2006年03月

前に買ったリードZonda Classicoの3番は、B40と組み合わせてなかなか好印象だったが、いかんせん柔らかすぎてM30に合うリードが1枚もなかったので、3半か4を求めて店に行った。しかし品切れ。これまで使ったことのないMarca EXがあったので、3半を試してみることにした。
定価1680円とVandoren青箱やRicoグランドコンサート青箱よりも2割程安い。個別のリードガードは付いていない。ヒールの厚みはVandoren青箱と同等。同社のスペリアルはシミや黒ずみのないきれいなケーンで、それと比べるとやや質が落ちるが、他社と比べたら同等。カットの面積は広く、Vandoren青箱より2mm位多く削ってある。M30との組み合わせで、10枚中、ちょうどぴったりの硬さが4枚、柔らかいのが6枚なので、ヒット率は高い方。リードの腰は柔らかめで、Ricoグランドコンサート青箱と同様吹き易い。音色に特色があり、Saxのような開放的な音で、どちらかというとポピュラー音楽向きか。ちょっと気になったことは、吹いていると苦味を感じることで、慣れれば気にならなくなるのかもしれない。
オーケストラのクラリネット奏者として、テクニックや美しい音色は非常に重要だが、一番重要なことはその曲、そのフレーズに合った感情表現を明確に演じることだと思う。これは、いくら長時間まじめにクラリネットの練習をしても身に付かないことで、まず手っ取り早くできることは、たくさんの演奏を聴いて、いいなーと思った演奏表現を真似ること。これで何とか様になるソロが吹けるかもしれない。でも、それはあくまでも模倣であって、自分で考えて演じている訳ではない。自分の感情表現は、人生の中で経験した喜びや悲しみ、怒り、恋愛体験の蓄積を演奏に反映させることだと思う。さらに演奏する曲の自分なりの解釈が重要になる。オケのクラリネット奏者として、吹きたい曲の5本の指に入るブラームス交響曲第4番、その中でクラリネットが主役を演じる第2楽章について自分の解釈を語ってもよいかな。
(冒頭のホルン、木管)プロローグ「昔々の思い出話さ。」
(クラリネットソロ)「わしは若い頃からパッとしない男で、それでも何とかまじめに生きてきた。時にはほろ苦い恋の経験もあったさ。」
(ホルン、ファゴット)「ヘー」
練習番号A(クラリネット)「村一番のべっぴん娘がいてな、奥手のわしだったけど勇気を振り絞って声をかけたんじゃよ。」
(ホルン、ファゴット)「ヘー、それから?」
(クラリネット)「ある月夜の晩にな、偶然、べっぴん娘に出くわしたんじゃ。」
練習番号B(ヴァイオリン)「(情景)満月の明るさは遠くの野山も見通せる程、青年はべっぴん娘のことを思いながら、湖面に映った青白い月を見ていた。すると、向こうから来るのは、まさにそのべっぴん娘。」
(木管、弦のスタカート)「(どうしよう、声をかけるべきか、ドキドキ。)」
練習番号C(チェロ、副旋律ヴィオラ)「(情景)思い切って声をかける。近くで見る彼女は、遠くで眺めるよりさらに美しい。月夜の湖畔でのロマンスのひととき。」
練習番号D(木管、弦ピチカート)「(情景)青年と彼女との対話。」
(ホルン、ファゴット)「それから?」
74小節~練習番号E(木管、弦)「(どうしよう、どうしよう。告白すべきか。ドキドキ。)」
88小節(弦合奏)「(回想)近くで見る彼女はとても美しかった、そして、きれいな心の持ち主でな、そんな彼女と楽しいひとときを過ごせただけで、わしは満足だったんじゃよ。」
練習番号F(クラリネット、ファゴット)「これがわしの昔々の思い出話さ。」
F5小節目(ティンパニと弦のザワザワ、クラリネットとオーボエ)「(でも、もし、あのとき告白していれば・・・。)」
F9小節目(クラリネット)「(我に返って)いや、もう遠く過ぎ去ったことさ。わし一番の思い出話さ。」
F13小節目エピローグ(テュッティ)「昔々の思い出話でしたとさ。」
自宅に戻って、M30、B40Lyre、B40を吹き比べた。M30用とB40用にそれぞれセレクトしたリードを試してみると、B40LyreはB40と同程度の硬さのリードがマッチした。B40Lyreの先端の開きは公称1.175mmだが、B40の1.195mmと同じ位広いように感じる。フェイシングの長さはM30と同じ位深く、くわえる深さもほぼ同じ。
音色の感想だが、M30は響きが多く芯があると言うか歪みのある音で遠鳴りする。B40は響きが少なく歪みの少ない広く澄んだ音。B40Lyreはというと、響きが多く歪みの少ない太い音だが、やや大味に感じる。自分がM30に慣れていて、それより開きの大きいB40系はアンブシュアのコントロールがより必要になるので、対応しきれていないこともある。B40Lyreに合ったリードを選び直せば、また違った結果になるかもしれない。
M30はアルティシモ音域のピッチが高めに推移しコントロールが容易であるが、B40、B40Lyreはピッチが低めになるので、精一杯高く吹かねばならず、表情を付ける余裕がない。モーツァルト、ウェーバー、ブラームス、サンサーンスのクラリネット曲程度であれば、アルティシモ音域は十分にコントロール可能である。
今メインで使っているマウスピースはVandorenのM30で、リードはRico Grand Concert Select Traditional(青箱)の3番。1箱のリードの中で硬めのを使うので、薄めのが残る。B40に使えば良いのだが、M30に比べて浅くくわえなくちゃならないので、アムブシュアが崩れないか躊躇していた。1年程前にVandorenからB40LyreというM30と同じロングフェイシングで、ティップの開きが1.175でM30の1.15と大差ないマウスピースが発売された。M30に満足していたので、試そうとも思っていなかったが、薄めのリードの山を見て、一つ買ってくるかと思い立った。
楽器屋さんで試奏を申し出ると5本準備してくれた。最初のチェックは最低音から最高音までのスケール。1本目は反応よく倍音が多い、2本目は反応がやや鈍くややこもった音、3本目はさらに反応が鈍い、4本目は反応よいが倍音に少しクセがある、5本目はバランスが悪い感じだが、どれもコントロール範囲内。1本目で決まりかなと思いつつ、次に曲を吹いてみる。リードを数枚替えて、1本目は何か薄っぺらな音に思えてきて、2,3本目に気が向く。最終的に2本目に決定。この間、約30分。十分に吟味したとは言えないが、まあ、どれも大差なさそうだったので良しとする。
前記事の補足。

