匂いと衛生について
July 31 [Fri], 2009, 20:13
衛生に関することは歴史的にもよく、異文化の人を叩く材料になってきました。
自分達よりも怠惰であれば信じられないと眉をしかめ、自分達よりも清潔であることに切磋琢磨していれば「神経質すぎる」と馬鹿にする。
人々がこのようなほとんど根拠のない、頼りないものを基準にして他者の人格をはかってきたという事実には、人間の底のほうにある何かが垣間見える気がしてとても面白いと思います。
朝風呂に入る貴婦人
現代の私たちは自分の体臭というものをとても憎んでいるけれど、実は歴史的に眺めるとそれは一部のものでしかありません。
ヨーロッパの人々は風呂嫌いで有名ですが、これは一説にはペストや梅毒が流行して、公衆浴場が感染源であるとされ、各地で風呂屋が廃業させられたためといわれています。
また、医者自体も入浴には反対していて、なんでも彼らによると、「空気中の湿気でさえ体の繊維を温めて伸ばすので有害なのだから、それを水やお湯のなかにわざわざ体を浸すなどとんでもない」とのこと。
そして何より、体臭とは強い生命力の現れであるから、むしろ強ければ強いほど良いのだという考え方もありました。
だから当時の医者は、今では全く信じられないようなことではありますが、「風呂に入ってせっかくたまっている垢を落としたりすると、体臭が弱くなって動物的な生命力が衰える」などといって脅していたらしいのです。
実際、これを誇っている王様もいました。
アンリ4世は体臭のすさまじさで有名でしたが、その子であるルイ13世などは、「朕は父王に似たのだ。わきががある」と自慢していたのだとか。
けれども、いくらそうだとはいっても、これらにはやはり限度というものがあります。
例えば、強い匂いに日常的にさらされ、鼻の感覚が鈍っていた人々の間でさえ、ルイ14世の口臭は評判が悪かった。
そのほかにもルイ14世はお風呂が嫌いであったため、おそらく体臭もかなりあったのでしょう。
ある日、ルイ14世が寵姫のモンテスパン夫人を伴って同じ馬車にのりあわせたところ、ルイ14世はモンテスパン夫人の強い香水のにおいに苛立って言いました。
「余はそなたの香水の量を減らせと何度も言ったはずだ。その匂いには気分が悪くなる」
するとモンテスパン夫人は負けずにこう返しました。
「陛下がちっともお風呂に入ってくださらないので、遠慮なく言わせていただきますと、たまらなく臭いのですわ」
つまりモンテスパン夫人は確かに強烈な匂いのする香水を大量に身につけてはいたけれども、それはルイ14世の強烈な匂いから自分の身を守るためだったのだということです。
さて現代の人々は、一般的には自分の体臭をこれでもかというほどに気にして、これでもかというほどに自分固有の匂いを消したがる傾向にあります。
そして近づくべきは、なにやらココナッツだとかバニラだとか、フルーツだとかいった甘かったり清涼だったりするような香り。
けれどもこの点については、古代人はとても懸命だったなと私は思います。
古代エジプト人は現代人と同じように体を清めることに熱中していたけれど、それとは別に、自分の生のままの匂いを誇張するような香りのするオイルを、わざわざ性器などにすりこんでいました。
エジプト人だけでなく、他にも古代の人々は、「まともに生々しい体臭は、それ相応の状況であれば強い催淫効果をもたらす」のだということを、熟知していた思われるふしがあります。
そしてこのことは、近代に入ってからも気づいていた人々はいました。
例えばナポレオンです。
彼もその妻ジョゼフィーヌも、通常は毎日長風呂を楽しむタイプの人間だったのですが、遠征先からナポレオンがジョゼフィーヌに送った手紙にはこう書いてあったといいます。
「明晩そちらに戻る。洗わぬように」
ちなみに歴史上の記録を見る限り、体臭のせいで性交渉ができなくて出生率が低下したことなど、ないのだといいます。
