アトピ-性皮膚炎にかぎらず、こどもの皮膚病変(湿疹・かぶれ・カンジダ等)は日常よくみられ、お母さん達を悩ませることのひとつになっています。原因・用途に対応して軟膏にはいろいろな種類があります。ここではそれらの疾患に使用する外用薬について解説します。
ステロイド外用剤
湿疹・かぶれ・アトピ-性皮膚炎等に効果的な軟膏です。指示にしたがって使用する限り、副作用はほといどみとめられないので、安心して使えます。副作用の多くは同じ部位に長期間塗布した場合におこる皮膚の変化(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑、出血斑、にきび、多毛など)です。通常の使用で全身への副作用は起こりません。ステロイド外用薬を過剰に怖がる必要はありません。
使用するステロイドの強さで、最強・比較的強・中等度・弱め・弱に分かれます。比較的強(very strong)~中等度(strong)のステロイド剤が効果が良く、適応も広いためもっぱら汎用しています。
ロコイド軟膏5g [特徴]やや弱、主成分ヒドロコルチゾン酪酸エステル[適応疾患]湿疹、皮膚炎、痒疹、乾癬[注意]作用がほどよくかゆみを伴う軽度の皮膚疾患、とくに顔面に使用しています。[用量・用法]皮膚の薄い部位、顔面、前頸部、陰部に使用、口唇周囲も可能。通常 1~2回塗布/日 1日1回のときは入浴後、寝る前[副作用]皮膚刺激感、発疹、ステロイド皮膚等
リンデロンV軟膏10g[特徴]比較的強(strong)、効果がよく炎症性皮膚疾患に良く使われる。主成分はベタメタゾン吉草酸エステル[適応疾患]湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、虫さされ、掌蹠膿疱症、紅斑症、凍瘡、熱傷、薬疹等[用量・用法]急性病変には1日2~3回、慢性病変には1~2回塗布[副作用]皮膚感染症、過敏症など[注]かゆみを伴う中等度から軽度の炎症によく使用している。
リンデロンVロ-ション10ml[特徴]ロ-ションタイプ(乳液状)なのでこどもの頭部の脂漏性湿疹等に使用している。[適応疾患]軟膏と同じ。[用量・用法]1日1~数回[注意]湿潤面・創部など傷があるとしみることあり。
デルモベ-ト軟膏5g[特徴]最強(strongest),主成分はクロベタソ-ルプロピオン酸エステル。高度のアレルギ-性疾患、炎症性疾患に使用。1日10g以下の塗布が望ましく長期連用による副作用に注意。[適応疾患]湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、虫さされ、掌蹠膿疱症、紅斑症、凍瘡、熱傷、薬疹、肥厚性瘢痕・ケロイド、円形脱毛症、ジベルバラ粃糠疹、天疱瘡、類天疱瘡[注]1週間以内の短期の使用では副作用はほとんど心配ない。
デルモベ-トスカルプ10g[特徴]最強、成分は同上。溶解型ロ-ションでさらっとしている。主に頭髪部等に使用、傷があるとしみるため使用不可[適応]主として頭部の皮膚疾患、虫さされ・蕁麻疹等の強いかゆみに効果的。[用量・用法]1日1~数回[注意]強力なステロイド剤なので、短期間の使用とする。いらが等毛虫の皮膚炎にベトつかず使用感がよい。
抗ヒスタミン外用剤
抗ヒスタミン外用剤はもっぱら止痒効果を期待して使用しています。アトピ-性皮膚炎の炎症には効果が弱く、ときにかぶれる場合があるので、使用しない方が良いと考えています。
強力レスタミンコ-チゾンコ-ワ軟膏10g[特徴]ジフェンヒドラミン・フラジオマイシン・ヒドロコルチゾンの配合剤、ステロイドを含有しているがその効果は弱い。即効的に痒みを抑える。[適応疾患]深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、湿潤・びらん・結痂を伴うか二次感染を併発している湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症、痒疹群、掌蹠膿疱症。[用量・用法]1日1~数回塗布[副作用]皮膚感染症、過敏症、長期連用によるステロイドざ創[注]当科ではじんましん・小児ストロフルス等のかゆみに使用している。
抗生物質軟膏
とびひ等黄色ぶどう球菌による皮膚感染症に使用、できれば内服の抗生物質を併用した方がよい結果が得られ、以前によく使用されたゲンタシン軟膏は耐性が問題になりその効果が期待できなくなっています。
フシジン軟膏10g[特徴]成分:フシジン酸ナトリウム、黄色ぶどう球菌に強い抗菌力をもつ。[用量・用法]1日数回患部に塗布[適応菌種]黄色ぶどう球菌[適応疾患]表在性・深在性皮膚感染症、外傷・熱傷および手術創等の二次感染、慢性膿皮症[副作用]発疹、疼痛、刺激感
