2011年11月28日


 まず明言しておくけれど02デュークは良心的な仕上がりで、今後数世代に渡って弾き継ぐことが可能なギターであることは間違いない。だが先日「非の打ち所のない素晴らしい工作」と書いたのは量産品としての話だ。今回は「もしも02デュークがオーダー品だったら」と仮定して敢えてダメだしをしてみたい。重箱の隅を突ついてみよう。

 まずはヘッドを見てみよう。



 材質はマホガニーで耳の部分は材を足してある。最近まで気が付かなかったんだけど表面にメイプルの化粧板が貼られていて、ボデーのトップ面と合わせてある。おしゃれだねぇ。黒いんでよく見えないけどな。そして「B」をデザインしたエンブレムが埋め込まれている。貝が使われていて品良く高級感が醸し出されているね。しかし、ブランド名は何処にもないんだ。もっとブランドをアピールした方が良いと思うよ。だから良心的なメーカーなのに知名度が低いんだよ。もう、ばかバッカス! 
 ロッドカバーに「HAND MADE」と記されているけれど、もちろん機械は使っているよ。機械で削り出した材を手作業で仕上げているって意味だ。クラシックギターの手工品だって部材は機械を使って切り出しているよ。21世紀なんだから当然だよね。ただハンドメイドに対してマシンメイドのギターも存在しているんだ。だから技術と情熱を注いでいるって意味でわざわざ表記しているんだろうと思う。
 裏側上部にはシリアルナンバーがゴム印で押されている。糸巻きには何の刻印もないがゴトー製で間違いないだろう。これはとても良い品だ。ギアの精度が高いのか適度のトルクがかかったスムーズな手応えで安心して使える。昔はこのタイプは使い物にならなかったんだ。隔世の感があるね。

 ネックは厚みの有るU字型で、手作業で工作された事が明らかだが素晴らしい出来映えだ。
 ネックの工作の出来不出来は目視しても解らない。解る様なら不良品レベルだ。私も見ただけでは機械で削られたものか手作業で削ったのかしか判別出来ない。工作は「指先で見る」のだ。
 まずヘッドとの境とヒールとの境を見る。ここに凸凹を感じたら期待は出来ないが02デュークは滑らかだ。そして6弦側から1弦側にかけて横方向に指を走らせる。私は親指で見るが、荒は見つからない。
 最後に小指と親指以外の3指でヒール側からヘッド側へ縦方向に走らせて見るが山や谷、捻れを見つける事は出来なかった。
 ちなみに手作業で作られたダメネックの典型がどんなものかというと、5-7フレット裏に山がありRの頂点がセンターに無く蛇行していて指板にかけての処理も甘い。そんなダメネックを横行させるくらいなら機械で精密に削り出してしまった方がマシだという考えには大いに頷けるが、ハンドメイドとマシンメイドの差は一目瞭然、いやいや一触瞭然なのでネックばかりは手作業で仕上げて欲しいのだ。
 しかし、ほとんどの野良ギタリストはギター作りどころか木工すらした事がないのだろうからネックの出来不出来など解るはずもないだろう。解らないのならどんな工作がされていても関係ない。気にする事ないんだ。ダメネックでも演奏中に違和感を感じる事などないのだから。国産であろうと02デュークレベルの工作がされているギターは少ない。「さすが国産大手の◯◯で工作されているだけあって素晴らしい仕上がりです!」楽器屋の広告やオークションの謳い文句に踊らされたらダメだ。国産大手=大量生産メーカーなんだよ。自社ブランド作ったり、OEM生産したり・・・時間に追われて素晴らしい仕上がりになるものか。基準を下回らないようなそこそこの仕上がりが望めるだけだ。そこへ行くと02デュークを作ったメーカーは平気で「限定10本」とかやっている量産メーカーとは言えないような不思議な量産メーカーだ。
 ただ不出来な工作にも2通りある。ひとつは時間さえあれば完璧な工作が出来る職人が時間内で納める為に当たり障りのない部分を手抜きしているもの。これが普通の量産品だ。手持ちのギターではSF-3000がこれに当たる。もうひとつはどれだけ時間をかけようと完璧な工作は望めない技術もセンスもない従業員が行った投げやりな仕業だ。白いフライングVが正にそうだ。双方とも同時代に国産されたギターだがその差は天と地ほどある。国産ビンテージが良品だとは限らない。
 私は手に取って触れてみればそのギターがどの程度の技量の人がどの程度の時間をかけて工作したかハッキリと把握出来るが、ほとんどの野良ギタリスト諸氏は少しも解らないだろうから長々と書き記しておく事にどれほど意義があるのか不明だけれど、国産だから米産だからと工作が良いと考えるのは危険な事だと覚えておいて欲しい。

