随分前から気になっていること・・・それはジープじゃなく・・・ジムニーのお話。
ご存知の方も多いかと思うのですが・・・ジムニーの持病とも称される?フロントアクスルのジャダー問題です。
知り合いのジムニー・・・おもにJB23ですが(一部JA11も含まれます)殆どの方にアクスルジャダーが発生していて・・・その状態の車輌をなんらの対策もほどこさず運行させているという実体があります。
殆どが2〜3インチリフトアップされたJB23ジムニーで、なかには有名ショップで足回り組んだクルマもいれば部品だけとりよせ自分たちで組んだ車輌もありますが・・・いずれも症状に変わりはありません。知り合い10数台に聞いてみていますが、漏れなくアクスルの激しいジャダーに見舞われています。
もう随分まえになりますがオイラのSNSブログに相談のメールを直接よこされた方もいます・・・当時は2インチアップから3インチアップのキットを各ショップがリリースを開始したばかりのころで・・・2インチアップでは発生しないが・・・3インチで頻発するという事でした。3インチキットのリリースし立てで補正パーツが貧弱なためではないかな?と簡単に考えていましたが・・・。
このジャダーはシミーダンパー程度で解決できるレベルではなく・・・激しい動揺で人が歩く速度程度まで減速してようやく収まるというもので、厄介なことに60Km〜80kmHという比較的高速で発生するケースが多く・・・これが原因の物損・人身事故もおそらくは発生しているに相違ありません。
ジャダー対策?キットなるものが売られていますが・・・これはキングピン、ナックル、ジョイントのナットなどを兎に角、メーカーの基準値を無視して「締め上げる」というもので・・・これが対策?とはメカニックとしての良心があれば到底容認しがたいといわざるを得ません。たしかに対処療法としては有効ですが・・・これは所詮は一時しのぎに過ぎず・・・本末転倒で、さらに決定的に各対策部位を損傷させてしまう惧れが大です。このアクスルジャダーの根本的原因を対策しないと、何の解決にもなりません。大問題なのがこのような事態を承知しているはずのアフターマーケットの各ショップは、いまだ平然として何等の啓蒙対策もせずリフトアップキットを売りつづけているというのはどういうことなのでしょうか?
ではこのアクスルジャダーがどのように発生するか考えて見ましょう。
この現象は完全な平坦路面で発生する事はありません。両輪がゆるいギャップに乗り上げた瞬間とか片輪がギャップに落ちた場合などに多く発生します。
フロントのアクスルホーシングは車体後方からリーディングアームで支持され、さらにラテラルロッドで位置決めがなされています。タイヤはこのアクスルホーシングの両端に取り付けられ規定のキャスター角、トーに調整されています。これが何らかの外因すなわちギャップにタイヤを取られること等によって、ほんの一瞬ですがタイヤに架かっていた荷重が抜けて一気に規定のキャスター、トーが狂ってしまうのです・・・しかし車体側が正常であれば一瞬で元の規定値の状態に復元するのでギャップを何事も無く走り抜けていきます。
※そう、車体側が正常であれば何事も起きないはずなのです。
では、なぜ?それは荷重の抜けたタイヤがトー、キャスター変化を起こした状態で次の瞬間路面に衝突します・・・ここで車体側、つまりキングピン周りの緩みとか、ステアリングのタイロッド、ドラックリンク、ピットマンアームの各ボールジョイントのゆるみガタ・・・リーディングアームブッシュのヤレ等があると・・・極端なトーインからはじかれた衝撃で極端なトーアウト状態に変異し・・・これが収束する事無く次々と反復繰り返してアクスルジャダーに発展していく・・・
実はこのアクスルジャダー自体はノーマル車でも発生しているのが確認されています。それはとくにオフロードで酷使されたというわけでもない車輌でのことですが、おおむね初期型で10年を超えるような使用状況の車輌で発生しているもののようです。ブッシュのヤレとステアリングリンケージのジョイント部、キングピン、ハブのベアリング部の磨耗とガタの発生などの複合的な部品の経年による劣化が原因です・・・これはある意味「正常な経年劣化によるもの」といえるでしょう。
今回お話したいのはここで、リフトアップがこのアクスルジャダーの原因を誘発しているのではないか?ということです。
そもそもジムニーのスリーリンクのフロントサスはアクスル下側に取り付けられた二つのブッシュでしっかりと位置決めされアライメントもこのノーマル車高で調整されています。
リフトアップでアライメントが狂うのを補正するため偏芯ブッシュなどを組んだりしていますが、これも1G状態でどうにか直進性を維持できる程度であって、ストロークすれば常にアクスルは首を振ろうとするので、たちまちトーやキャスターは極端な(車高があがってアームに角度が付いているのですから・・・)数値に変化してしまうのではないか。さらに・・・リフトアップでステアリングシステムにある各ボールジョイントにはノーマル車高の時と違って入力側のリンケージ、アームには「角度」がついて余分な負荷が常に掛かっています。これはボールジョイントのヤレやガタに繋がります・・・。JBジムニーはタイロッドがアクスルの後ろに取り回されていてアクスル側で角度補正が難しい・・・
詳しい解説はきりが無いので省きますが、どうやらJBジムニーの車体側のリフトアップに対する許容度はアフターマーケット各社のイメージするものより、かなり低いものであるようです・・・。トランスファーのアップマウントであるとか・・・プロペラシャフトの入力角の問題とか書き出すときりがないので・・・また改めてにいたしますが、アクスル下ツーブッシュタイプのスリーリンクはアクスルを極端によじったりするには好ましくなく・・・ストロークアップもこのあたりを考えないといけないということですね。
と、言う訳でクボチンの言う通り、我家のJB43W改も例に漏れず発生しました。
しかもカミさんが使ってる時に(- -;)
カミさんはSJ30やJA12ですでにハンドルシミーを経験済みですが、今回は
『こんなの怖くて乗ってられるか!こんなの私の知ってるジムニーではない!!』
と、超お怒りモードで帰って来ました。
実は少し兆候が出始めていたので、テンションかける以外の補正パーツをいくつか検討
していたところで、まぁ間が悪いというか、よりによってという感じでして。
夫婦共々お気に入りだったのですが、この一件で、残念ながら元のお家に戻っていくことに
なってしまいました。
そうでしたか・・・いったんこの症状がでると・・・対策には足回り、ステアリングリンケージ、あらゆるボールジョイント、シール、ブッシュの交換が最低限度必要になるでしょう。それでも時間の問題で再発の可能性があります・・・ファミリーカーであり、ご家族も運転される車輌としてはいささか不適でありましたね。・・・もとのお家にお引取りいただいたのは賢明なご判断だと思います。