下肢静脈瘤の治療法
足全体を圧迫することによって、静脈の還流を助け、血液の循環をスムーズにします。弾性包帯や弾性ストッキングによって行います。
医療用弾性ストッキングとは、伸縮性に富み、その圧により血流を助ける作用を持ったストッキングです。
弾性ストッキングは、薬局などでも販売していますが、病院で受診し、的確なサイズと圧の弾性ストッキングを着用することで、高い効果を得ることができます。
弾性ストッキングは、足のだるさ、むくみ、こむら返りなどにも大きな効果を発揮します。履くのが大変ですが、セルフケアができるという利点があります。下肢静脈瘤の予防、術後対策には、効果的な治療方法です。
しかし、弾性ストッキングを着用することによって、下肢静脈瘤が完治することはありません。根本的な原因である血管の治療まではできないのです。あくまでも下肢静脈瘤の予防、進行の防止、術後の再発防止などのために用いられます。
患部である静脈の中に硬化剤を注射して、皮膚の上から圧迫して血管の内側の壁をくっつけたり、血管を血栓で詰めてしまったりする治療法です。
患部である静脈が閉塞すると、血管は退化し、やがて組織に吸収されて消えてしまいます。
硬化療法は、注射による施術ですので、手術のような傷を残しません。体への負担が少ないのが特長です。治療時間も短く、初診の際でも治療を受けることができるほど手軽ですが、治療後数週間の圧迫が必要です。
しかし、太い静脈瘤には有効ではない、再発率が高い、炎症後の色素沈着がしつこく残る、という欠点があります。
最近はフォーム硬化療法という、硬化剤を空気と混ぜで泡沫化させて行う新しい方法が普及しており比較的大きな静脈瘤でも対応することができるようになっています。
副作用として、硬化剤によりつくられた血栓が、静脈内を通り心臓から肺に流れてしまう可能性があるということです。 そのため硬化剤の投与に関しては、経験の豊富な医師が慎重に投与量や投与部位を選択する必要があります。
軽症で細い静脈瘤の治療だと、さほど問題はありませんが、重症および大きな静脈瘤の場合、硬化療法後に相当の血栓が発症して炎症が誘発されることが多く、その後、色素沈着が多かれ少なかれ必発します。 また、多毛・潰瘍を発症してしまうこともあります。それらは時間はかかりますが通常は回復します。
静脈瘤の発生源である鼠径部の深部静脈と表在静脈の移行部を縛って、血管を部分的に切除し(取り除き)、断端を縛って(結紮)、血液の逆流を止める治療方法です。
局所麻酔を施した後、足の付け根部分を切開し、患部である静脈を長さ5cmほど取り除いて、断端を縛り、静脈瘤を作っている血管を切り離します。
切開部分の傷は、数㎝と小さく、局所麻酔で行うため、日帰りによる治療が可能です。
しかし、高位結紮術のみの治療では、下肢静脈瘤が十分に治らなかったり、再発の危険性が非常に高かったりするのが、デメリットです。
そのため、静脈を縛る場所を増やしたり、硬化療法と併用したりするなどして治療成績の向上を図りますが、それでも再発のリスクは相応にあります。
弁の壊れた静脈を、引き抜いてしまう手術です。
足の付け根と足首の2か所を切開して、悪くなった血管の中に、手術用ワイヤーを通します。そうして、血管と糸で結び、ワイヤーを用いて、弁の壊れた静脈を引き抜いてしまいます。
下肢静脈瘤の最もスタンダードな根治的治療として、100年以上も前からおこなわれてきました。下肢静脈瘤の中で、最も太い瘤を形成する伏在型静脈瘤に特によく行われた治療方法でした。
以前は全身麻酔や、下半身麻酔(腰椎麻酔、硬膜外麻酔)で行われ、1~2週間の入院を必要としていました。 その後、入院期間を短縮する医療機関が増え、4~5日の入院で治療が可能となり、さらに静脈麻酔やTLAという特殊な局所麻酔により、現在は日帰り手術を実施するところが増えています。
ストリッピング手術は、伏在型静脈瘤に対する根治治療と定義され、血管内レーザー治療で対応できない大きな静脈瘤にも対応できる点で、とても有効な治療方法です。しかし、術後に痛みが生じたり、出血や神経障害などの合併症が起きるリスクが相応にあります。
