バウムテストの技法的な理解

◎樹木描画法

セラピストは作画者がどのような感情や苦悩、願望を投影しているのかを適切に分析していく作業が最も重要です。


◆ バウムテスト:解釈(技法的な理解)

[用紙の使い方]
◆画用紙を横向きに使用   :自分の置かれている立場に不満を持っている。無意識のうちに周りに反発してしまう傾向がある。まわりに合わせるのでなく、まわりが自分に合わせるべきであるという自己中心的なところがある。空想世界に逃避しやすい傾向がある。

[筆圧]
◆筆圧が強い(線が強く太い):自己主張が強く攻撃的。活発な人。積極的。
◆筆圧が弱い(線が細い)  :不安を抱えていて無気力。恐怖におびえている。消極的。
◆筆圧が強いところと筆圧が弱いところがある:情緒不安定。衝動的行動をとってしまうことがある。

[絵を描く早さ]
◆措くのがかなり早い    :衝動的な人。衝動買いをしてあとで後悔することが多い。
◆描くのが丁寧で遅い    :慎重な人。時間内に描き終わらない場合は、いつも慎重に物事を考えすぎて一歩踏み出すのが遅く、機会を逃すことが多い。

[絵を描く順番]
◆木を措いてから地面を描いた:普段は安定しているが、急に不安定になり、キレたりすることがある。
◆樹冠(葉の部分)を一番最初に措いた人:不安定で、表面的な見栄えや虚飾を求める傾向がある。
◆地面を描いてから木を描いた:他人に依存する傾向がある。

[木の大きさ]用紙に対して木の大きさは、用紙の1/3~4/5を適切なサイズ(普通の大きさ)として、それ以上を大きい、それ以下を小さいとする。
◆大きな木         :自分に自信がある人。自己中心的。
◆普通の大きさの木     :周りともバランスがとれる人。
◆小さい木         :自分に自信がない。萎縮している。今の生活に不満があり安定を求めている。

[木の位置]
◆用紙の中心        :精神的に安定している。
◆用紙の右側        :無意識に相手を支配しようとする傾向がある。
◆用紙の右上        :慎重に計画的に物事を考える人。
◆用紙の右下        :自己愛が強い。ナルシスト的なところがある。
◆用紙の左側        :内向的で現実逃避傾向がある。
◆用紙の左上        :空想、妄想、ひきこもり傾向がある。芸術家的なところがる。
◆用紙の左下        :過去に囚われ、将来にも不安を感じている。
◆用紙の上側        :空想的で飽きっぽい。
◆用紙の下側        :現実主義。

[木の種類]
◆常緑樹          :活力にあふれていて、理想を持っている。
◆落葉樹          :周りに支配されている。周りをかなり意識している。
◆やしの木         :(シュロの木)現実逃避、孤立、やすらぎを求めている。
               (元気の良いやしの木)性的関心の高まり。
◆竹            :現実逃避。孤立。
◆パパイヤの木       :現実逃避。孤立。
◆かしの木         :抑うつ、内向的、ひきこもり傾向。外部を無視。自分の世界。
◆盆栽(植木鉢に植栽)   :不安定で現実社会の圧力から逃れている。自立心の乏しく独立心が欠如し、服従す
る傾向。井の中の蛙状態で、空威張りはするが世間のことをわかっていない。
◆沢山の広葉樹       :みんなと同じでないと不安。
◆丘の上の広葉樹      :リーダー的存在。
◆広葉樹で樹冠部が異常に大 :雰囲気に流されやすい。空想好き。諦めがはやい。
◆針葉樹を沢山措いている  :優劣を気にしている。
◆丘の上の針葉樹      :独裁者的なところがある。
◆針葉樹で樹冠部が異常に大 :権威に弱い。