これはとても興味深い事実です。
自分達よりも怠惰であれば信じられないと眉をしかめ、自分達よりも清潔であることに切磋琢磨していれば「神経質すぎる」と馬鹿にする。
人々がこのようなほとんど根拠のない、頼りないものを基準にして他者の人格をはかってきたという事実には、人間の底のほうにある何かが垣間見える気がしてとても面白いと思います。
朝風呂に入る貴婦人
現代の私たちは自分の体臭というものをとても憎んでいるけれど、実は歴史的に眺めるとそれは一部のものでしかありません。
ヨーロッパの人々は風呂嫌いで有名ですが、これは一説にはペストや梅毒が流行して、公衆浴場が感染源であるとされ、各地で風呂屋が廃業させられたためといわれています。
また、医者自体も入浴には反対していて、なんでも彼らによると、「空気中の湿気でさえ体の繊維を温めて伸ばすので有害なのだから、それを水やお湯のなかにわざわざ体を浸すなどとんでもない」とのこと。
そして何より、体臭とは強い生命力の現れであるから、むしろ強ければ強いほど良いのだという考え方もありました。
だから当時の医者は、今では全く信じられないようなことではありますが、「風呂に入ってせっかくたまっている垢を落としたりすると、体臭が弱くなって動物的な生命力が衰える」などといって脅していたらしいのです。
実際、これを誇っている王様もいました。
アンリ4世は体臭のすさまじさで有名でしたが、その子であるルイ13世などは、「朕は父王に似たのだ。わきががある」と自慢していたのだとか。
けれども、いくらそうだとはいっても、これらにはやはり限度というものがあります。
例えば、強い匂いに日常的にさらされ、鼻の感覚が鈍っていた人々の間でさえ、ルイ14世の口臭は評判が悪かった。
そのほかにもルイ14世はお風呂が嫌いであったため、おそらく体臭もかなりあったのでしょう。
ある日、ルイ14世が寵姫のモンテスパン夫人を伴って同じ馬車にのりあわせたところ、ルイ14世はモンテスパン夫人の強い香水のにおいに苛立って言いました。
「余はそなたの香水の量を減らせと何度も言ったはずだ。その匂いには気分が悪くなる」
するとモンテスパン夫人は負けずにこう返しました。
「陛下がちっともお風呂に入ってくださらないので、遠慮なく言わせていただきますと、たまらなく臭いのですわ」
つまりモンテスパン夫人は確かに強烈な匂いのする香水を大量に身につけてはいたけれども、それはルイ14世の強烈な匂いから自分の身を守るためだったのだということです。
さて現代の人々は、一般的には自分の体臭をこれでもかというほどに気にして、これでもかというほどに自分固有の匂いを消したがる傾向にあります。
そして近づくべきは、なにやらココナッツだとかバニラだとか、フルーツだとかいった甘かったり清涼だったりするような香り。
けれどもこの点については、古代人はとても懸命だったなと私は思います。
古代エジプト人は現代人と同じように体を清めることに熱中していたけれど、それとは別に、自分の生のままの匂いを誇張するような香りのするオイルを、わざわざ性器などにすりこんでいました。
エジプト人だけでなく、他にも古代の人々は、「まともに生々しい体臭は、それ相応の状況であれば強い催淫効果をもたらす」のだということを、熟知していた思われるふしがあります。
そしてこのことは、近代に入ってからも気づいていた人々はいました。
例えばナポレオンです。
彼もその妻ジョゼフィーヌも、通常は毎日長風呂を楽しむタイプの人間だったのですが、遠征先からナポレオンがジョゼフィーヌに送った手紙にはこう書いてあったといいます。
「明晩そちらに戻る。洗わぬように」
ちなみに歴史上の記録を見る限り、体臭のせいで性交渉ができなくて出生率が低下したことなど、ないのだといいます。
これはとても興味深い事実です。
- URL:http://yaplog.jp/hanazono/archive/309