剤の食道通過が遅延することにより、食道局所における副作用発現の危険性が高くなる。]

30分以上上体を起こしていることや立っていることのできない患者(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)

本剤の成分あるいは他のビスホスホネート系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

低カルシウム血症の患者(「重要な基本的注意」の項参照)

効能・効果及び用法・用量

効能効果

骨粗鬆症

効能効果に関連する使用上の注意

本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者を対象とすること。

用法用量

通常、成人にはアレンドロン酸として35mgを1週間に1回、朝起床時に水約180mLとともに経口投与する。
なお、服用後少なくとも30分は横にならず、飲食(水を除く)並びに他の薬剤の経口摂取も避けること。

用法用量に関連する使用上の注意

本剤は水のみで服用すること。水以外の飲み物(Ca,Mg等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)、食物及び他の薬剤と一緒に服用すると、吸収を抑制するおそれがある。

食道及び局所への副作用の可能性を低下させるため、速やかに胃内へと到達させることが重要である。服用に際しては、以下の事項に注意すること。

起床してすぐにコップ1杯の水(約180mL)とともに服用すること。

口腔咽頭部に潰瘍を生じる可能性があるため、本剤を噛んだり又は口中で溶かしたりしないこと。

本剤を服用後、少なくとも30分経ってからその日の最初の食事を摂り、食事を終えるまで横にならないこと。

就寝時又は起床前に服用しないこと。

使用上の注意

慎重投与

嚥下困難、食道炎、胃炎、十二指腸炎、又は潰瘍等の上部消化管障害がある患者[上部消化管粘膜に対し、刺激作用を示すことがあるので基礎疾患を悪化させるおそれがある。]

重篤な腎機能障害のある患者[使用経験が少なく安全性が確立していない。]

重要な基本的注意

本剤は他のビスホスホネート系薬剤と同様に、咽喉頭、食道等の粘膜に対し局所刺激症状を引き起こすおそれがある。特に適切に服用しない患者では、食道、口腔内に重度の副作用が発現する可能性があるので、服用法について患者を十分指導し、理解させること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)

本剤の投与により、上部消化管に関する副作用が報告されているので、観察を十分に行い、副作用の徴候又は症状(嚥下困難、嚥下痛又は胸骨下痛の発現又は胸やけの発現・悪化等)に注意し、患者に対して、これらの症状があらわれた場合は、本剤の服用を中止して診察を受けるよう指導すること。(「重大な副作用」の項参照)

骨粗鬆症の発症にエストロゲン欠乏、加齢以外の要因が関与していることもあるので、治療に際してはこのような要因を考慮する必要がある。

患者には、食事等から十分なカルシウムを摂取させること。

低カルシウム血症のある患者は、本剤投与前に低カルシウム血症を治療すること。また、ビタミンD欠乏症又はビタミンD代謝異常のようなミネラル代謝障害がある場合には、あらかじめ治療を行うこと。

ビスホスホネート系薬剤による治療を受けている患者において、顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがある。報告された症例の多くが抜歯等の顎骨に対する侵襲的な歯科処置や局所感染に関連して発現している。リスク因子としては、悪性腫瘍、化学療法、血管新生阻害薬、コルチコステロイド治療、放射線療法、口腔の不衛生、歯科処置の既往等が知られている。
本剤の投与開始前は口腔内の管理状態を確認し、必要に応じて、患者に対し適切な歯科検査を受け、侵襲的な歯科処置をできる限り済ませておくよう指導すること。本剤投与中に侵襲的な歯科処置が必要になった場合には本剤の休薬等を考慮すること。
また、口腔内を清潔に保つこと、定期的な歯科検査を受けること、歯科受診時に本剤の使用を歯科医師に告知して侵襲的な歯科処置はできる限り避けることなどを患者に十分説明し、異常が認められた場合には、直ちに歯科・口腔外科を受診するように指導すること。(「重大な副作用」の項参照)

ビスホスホネート系薬剤を使用している患者において、外耳道骨壊死が発現したとの報告がある。これらの報告では、耳の感染や外傷に関連して発現した症例も認められることから、外耳炎、耳漏、耳痛等の症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診するよう指導すること。(「重大な副作用」の項参照)

