体臭のはたらき
私たちの嗅覚は他の動物とすると非常に衰えていますが、それでも記憶をよみがえらせる効果は視覚や聴覚よりも強いと言われており、匂いは脳の働きの深層に関わる機能のように思われます。
「おかあさん」という童謡の中に「お母さん なあに お母さんていいにおい‥」という歌詞があります。人間も動物である以上は、砂や岩のように無臭でいることはできません。
生まれたばかりの乳児が母親の匂いをかぎ分けて寄り添い、外敵から身を守ってもらったり、繁殖機能が成熟した男女を引きつけ繁殖を促す匂いのはたらきをフェロモンといいます。ワキの匂いは原始時代から体に備わったフェロモンのはたらきをするツールです。
現在は自分で気づかずに出ているフェロモンとしての匂いが、出会いや恋愛関係のある男女の相性に影響を与えているのではないかということも言われています。
また、「匂いフェチ」とか「ワキフェチ」という異性のワキの匂いに強い関心を持ったり、性的興奮を覚える人もいるので、特に女性はわきの匂いにはこまめなケアが必要です。
ワキの匂いが気になり始める年齢
体の匂いは、男女ともに主にアポクリン腺から分泌されるわき汗から生産されています。生まれたての赤ちゃんにはアポクリン腺からの汗の匂いがなく、生殖機能が成熟してくる思春期を迎えたころから匂いが出てきます。
思春期からワキや陰部、耳の中や耳の周りなどにはアポクリン汗腺が発達し、その汗腺から出る汗に含まれるタンパク質や油脂分にバクテリアが集まってきて匂いを出すようになります。この匂いを強くして、より遠くの異性にフェロモンを届けるため、わきや陰部には毛が生え、ワキ汗をしみ込ませて水分を蒸発させ、匂いの濃くなった空気の層を作ります。大人の男女のワキはいつも湿っていて、バクテリアがいると触れた手をかぐと匂いがあります。
また、思春期はワキ汗の分泌が多く、わき毛を除毛しなければ、水分の飛んだ油脂分やタンパク質が薄くロウのように固く累積して毛のまわりにまとわりつき、洗い落とせない状態で腐敗したり、バクテリアの温床になって殺菌効果が得られにくい状態になることがあります。
アポクリン汗腺からのワキ汗にはタンパク質や油脂分が多いため、放っておくとバクテリアが増殖し、匂いが強くなります。ですから、お風呂に入り、絶えずワキ汗の匂い成分を取り除かなければなりません。
ワキ汗とワキガ
大勢の前で話をする、苦手な人と二人きりになるなど緊張したときワキ汗が出るのは、ワキのアポクリン汗腺の汗です。ワキ汗は、興奮や緊張、不安や恐怖などの精神的な高まりで多く出ます。
精神的な高まりやストレスがないのにワキ汗のブレーキが利きにくく、たえずバクテリアの集まりやすいワキ汗成分が出ていて、量も多いためにワキの匂いが強く匂って部屋中、車の中やエレベーターの中で周囲の人に不快な思いをさせるのがワキガという病気です。
ちょっと匂うなと感じる程度の匂いは、繁殖期を迎えた大人の体である証拠であり、繁殖を支える重要なツールですので、匂いをゼロにすることはできません。
また人の顔が完全な左右対称でないようにアポクリン汗腺1本1本(粟粒大)の大きさや分布も左右のワキによって違うので匂いの量も違ってきます。
ワキの汗じみ↓
湿った耳アカ(アメ耳)とワキの匂い
アメ耳の人はワキの匂いが強い傾向がありますが、コナ耳の人でもワキに匂いがあります。ただ、強いか弱いかということです。
コナ耳の人は耳の中のアポクリン汗腺が少ないため、ワキガになる可能性はほとんどありませんが、匂いはあります。
ちなみにアメ耳の人はフェロモン分泌が盛んでワキの匂いが強い傾向がありますが、アメ耳の割合は人種によって大きく差があり、中国人や韓国人は4 - 7%、日本人は約16%、白人では90%以上、黒人は99.5%くらいと言われています。なので外国人はワキの匂いが強い人が多いです。