[木のバランス]
◆測ったように左右対称の絵 :不安が強く、抑うつ傾向がある。自尊心が低く、劣等感や自己抑制のために引きこ                     
               もりの傾向。 子ども返りを起こしていたり、何かに依存している可能性も高い。
◆左右のバランスが非対称の絵:不安状態でケアレスミスを繰り返すことが多い。気分が高揚し過ぎて、ハイな状態  
               になってしまい、周りから浮いてしまうことがある。ヒステリックに相手を攻めて 
               しまう傾向。
◆マンガチックな絵     :現実逃避。ユーモアのセンスがある。皮肉的な見方をする傾向もある。
◆全体を詳細に措いている  :完璧主義。細かいことまで気にし過ぎ。強迫的になってしまい、重要なものと、そ   
               うでないものの判別が難しい。
◆全体的に絵が雑      :心が不安定。現実吟味能力も低下している。飽きっぽい性格。
◆木を2本描いている    :自分の過去を抑圧している傾向がある。新しい自分を再構築していこうとしてる。
◆3本以上の木を描いている :自主性が欠如している。集団の中での自分を見失い、自分自身の価値観を持ってい
               ない。
◆並木を描いている     :社会的圧力に過敏で、自主性が乏しい。
◆短い幹と大きな冠部    :周りから認めてもらいたい気持ちが強い。自分自身に対する評価は高く、他者の欠
               点は目に付いて気になってしまう。
◆長い幹と小さい冠部    :精神面での発達が遅れている。大人になりきれていない。(幹が異常に長い場は、
               自分から積極的に立ち向かうことができず、周り任せにする傾向がある。)
◆シミがある        :虐待。心的外傷体験。不安。
◆短い幹と大きな冠部    :周りから認めてもらいたい気持ちが強い。自分自身に対する評価は高く、他者の欠
               点は目に付いて気になってしまう。
◆長い幹と小さい冠部    :精神面での発達が遅れている。大人になりきれていない。(幹が異常に長い場は、
               自分から積極的に立ち向かうことができず、周り任せにする傾向がある。)
◆現実ではない空想的な絵  :精神的に未成熟。
◆幹が一本の線で措かれている:未熟。現実から逃げる傾向がある。自信がなく決断力に欠ける。
◆不連続線         :自我境界の崩壊。やる気が起きず、前向きに物事を考えることが出来ない。
◆開放幹          :成長しきれていない。問題が起こっても逃げて先送りしてしまう。自我の境界が破
               れて内的衝動が流失する危険がある。
◆膨らみとくびれ      :まわりには良い顔をしてしまい、怒りや不満を溜め込む人なのでストレスが溜まっ
               てきている状態。
◆基部の広がり       :精神的に不安定。ちょっとしたことが気になり落ち込みやすい。
◆蛇行した幹        :外界の妨害により欲求が抑圧されている。
◆根元の強調        :安定した毎日を送りたいという思いが強い。今の生活に不安を感じている。
◆幹の強調         :自我肥大。自己への執着がある。
◆樹皮の傷         :疑い深く人を心から信じることができずに過剰防衛してしまう傾向。そのために周
               りとの摩擦がおこりやすい。
◆右を強調している     :現実から未来に意欲が出ている。前向きに物ごとを考えることが出来ている。
◆左を強調している     :過去の出来ごとや自分自身の内面への執着が強く出ている。
◆鉛筆を斜めに使い幅が広い線:自分の衝動を抑えられない不安を持っている。自分に自信が持てず、相手に対して
               は融通が利かず、正確さを求める傾向。
◆電柱のような幅が均等な幹 :頑固で融通性がない。
◆震えたような細い線    :精神的に不安定。薬を服用していたり、薬物をやっている可能性もある。
◆つつかえ棒がある     :自分で出来ることでも他人に頼る傾向。
◆右から風が吹いていると推測:社会からの強い圧力、影響を受け、内側に引きこまざるをえない状態。
◆左から風が吹いていると推測:やる気がないのに働かされている。やる気がないのに学校にいかされている。やる
               気がないのにサークルや活動に参加させられている。
◆意表をついた絵      :相手の言葉を素直に受け取らず、へそ曲がりなところがある。
◆幹が右に曲がっている   :自分の意思に反して社会に順応させられている。お人好しで、NOと言えない。
◆幹が根元から分かれている :多重人格。
◆幹が大きく曲がっている  :ひねくれもの。
◆幹が短線の重なり     :感受性が異常に強い。
◆幹が平行線        :融通性がない。
◆幹に樹皮の模様      :自分が人からどう思われているかを異常に気にする。人との関係に敏感である。人
               の視線を気にしすぎる。
◆幹の折れた木       :立ち直れないほどの挫折感を感じています。
◆幹の途中が膨らんでいる  :自己顕示欲が強く、欲求不満になっている
◆幹を黒く塗る       :自分自身が嫌い。自分自身の存在を否定。幼児期に親の愛情をあまり感じていない
               可能性もある。
◆投げやりな感じ      :わがままで、社会のモラルから外れた行為をする可能性。
◆幹が左に曲がっている   :引きこもる傾向がある。
◆左側に枝葉が偏っている  :引っ込み思案で協調性に欠ける。
◆左側にはみ出した枝    :内面世界ばかりみつめている、孤高な雰囲気。宗教にはまる可能性がある。
◆左側の枯れた枝      :内面の何かを捨て、新しいものが生まれ変わる
◆木が上から押し潰されている:目上の人の存在に異常なプレッシャーを感じている。目上の人の前ではうまく自己
               表現できない。
◆木が草や竹に見える    :決断力に欠ける。意志薄弱。
◆肥大した木        :わがまま。自己肥大。
◆木が描けない       :本当の姿を知られたくない。
◆木が判然としない     :母子の分離ができていない。
◆木の輪郭が太く縁取り   :防衛。外界に対する不満。
◆輪郭だけしか措いていない :非常に攻撃的な性格。社会との接点にしか意識を向けていない。
◆キノコ型         :性行為に対しての異常なほどの興味。もしくは嫌悪感。
◆樹冠部分が斜線      :神経過敏、気分の浮き沈みが激しい。
◆左上に木が描かれている  :存在感の希薄。
◆絵が左側に寄っている   :引きこもり。逃避。
◆右縁にくっ付き半分見えない:消極的。いつも誰かに依存している。
◆左縁にくっ付き半分見えない:社交的に振舞うことで自分を防御している。
◆右上に向かった並木道   :目標に向かってやる気を出している。
◆真上に向かった並木道   :人生の意味を見つけ前向きな状態。
◆左上に向かった並木道   :退職、離婚など。何かをやめようかと悩んでいる。
◆右側に枯れた木      :捨てつつある自分。
◆二本の木の入れ替わり   :二重人格。
◆紙に収まりきらない大きな木:自己中心的で、わがまま。規律の枠組みに収まらない人。
◆木が上半分に浮いている  :親子関係がうまくいっていない。空想の世界や宗教にはまる可能性がある。
◆根の浮き上がり      :誇張して自分を実際以上の存在に見せようとしている。
◆下から見上げた木     :願望があるが、他人に話せない。物ごとに執着して諦めきれない状態。
◆上から見下ろす木     :自信過剰。
◆幹のウロ         :外傷体験。(心的外傷があったと思われる年齢。)