ビスホスホネート系薬剤を長期使用している患者において、非外傷性の大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折が発現したとの報告がある。これらの報告では、完全骨折が起こる数週間から数ヵ月前に大腿部や鼠径部等において前駆痛が認められている報告もあることから、このような症状が認められた場合には、X線検査等を行い、適切な処置を行うこと。また、両側性の骨折が生じる可能性があることから、片側で非定型骨折が起きた場合には、反対側の大腿骨の症状等を確認し、X線検査を行うなど、慎重に観察すること。X線検査時には骨皮質の肥厚等、特徴的な画像所見がみられており、そのような場合には適切な処置を行うこと。(「重大な副作用」の項参照)

併用注意

カルシウム、マグネシウム等の金属を含有する経口剤:
カルシウム補給剤
制酸剤
マグネシウム製剤等
本剤の服用後少なくとも30分経ってから服用すること。本剤は多価の陽イオン(Ca,Mg等)とキレートを形成することがあるので、併用すると本剤の吸収を低下させる。

副作用

副作用発現状況の概要

臨床試験(治験)

国内における35mg製剤(35mg/週)と5mg製剤(5mg/日)との52週間の二重盲検比較試験

本試験における35mg製剤(35mg/週)の安全性評価対象168例中22例(13.1%)に28件の副作用が認められた。主な症状は消化管障害であり、24件〔上腹部痛4件(2.4%)、胃不快感4件(2.4%)、胃潰瘍3件(1.8%)、胃炎3件(1.8%)等〕であった。また、臨床検査値異常変動は168例中6例(3.6%)に10件認められた。主なものはγ-GTP上昇4件(2.4%)、AST(GOT)上昇2件(1.2%)、ALT(GPT)上昇2件(1.2%)であった。なお、5%を超える頻度の副作用は認められなかった。〔承認時〕

特定使用成績調査

安全性評価対象3,162例中247例(7.8%)に300件(臨床検査値異常変動を含む)の副作用が認められた。副作用発現頻度は、安全性に関する調査(観察期間1年6ヵ月)7.7%(207例/2,702例)、有効性・安全性に関する調査(観察期間3年間)8.7%(40例/460例)であった。
安全性評価対象3,162例における主な副作用は腹部不快感34件(1.1%)、上腹部痛33件(1.0%)、悪心25件(0.8%)、消化不良16件(0.5%)、下痢16件(0.5%)であった。〔再審査終了時〕

副作用の頻度は35mg製剤(35mg/週)の臨床試験及び特定使用成績調査の合計より算出した。

重大な副作用及び副作用用語

重大な副作用

食道・口腔内障害

食道障害(食道穿孔(頻度不明)注1)、食道狭窄(頻度不明)注1)、食道潰瘍(頻度不明)注1)、食道炎(0.3%)、食道びらん(頻度不明)注1)があらわれ、出血を伴う場合がある。)、口腔内潰瘍(頻度不明)注1)があらわれることがある。観察を十分に行い、徴候又は症状(吐血、下血、貧血、嚥下困難、嚥下痛、胸骨下痛、胸やけ、口腔内異和感、口内痛の発現・悪化等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

胃・十二指腸障害

(出血性)胃・十二指腸潰瘍(0.3%)、出血性胃炎(0.2%)があらわれることがある。観察を十分に行い、徴候又は症状(吐血、下血、貧血、上腹部痛、心窩部痛、上腹部不快感の発現・悪化等)に注意し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)注1)

AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

低カルシウム血症(0.09%)

痙攣、テタニー、しびれ、失見当識、QT延長等を伴う低カルシウム血症があらわれることがあるので、異常が認められた場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。

中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)注1)

中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の重篤な皮膚症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

顎骨壊死・顎骨骨髄炎(0.03%)

顎骨壊死・顎骨骨髄炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

外耳道骨壊死(頻度不明)注1)

外耳道骨壊死があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折(頻度不明)注1)

大腿骨転子下及び近位大腿骨骨幹部の非定型骨折を生じることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

