公演などさせていただく折に、最もお客様から聞かれる話の一つです。

このほかに

「オールインワンを使用していますが、ほかの商品は本当に使わなくてもいいのでしょうか?」、「毎日行うスキンケアは重ねれば重ねるほど良いんですか?」など化粧品の使い方、使用量についてはよく聞かれます。

確かに これ一つでスキンケアは全てOK!という商品があったり、化粧水からクリームまでブランド指定で順番に沿って使っていただきたいという商品があったりと、どれが本当で何が正しいか良くわかりませんよね。

しかし、この疑問に関しては、それぞれの美容家やブランドの考えがあるため一概に間違いや正解と言えないものです。

私としても自論での返答となってしまいますが、少なくとも偏りない返答をさせていただくために、「肌のメカニズム」に視点を置き、スキンケアの方法論を説明させていだこうと思います。

結論から言わせてもらいますと、

「必ずしも全てを行う必要はありません。」

クレンジングや洗顔などを除く毎日行うスキンケアにおいて大切なのは、使用する化粧品の種類や数ではありません。大切なのはどのようなスキンケアを行っているか、意識しているかです。では、何が大切なのか。それは以下の3つです。

水分補給
モイスト
(保湿)
エモリエント(皮膚の柔軟性向上&水分の蒸散防止&外的刺激からの肌保護)




薬事法2条3項では化粧品をこのように定義しています。

「人体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚や毛髪等を健やかに保つ為に、皮膚または毛髪に塗擦、散布などされる物で、人体に対する作用の緩和なもの」

つまり、使用することで美しくし、肌を保護するものを化粧品とされています。

各化粧品には、それぞれに役割や意味を持っているということです。

では、「化粧水」「乳液」「クリーム」は、どのような役割を持っているのでしょうか。



化粧水の主な役割は水分を補うことです。

洗顔後やお風呂上りにスキンケアの初めに使用することが一般的な化粧水ですが、なぜ最初に行うのでしょうか?

その理由を考えることで、肌に水分補給する理由も理解ができると思います。

理由は以下の2つ。



洗顔は肌に付いた汚れが落ちるとともに、肌の最も外側にある皮膚保護組織「角質層」も洗い流されてしまいます。角質層には水分や水分の蒸散を防ぐセラミドや自然の保湿剤(NMF)などが含まれていますが、洗顔により角質層の多くを失った肌は、水分も水分を保持する成分もなくなっているのです。

そして肌が水分不足になると、肌の表面や内側が乾燥しやすくなります。毛穴は脱水症状を起こし、毛穴が開きやすくなったりキメが乱れたりしてしまうのです。よって化粧水で皮膚の水分補給をすることが、スキンケア・美肌の基本と考えます。





例えば、砂漠をイメージしてください。

砂漠に水分を少量撒きます、しかし乾燥している大地では表面で直ぐに吸収されてしまいます。その後、肥沃な土地にしようと肥料を撒いたとしても、その肥料は表面で広がるだけで大地の内部まで浸透していきません。

しかし砂漠に大量の水を撒き十分に大地潤わせることができれば、その後肥料を撒くと水分が浸透すると同時に肥料を一緒に内部まで連れて行ってくれます。化粧水は後につける化粧品をより効果的にさせる「浸透しやすい肌下地」を作ることができるのです。

化粧水は肌に水分与ええることで肌状態を安定化し、以後行うスキンケアの下地を作ります。



乳液の主な役割はモイストとエモリエントです。

保湿作用(モイスト)と肌にオイル皮膜をはることで(エモリエント)、水分の蒸散を防ぎます。蒸散を防ぐことにより角質層の水分量が保たれ、皮膚の健康維持や外的刺激を緩和し、皮膚のエイジングケア、なめらかさなどの感触にも大きな役割を果たしてくれます。そして潤った肌に栄養や効能エキスをゆっくりと浸透させていきます。

乳液の特徴としては、モイストの作用のほうが強く・エモリエント作用を抑えることで、使用感を良くし年間を通して使用できる商品が多い。

それでは、保湿(モイスト)作用とはどのようなものでしょうか。

皮膚表面を吸湿性の高い成分で覆い水分を逃げにくくする作用を保湿(モイスト)作用といいます。この作用が高い原料を保湿剤といい、化粧品では多く使用されており様々な種類があり、大きく3つに分けることができます。



