ニキビでの皮膚科受診率を国際的に比較すると、日本ではかなり受診率が低いのが現状です。そのため「ニキビを治すには洗顔をたくさんすることが必要」「チョコレートを食べるとニキビができる」など、間違った認識でニキビを悪化させてしまう人も少なくありません。
皮膚科でのニキビ治療は、重症・軽症にかかわらず、ニキビを早く治すためには有効な手段です。今回は、ニキビで皮膚科治療を受けるメリットと治療の種類について、ドクター監修の記事で解説します。
ニキビで皮膚科治療を受けるメリット
重症のニキビだけが、皮膚科での治療対象というわけではありません。白ニキビや黒ニキビなどの軽い症状でも、適切な治療やケアを受けることで症状の悪化を防ぎ、より早くニキビを治すことができます。
また、ドクターのアドバイスを受けることで、ニキビの根本的な原因である毛穴をつまらせる原因となる間違ったスキンケアや生活習慣、ホルモンの乱れなどを改善することができ、ニキビの再発リスクを低下させることもできます。
ニキビは皮膚疾患。自己流のケアで悪化させたり、治ってもニキビ跡を残してしまうことがないよう、早めに皮膚科を受診しましょう。
ニキビの皮膚科治療の種類1:外用薬の処方
ニキビの治療で主となるのが、外用薬による治療です。外用薬による治療には以下のようなものがあります。
抗生物質
赤ニキビ(炎症が発生しているニキビ)には、原因菌であるアクネ桿菌を殺菌する抗生物質が含まれた外用薬が処方されます。以下のようなものがニキビ用治療に広く使われています。
- アクアチムクリーム/アクアチムローション(ニューキノロン系抗生物質)
- ダラシンTゲル、ダラシンローション(リンコマイシン系抗生物質)
抗生物質以外の外用薬
ニキビの根本的な原因は「毛穴が詰まること」です。この毛穴のつまりを取り、またつまりにくくする治療薬として、以下のようなものがあります。
- ディフェリンゲル(アパダレン)
- ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)
- デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン抗生剤)
- トレチノイン【保険適用外】
これらの治療薬は、できてしまったニキビに対して効果があるのみならず、肉眼では見えない毛穴のつまり(微小面皰)や、角質層の過角化に対しても効果があります。
ニキビの皮膚科治療の種類2:内服薬
ニキビの内服薬としては、以下のようなものがよく処方されます。
抗生物質
ニキビの炎症が重度の場合、経口摂取で抗生物質を投与します。抗生物質には色々な種類がありますが、ニキビの治療に用いられる抗生物質は以下のようなものが一般的です。
- ルリッド(マクロライド系抗生物質)
- クラリス(マクロライド系抗生物質)
- ミノマイシン(テトラサイクリン系抗生物質)
ホルモン治療
ストレスなどの影響で、相対的に女性ホルモンの分泌量が減り、皮脂腺を刺激する男性ホルモンの働きが強まると、ニキビができやすくなります。それを解決するため、以下のようなホルモン治療が行われる場合があります。
- 基礎体温の記録と医師による確認
- 低用量ピルの処方
- 抗男性ホルモン薬の処方
ビタミン剤
ビタミン不足は、ニキビの原因になります。治療の一環として、皮脂の分泌量を調節したり、皮膚や粘膜を健全に保つなどの働きをする以下のようなビタミン剤が処方される場合があります。
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンC
ニキビの皮膚科治療の種類3:クリニックでの処置
毛穴の中に詰まっている角質や皮脂などを取り除いたり、肌質の改善に繋げる処置が行われる場合があります。一般的によく行われる治療としては、以下のようなものがあります。
毛穴のつまりを取り除く治療
毛穴につまっている内容物や、目に見えない段階の小さな毛穴づまり(微小面皰)を取り除くことで、ニキビの悪化を防ぎ、できてしまったニキビを早く治します。主な治療法には以下のようなものがあります。