 話を戻そう。指板は中々良い目の詰まったローズウッドにブロックインレイが埋め込まれている。材質はアクリルか? オーダー品なら当然天然貝だろうから、ここは残念なポイントだ。ポジションマークとしては全く問題ないけどね。
 そして一部の人が気にするフレット端の処理だが、細かいペーパーで磨いたようで滑らかで艶が出ている。演奏性にはなんの影響もない部位だが、手をかけてあると気分がいいね。セルと木部分との段差もないし(今のところ)強いて言えば1弦側5-7フレットからヘッドにかけてやや低い(細い)が、これは手工された価値あるネックと言えるだろう。素晴らしい。

 ところがネックとボデーの接合部分に問題が有るんだ。



 まずマスキングが甘い。テープはもちろんボデーにかかってはいけないが、この端の部分はセルにのせ過ぎだ。そしてもう一点。



 ここは摺り合わせるのが当然だが、見て判るように角が出来てしまっている。オーダー品なら有り得ないことだ。 

 ボデーはネックに比べると残念な点が多い。まず裏面の外周Rだが、不揃いだ。しかも判りやすい所が。ツノの周囲は特に気を付けているはずだが、Rが小さくなってしまっている。そしてくびれの部分向かって左側もRが小さい。右側は出来ているのになぁ。この2点はそうなりがちなので気を付けて工作しているはずだが出来ていない。おそらく技術のいるネックはベテラン、やさしいボデーは新人が工作したのではないかと予想する。同じ人ではないはずだ。せっかくの1ピース材なのに残念だ。
 
 トップ面はメイプル2ピースだが、黒のオイル塗装がされているのだけあって木目のマッチングは図られていない。おそらく色も合わせていないと思う。黒いんで良く判らない。
 キャビティは配線の為にも予め与えられていて、後からドリルで開けられてはいない。



 またボデーとセルの間の一部に段差が出始めているが、これは経年によるものなのでメーカーの問題ではないけれど必要な部品ではないからな、このセルって奴は。この形のギターには大抵付いているけど。元々は境を化粧するために付けたんだろうけど(ツノの内側は隠しきれていないけど)発想が家具的なんだよな。湿度で伸び縮みしないから段差が出来てしまうんだ。セルロイドって・・・レプリカ作るんでなければ要らないパーツだよ。
 
 ブリッジ・テールピースもゴトー製だろうが一見して質の良いものだ。もちろん使用になんの問題もない。そしてボリューム・トーンにはCTS製、コンデンサーはビタミンQが奢られていたが、ピックアップをEMGに交換した時に外してしまった。なかなか上手に配線されていたよ。ドータイドもキッチリ塗られている。



 元のピックアップはとても特徴ある自社開発の物だった。



 一般にレスポールで想像する音とはかけ離れたまるでシングルコイルのような、P-90のようなパッキっとした音色だったが、現在はネック側にあえてのEMG81、ブリッジ側にはディマジオDP224としている。81はネック側でも良い仕事するよ。歪ませても音程クッキリだし。



 81は出力が高いがさらに高出力のDP224を合わせる事でバランスはとれている。セッティングはこんな感じ。



この組み合わせもレスポールらしいとは言いかねる音色だけど、02デュークは本家のコピーを超えたオリジナルを目指しているようなので、これもアリかなと。しかし、高出力のピックアップは歪ませる限り扱いやすいけれど、いろいろ問題も・・・

 02デュークは本当に良く出来たギターなので、こいつをメインギターにしたいところだけれど・・・どうなることやら。まだまだメインギター探しの旅は続くのだった。有力な候補ではあるんだけどね。