注1)自発報告、海外で認められている副作用、5mg製剤(5mg/日)の臨床試験又は特定使用成績調査のみで認められた副作用については頻度不明とした。

その他の副作用

 頻度不明注1)1〜5%未満1%未満
消化器鼓腸放屁、口内乾燥、嚥下困難、歯肉腫脹胃痛・心窩部痛、胃不快感・胃重感・腹部不快感腹痛、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、口内炎、胃酸逆流、咽喉頭痛、咽喉頭不快感、おくび、嘔気、便秘、下痢、胃炎、消化不良
皮膚・皮膚付属器紅斑、湿疹 発疹、かゆみ、脱毛、蕁麻疹
血液貧血(赤血球数減少、ヘモグロビン低下等)、白血球数減少、血小板数減少  
肝臓  肝機能異常〔AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇等〕
腎臓頻尿、排尿困難 BUN上昇
中枢・末梢神経系回転性めまい、知覚減退 浮動性めまい、頭痛
筋・骨格系  関節痛注2)、背(部)痛注2)、筋肉痛注2)、骨痛注2)、筋痙攣
精神・神経系不眠(症)  
電解質代謝血清リン低下、血清カリウム上昇  
ぶどう膜炎、上強膜炎 眼症状(かすみ、異和感等)、強膜炎
その他血管浮腫、LDH上昇、総コレステロール値上昇、血清アルブミン低下、下肢痛 胸痛、倦怠(感)、味覚倒錯、末梢性浮腫、顔面浮腫、動悸、脱力(感)、発熱、気分不良、ほてり(顔面紅潮、熱感等)、CK(CPK)上昇、血圧上昇
注1)自発報告、海外で認められている副作用、5mg製剤(5mg/日)の臨床試験又は特定使用成績調査のみで認められた副作用については頻度不明とした。注2)投与初日から数ヵ月後に、まれに、日常生活に支障を来たすような激しい痛みを生じることが報告されている。なお、ほとんどが投与中止により軽快している。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[使用経験がない。]

ビスホスホネート系薬剤は骨基質に取り込まれた後に全身循環へ徐々に放出されるので、妊娠する可能性のある婦人へは、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[全身循環への放出量はビスホスホネート系薬剤の投与量・期間に相関する。ビスホスホネート系薬剤の中止から妊娠までの期間と危険性との関連は明らかではない。]

授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)でアレンドロン酸が乳汁中に移行することが報告されている。]

小児等への投与

小児等に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]

過量投与

徴候・症状

低カルシウム血症、低リン酸血症、並びに上部消化管障害(胃不調、胸やけ、食道炎、胃炎、又は潰瘍等)が発現することがある。

処置

アレンドロン酸と結合させるために、ミルクあるいは制酸剤等の投与を考慮する。
食道に対する刺激の危険性があるので嘔吐を誘発してはならず、患者を立たせるか、上体を起こして座らせること。

適用上の注意

薬剤交付時

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

薬物動態

血清中濃度

健康成人男子にアレンドロン酸として5、10、20及び40mgを含有する錠剤を、朝食の2時間前に単回経口投与したとき(各群n=5〜6)の血清中アレンドロン酸濃度は、5及び10mg投与群では全例で定量限界(11.5ng/mL)未満であった。20mgでは6例中2例(13.1、18.3ng/mL)で、40mgでは6例中4例(13.8〜79.3ng/mL)で投与2時間後にわずかに検出された[1]

健康成人男子(n=6)に、アレンドロン酸として20mgを含有する錠剤を、朝食の2時間前に1日1回7日間反復経口投与したとき、血清中アレンドロン酸濃度は6例中の1例で投与4日目(27.0ng/mL)と7日目(19.0ng/mL)に、別の1例で7日目(11.7ng/mL)に、それぞれわずかに検出された他、すべて定量限界(11.5ng/mL)未満であった[1]

吸収・代謝・排泄

アレンドロン酸ナトリウム水和物投与により、動物又はヒトで代謝物は認められていない。経口投与後のアレンドロン酸は血清中濃度が低く、薬物吸収の評価ができないため、唯一の消失経路である尿中排泄を吸収の指標とした。

健康成人男子にアレンドロン酸として5、10、20及び40mgを含有する錠剤を、朝食の2時間前に単回経口投与したとき(各群n=5〜6)の投与後48時間までの尿中排泄率は0.65〜1.41%(幾何平均値)であり、投与量による有意な差は認められなかった。そのほとんどは投与後6時間までに排泄された。

非高齢女性(閉経後60歳未満、n=8)及び高齢女性(閉経後65歳以上、n=8)に2期クロスオーバー法でアレンドロン酸ナトリウム水和物を経口(アレンドロン酸として5mg)及び静脈内点滴(アレンドロン酸として0.1mg)投与し、投与後48時間までの尿中排泄量を測定したとき、下記の結果が得られている[2]

