1. スクール用シミーズ(ジュニアスリップ・ラン型スリップ)。
今日ではスリップは私立小学校の低学年児童以外には全くと言って良いほど着用されなくなりましたが、昭和末期(西暦1980年代)頃まではスリップは中高生にとっても必需品のスクールインナー、すなわち通学用の肌着でした。
1.1. シミーズの本来の意味。
シミーズとは、本来スリップの仏語・シュミーズ(chemise)が訛ったものです。
スリップとは、胸から腿までを覆うワンピース型の肌着の事です。
- ブラウス等の滑りを良くするための肌着と言う事で、英語圏ではスリップと呼ばれるそうです。尚、仏語にはそのような意味は無いようです。
1.2. ジュニアスリップとその特徴。
スリップのうち、特に胸が発育していない女子小・中学生向けに作られたスリップをジュニアスリップと呼び、これが昭和末期頃まで女子中学生の制服の下に着用されるインナーとして良く用いられておりました。
ジュニアスリップの多くは、ラン型切替スリップと呼ばれるタイプのスリップで、当時の女子中学生の間では、これをシミーズと呼ぶ事が多かったようです。
- ラン型スリップ
本体を肩紐で吊るす代わりに胸周りの身頃を肩まで伸ばしてタンクトップのような感じにしたスリップ。
- ラン型スリップ以外には、肩紐で吊るすストラップ型のスリップもありますが、女子小・中学生向けのジュニアスリップとしては余り多くありませんでした。
- 切替スリップ
木綿製の胸周りと化学繊維で出来た胸から下のスカートの部分を繋いだスリップ。
上半身は肌に直接触れるため汗を吸い易い木綿が適切ある一方、下半身は肌に直接触れる事は余りないため、滑りが良い化学繊維の方が好ましいと言う事から、木綿製の上半身と化学繊維製の下半身を繋げたものです。
- ラン型の場合は腰かその下辺りで木綿部分と化繊部分の繋ぎ目がある場合が多いようです。
勿論、シミーズとかジュニアスリップと言うのは、あくまでも通称であるため、呼び方はさまざまであり、
- 逆にラン型であろうとストラップ型であろうと、シミーズとは言わずスリップと呼ぶ娘
- 初めに述べた通り、シミーズと鈍らず、原語に近くシュミーズと呼ぶ娘(これは地域にも依るようです)
もいました。
但し、実際の商品にはシミーズやシュミーズと言う呼称が用いられた事は一切なく、
- ジュニア用ラン型スリップ
- スクール用ラン型スリップ
など、必ずスリップと言う商品名で販売しておりました。
本稿では、ラン型のジュニアスリップを特にシミーズと呼ぶ事とします。
1.3. スクールインナーとしてのシミーズ(ジュニアスリップ)。
1.3.1. スクールインナーとしてのシミーズ(ジュニアスリップ)の特徴。
スクール用のスリップとして発売されたシミーズ(ジュニアスリップ)は殆どが上述のラン型切替スリップで、必ず白無地となっておりました。
加えて、スクール用のシミーズは、多くの場合以下のような特徴がありました。
- 丈は膝上くらいまでを覆うくらいとなります。
- 裾には花の模様のレースが縫い付けられております。
胸元に白いリボンの飾りが付けられ、その上には花の刺繍が施されておりました。
- ちなみに、グンゼのハートエイジ®と呼ばれたブランド(スクール用シミーズで最もシェアが高かったと思われる)では、裾に付けていたレースや胸元に付けていたリボンなどの飾りを、発売時期毎に変えていたようです。
ウエスト切替…木綿製の上半身部分と化繊製のスカート部分との切替の位置が腰かそれより下にあるもの。
シミーズを着用していた女子小中学生は胸が発育していないため上半身全体が生地に触れ易く、そのため肩から腰まで広範囲に亘って木綿製となっておりました。
- このため、購入時期に依りデザインが変わっていたと言う事もあり得たようです。
1.3.2. スクールインナーとしてのシミーズ(ジュニアスリップ)の利用。
