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2012年11月03日
■靴磨きとケアは1日にしてならず
今まで紹介してきました、MEN’S EX特別編集のムック『最高級靴読本』のメンテナンス版『究極メンテナンス編』です。今までは、最高級靴読本の後ろのページに甘んじていたメンテナンス特集が主役。いろいろ試してきた方は、この1冊でマニアックなメンテナンス方法を学ぶことできます。というのも、靴のメンテナンスには矛盾が常につきまとうということ。また、既存の雑誌などでは良いと思っていたことも、靴職人達から見ればダメよということもあったりと、発見があるかもしれません。
■靴は光り輝かせるほどダメージを与える諸刃の剣
靴を光らせる作業が実は靴にダメージを与える要因と密接な関係にあるという事実を直視できる人はまだ多くないようです。高級靴のメンテナンスは、よく女性のお化粧にたとえられますが基本のケアを続けることで、今はもちろん10年、そして20年後が大きく変わります。磨きとケアの矛盾とはロウによって革が光るのにロウの膜をそのまま維持しておけないこと。つまり光らせれば光らせるほどその後のケアが絶対的に必要なのです。
靴磨きに力を入れている方なら、直視する問題ではないでしょうか?このバランスに、靴メンテナンスの極意がつまっているとおもいますが、本当に難しい。
とはいえ、その理由や対応を理解し、そして定期的なクリーニングを行なってさえいれば、どれだけ光らせようが問題はありません、とも説明していまして、その理由が展開されていくわけです。「かつてのメンテ本には絶対に載っていない磨きとケアの情報を盛り込んだ」、とMEN’S EXが堂々と宣言しているところに自信を感じますが、看板に偽り無しだと思います。マニアック過ぎますけどね(笑)。
■プロの教える靴メンテナンスは意外なことがある
「磨きを極める座談会」「シミと汚れの修復座談会」「シューツリーの選び方」という対談がありまして、これがコアですし主張がが異なる内容もあります。
ユニオンワークス代表の中川一康氏が話の進行をつとめ、靴磨き職人の長谷川裕也氏、松室真一郎氏が磨き座談会に登場。ポールワークス代表の丸谷誠氏、テラス代表の伊藤友介氏が修復座談会に登場。シューツリーの選び方には、WFGマーチャンダイザー日高竜介氏、荒川産業マネージャーの鈴木達之氏。どちらも、靴のケアに関するディープな対談を展開。いろいろ意外だったことがありました。
1、靴はプレメンテナンスが大事
すいません、正直あまりしていませんでした!だってね、買ったらすぐ履きたくなっちゃうんですよ。だから、服オタの道が遠くなるわけで(汗)。
3者が揃って主張しているのがプレメンテナンスの重要性。プレメンテナンスとは、最初に履く前のメンテナンスです。このことが書かれている本がなかなかない、いや、あるんだろうけど気づかなかった。具体的にどうするかというと、専用の乳化性クリームを浸透させることです。でないと、新品を慌てて履いたためにひび割れを起こすということが結構あるらしい。特にコードバンは気をつけないといけないと。その後ワックスをで磨くのがよいそうです。
2、シューツリーの装着するタイミング:翌日早朝 VS 帰宅直後
これは一番意外でしたし、このムックで意見が分かれるという。僕は即ハメ派なので。深い意味はないです(笑)。
帰ってすぐ装着する方が多いのですが、あれは汗を閉じ込めます。ツリーは翌朝、ある程度汗が蒸発した段階で入れます。そもそも洗濯物は風に当てて乾かしますよね。木じゃ乾きません。
洗濯物で表現するとは。一番は帰ってきた翌朝だそうです。これは、長谷川裕也氏、松室真一郎氏、丸谷誠氏、伊藤友介氏が「汗」の対策としてこのことを主張していますが、日高竜介氏は異を唱えます。
湿気を抜くために翌朝までシューツリーは入れないんじゃないの?という問に、日高竜介氏いわく・・・、
一理ありますが、何を優先するかという話だと思うんです。私に言わせれば、革がもっとも変形するのは汗が蒸発するとき。そこでツリー入れなくていつ入れるんだって話です。
蒸発したら革が硬くなるだろうが!湿気に神経質になりすぎるのもよくないよ、というお話。しかし、普段からシワ部分にもクリームを使ってケアしている人であれば翌朝派もありということですが。よし、これは「矛楯(ホコタテ)」で勝負してもらおう(笑)。
3、汚れ落としにステインリムーバーはほどほどに
これも靴好きなら分かることかもしれませんが、ステインリムーバーとは、M.モゥブレィ・ステインリムーバーのことです。以下。
靴のメンテナンスなら、M.モゥブレィだろ、という私には耳の痛い話です。ゴシゴシと擦りすぎて革をダメにする人が多いと書かれています。なんでかというと、M.モゥブレィ・ステインリムーバーが水性なんですね。水性ということは、サラサラしているので、汚れに対してブラシのように取れないこともある。でも、落ちると信じてゴシゴシやってしまう、逆効果になる。職人いわく、シミも汚れも、ワックスも落ちないという言われよう(苦笑)。少し使うことが大事だそうです。ともに、ブラシ、乳化性クリームで栄養を補給してあげながら、クリーニングするということが書かれていますよ。
実際、どんな感じで靴のメンテナンスするの?という動画が、以前ご紹介したサヴィルロウの靴磨き職人とこのムックに出てきている長谷川裕也氏の技だと思います。よろしければ御覧ください。
4、靴磨きは女性の化粧と一緒、洗顔してその後のケアが大事
汗や雨によるシミ、塩吹きの対策としてワックスの上塗りが一番ダメだそう。表面の変化を目立たさないためにワックスを塗るというその場凌ぎの行動が、最後はひび割れになる。汗の話は、シューツリーの件でも出てきましたが、汗は靴の大敵のようです。これを、女性の化粧で例えているので分かりやすい。
1】化粧を落とす⇒サフィール ノワール クレム(後で紹介)で、アッパーに付いているものを落とす。
2】すっぴんになったら乳液を塗る前に化粧水を使う。⇒保湿が大事なので、潤いを与える。保湿クリームのディアマントを使う。
3】乳液を塗る⇒保革のための乳化性クリームをここで塗る。
4】次のメイク⇒ほんの少しのワックス
いろいろ反省しなきゃならんですねー。汗は本当にいいことがない。ちなみに、靴職人達にとって、靴下を履かないで靴を履くのは在り得ないようですよ、石田純一さ~ん(汗)。大事なのは、保湿!アッパーの革の状況は、表面を考えてしまいますが、汗とか雨の浸透のことを考えると革の内側が大事だそうです。最後に今紹介した、サフィールノワールクレムとディアマントのクリームを以下に紹介しておきます。
既成概念を覆した万能油性クリーム
保温と光沢を高次元で実現させた乳化性
M.モウブレイは悪いとは書かれていませんが、かなり手厳しい評価ですねー。ステインムーバーとか、名指しだし(汗)。それから、ワックスはほとんどオススメしていないとか、保湿が必要とか、知らなかったことがたくさんありました。お恥ずかしい。
靴は生き物、これが素直な感想ですね。汚れをとってやって栄養を与えて寝かす。でも、状況に応じて、育て方を変える。うーん、靴は難しい。このムックには、リペア&ポリッシュストアの紹介や、逆転して後ろの特集となっていますが最新最高級靴カタログ317足がおさめられています。ぜひ読んでみてください。
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