F1のドライビング・テクニック - ターン、オーバーテイク、アウトブレーキング
レーストラックを観察して、あらゆるターンを分析して最も速いルートを見つけようとするなら、最終的にレーサーが「ライン」と呼ぶものがわかるだろう。「ライン」という単純な用語は、ターンに進入しアペックスを横切りできるだけ速いスピードで抜ける最高の方法を意味している。レースを見れば、ドライバーがターンするときにトラック外側に向いて、ターン内側の縁石に短時間触れるように通過し、再びトラック外側に向かって加速してストレートに進むのがわかるだろう。
ほとんどのサーキットではラインを見つけるのは簡単である。というのも、常にマシンが走るのでトラックの上にゴムの痕跡が残るので、タルマック舗装が黒っぽくなっているからだ。各ターンで正しいラインをとれば、確実に速くてスムーズな周回ができる。しかし、ターンの種類によってラインがことなることを理解することがコツである。どのサーキットも同じ半径のカーブばかりで構成されていたら、ラインは単純なものになるだろう。しかし多くのターンはさまざまな角度を持っており、ときにはひとつの長いコーナーに2つのアペックスがある場合もある。さらに、急角度のヘアピンでは、マシンは安全に曲がるために減速して、這うようにインサイドにはりつかなければならない。
ターン
インテルラゴスのバックストレートの最後にある高速コーナーを例にとろう。最高のレーシングラインは、3つのポイントとして見ることができる。
A) はターンの入り口である。通常ブレーキング・ゾーンの終わりにあり、実際にマシンがコーナーに入る場所である。
B) はアペックス、あるいは「クリッピング・ポイント」である。ここはターンの中で最も低速の部分で、マシンはコーナー内側に最も接近する。
C) は出口で、マシンはストレートラインに戻る。コーナーで最速の部分である。
ターンを曲がるとき、ドライバーは「ランブル・ストリップ」(舗装の端にあるランオフ・エリア)を含めてできるたけトラックを広く使うようにしなければならない。そして最優先事項は、できるだけすぐに馬力を上げることである。
ドライバーにとって問題となるのは、トラック上の誰もが同じラインをとろうとすることである。したがって他のドライバーを追い抜くためには、次に速いラインをとり、マシンがそのドライバーを「力で抑える」ことを願うしかない。
モンツァのヴァリアンテ・アスカリの写真を見てみよう。最適ラインはひとつしかない。そのため、このようなコーナーではオーバーテイクが非常に難しく、マシンは一団となって続いてコーナーを抜けることになる。
ステアリング
トラック上、特にコーナリングの際のマシンの挙動に関する特定の定数がある。どのような所定の状況においても、レースマシンは、アンダーステア、オーバーステア、ニュートラルという3つのコーナリング傾向を示すものだ。ニュートラルが理想的であるが、この状態になることはほとんどなく、実際にはレース全体を通して維持されることはない。
アンダーステア
マシンがターンに近づくと、ドライバーはブレーキをかけホイールの向きを変える。フロントのグリップが低下し、マシンはターンの外側に向かって横滑りを始める。アンダーステアがひどい場合は、マシンはちゃんと曲がることができずにトラックから外れてしまう。
アンダーステアをコントロールするためには、前輪により多くのグリップが必要になる。そのためには、ホイールがより大きなグリップを得られるようスロットルをゆるめるか、ブレーキをより激しく踏んで荷重をフロントに移動させ、フロントタイヤにダウンフォースを与えればよい。しかし、レーシングにはスピードが重要なので、これらの解決策は逆効果である。そこで、フロント・ウィングを調整して必要なダウンフォースが得られるようにする。アンダーステアのマシンは、アクセルとブレーキを慎重に使ってコントロールすることができる。
オーバーステア
オーバーステアはアンダーステアの逆である。つまり、前輪には大きなグリップがあるが、マシンの後部はトラクションを失う。通常オーバーステアはブレーキ・バイアスの不均衡、タイヤの磨耗、不適切なウィングなどが原因である。普通、次第に発生するアンダーステアとは異なり、オーバーステアは警告なしに突然発生することがある。これを補正しないと、リアエンドのブレーキがあまくなり、マシンはコントロール不能のスピンをする。
オーバーステアを補正する方法として、横滑りしていく方向と逆にホイールを向け、パワーダウンしてスピンから脱する。元ザウバーのジャン・アレジなどのドライバーは、攻撃的なドライビング・スタイルに合うのでオーバーステアのマシンを好んでいた。これは観客を喜ばせることになるかもしれないが、サーキットを周回する最速の方法ではないことが多い。
ニュートラル
これが理想である。基本的に、後輪の横滑りは前輪の横滑りに対応したものである。四輪とも同じ方向に滑る。ドライバーは、単にコーナーの入り口にマシンを向ければ前輪がまっすぐになるので、ハンドルを切る必要はない。
ブレーキング
