2015年からニキビの新塗り薬が次々と発売されています。
- ベピオゲル
- デュアック配合ゲル
- ゼビアックスローション
そして、2016年11月4日。期待のニキビ新薬エピデュオゲルが発売されました。
エピデュオゲルはすでに世界60カ国で承認され、ニキビ薬として使用されています。
エピデュオゲルは、ディフェリンゲルとベピオゲルの単独使用より、ニキビに対して高い効果が証明されていますが、副作用(赤み、乾燥、ヒリヒリ)が強く現れやすいです。
赤み、乾燥、ヒリヒリを抑えるためのエピデュオゲルの使い方も解説します。
※本記事は未発売の状態で第一報をお知らせしました。
発売後、少しずつエピデュオゲルというニキビ新薬の効果・副作用が明らかになってきました。
随時加筆編集をおこなっています。
出稿当時のタイトル
「エピデュオゲルはディフェリンゲルとベピオゲルの配合剤【ニキビ新薬発売日決定】」
エピデュオゲルはディフェリンゲルとベピオゲルの配合剤
エピデュオゲルは、ディフェリンゲル0.3%(アダパレン)とベピオゲル2.5%(過酸化ベンゾイル)の濃度までもそっくりそのまま混合した配合剤です。
※ディフェリンゲルは妊婦に禁忌のため、エピデュオゲルも妊婦に使えません。
スポンサーリンク
エピデュオゲルは処方日数制限なしの新薬
発売して1年を経過していない薬(薬価基準収載の翌月の初日から1年間)は、14日分までの処方日数(投与)制限があります。
(軟膏に関しては日数換算できないため、1回処方あたり1本~数本)
ただし、エピデュオゲルはディフェリンゲルとベピオゲルの配合剤ですので、それぞれの成分に実績があるため、エピデュオゲルは処方日数制限なしの新薬です。
エピデュオゲルの効果
エピデュオゲルは、ディフェリンゲル(アダパレン)とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)のそれぞれの効果が期待できます。
ディフェリンゲルには、毛穴が弾力性を失ってつまるのを抑える効果(レチノイド様作用)があります。
ベピオゲルには3つの効果があります。
- アクネ菌や黄色ブドウ球菌などに対する抗菌効果
- 皮膚の汚れた表面を剥がして、きれいな皮膚を取り戻す効果(ピーリング効果)
- 炎症を起こす物質が作られないようにして、ニキビの化膿をおさえる抗炎症効果
ディフェリンゲルが毛穴がつまる原因を取り除き、ベピオゲルがつまってしまった毛穴を改善するイメージです。
効果 | ベピオゲル | ディフェリン |
---|---|---|
ニキビができにくい肌にする | ○ | ○ |
ニキビを直接治療する | ○ | △ |
海外の試験では、ディフェリンゲルとベピオゲルの併用の相乗効果が証明されています。
(日本皮膚科学会のガイドラインでは、赤ニキビ・黄ニキビの発生初期から維持期まで、ディフェリンゲルとベピオゲルの併用の推奨度はBです)
スポンサーリンク
エピデュオゲルの使い方1
(エピデュオゲルの塗り方)
ベピオゲルは顔以外の背中ニキビにも塗布できましたが、ディフェリンゲルは顔限定のニキビ薬です。
エピデュオゲルはディフェリンゲルと同じ成分を含むため、顔以外のニキビには使用できません。
ニキビ薬 | 顔ニキビ | 背中ニキビ (顔以外) |
---|---|---|
ディフェリンゲル | ○ | × |
ベピオゲル | ○ | |
エピデュオゲル | × |
<エピデュオゲルの塗り方>
1日1回洗顔後(夕方から寝る前までの間)、エピデュオゲルをニキビに適量を塗布します。
臨床試験では約0.5g/日を使用しているため、顔全体1回分量の目安は0.5gと考えられます。
出典:マルホHP
エピデュオゲルを塗布して3カ月以内に症状の改善がないときは中止します。
エピデュオゲルは使い方(塗り方)は、ディフェリンゲル・エピデュオゲルとほとんど同じです。
エピデュオゲルの効果比較
エピデュオゲルの日本の臨床試験と海外の比較試験の結果は違います。
効果比較1(日本):
ニキビの減少率
エピデュオゲルなどを1日1回洗顔後に顔面全体に12週間塗布したときの、ニキビの減少率を比較した日本国内の臨床試験データがこちらです。
出典:マルホHP(一部改変)(国内第3相比較試験より)
エピデュオゲルは、ディフェリンゲルと比較すると効果がありますが、ベピオゲルと比較では効果の差はほとんどありません。
効果比較2(海外):
ニキビの数の減少率
エピデュオゲルなどを1日1回、洗顔後に顔面全体に12週間塗布したときのニキビの数の減少率(変化率)を比較した海外の臨床試験データがこちらです。