[枝・葉・根・実]
◆幹だけを描いて枝や根がない:エネルギーに乏しく、ひきこもり傾向がある。抑うつ傾向もあり、情緒不安定な状
               態でいる。
◆幹と樹冠や枝だけ詳細に描く:他人に対して柔軟な態度で接するのが苦手な傾向。
◆木にりんごなどの実を描く :目標を達成した。女性の場合は、子どもが欲しいという要求。幼児的な依存欲求も
               ある。
◆沢山の実を丁寧に描いてある:要求水準が高く、成果を求めている。
◆ビッシリと沢山の実を描く :精神的に病んでいる。
◆複数の種類の実を描いてある:ユーモアのセンスがある。現実逃避傾向。いろいろな事に興味を持ち、短絡的に成
               果を求める傾向。精神的に未成熟。
◆下に落下した実を描いている:諦めや敗北。女性の場合は、子どもの独立や流産の場合がある。
◆大きな枝しか描いていない :外交的だが、人に影響されやすく多方面に興味を持つ傾向。
◆枝が放物線状に広がっている:なんにでも興味・関心を持つ。注意力散漫で不安定。
◆大きすぎる葉っぱ     :無力感を持ちながらも表面的には適応している。
◆葉脈           :対人関係が過敏で、人の目を気にする。
◆散っている葉       :周りに同調できない。自分の考えを隠しておけない。外界の圧力により統率力を失
               ったことがある。自分の存在を認めて欲しいという傾向。
◆切り取られた枝      :自分の可能性が発揮できない。周りから認めてもらえないことに対して挫折感を覚
               えている。
◆枝先の切断        :才能の伸びがなにかに阻害されている。
◆鋭い尖った枝先      :他人に対して批判的な態度や攻撃的態度をとってしまう。
◆木の中の切り株      :心理的な外傷経験。
(実のなる木が伐った後の
 切り株しか描かれてない場合:過去と決別し、自分の意志で新しい人生を歩もうとしている)
◆鋭い枝先         :批判的、攻撃的な感情を持っている。
◆地面から生えた苗木・若木 :自分が未成熟だという感情を持っている。退行傾向がある。新たなことにチャレン
               ジしようという前向きな気持ちが出ている。
◆小枝に分かれている枝がある:平和と調和を重視する人。揉め事が嫌い。何事に対しても妥協してしまう傾向。
◆小枝が著しく多い     :空想にふける傾向。軽い躁状態で、気持ちが高ぶりまわりに迷惑をかける言動をす
               る可能性もある。
◆交差した枝が多い     :自己中心的な人で独創性がある。感受性豊かで芸術家タイプ。他人に対しては批判
               的で、完壁を追求する傾向がある。周りからは煙たがられ扱いづらい人だと思われ
               ることが多い。
◆鋭角でギザギザの線    :強い敵意を持っていたり衝動的な行動をとることもある。常に不安を抱えている。
◆丸みがある曲線      :やさしい性格ですが厳しさに欠けるところがある。慣習を無視する傾向もある。他
               人に対して甘えがあり、依存する傾向。
◆部分部分に陰影      :自分自身の感受性を明確に意識していない。時にキレて攻撃的に豹変する。
◆一部に陰影        :恥じる出来ごとがあった。抵抗できない他からの影響を受けている。
◆グニャグニャ曲がった枝  :執念深く、異常にこだわりが強い。マニアック。
◆右縁から枝がはみ出す   :迷惑行為を平気で行う人。人を見下したりいじめたりする傾向。
◆右側だけに枝が集中している:自信家に見えるが、内面は劣等感の塊である。
◆右側に張り出した枝    :外の世界ばかり気にして深く考えずに行動してしまう。
◆枝が下がって元気がない  :好みに合わない環境により無気力になっている。
◆枝が次々と変わる     :気分の変化が異常に激しい。
◆枝が棚状に硬直      :指示がないと動けない。
◆枝が噴水状に上に広がる  :なげやり。注意力散漫。
◆枝のくびれ        :急激な環境変化での窒息感。
◆枝の根元に線       :屁理屈な人。自分は常に大丈夫、安全だと思い込んでいる。
◆寸断された下枝      :幼さを残している。自分本位でわがまま。周りの状況が読めない。
◆それぞれの枝先を覆う   :人の前では本音を見せない。
◆葉がない         :孤独を感じることが多い。自分をうまく表現できないため、人とのかかわりが苦手
               である。今までの生き方、価値観が変わるとき。
◆葉はないが実がなっている :目先の目標はとりあえず達成した。
◆葉を一枚一枚丁寧に描く  :自己顕示欲が非常に強い。
◆葉が茂った        :逆境を解決し目標に到達した。
◆葉だけを措く       :観察力はあるが物ごとの全体が見えていない。
◆葉や小枝を切り込んでいる :厳格な親に育てられた。真面目、凡帳面。融通性がなく、応用力に欠ける。
◆落ち葉          :大きな失敗、挫折の暗示。目標が達成され、一時的に虚脱状態になっている。
◆枝が柳のように垂れ下がる :抑うつ状態。
[地面]
◆用紙の下を地面と見ている :不安感を持っていて、落ち込みやすい。
◆丘の上に立っている    :自分中心にしか物事を考えられないので周りからは、浮いてしまう傾向。
◆狭い丘の上        :出世したいとか、人の上に立ちたいという願望はあるが力が伴わない。
◆地面が傾いている     :親子関係や夫婦関係がうまくいっていない。金銭面や浮気など生活基盤も不安定に
               なっている。
◆黒く塗りつぶされた地面  :身近な人に不信感や嫌悪感を持っている。
◆柵で木の周りを囲んでいる :臆病で用心深い。自分たちがよければ、周りが不幸になっても気にしない。
◆埋もれるほど草を描く   :居心地がいいので怠けたいという気持ちが強い。人に対して依存や甘えが強い。
◆地面を石で固めている   :臆病で用心深い。凡帳面な性格だが冷たいところがある。
◆凸凹している地面     :心配性。不安感が強い。
◆下の縁が地面       :親からの分離不安。
◆地平線が高い       :現実逃避状態にある。

