■ ワキガとは
ワキガとは、それ特有のすっぱいような臭いが、体のワキからする症状のことをいいます。
正式に言うと「臭汗症」とか「腋臭症」となります。
ただしワキガは病気ではありません。体質です。ワキガ体質と言い、親から遺伝しているものです。
日本人の場合、10人から20人に1人程度いるそうです。
ワキガの臭いですが、体にアポクリン汗腺という腺があり、これが活発に働くことによって異様な臭いを放ちます。
よく「汗臭い」と言いますが、「汗臭い」のと「ワキガ」は違います。
アポクリン汗腺から出てくる汗は、運動をして出る汗とは基本的に違うものなのです。
(運動したり辛い物を食べたりして出る汗は、エクリン汗腺から分泌されます。エクリン汗腺からたくさん発汗することは「多汗症」と言われます。)
■ 臭いの原因
アポクリン汗腺から出てくる汗ですが、もともと無臭です。
それが、汗の中に含まれているたんぱく質や脂質が、体に付着している雑菌の栄養となり、雑菌が汗を分解してしまうことで、嫌なワキガの臭いを出しているのです。
ところでアポクリン汗腺の汗は、まさにこの臭いを出すのが目的の汗なのです。
人間がフェロモンを出すためにあるものだと考えられています。
アポクリン汗腺は、体の特定の部分にしかありません。
ワキの下の他に、乳輪や陰部や外耳道、まぶたなどにあります。
汗をかいたら、その部位をできる限り清潔に保っていれば、ある程度は臭いを抑えることができます。
たんぱく質や脂質を効率的に拭きとるには、ぬれたタオルを使って汗を拭くといいでしょう。
(エクリン汗腺からの汗は、体温調整のためにかくもので、汗の出口は体中にある毛穴です。)
■ ワキガの特徴
まず、ワキガの場合、耳垢が湿っていることが多いです。
耳垢が湿っぽいタイプの人は、9割以上の確率で、ワキガであることがわかっています。
(外耳道にはアポクリン腺があります。)
次に、下着やシャツなどのワキ部分に黄色いシミが付着する場合、ワキガである可能性は高いです。
ワキガは遺伝します。
家族の中にワキガがいる場合は、かなりの確率でワキガになります。
わき毛が多い人の場合もワキガの人が多くなります。
ワキガ体質の人の多くが毛深いそうです。
(毛が多いということは、毛穴も多いということなので、アポクリン腺も多いという理屈です。また毛が多ければ雑食も繁殖しやすいということも関係しています。)
わきの下に多く汗をかくこともワキガの特徴です。
精神状態や気温の変化、体の状態などに関係がなく、わきの下が湿っているのがワキガです。
■ 臭いの予防
大切なことは常にワキを清潔に保つことで、臭いの原因となる雑菌を繁殖させないことです。
ワキガを根本的に治療するには手術による治療方法がありますが、自分で簡単にできるものには、「制汗剤」などを使い汗を抑える方法があります。
しかし一時的な効果だけしか得られません。
次に「薬」を使った治療方法があります。ワキガの薬は市販されているものもあり、一般的に抗生物質が使われています。
これは臭いの元となる細菌を殺菌してくれる効果がある薬です。これにより予防効果は得られますが、それも薬が効いている時間のことです。頻繁に抗生物質を飲み続けると副作用も心配なので避けた方がいいです。
もう1つできることは「食生活」を改善することです。
肉類などの動物性食品を減らすこと、脂肪分をできる限り減らして和食中心とした食生活を送ることがワキガ治療に効果をもたらします。
ワキガというものは、日本人の食生活が欧米化したことによって増えたとも言われています。
そのため脂肪分を控えた和食にすることで、ワキガ体質を改善する効果があるとみられています。
■ デオドラント製品
軽度のワキガの場合、病院で治療することは特に必要ないと思います。
制汗剤などの対応でいいと思います。
現在様々なデオドラント製品が販売されています。
大きく5つに分類されます。
(1)殺菌作用や抗菌作用のある商品。
(2)消臭効果がある商品。
(3)ふきとりシートなどのように汗を拭き取るタイプの商品。
(4)制汗作用がある商品。
(5)芳香作用がある商品。
この中で一番有効なものは、雑菌の繁殖を抑えることができる、1つ目の商品です。
しかし、肌が弱い人は肌を傷つけることになりますし、長時間つけ続けることで肌が丈夫な人も肌を傷つけてしまう危険性があります。この点は注意です。
ところでこの中で芳香作用のあるものを使うと、ワキガの臭いを合わさって臭いを増長させる危険がありますから組み合わせるのはやめた方がいいです。
■ 自分でできるケア
ワキを清潔にすることですが、毎日お風呂に入ることで、いくらか症状を軽減することができます。
食事は、理想的には野菜や魚を中心としたものにすることが望ましいです。
