ゼチーアをダイエット目的で処方された方へ。ゼチーアで痩せるって本当?
*当記事は「医者と学ぶ心のサプリ」から許可を受けて転載しています。
ゼチーアは、
小腸のコレステロールトランスポーターを
選択的にブロックする脂質異常症のお薬です。
主にLDL(悪玉コレステロール)が高値の時に使用します。
一方で最近ゼチーアを痩せるため、
ダイエット目的で処方されるケースが散見されます。
一見するとコレステロールを吸収阻害するのであれば、
ダイエットに使用できるような気がしますよね?
しかしゼチーアは痩せる効果というのがほとんどありません。
私たちが痩せるためには脂質よりもカロリーを制限する方が効果的なのです。
ここではゼチーアはダイエットして
効果がほとんどないことを説明したいと思います。
1.ゼチーアってどんな薬?
小腸からコレステロールの吸収を阻害することで、
LDLを低下させる脂質異常症のお薬です。
ゼチーアは小腸から
コレステロールを吸収するのを阻害する作用があります。
コレステロールは小腸にある刷子縁膜で吸収されます。
この刷子縁膜上には、
NPC1L1(Niemann-Pick C1 Like 1)があり、
この物質によって腸管から体内にコレステロールが吸収されます。
ゼチーアはこのNPC1L1を阻害することで
コレステロール(LDL)が小腸から吸収されるのを防ぎます。
さらにNPC1L1を阻害することで、
- 善玉コレステロール(HDL)が増える
- 中性脂肪(TG)が下がる
作用も確認されています。
ただし高LDL血症に使用されることが多いゼチーアですが、
現時点ではLDLの治療の第一選択肢はスタチン系です。
ゼチーアは、スタチン系単独と比較すると効果が弱いため、
第二選択薬という位置づけです。
ただしスタチン系単独を増量するより、
スタチン系とゼチーアを併用することで
相乗効果があることが知られています。
ゼチーア錠10mgの剤型のみ発売されており、
1日1回内服することで効果を発揮します。
2.ゼチーアはダイエット効果はないのか?
ゼチーアは脂質のみを阻害するためダイエット効果は期待できません。
最初に結論から言ってしまうと、
ゼチーアで痩せる効果はあまり期待できません。
近年の多くの研究で、脂質は体重とは直結しないことが分かっています。
例えば、大学生数人にオリーブオイル(約100cc)を
2週間毎日一気飲みさせた試験が有名です。
要するに脂質を大量にとらせた場合の、
体脂肪率及び体重の変化を見ています。
その結果、両方の数値とも有意な上昇は見られませんでした。
脂質の働きを具体的にあげると、
- 細胞膜の構成
- ホルモンの原料
- 胆汁酸の原料
などが挙げられます。
実際に私たちが食べ物で摂取した脂質は、
このように使用されて大部分は排泄されてしまいます。
脂質異常症の人は、
排泄し切れずに血中にコレステロールが
たくさん漂っているため問題になります。
そのため、ゼチーアなどの脂質異常症のお薬で
脂質を下げるのです。
実際にゼチーアの研究で体重をみた試験があります。
一部には確かに体重減少が示されています。
4つの試験を挙げると
1、脂質異常症患者(14人)にゼチーアを5か月投与したところ、
LDL-C (悪玉コレステロール)21.0%と有意に減少しました。
実際の体重は60.1→58.1kg、BMI24.0→23.5、
腹囲89.4→87.0cmが有意に減少。
血液流動性も有意に改善しました。
2、高コレステロール血症患者(38人)に
ゼチーア投与を1~2か月行ったところ、
LDL-Cは‐24%と有意に減少しました。
体重65.3→64.2kg、BMI25.1→24.3、
腹囲87.6→85.7cmと有意に減少しました。
3、日本国内でゼチーアを100人に12週間投与したところ、
LDL-Cは18.08%減少しましたが、
体重の有意な変化はありませんでした。
4、脂質異常の肥満者にゼチーアを90日間投与したところ、
LDL-Cは有意に減少しましたが、体重は変化ありませんでした。
①・②は確かに体重が減少したとありますが、
これはゼチーアの効果というよりは、
試験に参加した際に
運動や食事療法を見直した結果と考えられています。
特にこの試験は欧米の試験です。
欧米食は太りやすい食事が多いため、
食事を見直すだけでも体重減少が期待できます。
実際に③の日本国内の試験では、
体重減少は認めませんでした。
そして④は、
太った人が痩せるかどうかを確認するために組まれた試験です。
実際に肥満者は痩せなかったという結論に出ています。
ゼチーアは肥満者でありながら、
LDLが170以下の方には、LDLを下げやすいという報告があります。
しかし肥満者の体重までは減らせないことが多いです。
脂質異常症がなくて痩せるための目的で、
ゼチーアを内服することは勧められません。
3.体重はどうして増えていくの?