対象尿中排泄率(%)生物学的利用率
(%)
静脈内投与経口投与
非高齢者44.71.112.49
高齢者44.11.252.83
#:幾何平均

閉経後女性(n=23)に2期クロスオーバー法で、アレンドロン酸として5及び35mgを含有する錠剤を朝食の2時間前に単回経口投与したとき、投与後48時間までの尿中排泄率の幾何平均値比(35mg錠/5mg錠)は1.02であった[3]

投与量
(mg)
尿中排泄率
(%)
幾何平均比
90%信頼区間
50.471.020.79〜1.32
350.48
#:幾何平均

海外で行われた試験において、閉経後女性にアレンドロン酸として10mgを含有する錠剤を、単回経口投与(朝食の2、1、0.5時間前、直後及び2時間後の5期クロスオーバー法)したとき(n=49)の投与後36時間までの尿中排泄量(幾何平均値)は、朝食2、1及び0.5時間前の投与ではそれぞれ12.68μg、8.88μg及び6.78μgであり、朝食2時間前に投与した場合が最も多かった。一方、朝食直後及び2時間後の投与では多くが定量限界(1ng/mL)未満であった。

海外で行われた試験において、閉経後女性にアレンドロン酸として10mgを含有する錠剤を、水、コーヒー又はオレンジジュースと同時に単回経口投与(3期クロスオーバー法)したとき(n=40)の投与後24時間までの尿中排泄量(幾何平均値)は、水(19.20μg)を同時に摂取した場合と比べ、コーヒー(7.43μg)、オレンジジュース(6.77μg)では約60%減少した[4]

(注)本剤の承認された用法・用量はアレンドロン酸として週1回35mgである。

臨床成績

骨密度試験

国内における臨床成績

退行期骨粗鬆症患者(有効性評価対象297例)における52週間の二重盲検試験において、本剤(35mg/週)投与の腰椎(L1-L4)骨密度の増加率(投与52週後)は6.3%であり、対照薬の5mg(5mg/日)投与の5.8%と比較して骨密度増加効果は同等であった(図)。また、大腿骨骨密度(投与52週後)においても、それぞれ3.0%(35mg/週)及び2.8%(5mg/日)と同程度の骨密度増加効果を示した。
なお、安全性において、本剤(35mg/週)投与の副作用発現率は、5mg(5mg/日)投与と同程度であった[5]。[「副作用」の項参照]

図 腰椎(L1-L4)骨密度の増加率

海外における臨床成績(参考)

閉経後骨粗鬆症患者1,258例における12ヵ月間の二重盲検比較試験において、70mg/週投与による腰椎(L1-L4)の骨密度の増加率は5.1%であり、10mg/日投与の5.4%と同等性を示した。また、大腿骨骨密度(12ヵ月後)においても、それぞれ2.9%(70mg/週)及び3.1%(10mg/日)と同程度の骨密度増加効果を示した。なお、安全性において、それぞれの投与法における副作用発現率は同程度であった[6]

骨折試験(参考)

国内における臨床成績

退行期骨粗鬆症患者365例における2年間の二重盲検比較試験(骨折発生頻度)において、胸腰椎の新規骨折発生率は5mg製剤(5mg/日)投与で12.2%、対照薬(アルファカルシドール、1μg/日)で16.7%であり、対照薬に対する5mg製剤(5mg/日)の非劣性が検証された。この試験において、投与6ヵ月以降に発生した胸腰椎の新規骨折発生率は、5mg製剤(5mg/日)投与では対照薬に比して8.4%低く統計的に有意差を認めた(相対危険減少率66%)。また、2年間における胸腰椎での複数の新規骨折発生率は5mg製剤(5mg/日)投与では対照薬に比して4.9%低かった(相対危険減少率67%)[7]。さらに、延長試験として実施された3年間の成績においても投与6ヵ月以降に発生した胸腰椎の新規骨折発生率は、5mg製剤(5mg/日)投与で7.8%、対照薬で18.8%であり、5mg製剤(5mg/日)の有意な椎体骨折抑制効果が3年間に亘り確認された[8]