漢方薬やハーブ、薬膳なども臭いを抑える効果があるそうです。
この場合は漢方薬を販売している薬局で相談することです。
ストレスもよくありません。
ストレスは体に異常をきたしますし、汗をかくのでワキガの症状を起こしやすくします。
このほかミョウバンを使う方法もあります。
ミョウバンを水に溶かしてワキに塗りつけることで、臭いがかなり軽減されるそうです。
他にも竹酢を使ってワキガをケアして臭いを軽減することができます。
竹酢は竹炭を焼いて冷却してとり出したエキスです。殺菌や消臭、消炎などの効果があるそうです。
お風呂の湯船の中に竹酢液を50mlくらい入れて、その湯船につかることで効果があります。
■ 手術(切開)
手術は、ワキガの原因であるアポクリン汗腺を摘出するというものです。
事前に専門医によるカウンセリングを受けた後、まずはアポクリン汗腺を確認するために、外陰部付近を少し切開して調べます。
この結果で、手術が必要なのか、ほかの方法を選択するのかを、決めることになります。
手術では、わきの下の皮膚を切開してアポクリン汗腺を取り出します。
アポクリン汗腺と一緒に毛根を除去されてしまうことになりますから注意してください。
手術となれば医者の技術に頼ることになります。技術と経験を持ち、事前カウンセリングをきちんと行い、症状をきちんと理解してくれる信頼できる医者を選ぶべきです。
■ 手術(吸引)
他にも手術方法があります。
アポクリン汗腺を、吸引によって取るという手術方法です。
わきの下に数ミリ程度の穴を開け、吸引器を使ってアポクリン汗腺を吸引します。
別名「脂肪吸引法」とも言われています。
本来は腹部や太ももなどの脂肪を吸引するために使われていた治療方法です。
手術の傷口が小さいというメリットがあります。目立ちませんし、皮膚が生着するのも早いです。
傷口が治った後の「ひきつれ」が起こりにくいですし、色素沈着も起こりにくいです。
しかしながらデメリットもあります。
摘出手術のように医師が直接目で腺を確認して取り出すわけではありません。
そのため、完全に取ることは難しいのです。医師の経験と勘に左右されるところが大きくて、腕がなく経験も少ない医師に依頼すると危険なこともあるのです。
ワキガの治療方法としては、確実性に欠けているので今はあまり行われていません。
しかし、傷口は小さい方がいいと望まれる人や、手術後すぐに社会復帰しなければならない人には、選択肢の一つと言えるかもしれません。
■ 手術(超音波)
超音波を使って行う治療方法もあります。
わきの下に直径が2mmほどの管を挿入して、アポクリン汗腺を取り出すのです。
手術時間が1時間程度と短いですし、手術中の出血も少なくて済むというメリットがあります。
出血による血腫が作られる可能性も低いです。
手術によってできる傷口も小さいために皮膚の生着も早いです。
手術後はワキの圧迫を軽くできますし日常生活における負担も軽減されます。
デメリットですが。
超音波を使うさい、熱で皮膚を傷つけてしまう危険があります。
吸引と同様に、医師の実力に左右されます。
完全に取ることができないこともあるため、ワキガが再発する可能性もあります。
しかし、全く効果がないわけではないため、予想される効果の程度や費用などで、検討する価値はあるでしょう。
最近では医師が目で確認をしながら超音波で取り除く方法を行う病院もあります。
皮膚を裏返しにして実際に汗腺を確認して丁寧に取り出す方法なので、従来のものより確実で安全に行えるようになっています。
■ 手術(レーザー)
今の世にレーザー脱毛というものがありますが、これを行うと、毛根だけではなくアポクリン汗腺もダメージを受けることになります。
そのため、アポクリン汗の分泌量を減らすことができる、というものです。
1ヶ月か2ヶ月毎に数回行って、効果を得ます。この治療を行うことで、わき毛も減ります。
しかし、ワキガの症状が強い人の場合は、あまり効果が得られないこともあるようです。
※ ※ ※
「マイクロレーザー法」というのがあります。アポクリン汗腺にヤグレーザーを直接照射して、エクリン汗腺と共、燃焼させる手術です。
直径わずか1mmの注射針状になっているレーザーを毛根部に挿して直接汗腺を照射していくため、メスを使うこともなく傷が残ることもありません。
両脇のワキガ手術を行った場合の時間は、40分程度です。
局所麻酔ですし、手術後にわきを24時間固定すればOKです。
腫れは2,3日残ると思いますが、7日後には抜糸を行うことができます。
シャワーであれば、手術の翌日から。入浴は9日後になれば可能となっています。
「レーザーサクション法」は、「マイクロリムーブ法」にプラスして「サクション」を行うダブル効果の治療法です。