F1ドライバーはできるだけ高速を望むことがわかっているので、基準点を一つ以上選ぶことが必要である。ほとんどのドライバーは、広告看板などを頼りにターニング・ポイントやブレーキング・ポイントを判断している。すべてのサーキットでは各コーナーに100m、200m、300mの標識が立てられているが、この標識を見てどこで何をすべきかがわかるドライバーはほとんどいない。
ブレーキング・ポイントをできるだけ遅らせるために、メカニックはレーシングの歴史の中で、実際のマシンが時速100kmから19m以内に停止することを可能にした。非常に効率のよいブレーキ、軽量のマシン、幅広いタイヤのおかげでF1マシンはブレーキングに関しては無敵である。ドライバーがこのブレーキ力をうまく活用できない場合、一輪以上をロックさせることになる。
オーバーテイク
ほとんどのサーキットにおけるレーシングラインは非常に狭いので、長いストレートのあとにいくつかのテクニックを利用して追い越しをすることになる。そのテクニックのひとつに、スリップストリーミング(ドラフティング)があるが、マシンはエアロダイナミック補助を多用するようになったので、このテクニックはますます難しくなっている。基本的に、ドラフティングは、あるマシンが先行マシンの背後にぴったりついて高速で走行することである。前を走るマシンが空気抵抗を切り裂く道具となるので、後続マシンの負荷が低下する。これによってエンジンを温存しつつ同じ速度を出すことができる。
この「軟らかい」空気層は、先行マシンの約20-75フィート(6-22m)後方から始まる。2台目のマシンは先行マシンについて行き、チャンスが到来すると先行マシンの背後を離れてインサイドから抜くのである。
F1におけるドラフティングは近年減りつつある。というのも、最新マシンの先進エアロダイナミクスにより「軟らかい」空気層は今では先行マシンのリア・ウィングが作り出す乱気流で満たされているからである。この乱気流は後続マシンのフロント・ウィングをクリーンに流れて行かないのでダウンフォースを妨害する可能性がある。つまり後続ドライバーは馬力の面でアドバンテージを受けるかもしれないが、ハンドリングが乱れて追い越しが難しくなることが多い。
アウトブレーキング
もうひとつの一般的な追い越し方法は、ターンの入り口で相手をアウトブレーキすることである。これは遅いマシンの前に入る目的で相手よりブレーキを遅くかけ、相手をラインから外すことである。これが成功すれば「ブレーキを遅らせたドライバー」がコーナーのラインを奪い、ライバルは遅いラインを取らざるを得なくなる。このときに追い越そうとしているマシンが判断ミスをすると、アペックスを過ぎてマシンが外に押しやられる。その結果、ターン出口でまたライバルがリードを奪い返し、追い越そうとしていたマシンはスピンしてコースアウトする場合が多い。
ほとんどのサーキットではラインを見つけるのは簡単である。というのも、常にマシンが走るのでトラックの上にゴムの痕跡が残るので、タルマック舗装が黒っぽくなっているからだ。各ターンで正しいラインをとれば、確実に速くてスムーズな周回ができる。しかし、ターンの種類によってラインがことなることを理解することがコツである。どのサーキットも同じ半径のカーブばかりで構成されていたら、ラインは単純なものになるだろう。しかし多くのターンはさまざまな角度を持っており、ときにはひとつの長いコーナーに2つのアペックスがある場合もある。さらに、急角度のヘアピンでは、マシンは安全に曲がるために減速して、這うようにインサイドにはりつかなければならない。
ターン
インテルラゴスのバックストレートの最後にある高速コーナーを例にとろう。最高のレーシングラインは、3つのポイントとして見ることができる。
A) はターンの入り口である。通常ブレーキング・ゾーンの終わりにあり、実際にマシンがコーナーに入る場所である。
B) はアペックス、あるいは「クリッピング・ポイント」である。ここはターンの中で最も低速の部分で、マシンはコーナー内側に最も接近する。
C) は出口で、マシンはストレートラインに戻る。コーナーで最速の部分である。
ターンを曲がるとき、ドライバーは「ランブル・ストリップ」(舗装の端にあるランオフ・エリア)を含めてできるたけトラックを広く使うようにしなければならない。そして最優先事項は、できるだけすぐに馬力を上げることである。
ドライバーにとって問題となるのは、トラック上の誰もが同じラインをとろうとすることである。したがって他のドライバーを追い抜くためには、次に速いラインをとり、マシンがそのドライバーを「力で抑える」ことを願うしかない。
モンツァのヴァリアンテ・アスカリの写真を見てみよう。最適ラインはひとつしかない。そのため、このようなコーナーではオーバーテイクが非常に難しく、マシンは一団となって続いてコーナーを抜けることになる。
ステアリング
トラック上、特にコーナリングの際のマシンの挙動に関する特定の定数がある。どのような所定の状況においても、レースマシンは、アンダーステア、オーバーステア、ニュートラルという3つのコーナリング傾向を示すものだ。ニュートラルが理想的であるが、この状態になることはほとんどなく、実際にはレース全体を通して維持されることはない。