[木以外のもの]
◆ツタなどを措いている   :女性的な人で、人に依存する傾向。野心家で生命力が強いという面もある。
◆蛇などが絡まっている   :親などに対する煩わしさを感じている。
◆鳥を描いている      :明るい気分で希望を持っている。
◆鳥や卵のある鳥の巣を描く :明るい気分で希望を持っている。家族の暖かさを感じたり、求めている。
◆カラの鳥の巣を描いている :喪失感や無力感。
◆巣箱を描いている     :他人に善意を持っていたり、他人からの善意を期待している。
◆小さな昆虫を描いている  :依存性があり、未成熟な部分がある。自己蔑視している可能性。
◆山を描いている      :親離れできていない。
◆左に太陽、右に影     :やる気に満ちている状態。
◆雲、雨          :隠し事をしている。
◆花、蝶、鳥、昆虫に囲まれる:人にチャホヤされたい。目立ちたいという気持ちが強い。
◆黒の額縁         :自殺願望が出ている。
◆右に太陽が左に影がある  :自分自身を見つめなおしているとき。自分自身のことを理解し一歩踏み出そうとし
               ている。
◆曇り空や霧        :外部との関係がうまくいかずにつらく悲しい思いをしている。

[塗った色]
◆灰色           :不安定。寂しさ。
◆黒            :自信のなさ。
◆紫            :不安感。
◆赤            :感情が激しくて不安定。