内臓脂肪を減らし、太りにくい体を作りたい――。そんなあなたにぜひおすすめしたいのが「お酢」です。お酢に含まれる「酢酸」は、この悩みを解決してくれる優等生! 毎日大さじ1杯のお酢で、代謝のよい、疲れにくい体を作っていきましょう。
食欲がなくてもさっぱりとおいしく飲めて、「太りにくくなった」「疲れがとれた」と実感できるお酢は、代謝のよい体づくりの最強の味方です。
代謝が落ちると、最も気になるのは内臓脂肪がつきやすくなること。愛知学院大学心身学部教授の佐藤祐造さんは「お酢の主成分である酢酸は、脂肪の合成を抑制すると同時に、脂肪の分解を促進します。ついてしまった内臓脂肪の減少につながるのです」と言います。
また、代謝が落ちるとエネルギーが作れずに疲労につながりますが、「お酢は糖分と一緒にとることで、筋肉中の活力源であるグリコーゲンを増やすことができるのです」(佐藤さん)。
「糖分と一緒に」というと、気になるのは血糖値ですが、お酢には血糖値の上がり方を緩やかにする働きもあります。
「お酢の効果を得るためには、1日当たり大さじ1杯分の酢をとるのがおすすめ」と、ミツカングループ本社中央研究所チームリーダーの岸幹也さんは言います。「スプーン1杯のお酢」は、ジュースとして飲めば簡単にとれる量。酢酸は加熱しても壊れないため、煮込みや炒め物などの料理に幅広く使えます。
お酢のすごいところは、「飲み始めてすぐに調子がよくなった!」と、多くの人が体調の変化を感じられること。それは、お酢がたくさんの役割を果たす、万能選手だからなのです。
「ただし、お酢をとるのをやめると、4週間後にはお酢をとり始める前と同じ状態に戻ってしまうというデータも。毎日続けることが大切です」と佐藤さん。毎日飲むために次「手作り果実酢」を作ってみるのもおすすめです。
■酢がスゴイ8つの理由
1 内臓脂肪が減る
肥満傾向がある人にお酢大さじ1が含まれるドリンクを3カ月飲んでもらったところ、内臓脂肪、体重、腹囲が減少した。[データ:Bioscience,Biotechnology, andBiochemistry; 73(8), 1837-1843,2009]
お酢を継続的にとることで、脂肪が減少することが分かりました。「酢酸が肝臓で代謝される際、AMPKという酵素が活性化します。AMPKは、糖から脂質を合成する回路を抑制し、脂質の燃焼を促進します」と言うのは、ミツカン中央研究所の岸幹也さん。糖分を摂取すると、体内で代謝され、余分なエネルギーは脂肪として体内に蓄積されます。空腹時には、脂肪を燃焼させてエネルギーとしますが、お酢はこの「合成」と「燃焼」の両方に作用するというわけです。「AMPKは運動時に活性化する酵素。つまり、酢を飲むと運動と同じような現象が一部で起こるということですね」(愛知学院大学・佐藤祐造教授)。
平均年齢51歳の血圧が高めの男女33人が10週間、お酢大さじ1を含むドリンクを飲んだところ、摂取後すぐに血圧が下がり始め、6週間後には正常域近くになった。[データ:健康・栄養食品研究、6(1),51-68,2003]
2 血圧が正常に! 血管も元気に
大さじ1杯の酢を飲み続けた結果、血圧が下がったというデータがあります。「酢酸が代謝される際に、血管を拡張させる作用のあるAMPが生成されるからだと考えられます。また最近、酢酸が血管の細胞に作用してNO(一酸化窒素)を作り出す酵素“eNOS”を活性化する可能性が示されました」(岸さん)。NOは、血管の細胞から分泌され、血管を拡張したり血液をサラサラにしたりする作用があることで注目されています。NOが増えれば血流アップにつながります
3 血糖値の上昇を緩やかにする
急激な血糖値上昇が繰り返されると、糖尿病につながる恐れがあります。酢と併せて食事をとると、血糖値の上昇が緩やかになります。「メカニズムは解明されていないのですが、胃から腸への消化の流れがゆっくりになるためと考えられています」と岸さん。お寿司は、白米による血糖値上昇を緩やかにする日本人の知恵ともいえそうです。
4 黒酢にはアミノ酸も豊富
糖や脂肪をエネルギーに変えるためには、アミノ酸も同時に必要です。肉や魚、卵などに多く含まれ、代謝を上げるためには欠かせないアミノ酸は、特に、玄米を発酵させて作る黒酢に含まれています。「発酵食品であるお酢は、玄米のアミノ酸を含むという意味でも代謝をスムーズにしている可能性があります」と、東邦大学総合診療・救急医学講座教授の瓜田純久さんは言います。
5 更年期女性の代謝を活性化する
「酢酸は分子が小さく、素早くミトコンドリア内でエネルギーを代謝する回路に入り、代謝を活性化する役割を果たします」と瓜田さん。40代、50代女性に特化した酢の研究はまだないのですが、ヒントとなるような研究が。「更年期モデルのマウスの実験では、閉経後は代謝が下がりますが、アルコールを摂取させると代謝が下がらないことが分かりました。アルコールは分解されると酢酸になるため、酢酸が多く含まれる酢でも同じ効果が得られる可能性が高い。40代、50代女性は、ぜひとるべき食材ですね」(瓜田さん)
6 疲労回復につながる
疲れを感じたときは甘いものが欲しくなりますが、甘いものをとるならぜひ一緒にお酢を。「激しい運動の後などは、筋肉のグリコーゲンが減少し“疲労”の状態になります。酢をブドウ糖と一緒にとると、ブドウ糖を単体でとるよりも効率よく筋肉のグリコーゲンを補完し、早く疲労回復することが分かっています」(佐藤さん)。スポーツドリンクでお酢を割って飲むと、ブドウ糖が効率的にとれて、お酢の飲みにくさも軽減されます。
7 カルシウムをとれる
「骨付き肉を酢を入れて煮込むと、酢酸の作用で、骨からカルシウムが溶け出して通常よりも多くのカルシウムを摂取できます」(岸さん)。お酢は、夏に酢の物を食べるときくらいしか使わないという人は、寒くなってからも骨付き肉や魚の煮込み料理にお酢を使って骨そしょう症対策に役立てましょう。
8 塩分を減らせる
血圧が高い人は、塩分も気になるもの。また、塩分のとりすぎは水分代謝を悪化させ、むくみやだるさの原因になってしまいます。「酢は塩分を減らしたときのもの足りなさを補うことができる調味料です」(岸さん)。焼き魚や冷奴にかける醤油を減らしてお酢をかける習慣をつけましょう。
(日経ヘルス プルミエ 三谷弘美、ライター 柿本礼子)
[日経ヘルス プルミエ2010年11月号の記事を基に再構成]
本コンテンツの無断転載、配信、共有利用を禁止します。