1.3.2.1. ブラジャー着用までの間の肌着。
ブラジャーを着用していない女子生徒は、ブラジャーを着用し始めるまでこのタイプのシミーズ(ジュニアスリップ)を制服の下に着ておりました。
- 昭和60年代くらいまでは中学校入学時にブラジャーを着用するほど胸が発育した女子生徒は全くと言って良いほどいませんでした。
但し、ブラジャーを着用していない全ての女子生徒がラン型のスリップを着用していた訳でもなく、少数ですがスクール用ストラップ型スリップを着ていた娘もいたそうです。
- スクール用とされていなかったジュニアスリップには、少数ながらストラップ型のものもあり、それらを最寄の店で購入して使用する事もあったと言う訳です。白のスリップであれば良いのですから…。
1.3.2.2. ブラジャー着用開始とともに卒業。
発育に伴いブラジャーを着用するようになると、
- 「シミーズは子供の下着、ブラジャーは大人の下着」と認識されていたのか、
- 或いは発育した胸にはシミーズはきついのか、
シミーズから卒業出来たと認識され、以後着用される事がなくなります。
すなわち、シミーズとブラジャーの併用はあり得なかった訳です。
- このため、中学校の第二学年では学級の女子がシミーズ組とブラジャー組に分かれてしまう事もあったようです。
- 但し、雨天続きなどでブラジャーの洗濯が出来ずストックが尽きた場合に、胸を隠すため已む無く卒業した筈のシミーズを引っ張り出して着ると言う場合はあったようです。
1.3.3. シミーズが着用されていた理由。
昭和末期頃まで、多くの中学校では、校則として女子は白無地のスリップを下着として着用する事
とされておりました。
ただ、校則で着用を義務付けられていただけでなく、
- 制服の肌触りが悪かった事
- 身だしなみとして肌着を着るのは当然である
と言うのもシミーズを着用する理由でした。
- 実際、
校則よりも、スカートの裏がガサガサして不快だからスリップを着ていた
と言う娘もいました。
1.3.4. 学校指定肌着としてのシミーズ。
地域に依っては制服取扱店などで学校指定品すなわち制服の一部として入学前に制服と併せてこのタイプのシミーズを購入させ、着用を義務付けていた処もあったようです。
特に、グンゼの昭和時代のスクール下着ブランド・ハートエイジ®はスクール用シミーズでは最もシェアが高かったそうで、学校指定品も大半がハートエイジの「ラン型切替スリップ」をを採用していたようです。
尚、シミーズは中学生には既に着用されなくなりましたが、今でも私立小学校の低学年児童はこのタイプの肌着を学校指定の下着として制服の下に着用しており、そのため今でも細々と発売されているようです。
ただ、低学年の私立小学生向けの肌着も、最近では今風のキャミソールなどに代わりつつあり、シミーズは早晩完全に使われなくなる日がくるかも知れません。
1.4. 参考・シミチョロとは。
シミチョロとは、スカートの裾から下に着ているシミーズ(スリップ)の裾が見える事です。
- シミーズがチョロっと見えるの略です。
かつてスリップがスクールインナーとして普及していた時代にはよく聞かれた言葉でしたが、実際にはスカートが膝丈より少し長いのに対して、スクール用スリップは外から見えないように膝上より少し短い程度の長さのものを撰ぶのが普通だったとの事で、実際にスカートの裾からシミーズの裾が見える事は先ずありませんでした。
女子中高生がシミーズ(スリップ)が着用しなくなってからも、漫画などでは女子中高生の装飾効果に使われていましたが、漫画の場合には、スリップではなくペチコートのつもりで描いている場合が多かったようです。
或いはセーラー服を若干短めにしたり腰を曲げるなどして、スカートの腰上から上半身を覆うスリップが見えるように描写する事もありました。
しかし、近年ではスカートが極端に短く描写されるようになり、漫画でもシミチョロの描写は見られなくなりました。