海外における臨床成績

閉経後骨粗鬆症患者2,027例における3年間のプラセボ対照二重盲検比較試験において、最初の2年間は5mg/日、3年目は10mg/日投与した結果は下表のとおりである[9]

骨折の種類骨折抑制率(%)
胸腰椎の新規骨折47%
2個以上の胸腰椎の新規骨折90%
新規大腿骨近位部骨折51%
#:X線像による判定

なお、5mg製剤(5mg/日)投与後の平均腰椎骨密度増加率は、海外における10mg/日投与12ヵ月後の値と国内における5mg/日投与48週後の値に類似性が認められた[10][11]。また、骨密度増加効果と骨折抑制効果は相関することが確認されている[12]

(注)本剤の承認された用法・用量はアレンドロン酸として週1回35mgである。

薬効薬理

作用機序

アレンドロン酸は骨のハイドロキシアパタイトに強い親和性を持ち、ラットでは破骨細胞が存在する骨表面に選択的に分布した。アレンドロン酸は破骨細胞に取り込まれた後その活性を抑制することにより、骨吸収を減少させる[13][14]

骨量減少に対する作用

動物種方法結果
アレンドロン酸として0.04〜5mg/kg/日を卵巣摘出の翌日から2ヵ月間経口投与卵巣摘出による骨量減少をアレンドロン酸として1mg/kg/日以上の投与量で骨石灰化に障害を与えずに抑制した。
卵巣摘出ラットアレンドロン酸として0.1、0.5mg/kg/日を卵巣摘出の翌日から12ヵ月間経口投与アレンドロン酸として0.5mg/kg/日の1年間の経口投与により、卵巣摘出による腰椎の骨量の減少を抑制し、卵巣非摘出ラットと同様の骨強度を維持した。
アレンドロン酸として0.04、0.19mg/kgを、卵巣摘出後2週に1回、2年間静脈内投与アレンドロン酸として0.04mg/kg以上で骨代謝回転亢進が卵巣非摘出群レベルまで抑制されることが、生化学的マーカー及び骨形態により示された。また、海綿骨量を骨石灰化を障害せずに増加させ、皮質骨の粗鬆性の亢進を防止した。腰椎の海綿骨の強度はアレンドロン酸ナトリウム水和物投与により増加し、骨量と骨強度には正の相関が認められた。

骨石灰化に対する影響

アレンドロン酸ナトリウム水和物は、上記の骨量減少モデルにおいて1年以上の投与(ラット:1年、ヒヒ:2年)を行ったとき、骨量減少を抑制する投与量では骨石灰化障害を示唆する結果が得られていない[16]。成長過程のラット(Schenk評価系)において、骨吸収を抑制する投与量は骨石灰化を障害する投与量の約1/6000であり、広い安全域が示されている。

骨強度、骨折治癒過程に対する影響

動物種方法結果
アレンドロン酸として0.25〜1mg/kgを1日1回、3年間経口投与正常イヌに臨床用量の約10倍量に相当するアレンドロン酸ナトリウム水和物を3年間経口投与したところ、骨強度に対する影響、微小骨折、骨軟化症を示す所見は認められなかった。
アレンドロン酸として2mg/kgを1日1回、骨折前9週間、骨折後16週間経口投与臨床用量の約20倍量に相当する投与によっても、骨折修復部位の骨強度に変化は認められず、骨折の治癒過程に対し影響を与えないことが示された。

有効成分に関する理化学的知見

一般名アレンドロン酸ナトリウム水和物
一般名(欧名)Alendronate Sodium Hydrate
化学名Monosodium trihydrogen 4-amino-1-hydroxybutane-1,1-diyldiphosphonate trihydrate
分子式C4H12NNaO7P2・3H2O
分子量325.12
融点約252℃(分解、ただし乾燥後)
性状白色の結晶性の粉末である。水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。0.1mol/Lクエン酸三ナトリウム試液に溶ける。
KEGG DRUG

包装

PTP

20錠(2錠シート×10枚)

50錠(2錠シート×25枚)


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作業情報


改訂履歴

2014年9月 改訂
2016年5月 第12版 改訂(薬生安通知等に基づく改訂)

文献請求先

帝人ファーマ株式会社
100-8585
東京都千代田区霞が関3丁目2番1号
フリーダイヤル 0120-189-315

業態及び業者名等

製造販売元
帝人ファーマ株式会社
東京都千代田区霞が関3丁目2番1号