サクションとは吸引法のことです。
傷跡が小さい上にワキガの臭いがきつい人でも確実に効果を得ることができます。
「トリプルサクション法」という治療法もあります。
「マイクロレーザー法」を多重に応用させた方法で、傷跡が小さくて、アポクリン汗腺を的確に除去できるという手術です。
現在日本で行われているワキガの治療において、得られる効果が最も高くて傷跡も最も小さい治療法となっています。
従来行われていた治療法では、傷口が大きいとか、確実に汗腺を取り除くことができないとか、皮膚が壊死する可能性があるとか、様々な問題がありました。
しかしこのトリプルサクション法では、手術をした後に行う圧迫固定の時間が短くなり、ダウンタイムも短くなります。
何よりも汗をシャットアウトすることができるというメリットがあります。
ワキガの施術時間は、両脇の場合で2時間程度です。
このように多くの手術法、治療法があります。
日程や術後の回復力、傷跡、金銭面など諸条件を総合的に判断して、ベストな方法を選んでください。
■ すそワキガ
すそワキガとは、陰部から生じる体臭のことです。
陰部にもアポクリン汗腺があり、つまり一般的なワキガが陰部で発症したもの、です。
アポクリン汗腺は他にも耳の中や乳輪、臍などの周辺に存在しています。そしてほとんどの場合、わきの下に集中していますが、ごく稀に陰部に集中している場合もあるのです。
日本人の場合は、わき以外にアポクリン汗腺があること自体稀なことですし、あったとしてもすでに退化している場合が多いのですが、稀に陰部周辺から他人が感じ取ることができる程度の臭いを発することがあります。
これが「すそワキガ」と呼ばれるものです。
すそワキガは、通常のワキガよりもかなり弱い臭いです。
治療の方法は、わきのワキガ治療と基本的に同じです。
つまり、手術では毛根も一緒になくなってしまうため、ワキガの臭いは治すことができても、毛も一緒になくなってしまうことで、違う悩みが出てきてしまうかもしれません。
毛をなくすことなく治療をしたいという人の場合、「凝固法」という治療法を選択することもできます。
これはたんぱく質を凝固することによって臭いがでるのを抑えるという治療法です。
そうであっても、すそワキガの場合、デリケートな部位なので、治療については専門医とよく相談することが大切です。
■ 子供のワキガ
アポクリン汗腺が活発に活動を始めるのは思春期ごろからです。
そのため赤ちゃんや小さい子供にワキガ症状がでることはほとんどありません。
思春期はファッションに興味をもち、異性の目も気になる難しい時期です。
そのためワキガについて正しい知識を持つことと、適切な対策をとることが必要となってきます。
治療方法として小学生や中学生に手術をすすめすることはできません。
この段階ではアポクリン汗腺もまだ成長中なので、さらに範囲が拡大していく可能性もあるからです。
わき毛が一通り生えそろって、子供の成長が落ち着いた段階で手術するほうが賢明でしょう。
あくまで一般的な目安ですが、女性で14歳から15歳以降、男性で16歳から17歳以降となります。
その時期がくるまでは、市販の制汗デオドラント剤を使用するなどして、ケアをするしかないと思います。
■ ボトックス
5分くらいの施術時間で、簡単に治療できる方法があります。
それが「ボトックス」を利用する方法です。ボトックスをわきへ入れて、エクリン汗腺の働きを抑制する治療法です。
エクリン汗腺の活動を抑えるので、当然多汗症の治療にもなりますが、つまり汗を抑制できるため、ワキガの治療法としても効果が期待できます。
ボトックスはわきへ入れたとしても、アレルギーの心配がありません。
何よりも治療時間がたったの5分程度というところが長所でしょう。
ほとんど傷跡も残らないため、プチ整形程度の簡単な部類に入る治療です。
しかし、通常のワキガ手術のようにアポクリン汗腺を取り出すわけではないので、効果は永年にわたるものではありません。
副作用として、腕の倦怠感なども起こるそうです。
ボトックスを入れることで、その効果は約半年間~一年間持続させることができます。
この効果には個人差があります。
医者とよく話し合って、効果期間や副作用の危険性について、十分なカウンセリングをした上で治療を行うようにしましょう。
■ 保険適用
ワキガの場合、その症状が重い場合は保険適用が認められています。
保険診療上でワキガ手術は「腋臭症手術」という項目になります。
その条件は、「悪臭が甚だしくて他人の就業に際して支障をもたらしていることが明らかな場合で、客観的に見ても医療行為が必要であると判断する場合。」とされています。
この条件を満たす場合は給付を受けることができて、軽度のものは給付を認められていません。
