ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
薬物アレルギー
やくぶつアレルギー
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デジタル大辞泉の解説
家庭医学館の解説
やくぶつあれるぎー【薬物アレルギー Drug Allergy】
薬物アレルギーは、薬の副作用として、アレルギー症状が出ることです。
薬の副作用には、薬剤の添付文書(てんぷぶんしょ)に注意書きがあるような、その薬物の作用からして、ある程度当然におこってくるものもありますが、ふつう薬物アレルギーといわれるのは、使用した人の素質や素因によって、薬物の通常の作用とは異なる反応が現われたものをさします。
薬物アレルギーは、薬を使用した人の3~7%にみられますが、アトピー素因のある人や膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)の患者さんにはおこりやすく、子どもはおとなに比べておこりにくいといわれています。
[症状]
薬物アレルギーは、内服、注射、吸入、あるいは塗布(とふ)によっても、症状が出ます。症状はさまざまで、重いものでは、発熱やショックなどの全身症状、肝臓や腎臓(じんぞう)の障害、貧血や血小板(けっしょうばん)の減少などもありますが、8割以上は薬疹(やくしん)(「薬疹」)と呼ばれる皮膚の症状です。
薬疹にも、じんま疹(しん)や湿疹(しっしん)、にきびのような赤い斑点(はんてん)ができる軽いものから、薬を飲むたびに同じ場所にくり返し病変が出て、そこの皮膚が変色してしまう固定薬疹(こていやくしん)、皮膚がはがれ落ちてしまう重症の皮膚炎(ひふえん)まで、さまざまなかたちで現われます。
また、皮膚症状だけではなく、ほかの臓器の症状がともなっていることも少なくありません。
さまざまな薬物アレルギーのなかでも、もっともこわいのは、アナフィラキシーショックです。アナフィラキシーとは、からだが外からの刺激に対して無防御となった状態をいいます(「アナフィラキシーショック」)。
[検査と診断]
診断にあたっては、まず患者さんに問診をして、薬物アレルギーになったことがあるかどうかを調べます。その結果と症状から、疑わしい薬物を推定して、その薬の使用を中止します。
薬を中止して、その症状が軽くなれば、その薬のなかにアレルギーの原因となった薬物が含まれている可能性が高いわけです。
しかし、原因薬物を確認するもっとも確実な方法は、誘発試験(ゆうはつしけん)です。
誘発試験とは、疑わしい薬物をいったん中止した後、再び使用して、「中止すると症状は改善するが、再び使用すると症状がぶりかえして、もっと悪くなる」ことを確かめる検査方法です。
しかし、この方法は、薬によっては危険をともなうので、慎重に行なう必要があります。
そのほかの検査としては、リンパ球刺激試験が行なわれます。これは、血液中からリンパ球(アレルギー反応を調べるにはT細胞というリンパ球)をとり出して、疑わしい薬物と反応させる試験です。
リンパ球刺激試験で反応がおこれば、T細胞は大型化(幼若化(ようじゃくか))して、DNA合成を活発に行なうので、その薬が犯人とわかるわけです。
ただ、この方法は100%信頼できるわけではありません。その薬が犯人である場合でも、この反応がおこらないことがあるからです。
アレルギー専門医では、さらに、RAST(ラスト)法などによってIgE抗体を確認したり、スクラッチ法、皮内法(ひないほう)、貼付試験(ちょうふしけん)などで、疑わしい薬物と皮膚の反応を調べる場合があります。
[治療]
薬物アレルギーの治療の原則は、疑わしい薬物をただちに中止することにつきます。中止すれば、だいたいの症状は、数日のうちに自然に治ってしまいます。
ただ、薬によっては急にやめることで、本来の病気の治療に影響が出ることもあります。自己判断でやめたりせず、必ず医師に相談したうえで中止するようにしてください。
湿疹などの皮膚症状も、薬を中止すれば数日で消えてしまいます。
症状が強い場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬などを使う必要がありますが、ほかのアレルギーのように長引くことはないはずです。
また、血液や肝臓に障害が出た場合も、薬を中止すれば比較的スムーズに改善されますが、状況によってはステロイド薬を用いることもあります。
なお、薬物アレルギーをおこしやすい薬物として、ペニシリンやセフェム系などの抗生物質、アスピリンやインドメタシンなどの解熱鎮痛薬(げねつちんつうやく)、サルファ剤や抗結核薬(こうけっかくやく)などの化学療法薬、X線造影に使う造影剤、局所麻酔薬(きょくしょますいやく)などがあります。
[予防]
薬物アレルギーを防ぐには、一度アレルギー症状をおこした薬は二度と使わないことにつきます。そのためには、アレルギーをおこした薬だけにとどまらず、疑わしいと思われる薬についても、メモしておきましょう。
名前がちがっていても、同じような作用をもつ薬はたくさんありますので、医師の処方を受けるときには、そのメモを見せて相談するといいでしょう。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
薬物アレルギー
やくぶつあれるぎー
drug allergy
なお、薬物アレルギーを誘発する代表的薬剤にペニシリンがあり、ペニシリンアレルギーの激症型(全身性アナフィラキシー)がペニシリンショックである。経口投与でもみられることがあるが通常は注射の場合で、アトピー体質者の発生頻度が高い。アナフィラキシー発生の初期(15分以内)に急性循環不全と気道狭窄(きょうさく)に対する救急処置を行うことがもっとも重要であり、その適否によって予後が左右される。[高橋昭三]
世界大百科事典内の薬物アレルギーの言及
【アレルギー】より
…すると,これらの化学伝達物質の作用によって,血管の透過性の亢進,平滑筋の収縮,腺分泌の亢進,好酸球の遊走などの反応が起こり,その結果,アレルギー疾患が起こると考えられている。I型のアレルギー反応に属する疾患としては,気管支喘息,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹の一部,アナフィラキシーショック,薬物アレルギーの一部,消化管アレルギー,昆虫アレルギーなどがある。 なおIg E産生細胞は抗原と接触する機会の多い気道や消化管粘膜にかなり多いことが知られていて,アレルギー反応の局在性を暗示している。…
【ペニシリンショック】より
…ペニシリン系抗生物質の投与により誘発され,急激な血圧の低下を伴う組織の循環障害(低酸素状態)をいう。薬物アレルギーの一つ。ペニシリンアレルギーの最も重症型で,多くの場合ペニシリン投与後数分以内に発生する。…
【薬物過敏症】より
…しかし,薬物による異常な過敏反応に関しては,その発症の機序は一様でない。大別して,アレルギー機序にもとづく場合(薬物アレルギー。ペニシリンショックはその代表例)と,代謝異常などのアレルギー以外の機序にもとづく場合がある。…
※「薬物アレルギー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報
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