また、手術で加えられた傷の修復反応で血管新生が起き、その血管新生によって静脈瘤が新たに発生してしまう再発の形が最近では注目されています。
血管の中に、カテーテルを挿入し、高熱によって血管内腔を閉鎖して、逆流を止める治療法です。血管内を閉塞させるという点では、血管内レーザー焼灼術と同じであり、RF血管焼灼術も日帰り治療が可能です。
RFは、レーザー治療より前から行われていましたが、逆流血管の閉塞率が低いという弱点がありました。その後、改良が加えられ、血管の閉塞率が改善し、保険適用レーザー(980nm)と同等になったため、2014年7月から保険適用になりました。
RFの利点は、術後疼痛が少ない点ですが、欠点は大きくは2つあります。1つは、血管径の比較的大きなものは、レーザーに比べて閉塞率が低い可能性があることです。もう1つは、逆流部分が短い静脈瘤や不全穿通枝などへの焼灼が困難であるという点です。
RFはレーザーに比べて、治療できる静脈瘤の適用範囲が小さいといえますが、術後疼痛が少ない点と手術時間が短時間であることから、今後の普及が期待されます。
静脈にレーザーファイバーを挿入して治療をおこなう「血管内レーザー焼灼術」と、「体外照射レーザー治療」の2つがあります。
◆ 血管内レーザー焼灼術 ◆
血管内レーザー焼灼術では810nm、980nm、1320nm、1470nm、2000nmの波長をもつレーザーが用いられます。おもに伏在静脈瘤のような、血管が足の表面に浮き出てボコボコになってしまうタイプのものに適用されます。
逆流防止弁が壊れ、静脈血が逆流を起こし、静脈瘤となってしまった血管に、極細のレーザーファイバーを挿入し、静脈の内側を熱で焼き、患部の血管を閉鎖させます。塞がれた静脈は、その部分に血液が流れなくなり、そのあと数カ月かけて繊維化し、体組織に吸収されて消えてしまいます。
ストリッピング手術と同様の効果がありながら、傷口がなく、出血が少ない身体に負担の少ない治療です。
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術が行われるようになった当初は、手術後の長期データがないこともあり、この治療を行う施設は限られていました。現在では、世界中で数多くの血管内レーザー焼灼術が行われ、術後10年ほどのデータも蓄積されてきており、その安全性と有効性も確認されています。
2011年から980nmのレーザーが、2014年5月には1470nmのレーザーが保険収載され、治療を受けられる機関は、どんどん増えています。
現存するレーザーの中では2000nmの波長が最も長く、水分の吸収は良く、組織との反応が優れていると考えられています。このレーザーによる治療は、照射熱量は最小、手術時間は最短、治療成績も良好です。そのうえ、合併症も少なく、患者さんにとって、最も負担が少なく効果的な治療であるといえるでしょう。
◆ 体外照射レーザー治療 ◆
下肢静脈瘤の一種で、足に発生する赤や青色の細かい血管拡張を「網目状静脈瘤」「クモの巣状静脈瘤」といい、「レッグペイン」とも呼ばれています。これらの静脈瘤は、立体的に大きくは浮き出てきません。しかし、赤や青色の細かい血管が広がり、見た目に気持ち悪いと思われる方が多いようです。むくみや痛みなどの症状を伴うこともあります。
こうした静脈瘤の治療には硬化療法がおこなわれてきましたが、近年、体外照射タイプ(ロングパルスYAGレーザー)が登場してきました。
ロングパルスYAGレーザーは、血管の壁を変性し、収縮させる性質を持っているレーザーです。このレーザーを、一定間隔で断続的に照射(パルス照射)することで、治療部位の温度を高温にせず、血管を縮ませ、閉鎖させることができます。
体外照射タイプ(ロングパルスYAGレーザー)治療は、一般的には30分~1時間程度で、終了後はすぐに帰宅することが可能です。体に優しいこの治療は合併症を最低限に抑えるために複数回の照射に分けて行われることが一般的です。