しかし手術治療すべてが対象となるわけではありません。
手術治療の中で「皮下組織剪除法」という方法だけが保険適用の対象となっています。
保険上では「皮弁法」という分類で、皮膚を切り、そこからアポクリン汗腺を取るという確実な方法です。
皮弁法の場合、手術後も10回以上通院しなければなりませんし、手術した直後は安静にすることが必要です。
重いものを持つことはできませんし、車の運転もできれば避けた方がいいです。
皮膚に傷跡も残ります。
■ 保険適用の病院
ワキガ治療を保険適用で行いたい場合は、総合病院など大きな病院にした方がいいと思います。
ワキガ手術というものが、ワキガの症状を治すというものではなく、ワキガの悩みを治すと判断されるため、病院によって違うからです。たとえば美容外科などでは、保険適用外となるのが一般的です。
費用面を重視すれば、保険適用を認められている病院や手術法を受けたくなるでしょう。
しかし実際には、保険適用外となっているワキガ治療を専門に行っている病院の方が、医師の技術が高くて経験も多いため、安心して治療を受けられるメリットがあります。
■ 生命保険
健康保険がだめでも、生命保険から給付を受けることができる可能性があります。
もちろん加入している保険内容によります。
例えばある生命保険とある病院の場合は、ワキガの治療をして保険給付金をもらうことができるのは「切開剪除法」によって手術を受けたときだけとなっています。
その上、ワキガを発症した時期も関係しています。
補償期間前からワキガの症状があった場合は、給付金は一部しか受け取ることができません。
一度生命保険について調べてみることをおすすめします。
また社会保険や国民保険などでもワキガ治療が一部保険適応されるケースがあります。
日常生活に支障がない軽度な場合は保険適応外、重度で特定の手術法で治療を受けた場合は適応、となるケースもあります。
他にも高額医療費の対象となるケースもあります。
加入している健康保険によって条件が異なるので、確認が必要となります。
■ 負担金額
自費治療と保険適応治療とあり、自己負担金額が変わってきます。
例えばワキガの手術を切開剪除法でした場合、保険が適用できれば3万円から5万円程度で手術を行うことができます。
対して、保険が適応できないとなると、費用は25万円から30万円とかなりの負担となります。
保険の適用外としている病院が多いのは、経営問題に関係しているためです。
保険適用にしてしまうと、収益を出すのが難しいというのが現状の理由のようです。
総合病院などの大きい病院では、経営面についてあまり考える必要がないため、保険を適用しているところが多いそうです。
■ 合併症
ワキガの手術によって合併症を起こす危険性は当然あります。
「出血と血腫」
手術である程度の出血はあります。その血が皮膚の内側で固まってしまうと血腫となります。
これによっては細菌感染を起こしたり皮膚の壊死を起こしたりしてしまうことがあります。
手術後の出血を最小限にとどめるには、わきの圧迫固定をしっかりと行って安静にすることが大切です。
「感染症と化膿」
細菌で創部が感染してしまうと、皮膚の内側で化膿します。
手術した直後は大量の汗をかいたり、入浴してわきの下を濡らしたりすることがないように注意して細菌が発生する原因を作らないようにします。
創部が落ち着いたら、わきの下を石鹸で洗い清潔を保つようにします。
手術をした直後にわき毛を抜くことも厳禁です。毛穴から細菌感染を起こす危険があります。
「傷跡」
手術を行うと切開して縫合するわけですから、どうしても傷が残ります。
傷の目立ち方には個人差もありますが、一般的には時間が経てばだんだん目立たなくなっていきます。
体質としてケロイド症の人や肥厚性瘢痕などの人は、注射や軟膏などを使って、半年以上かけて傷跡を治していきます。
「しわ」
手術を行った後、わきの下にしわが残ってしまう人がいます。
皮膚がたるんだためと、あとは元々わきの下のしわが多い人、わきの下に弾力がない人、ケロイド症の人や肥厚性瘢痕などの人は、体質としてなりやすいのです。
手術後に意識してわきの下の皮膚を伸ばすようにするとか、時間が経ち皮膚が柔らかくなると次第にしわは減るようになります。
「色素沈着」
手術後、わきの下が色素沈着を起こして赤茶色になることがあります。
皮膚をできるだけ薄くしてワキガの治療効果を出そうとすることで起こりやすくなります。
皮膚に炎症ができやすい体質の人や、アトピー性皮膚炎の人、アレルギー体質の人などは起こしやすいです。
色素沈着がひどい場合は、軟膏など薬によって治療を行います。
一般的には時間が経てばだんだん色素沈着は目立たなくなっていきます。
しかし体質によっては残ってしまう人もいます。
(2011/4 記事)