抗真菌外用剤
カンジダによる皮膚炎(乳児寄生菌性紅斑)やいわゆるみずむし(足白癬)などカビ(真菌・白癬菌)による皮膚の病変に使用します。5系統の種類がありますが当科では代表的なアリルアミン系、イミダゾ-ル系の抗真菌剤を処方しています。抗真菌剤を塗布して病変が悪化した時は、軟膏にかぶれたか真菌症の診断が間違っている可能性があります。中止して相談して下さい。
エンペシドクリ-ム10g[特徴]イミダゾ-ル系の抗真菌剤、乳幼児に使いやすい。[適応疾患]白癬、カンジダ症、癜風[用量・用法]1日2~3回患部に塗布[副作用]軽度刺激感
ラミシ-ルクリ-ム10g[特徴]アリルアミン系、効果が比較的良好。[適応疾患]白癬(足、体部、股部白癬)、皮膚カンジダ症(乳児寄生菌紅斑を含む)、癜風[用量・用法]1日1回塗布、入浴後寝る前が良い。[副作用]接触性皮膚炎(かぶれ)、紅斑、発赤、刺激感など
ラミシ-ル液10g[特徴]液なのでさらっとしている。効能・効果等は同上、びらん・湿潤がない病変に使用、軽度の爪白癬ならば多少効果がある。
抗ウイルス外用剤
単純疱疹や帯状疱疹などのヘルペスウイルスによる皮膚病変に使用する。
アラセナ-A軟膏5g[特徴]ウイルスのDNA複製を強力に阻害する。[適応疾患]帯状疱疹、単純疱疹[用量・用法]1日1~4回塗布又はガ-ゼ等にのばして貼付[副作用]接触性皮膚炎様症状、刺激感、掻痒感など
保湿剤
乾燥を防ぎ、かさかさした皮膚を保護したいときに使用します。入浴後塗布するのが理想的です。軽いしっとり感がでる程度に、塗ってください。
白色ワセリン[特徴]代表的な油脂性保湿剤、べとつくのが欠点です。[適応疾患]乾燥性皮膚病変(皮脂欠乏症、皮脂欠乏性湿疹、アトピ-性皮膚炎など)[用量・用法]1日1~数回塗布、入浴後が最適[副作用]接触性皮膚炎(かぶれ)[注]当科では亜鉛化軟膏等混合して使うことが多い。
ユベラ軟膏[特徴]ビタミンEとビタミンAが配合され血行改善作用・軽い保湿作用・角化調整作用がある。[適応疾患]凍瘡、進行性指掌角皮症、尋常性魚鱗癬など[注]しもやけ、手あれ、手足の過角化などに他剤と混合して使用することが多い。
ケラチナミン軟膏25g[特徴]尿素20%を含む保湿剤、角質の水分保持増加作用、角質の溶解剥離作用がある。さらっとしている。[適応疾患]アトピ-皮膚、進行性指掌角皮症(主婦湿疹の乾燥型)、足蹠部亀裂性皮膚炎、老人性紅斑症、掌蹠角化症、魚鱗癬[用量・用法]1日1~数回塗布[副作用]皮膚のぴりぴり感、疼痛、掻痒感、紅斑など[注]亜鉛化軟膏等混合して使用することが多い。暑い鱗屑除去などにも有効。
ヒルロイドソフト軟膏25g[特徴]成分はヘパリン類似物質、抗炎症・血行促進・血流増加作用がある[適応疾患]外傷(打撲・捻挫・挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛。関節炎、血栓性静脈炎、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結、疼痛)、凍傷、肥厚性瘢痕、ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、筋性斜頸、皮脂欠乏症[適応外]アトピ-性皮膚炎に伴う乾皮症[用量・用法]1日1~数回適量塗布[副作用]掻痒、発赤、発疹など[注]アトピ-性皮膚炎の保湿などに使用、軽度皮膚病変の時、リンデロンと混合して使用することあり。
ヒルロイドロ-ション50g[特徴]ロ-ションタイプで広い範囲に使いやすい。
*アトピ-の皮膚は水分の保持が悪く乾燥していて外部からの刺激を受けやすい状態になっている。
乳幼児の皮膚のバリアは未熟で脆弱。
古くから使われている外用剤
亜鉛化軟膏20%[特徴]古くから使われている外用剤、皮膚保護作用・浸出液吸収作用・軽度の炎症作用があり、安全で用途が広い。[適応疾患]外傷、熱傷、凍瘡、湿疹・皮膚炎等の消炎、保護、防腐、皮膚疾患のびらん・潰瘍・湿潤面[用量・用法]1日1~数回塗布[禁]重度・広範な熱傷[副作用]発疹、刺激感、べとつきなど[注]当科ではワセリン、ユベラ等混合して使用するこが多い。肛門周囲等デリケ-トな部位の湿疹によく使用する。
サトウザルベ10%[特徴]成分は亜鉛化軟膏、ただし濃度10%のものはサトウザルベを使用している。
カチリ[特徴]フェノ-ル・亜鉛化リニメント、成分はフェノ-ルと酸化亜鉛、止痒効果があり痒みを軽減する。[適応]皮膚掻痒症、汗疹、じんましん、小児ストロフルス、虫さされ[用法・用量]1日1~数回患部に塗布[禁]びらん・かいよう、結痂、損傷皮膚及び粘膜面[副作用]過敏症、刺激感、発疹[注]もっぱら水痘のかゆみに使用、水泡の治癒を促進する作用はない。