アンダーステア
マシンがターンに近づくと、ドライバーはブレーキをかけホイールの向きを変える。フロントのグリップが低下し、マシンはターンの外側に向かって横滑りを始める。アンダーステアがひどい場合は、マシンはちゃんと曲がることができずにトラックから外れてしまう。
アンダーステアをコントロールするためには、前輪により多くのグリップが必要になる。そのためには、ホイールがより大きなグリップを得られるようスロットルをゆるめるか、ブレーキをより激しく踏んで荷重をフロントに移動させ、フロントタイヤにダウンフォースを与えればよい。しかし、レーシングにはスピードが重要なので、これらの解決策は逆効果である。そこで、フロント・ウィングを調整して必要なダウンフォースが得られるようにする。アンダーステアのマシンは、アクセルとブレーキを慎重に使ってコントロールすることができる。
オーバーステア
オーバーステアはアンダーステアの逆である。つまり、前輪には大きなグリップがあるが、マシンの後部はトラクションを失う。通常オーバーステアはブレーキ・バイアスの不均衡、タイヤの磨耗、不適切なウィングなどが原因である。普通、次第に発生するアンダーステアとは異なり、オーバーステアは警告なしに突然発生することがある。これを補正しないと、リアエンドのブレーキがあまくなり、マシンはコントロール不能のスピンをする。
オーバーステアを補正する方法として、横滑りしていく方向と逆にホイールを向け、パワーダウンしてスピンから脱する。元ザウバーのジャン・アレジなどのドライバーは、攻撃的なドライビング・スタイルに合うのでオーバーステアのマシンを好んでいた。これは観客を喜ばせることになるかもしれないが、サーキットを周回する最速の方法ではないことが多い。
ニュートラル
これが理想である。基本的に、後輪の横滑りは前輪の横滑りに対応したものである。四輪とも同じ方向に滑る。ドライバーは、単にコーナーの入り口にマシンを向ければ前輪がまっすぐになるので、ハンドルを切る必要はない。
ブレーキング
F1ドライバーはできるだけ高速を望むことがわかっているので、基準点を一つ以上選ぶことが必要である。ほとんどのドライバーは、広告看板などを頼りにターニング・ポイントやブレーキング・ポイントを判断している。すべてのサーキットでは各コーナーに100m、200m、300mの標識が立てられているが、この標識を見てどこで何をすべきかがわかるドライバーはほとんどいない。
ブレーキング・ポイントをできるだけ遅らせるために、メカニックはレーシングの歴史の中で、実際のマシンが時速100kmから19m以内に停止することを可能にした。非常に効率のよいブレーキ、軽量のマシン、幅広いタイヤのおかげでF1マシンはブレーキングに関しては無敵である。ドライバーがこのブレーキ力をうまく活用できない場合、一輪以上をロックさせることになる。
オーバーテイク
ほとんどのサーキットにおけるレーシングラインは非常に狭いので、長いストレートのあとにいくつかのテクニックを利用して追い越しをすることになる。そのテクニックのひとつに、スリップストリーミング(ドラフティング)があるが、マシンはエアロダイナミック補助を多用するようになったので、このテクニックはますます難しくなっている。基本的に、ドラフティングは、あるマシンが先行マシンの背後にぴったりついて高速で走行することである。前を走るマシンが空気抵抗を切り裂く道具となるので、後続マシンの負荷が低下する。これによってエンジンを温存しつつ同じ速度を出すことができる。
この「軟らかい」空気層は、先行マシンの約20-75フィート(6-22m)後方から始まる。2台目のマシンは先行マシンについて行き、チャンスが到来すると先行マシンの背後を離れてインサイドから抜くのである。
F1におけるドラフティングは近年減りつつある。というのも、最新マシンの先進エアロダイナミクスにより「軟らかい」空気層は今では先行マシンのリア・ウィングが作り出す乱気流で満たされているからである。この乱気流は後続マシンのフロント・ウィングをクリーンに流れて行かないのでダウンフォースを妨害する可能性がある。つまり後続ドライバーは馬力の面でアドバンテージを受けるかもしれないが、ハンドリングが乱れて追い越しが難しくなることが多い。
アウトブレーキング
もうひとつの一般的な追い越し方法は、ターンの入り口で相手をアウトブレーキすることである。これは遅いマシンの前に入る目的で相手よりブレーキを遅くかけ、相手をラインから外すことである。これが成功すれば「ブレーキを遅らせたドライバー」がコーナーのラインを奪い、ライバルは遅いラインを取らざるを得なくなる。このときに追い越そうとしているマシンが判断ミスをすると、アペックスを過ぎてマシンが外に押しやられる。その結果、ターン出口でまたライバルがリードを奪い返し、追い越そうとしていたマシンはスピンしてコースアウトする場合が多い。
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