ワキガとは、それ特有のすっぱいような臭いが、体のワキからする症状のことをいいます。
正式に言うと「臭汗症」とか「腋臭症」となります。
ただしワキガは病気ではありません。体質です。ワキガ体質と言い、親から遺伝しているものです。
日本人の場合、10人から20人に1人程度いるそうです。
ワキガの臭いですが、体にアポクリン汗腺という腺があり、これが活発に働くことによって異様な臭いを放ちます。
よく「汗臭い」と言いますが、「汗臭い」のと「ワキガ」は違います。
アポクリン汗腺から出てくる汗は、運動をして出る汗とは基本的に違うものなのです。
(運動したり辛い物を食べたりして出る汗は、エクリン汗腺から分泌されます。エクリン汗腺からたくさん発汗することは「多汗症」と言われます。)
■ 臭いの原因
アポクリン汗腺から出てくる汗ですが、もともと無臭です。
それが、汗の中に含まれているたんぱく質や脂質が、体に付着している雑菌の栄養となり、雑菌が汗を分解してしまうことで、嫌なワキガの臭いを出しているのです。
ところでアポクリン汗腺の汗は、まさにこの臭いを出すのが目的の汗なのです。
人間がフェロモンを出すためにあるものだと考えられています。
アポクリン汗腺は、体の特定の部分にしかありません。
ワキの下の他に、乳輪や陰部や外耳道、まぶたなどにあります。
汗をかいたら、その部位をできる限り清潔に保っていれば、ある程度は臭いを抑えることができます。
たんぱく質や脂質を効率的に拭きとるには、ぬれたタオルを使って汗を拭くといいでしょう。
(エクリン汗腺からの汗は、体温調整のためにかくもので、汗の出口は体中にある毛穴です。)
■ ワキガの特徴
まず、ワキガの場合、耳垢が湿っていることが多いです。
耳垢が湿っぽいタイプの人は、9割以上の確率で、ワキガであることがわかっています。
(外耳道にはアポクリン腺があります。)
次に、下着やシャツなどのワキ部分に黄色いシミが付着する場合、ワキガである可能性は高いです。
ワキガは遺伝します。
家族の中にワキガがいる場合は、かなりの確率でワキガになります。
わき毛が多い人の場合もワキガの人が多くなります。
ワキガ体質の人の多くが毛深いそうです。
(毛が多いということは、毛穴も多いということなので、アポクリン腺も多いという理屈です。また毛が多ければ雑食も繁殖しやすいということも関係しています。)
わきの下に多く汗をかくこともワキガの特徴です。
精神状態や気温の変化、体の状態などに関係がなく、わきの下が湿っているのがワキガです。
■ 臭いの予防
大切なことは常にワキを清潔に保つことで、臭いの原因となる雑菌を繁殖させないことです。
ワキガを根本的に治療するには手術による治療方法がありますが、自分で簡単にできるものには、「制汗剤」などを使い汗を抑える方法があります。
しかし一時的な効果だけしか得られません。
次に「薬」を使った治療方法があります。ワキガの薬は市販されているものもあり、一般的に抗生物質が使われています。
これは臭いの元となる細菌を殺菌してくれる効果がある薬です。これにより予防効果は得られますが、それも薬が効いている時間のことです。頻繁に抗生物質を飲み続けると副作用も心配なので避けた方がいいです。
もう1つできることは「食生活」を改善することです。
肉類などの動物性食品を減らすこと、脂肪分をできる限り減らして和食中心とした食生活を送ることがワキガ治療に効果をもたらします。
ワキガというものは、日本人の食生活が欧米化したことによって増えたとも言われています。
そのため脂肪分を控えた和食にすることで、ワキガ体質を改善する効果があるとみられています。
■ デオドラント製品
軽度のワキガの場合、病院で治療することは特に必要ないと思います。
制汗剤などの対応でいいと思います。
現在様々なデオドラント製品が販売されています。
大きく5つに分類されます。
(1)殺菌作用や抗菌作用のある商品。
(2)消臭効果がある商品。
(3)ふきとりシートなどのように汗を拭き取るタイプの商品。
(4)制汗作用がある商品。
(5)芳香作用がある商品。
この中で一番有効なものは、雑菌の繁殖を抑えることができる、1つ目の商品です。
しかし、肌が弱い人は肌を傷つけることになりますし、長時間つけ続けることで肌が丈夫な人も肌を傷つけてしまう危険性があります。この点は注意です。
ところでこの中で芳香作用のあるものを使うと、ワキガの臭いを合わさって臭いを増長させる危険がありますから組み合わせるのはやめた方がいいです。
■ 自分でできるケア
ワキを清潔にすることですが、毎日お風呂に入ることで、いくらか症状を軽減することができます。
食事は、理想的には野菜や魚を中心としたものにすることが望ましいです。