また、アメ耳は優性遺伝をしますので両親のどちらかがアメ耳の遺伝子をもっていれば、アメ耳の子が生まれる可能性は高いです。(血液型のA型がO型に対して優性であってもAO型とOO型の両親の場合、O型の子どもが生まれることがあるようにアメ耳も100%とはなりません)
匂いを作るバクテリアがいるかどうか確かめる
まず、わき毛に蓄積したロウのようなタンパク質や油脂分がないことが前提ですので、ワキ毛の除毛をしておきます。
匂いを生産するバクテリアがいなければ、ワキ汗をかいてもあまり匂いはありません。バクテリアがいるのかどうか確かめる方法は、お風呂に入る前にワキの匂いを確認し、ワキを洗ってお風呂から上がってすぐにワキに消毒用エタノール(アルコール)か食用お酢、オ○ナイン軟膏など殺菌作用のある薬剤を塗ってどのくらい匂いが消えるかでわかります。 翌朝になってもワキの匂いがしなければ匂いを生産するバクテリアが殺菌されたことがわかります。
この方法を使ってもワキの匂いが消えなければ、多汗症などの汗の病気があるかもしれません。
わきの匂いは、汗の成分で匂いを発するバクテリアを寄せ集めて増殖させてしまうことで起こるので、1回殺菌しただけでは、しばらくしてすぐに再発します。
また、消毒用エタノール(アルコール)か食用お酢かオ○ナイン軟膏などは、殺菌作用はありますが、使い続けると肌が荒れたり、服にシミを作ってしまうことがありますので注意が必要です。
匂いを生産するバクテリアがいることがわかったら
現在は、ワキ毛を除毛してワキ汗が肌や服にしみ込まないようにする汗取りパッドを使ったり、ワキ汗を抑える制汗剤や汗止め帯(京都の舞妓さんの胸の上を締める高帯が上半身の汗を抑制することを利用したツール)、消臭剤といい香りで中和させてワキの匂いを薄めるデオドラントなどさまざまな商品が出ています。
ワキ汗パッドは取り外して洗えるものがいいですが、取り外せなければ、毎日洗って匂い成分が残らないようにします。
ワキの匂い予防は、お風呂でよく洗ってすぐに制汗剤で殺菌してバクテリアを最小限にしておくことが大切です。制汗剤にはバクテリアの殺菌剤とともに汗を出にくくする薬剤や香料などが含まれています。
ワキのアポクリン腺からジワジワ出ている匂い成分(油脂分やタンパク質)はお風呂から上がってすぐに出始め、周囲のバクテリアのえさになって数時間も経つと強い匂いになっていきます。
なので、ワキを洗って清潔なうちに何もしないでいると、翌朝の出かける前などは大量のバクテリアが匂いを発していて、その場で制汗剤をつけても効き目は限定的です。
衣類の工夫でワキの匂いを抑える
ジャージウェアなどポリエステル素材などの化繊の下着やブラウスは、しみ込んだワキ汗の匂い成分を分解できず、ため込んでしまいます。洗濯しないで長く着ていると匂いが強くなりますので、できるだけコットンやコットン比率の高い下着や服、レーヨン素材のものに替えましょう。コットンとポリエステル混紡の場合、ポリエステルのパーセントが多いものほど、匂い成分を分解する力は劣ります。
食事でワキの匂いを抑える
肉類や脂分の少ない食事に換えることで、ワキ汗の匂い成分を少なくできるということも言われています。
ワキ毛処理をしてもワキ汗は出ます
ヘアサロンなどでワキの黒ずみや毛の処理をしているモデルや女優をしている女性でもワキ汗を止めることはできません。ワキ汗を根本的に抑えるには美容整形外科などの医療によりワキのアポクリン腺を切除しないかぎり、ワキ汗を止めることはできません。