カロリー主に糖質の過剰摂取が体重の上昇に影響します。
実際に脂質異常症の方が太っている人が多いのは確かです。
しかし脂質異常症の方は、
脂肪だけ食べているわけではありません。
実際に脂質異常症がある人は、
色々な食べ物をたくさん食べていることが多いです。
その中で太る原因になるのがカロリーです。
カロリーは食べ物の
- 糖分1g=4Kcal
- たんぱく質1g=4Kcal
- 脂質1g=9Kcal
の合計になります。
一見すると脂質がカロリー多いように見えますが、
我々のカロリー摂取の半分以上が糖分といわれています。
糖分というと甘いものを想定するかもしれませんが、
実は糖分の大部分は炭水化物です。
炭水化物は、
- ご飯
- パン
- 麺類
などのいわゆる主食といわれる食べ物に多く含まれています。
ご飯一杯150gで、
そこに含まれる炭水化物は56gと言われています。
56×4=224Kcalをご飯一杯食べただけで、
摂取することになるのです。
ちなみに身長・体重・年齢・運動量で推奨されるカロリーは違いますが、
大まかには2000Kcal前後が推奨されています。
糖分は我々の動くとき、考える時のエネルギー源になります。
一方で過剰にエネルギーが余ってるときは、
そのエネルギーをとりあえず貯えるようになります。
この貯えるための形がグリコーゲンという脂肪細胞なのです。
こうしてグリコーゲンが内臓や皮下脂肪として、
肥満の原因になるのです。
つまり肥満の原因は脂質を取りすぎて肥満になるわけではなく、
過剰に摂取した糖質が脂肪に置き換わった結果なのです。
現時点では脂質異常症も脂質が悪者ではなく、
糖分が悪者という考えに医学界でも変わってきて、
今後発表される脂質異常症のガイドラインでも
「脂質の摂取制限は緩和されるのでは?」と考えられています。
その分、糖質制限を厳しくされると予想されています。
そのため脂質の吸収のみ阻害するゼチーアは、
他の栄養素に影響を与えないため
肥満にはあまり効果がないと考えられています。
4.実際に痩せるためにはどうしたらよいのか?
カロリー摂取を制限するのと
運動によるカロリーの消費量を上げるのが一番の近道です。
おそらくこのページを読んでる人は、
「ゼチーア 痩せる」「ゼチーア ダイエット」などで
検索された方だと思います。
それらの多くの方は、
- 「このまま楽して痩せたい」
- 「食事量は減らしたくない」
- 「運動したくない」
など甘い考えを持っている方も多いかと思います。
今そういった甘い考えの人を
誘惑してだまそうとする情報がたくさんあります。
テレビでもダイエット企画として、
「〇〇を食べたら痩せる」とよく特集が組まれています。
確かに一時的には痩せるかもしれません。
しかし長期的にみて、
何かを食べ続けるというのは無理があることが多いです。
結局一時的には痩せても、
リバウンドで元に戻ることが大半です。
そのため、痩せるためには
- 食事量を減らす
- 運動を増やす
以外にありません。
特に肥満者の方は、
- 脂質異常症
- 高血糖
- 高血圧
を合併していることも多いです。
これら3つと肥満を合わせて死の四重奏と医学界では読んでます。
この4つは動脈が固くなる動脈硬化の原因になります。
動脈が固くなり、さらにプラークというコブができると、
動脈が閉塞しやすくなります。
動脈が閉塞した部位が心臓や脳などですと、
- 心筋梗塞などの虚血心疾患
- 脳梗塞・脳出血などの脳血管障害
などの病気が起きやすくなります。
これらの病気は予兆もなく、突然発症します。
死亡率も非常に高いですし、
一命をとりとめたとしても激しい痛みなどの症状、
およびその後の後遺症に悩まされる恐ろしい病気です。
これらの病気になってから
「痩せておけばよかった」と後悔しても、時すでに遅しです。
結論としてダイエットを目指すためには
まず甘い考えを捨てるのが一番です。
「ゼチーアを飲んで痩せましょう」といった
甘い誘惑にひっかからないようにしましょう。
まとめ
- ゼチーアは、小腸からコレステロールの吸収を阻害することで、
LDL(悪玉コレステロール)を低下させるお薬です。 - 肥満の原因は、カロリーの過剰摂取、
主に糖分の過剰摂取によるものです。 - ゼチーアは脂質のみしか吸収阻害しないため、
ダイエットには意味がないと考えられています。 - ダイエットは食事制限と運動療法が一番の近道です。
薬や食べ物に頼っても一時的なことが多いです。