漢方薬やハーブ、薬膳なども臭いを抑える効果があるそうです。
この場合は漢方薬を販売している薬局で相談することです。
ストレスもよくありません。
ストレスは体に異常をきたしますし、汗をかくのでワキガの症状を起こしやすくします。
このほかミョウバンを使う方法もあります。
ミョウバンを水に溶かしてワキに塗りつけることで、臭いがかなり軽減されるそうです。
他にも竹酢を使ってワキガをケアして臭いを軽減することができます。
竹酢は竹炭を焼いて冷却してとり出したエキスです。殺菌や消臭、消炎などの効果があるそうです。
お風呂の湯船の中に竹酢液を50mlくらい入れて、その湯船につかることで効果があります。
■ 手術(切開)
手術は、ワキガの原因であるアポクリン汗腺を摘出するというものです。
事前に専門医によるカウンセリングを受けた後、まずはアポクリン汗腺を確認するために、外陰部付近を少し切開して調べます。
この結果で、手術が必要なのか、ほかの方法を選択するのかを、決めることになります。
手術では、わきの下の皮膚を切開してアポクリン汗腺を取り出します。
アポクリン汗腺と一緒に毛根を除去されてしまうことになりますから注意してください。
手術となれば医者の技術に頼ることになります。技術と経験を持ち、事前カウンセリングをきちんと行い、症状をきちんと理解してくれる信頼できる医者を選ぶべきです。
■ 手術(吸引)
他にも手術方法があります。
アポクリン汗腺を、吸引によって取るという手術方法です。
わきの下に数ミリ程度の穴を開け、吸引器を使ってアポクリン汗腺を吸引します。
別名「脂肪吸引法」とも言われています。
本来は腹部や太ももなどの脂肪を吸引するために使われていた治療方法です。
手術の傷口が小さいというメリットがあります。目立ちませんし、皮膚が生着するのも早いです。
傷口が治った後の「ひきつれ」が起こりにくいですし、色素沈着も起こりにくいです。
しかしながらデメリットもあります。
摘出手術のように医師が直接目で腺を確認して取り出すわけではありません。
そのため、完全に取ることは難しいのです。医師の経験と勘に左右されるところが大きくて、腕がなく経験も少ない医師に依頼すると危険なこともあるのです。
ワキガの治療方法としては、確実性に欠けているので今はあまり行われていません。
しかし、傷口は小さい方がいいと望まれる人や、手術後すぐに社会復帰しなければならない人には、選択肢の一つと言えるかもしれません。
■ 手術(超音波)
超音波を使って行う治療方法もあります。
わきの下に直径が2mmほどの管を挿入して、アポクリン汗腺を取り出すのです。
手術時間が1時間程度と短いですし、手術中の出血も少なくて済むというメリットがあります。
出血による血腫が作られる可能性も低いです。
手術によってできる傷口も小さいために皮膚の生着も早いです。
手術後はワキの圧迫を軽くできますし日常生活における負担も軽減されます。
デメリットですが。
超音波を使うさい、熱で皮膚を傷つけてしまう危険があります。
吸引と同様に、医師の実力に左右されます。
完全に取ることができないこともあるため、ワキガが再発する可能性もあります。
しかし、全く効果がないわけではないため、予想される効果の程度や費用などで、検討する価値はあるでしょう。
最近では医師が目で確認をしながら超音波で取り除く方法を行う病院もあります。
皮膚を裏返しにして実際に汗腺を確認して丁寧に取り出す方法なので、従来のものより確実で安全に行えるようになっています。
■ 手術(レーザー)
今の世にレーザー脱毛というものがありますが、これを行うと、毛根だけではなくアポクリン汗腺もダメージを受けることになります。
そのため、アポクリン汗の分泌量を減らすことができる、というものです。
1ヶ月か2ヶ月毎に数回行って、効果を得ます。この治療を行うことで、わき毛も減ります。
しかし、ワキガの症状が強い人の場合は、あまり効果が得られないこともあるようです。
※ ※ ※
「マイクロレーザー法」というのがあります。アポクリン汗腺にヤグレーザーを直接照射して、エクリン汗腺と共、燃焼させる手術です。
直径わずか1mmの注射針状になっているレーザーを毛根部に挿して直接汗腺を照射していくため、メスを使うこともなく傷が残ることもありません。
両脇のワキガ手術を行った場合の時間は、40分程度です。
局所麻酔ですし、手術後にわきを24時間固定すればOKです。
腫れは2,3日残ると思いますが、7日後には抜糸を行うことができます。
シャワーであれば、手術の翌日から。入浴は9日後になれば可能となっています。
「レーザーサクション法」は、「マイクロリムーブ法」にプラスして「サクション」を行うダブル効果の治療法です。
サクションとは吸引法のことです。