- 面皰圧出
- ケミカルピーリング【保険適用外】
その他の治療
重度の炎症が発生しているニキビ治療のため、患部に直接ステロイド剤を注射する治療が行われます。また、他の治療との組み合わせたり、ニキビの根本的原因を取り除く目的で、以下のような治療が行われる場合があります。
- 注射治療
- イオン導入【保険適用外】
- レーザー治療【保険適用外】
- フォトフェイシャル治療【保険適用外】
レーザーは、アクネ桿菌の殺菌、上述の面皰圧出時にニキビにレーザーメスで穴を開ける、できてしまったニキビ跡のケアなどの目的で幅広く使われています。
特に男性は、シェービングによる刺激がニキビの原因となっていることがあり、ひげを脱毛することでニキビが大幅に改善するケースがあります。
フォトフェイシャル照射は、アクネ菌の殺菌、炎症後紅斑の改善、炎症後色素沈着の改善効果もあります。
ニキビで皮膚科治療を受ける際の注意点
ニキビの根本的な原因は毛穴のつまりですが、毛穴を詰まらせる要因は、間違ったスキンケアやストレス、食生活、ホルモンバランス、生活習慣、手で肌を触るくせまで、多種多様です。
できてしまったニキビを治療すると同時に、ニキビの発生につながる生活習慣を改善する努力も行い、新たなニキビを増やさないようにしつつ、一度治ったニキビが再発しないよう努力することが重要です。
治療中に自宅で心がけたいスキンケアや生活習慣
皮膚科でニキビを治療中でも、自宅でのスキンケアは重要です。間違ったスキンケアを行っていると肌状態が不安定になり、治療薬や施術の効果が発揮できないからです。
肌は、約4週間で生まれ変わります。新しい肌をすこやかに保つためにもスキンケアの基本を重視し、睡眠やストレス解消など生活習慣についても見直しを行いましょう。
基本のスキンケア
毎日、正しい方法で洗顔し、保湿を行うことはスキンケアの基本です。メイクをしているときはクレンジング剤ですばやく落としてから、石けんや洗顔料をしっかり泡立て、やさしく洗いましょう。洗顔やすすぎの際は余分な皮脂まで落としてしまわないよう、熱いお湯ではなくぬるま湯を使ってください。また、髪の生え際やあごの下などは洗顔料が残りやすいので気をつけましょう。
洗顔後は、清潔なタオルを肌にやさしく押しあてながら水気を取り、化粧水や美容液、クリームなどで保湿を行ってください。
日常生活における注意点
すでにできているニキビには、触らないことが大切です。指先だけでなく、顔にかかる髪の毛はまとめるなどし、常に清潔な寝具やタオルを使うよう心がけましょう。夜ふかしや睡眠不足、過剰なストレスも肌にはよくありません。特に睡眠は、肌が生まれ変わる夜22時~深夜2時くらいまでには床につくようにしましょう。
毎日の食事は、ビタミンB群(卵や牛乳、レバー、肉など)を中心にバランスよく食べることが大切です。すでにできてしまったニキビ跡には、ビタミンCとビタミンEを一緒にとるのがよいでしょう。ビタミンCには抗酸化作用があり、ビタミンEには血行をよくし、傷の修復を促す作用があります。
アルコールの過剰摂取は皮脂腺を刺激することがあります。さらに、アルコールの分解の際に、肌の角化状態を整えるビタミンBを大量に消費してしまうことで、ニキビが増えやすくなります。また、タバコに含まれるニコチンはビタミンCを破壊し、コラーゲンの分解も進行させてしまうので、肌の老化を早めます。どちらも控えめにしておくとよいでしょう。
メイクはどうすればいい?
メイクは油分を多く含んでいる製品もあり、毛穴をつまらせる原因になることがあります。とはいえ、普段の生活ではどうしてもメイクをしなければいけないこともあるかと思います。外出するときは薄めのメイクを心がけ、帰宅したら早めに落としましょう。
クリニックによってはニキビの炎症を防ぐスキンケア製品やメーキャップ用品を取り扱っているところもあるので、そうした製品を活用するのもよいでしょう。
肌は紫外線から守るために、角質を厚くすることがあります。厚くなった角質は毛穴をつまらせ、ニキビを悪化させるおそれがあります。外出するときは、紫外線対策も忘れず行うようにしましょう。