合成品もあるが、現在ではほとんどの成分が天然物から精製が可能。もともと生体系に存在する成分で、つまり身体の中に存在する成分。肌にやさしく、機能性も高いとされる。NMFやアミノ酸は角質層での水分保持の役割を担っている。ヒアルロン酸やコラーゲンは真皮の基礎となる成分で、肌の内外からサポートしている。





昔から利用される成分で、一般で言うアルコールとは違う成分。水分を保つ働きぱかりでなく、成分の安定性、肌なじみもよいなど使用感向上、防腐剤の代用になる成分もあり、化粧品業界では信頼性が高く、多くの商品に使用される。無添加化粧品で発売される商品のなかには、防腐をヘキサンジオールなどで行っている商品もある。





保湿効果だけでなく、肌の恒常性維持(ホメオスタシス※)に有効とされ、近年では最も研究が進んでいる分野ともいえる。つまり、水分を保つ働きばかりでなく、肌本来の美しく・健康を維持する働きを助けることが期待できる成分。

※ホメオスタシスとは、ストレスになりうる外部環境の変化に対して、安定した恒常的状態に保とうとする仕組み。

乳液は保湿(モイスト)を行うことで水分を逃げにくくし、肌を恒常的状態に保ってくれます。



クリームの主な役割はエモリエントとモイストです。

一般にクリームは乳液よりも油分の成分が多く配合されているため、エモリエント作用が高いとされています。 

それでは、エモリエント作用とはどのようなものでしょうか。

皮膚を柔軟にする働きがあり、皮膚表面にオイル膜を作り水の蒸散を防ぐだけでなく、外的刺激から肌を守る作用をエモリエント作用といいます。皮膚に対してエモリエント作用を示すものをエモリエント剤とよび、皮膚にとってもっとも理想的なエモリエント剤は皮膚表面で皮脂膜を構成してうるおいを守る皮脂そのものなのです。

つまりエモリエントは人間の皮脂の代わりとなる作用を期待するもので、大きく2つの役割りを担っています。



肌内部では常に角層への水分の拡散が起きているが、角質層内の角層細胞間脂質と皮脂膜の働きにより水分の蒸散が抑えられています。また外部からも水分が補われるため皮脂膜のエモリエント作用で保護されています。

つまりオイル皮膜を張ることで、内からの水分の蒸散を防ぎ、外的要因により水分を奪われるのを防ぎます。





肌は皮脂膜により外的刺激(紫外線・化学物質・乾燥・風など)から守られています。
つまりオイル皮膜を張ることで、防護壁を作り外的要因から肌を守ります。

クリームはエモリエントを行うことで水分の蒸散を防ぎ、外的刺激から肌を守ります。また正常な角質層を維持するにも役立ちます。



最低限のスキンケア、「水分補給」「モイスト」「エモリエント」の3つの役割りを説明させていただきました。

この最低限のスキンケアが出来ているか、現在使用している化粧品でこの3つが対応できているかが重要なのです。



つまり何種類の化粧品を使うのがよいかということではなく、しっかりと最低限行わないといけないスキンケアができているかが重要なんです。
この考えをもとに化粧品をぜひ選んでいただければと思います。


それを踏まえた上で、さらに気をつけることが2つあります。

「肌の状態」「季節・環境」です。最低限のスキンケアは、実はこの2つの要因でも内容が変わってきます。

例えば、乾燥肌の方は、普通肌の方よりモイストとエモリエントをしっかりする必要があります。

オイリー肌の方は、エモリエント作用の強いクリームやオイルケアを行うと、油っぽくなってしまい化粧崩れが起こることもあります。

つまり、乾燥肌の方は、しっかりとスキンケアを行うことが重要で、オイリー肌の方は、自らの皮脂でエモリエント効果が期待できるため、化粧品の使う量を調整する必要も出てくるということです。

肌の状態に応じて、化粧品を選ぶことが重要なのです。
季節よっても変わってきます。夏場はどうしても多く皮脂が分泌されるためオイリー肌になりやすく、冬場は外気自体が乾燥しているため肌も乾燥肌になりやすい傾向があります。

また職場や自宅での環境も重要で、夏場冷房の中では乾燥肌になりやすいなど、環境に応じても肌状況は変化します。

自分の肌状況がどのような常態かを、日ごろから理解しておくというのも重要なのです。