傷跡が小さい上にワキガの臭いがきつい人でも確実に効果を得ることができます。
「トリプルサクション法」という治療法もあります。
「マイクロレーザー法」を多重に応用させた方法で、傷跡が小さくて、アポクリン汗腺を的確に除去できるという手術です。
現在日本で行われているワキガの治療において、得られる効果が最も高くて傷跡も最も小さい治療法となっています。
従来行われていた治療法では、傷口が大きいとか、確実に汗腺を取り除くことができないとか、皮膚が壊死する可能性があるとか、様々な問題がありました。
しかしこのトリプルサクション法では、手術をした後に行う圧迫固定の時間が短くなり、ダウンタイムも短くなります。
何よりも汗をシャットアウトすることができるというメリットがあります。
ワキガの施術時間は、両脇の場合で2時間程度です。
このように多くの手術法、治療法があります。
日程や術後の回復力、傷跡、金銭面など諸条件を総合的に判断して、ベストな方法を選んでください。
■ すそワキガ
すそワキガとは、陰部から生じる体臭のことです。
陰部にもアポクリン汗腺があり、つまり一般的なワキガが陰部で発症したもの、です。
アポクリン汗腺は他にも耳の中や乳輪、臍などの周辺に存在しています。そしてほとんどの場合、わきの下に集中していますが、ごく稀に陰部に集中している場合もあるのです。
日本人の場合は、わき以外にアポクリン汗腺があること自体稀なことですし、あったとしてもすでに退化している場合が多いのですが、稀に陰部周辺から他人が感じ取ることができる程度の臭いを発することがあります。
これが「すそワキガ」と呼ばれるものです。
すそワキガは、通常のワキガよりもかなり弱い臭いです。
治療の方法は、わきのワキガ治療と基本的に同じです。
つまり、手術では毛根も一緒になくなってしまうため、ワキガの臭いは治すことができても、毛も一緒になくなってしまうことで、違う悩みが出てきてしまうかもしれません。
毛をなくすことなく治療をしたいという人の場合、「凝固法」という治療法を選択することもできます。
これはたんぱく質を凝固することによって臭いがでるのを抑えるという治療法です。
そうであっても、すそワキガの場合、デリケートな部位なので、治療については専門医とよく相談することが大切です。
■ 子供のワキガ
アポクリン汗腺が活発に活動を始めるのは思春期ごろからです。
そのため赤ちゃんや小さい子供にワキガ症状がでることはほとんどありません。
思春期はファッションに興味をもち、異性の目も気になる難しい時期です。
そのためワキガについて正しい知識を持つことと、適切な対策をとることが必要となってきます。
治療方法として小学生や中学生に手術をすすめすることはできません。
この段階ではアポクリン汗腺もまだ成長中なので、さらに範囲が拡大していく可能性もあるからです。
わき毛が一通り生えそろって、子供の成長が落ち着いた段階で手術するほうが賢明でしょう。
あくまで一般的な目安ですが、女性で14歳から15歳以降、男性で16歳から17歳以降となります。
その時期がくるまでは、市販の制汗デオドラント剤を使用するなどして、ケアをするしかないと思います。
■ ボトックス
5分くらいの施術時間で、簡単に治療できる方法があります。
それが「ボトックス」を利用する方法です。ボトックスをわきへ入れて、エクリン汗腺の働きを抑制する治療法です。
エクリン汗腺の活動を抑えるので、当然多汗症の治療にもなりますが、つまり汗を抑制できるため、ワキガの治療法としても効果が期待できます。
ボトックスはわきへ入れたとしても、アレルギーの心配がありません。
何よりも治療時間がたったの5分程度というところが長所でしょう。
ほとんど傷跡も残らないため、プチ整形程度の簡単な部類に入る治療です。
しかし、通常のワキガ手術のようにアポクリン汗腺を取り出すわけではないので、効果は永年にわたるものではありません。
副作用として、腕の倦怠感なども起こるそうです。
ボトックスを入れることで、その効果は約半年間~一年間持続させることができます。
この効果には個人差があります。
医者とよく話し合って、効果期間や副作用の危険性について、十分なカウンセリングをした上で治療を行うようにしましょう。
■ 保険適用
ワキガの場合、その症状が重い場合は保険適用が認められています。
保険診療上でワキガ手術は「腋臭症手術」という項目になります。
その条件は、「悪臭が甚だしくて他人の就業に際して支障をもたらしていることが明らかな場合で、客観的に見ても医療行為が必要であると判断する場合。」とされています。
この条件を満たす場合は給付を受けることができて、軽度のものは給付を認められていません。
しかし手術治療すべてが対象となるわけではありません。