出典:マルホHP(一部改変)(海外比較試験より)
エピデュオゲルの効果が一番で、ディフェリンゲル≒ベピオゲル、プラセボの順番に効果があります。
ニキビのガイドライン
2016年5月に発表された日本皮膚科学会のニキビ(尋常性ざそう)のガイドラインには、次のような記載があります。
アダパレン0.1%ゲルと過酸化ベンゾイル2.5%ゲルの単剤同士を併用した場合の炎症性皮疹に対する有効性を評価した臨床試験では、併用の効果を認めてない。
しかし、配合剤での有効性が示されていること、2剤の併用は海外のガイドラインでも推奨されていることから、委員会の意見として有効性は確立していると考えた。
アダパレン0.1%ゲル:ディフェリンゲル
過酸化ベンゾイル2.5%ゲル:ベピオゲル
配合剤:エピデュオゲル
日本では、エピデュオゲルの認知に少し時間がかかるかもしれませんね。
エピデュオゲルの副作用比較
ディフェリンゲル・ベピオゲルの両方に、赤くなる、痛い、ヒリヒリするなどの皮膚の刺激の副作用があります。
エピデュオゲルはディフェリンゲル・ベピオゲル配合剤のため、皮膚の刺激(赤くなる、痛い、ヒリヒリ)の副作用が強く出るおそれがあります。
そのため、エピデュオゲルを使用する前に、ディフェリンゲルかベピオゲルを先に使うのが原則です。
(ディフェリンゲル・ベピオゲルも十分にニキビに効果が期待できる)
副作用の比較
ニキビ薬 | 副作用頻度 | 皮膚刺激頻度 |
---|---|---|
エピデュオゲル | 12.7% | 10.4% |
ディフェリンゲル | 3.0% | 3.0% |
ベピオゲル | 6.7% | 2.9% |
(国内第3相比較試験結果より)
エピデュオゲルの副作用のほとんどが皮膚の刺激です。
副作用率
皮膚刺激率
その他の副作用は、皮膚のかゆみ、はがれ、乾燥などがあります。
ただし、皮膚のはがれはエピデュオゲルのピーリング効果による場合もあり、一概に副作用ともいいきれません。
エピデュオゲルの痛い、赤くなる副作用はいつまで?
出典:マルホHP(一部改変)
エピデュオゲルは皮膚の刺激が多く、皮膚の赤み(紅斑:こうはん)、かゆみ(そう痒)、はがれ(落屑:らくせつ)、乾燥(ヒリヒリ)、痛みなどの副作用が起こるのでしたね。
エピデュオゲルの使いはじめはツライかもしれませんが、
皮膚の刺激(赤み、痛み)は、エピデュオゲルを使い始めて1週間後をピークに少しずつなくなってきます。
皮膚の乾燥(ヒリヒリ)は、エピデュオゲルを使い始めて3カ月後くらいから気になりだすときもあります。
エピデュオゲルの使い方2
(エピデュオゲルの赤み、痛み、ヒリヒリ対策)
エピデュオゲルは刺激(赤み、痛み)や乾燥(ヒリヒリ)の副作用が比較的起こりやすい塗り薬です。
エピデュオゲルを塗る前に、ヒルドイド、ビーソフテン(ヘパリン類似物質)などの保湿剤や、化粧水、乳液などをたっぷり使うとヒリヒリ感が軽減されることが経験的にわかっています。
ただし、度を超えた皮膚のはがれや赤みの副作用は、エピデュオゲルとの相性が良くない可能性があります。
エピデュオゲルの使用を中止して診察を受けてください。
エピデュオゲルの薬価(薬の値段)
– | 薬価 | 1本の容量 | 1本の値段 |
---|---|---|---|
エピデュオゲル | 159.6 | 15g | ¥2,394 |
ディフェリンゲル | 120.9 | ¥1,814 | |
ベピオゲル | 120.9 | ¥1,814 |
ディフェリンゲルとベピオゲルを併用して使用すると、1本あたり約3600円かかりますが、エピデュオゲルであれば、約2400円です。
エピデュオゲルは、併用より1本あたり1200円安く使用できます。
ニキビ治療中は紫外線にも注意
まとめ
- エピデュオゲルは、ディフェリンゲル(アダパレン)とベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の配合剤
- エピデュオゲルの発売日は、2016年11月4日
- エピデュオゲルは、1日1回塗布するニキビ新薬
- エピデュオゲルの効果は、毛穴のつまりを抑え、抗菌し、炎症を抑えるトリプル効果
- エピデュオゲルの評価は、日本の臨床試験と海外の比較試験では違う
- エピデュオゲルの副作用は、刺激が多く、皮膚の赤み、痛み、かゆみ、はがれ、乾燥などで、その多くは塗布初期(1~2週間の間)に起こる
- エピデュオゲルは、ディフェリンゲルとベピオゲル併用より、1本あたり1200円安い