Galaxのリードケース。牛革張りで高級感あふれ、使いよい。

Vandorenの4枚入りリードケース。肉厚のプラスティックで丈夫そう。小型でかさばらない。ヒールの厚いリードも薄いリードも挿入可能で、逆さまにしても滑り落ちずよく考えてある。蓋を閉めるとほぼ密封状態になるので、夏場はカビが心配だが、その対策のためか、リードの間にシリカゲルと活性炭らしき粒が詰まった筒が入っている。リードを収納する時に先端が見えないのがやや不安。色は現状だと濃紺しかないが、透明ブルーとか透明ピンクを選べれば、リードの先端が見えるし、何箱か持った時の識別にもなるので是非出してほしいと思う。そういえばVandorenのリードガードは、最初紫色だったが、後に透明になった。

アタッシェ型ケースにGalaxリードケースを入れた図。これだと楽器ケースの蓋が閉まらない。
リードケースは何のためにあるの?という問いの自分の答えは、リードを破損しないように保護するため。リードを平らなガラス板に貼付けて保管すれば、リードの裏面が平らに保たれるというのはウソで、反ってしまったリードは反対向きに力をかけて修正しない限り真っ直ぐにはならない。フロ場の鏡にハンカチを貼付けておくと翌日真平らになっていたという経験則はハンカチに腰がないためで、弾力のあるリードには通用しない。
結局、リードケースはリードの保護の目的のみなので、VandorenやRicoのリードについてくるプラスティックの個別リードガードでも問題なく、実際、実験的にリードケースとリードガードの保管を試してみたが、リードの反りや寿命に違いはなかった。リードケースを使用するのは、リードガードが付属しないメーカーのリードに限定している。

一番左は昔、Vandorenにもリードガードがなかった時代に使用していたリードケース8枚入り、左から2番目はGalaxの10枚入りで、片面5枚ずつ両面で10枚のリードを保管できる。8枚入りよりもコンパクトでたくさん入る。右から2番目はVandorenの4枚入りリードケースで、一番右はご存知Vandoren青箱で大きさの見本。リードケースを使わなくなった一番の理由は、クラリネットのケースに入らないため。

20年くらい前のRC A管に付属した日本ビュッフェクランポン社オリジナルのポシェット型Wケース。この頃は牛革張りでR-13と差別化を図っていた。省スペース設計で、リードケースを保管するスペースはないが、リードガードなら4枚収納可能。

R-13 Vintage A管に付属するアタッシェ型Wケース。Ricoのリード箱がぎりぎり収納可能だが、Galaxのリードケースだと蓋が閉まらない。Vandorenの4枚入りなら大丈夫。

一昔前のヤマハのA管に付属したWケース。ベルを外して収納するので、下管のコルクが痛みにくい。Vandorenのリード箱なら収納可能だが、Ricoのは厳しい。
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