手術治療の中で「皮下組織剪除法」という方法だけが保険適用の対象となっています。
保険上では「皮弁法」という分類で、皮膚を切り、そこからアポクリン汗腺を取るという確実な方法です。
皮弁法の場合、手術後も10回以上通院しなければなりませんし、手術した直後は安静にすることが必要です。
重いものを持つことはできませんし、車の運転もできれば避けた方がいいです。
皮膚に傷跡も残ります。
■ 保険適用の病院
ワキガ治療を保険適用で行いたい場合は、総合病院など大きな病院にした方がいいと思います。
ワキガ手術というものが、ワキガの症状を治すというものではなく、ワキガの悩みを治すと判断されるため、病院によって違うからです。たとえば美容外科などでは、保険適用外となるのが一般的です。
費用面を重視すれば、保険適用を認められている病院や手術法を受けたくなるでしょう。
しかし実際には、保険適用外となっているワキガ治療を専門に行っている病院の方が、医師の技術が高くて経験も多いため、安心して治療を受けられるメリットがあります。
■ 生命保険
健康保険がだめでも、生命保険から給付を受けることができる可能性があります。
もちろん加入している保険内容によります。
例えばある生命保険とある病院の場合は、ワキガの治療をして保険給付金をもらうことができるのは「切開剪除法」によって手術を受けたときだけとなっています。
その上、ワキガを発症した時期も関係しています。
補償期間前からワキガの症状があった場合は、給付金は一部しか受け取ることができません。
一度生命保険について調べてみることをおすすめします。
また社会保険や国民保険などでもワキガ治療が一部保険適応されるケースがあります。
日常生活に支障がない軽度な場合は保険適応外、重度で特定の手術法で治療を受けた場合は適応、となるケースもあります。
他にも高額医療費の対象となるケースもあります。
加入している健康保険によって条件が異なるので、確認が必要となります。
■ 負担金額
自費治療と保険適応治療とあり、自己負担金額が変わってきます。
例えばワキガの手術を切開剪除法でした場合、保険が適用できれば3万円から5万円程度で手術を行うことができます。
対して、保険が適応できないとなると、費用は25万円から30万円とかなりの負担となります。
保険の適用外としている病院が多いのは、経営問題に関係しているためです。
保険適用にしてしまうと、収益を出すのが難しいというのが現状の理由のようです。
総合病院などの大きい病院では、経営面についてあまり考える必要がないため、保険を適用しているところが多いそうです。
■ 合併症
ワキガの手術によって合併症を起こす危険性は当然あります。
「出血と血腫」
手術である程度の出血はあります。その血が皮膚の内側で固まってしまうと血腫となります。
これによっては細菌感染を起こしたり皮膚の壊死を起こしたりしてしまうことがあります。
手術後の出血を最小限にとどめるには、わきの圧迫固定をしっかりと行って安静にすることが大切です。
「感染症と化膿」
細菌で創部が感染してしまうと、皮膚の内側で化膿します。
手術した直後は大量の汗をかいたり、入浴してわきの下を濡らしたりすることがないように注意して細菌が発生する原因を作らないようにします。
創部が落ち着いたら、わきの下を石鹸で洗い清潔を保つようにします。
手術をした直後にわき毛を抜くことも厳禁です。毛穴から細菌感染を起こす危険があります。
「傷跡」
手術を行うと切開して縫合するわけですから、どうしても傷が残ります。
傷の目立ち方には個人差もありますが、一般的には時間が経てばだんだん目立たなくなっていきます。
体質としてケロイド症の人や肥厚性瘢痕などの人は、注射や軟膏などを使って、半年以上かけて傷跡を治していきます。
「しわ」
手術を行った後、わきの下にしわが残ってしまう人がいます。
皮膚がたるんだためと、あとは元々わきの下のしわが多い人、わきの下に弾力がない人、ケロイド症の人や肥厚性瘢痕などの人は、体質としてなりやすいのです。
手術後に意識してわきの下の皮膚を伸ばすようにするとか、時間が経ち皮膚が柔らかくなると次第にしわは減るようになります。
「色素沈着」
手術後、わきの下が色素沈着を起こして赤茶色になることがあります。
皮膚をできるだけ薄くしてワキガの治療効果を出そうとすることで起こりやすくなります。
皮膚に炎症ができやすい体質の人や、アトピー性皮膚炎の人、アレルギー体質の人などは起こしやすいです。
色素沈着がひどい場合は、軟膏など薬によって治療を行います。
一般的には時間が経てばだんだん色素沈着は目立たなくなっていきます。
しかし体質によっては残ってしまう人もいます。
(2011/4 記事)