思春期ニキビとは異なる?大人になってからのニキビ
大人ニキビって?思春期ニキビとは異なる原因
ニキビは「アクネ菌」と呼ばれる表皮常在菌が原因で発生します。皮脂や垢などの老廃物が毛穴などに詰まると、酸素を嫌う性質のあるアクネ菌がそれらの老廃物をエサとして食べ増殖してしまいます。アクネ菌が増殖すると皮膚に炎症が発生して赤く腫れたりぽつぽつとしたおできのようなものができたりします。これがニキビです。
思春期ニキビが性ホルモンの影響により皮脂の分泌が増えニキビが発生するのに対して、大人のニキビは肌のターンオーバーの乱れや乾燥によって古い角質が蓄積することで発生します。ターンオーバーが乱れる原因としてはストレスや食生活の乱れ、睡眠不足、女性ホルモンの影響などさまざまな要因が存在します。
思春期ニキビは皮脂の分泌量の多い額や鼻筋に発生しやすいのに対して大人ニキビは皮脂の分泌量が少ない顎のUラインと呼ばれる部位に発生しやすいのも特徴です。皮脂の分泌が少なく乾燥肌を招くためそのような違いが生じます。
以下のようなチェックリストに当てはまる人は大人ニキビになりやすいかもしれません。
- 乾燥肌である
- 脂っこいものをよく食べる(揚げ物、スナック菓子、チョコレート、ナッツなど)
- 野菜や果物といったビタミン源をあまり食べない
- 洗顔をし過ぎる(多くて朝、夜の2回。どうしてもそれ以上洗いたい時は洗顔料を用いずぬるま湯で洗いましょう)
- 洗顔をする際にゴシゴシと強く洗ってしまう
- 睡眠不足を感じる
- ストレスが多い
- 運動不足である
- 喫煙習慣がある
- (女性の場合)生理前である、PMSが強い
大人ニキビは原因を明確に特定するのが難しいことが特徴です。しかしニキビになりやすい生活習慣や食習慣を改善することで大人ニキビを発生させにくい体質にすることが可能です。忙しい現代社会ではなかなか生活習慣を改善することは難しいですが、できることから一つずつやっていくことが重要です。
ニキビにも種類が?実はこんなにあるニキビの種類
ニキビが赤かったり白かったり、時々によって色が異なっている経験はありませんか?ニキビには段階によって色が異なります。ニキビにはこんな種類があります。
1:白ニキビ
白ニキビは毛穴に皮脂が溜まることで詰まってしまい、皮膚に白っぽい盛り上がりができる状態のことを指します。この溜まった皮脂をニキビの前段階であるコメドとも呼びます。この状態ではアクネ菌の増殖とそれに伴う炎症が発生していないためきれいに治せる可能性があります。なるべくこの状態で治療をしてしまうようにしましょう。
2:黒ニキビ
黒ニキビは白ニキビの状態で詰まった皮脂が酸化してしまい黒っぽく見える状態のことを指します。この段階でもアクネ菌の増殖と炎症は発生していません。
3:赤ニキビ
赤ニキビは白ニキビを放置したことによって炎症が発生し、赤くなってしまっている状態です。炎症は発生しているため無理につぶしたり放置したりすると痕ができる可能性もあります。
4:膿ニキビ
赤ニキビを放置してしまうと炎症がさらに強まり膿を発生させてしまいます。この状態になると炎症部が拡大してニキビが大きくなります。この状態でさらに放置してしまうとさらに大きな痕が残る可能性もあり、最悪の場合はクレーターのようなデコボコが発生します。
ニキビ跡
大人ニキビは思春期ニキビと比べて跡になりやすいのが特徴です。思春期は細胞分裂と新陳代謝が盛んで傷の修復が容易なのに対して大人の場合新陳代謝のスピードが衰えているためです。シミやくすみ、デコボコが発生することもあれば最悪の場合大きな穴のようになる場合もあります。
大人ニキビの治し方と対策
大人ニキビはシミやくすみ、皮膚のデコボコなど跡になりやすいもの。そのためなるべくニキビができないように、出来たとしても初期の段階で治療することが重要です。大人ニキビの予防法と治療法を解説します。
食事、栄養成分による対策
大人ニキビの原因は乾燥と肌のターンオーバーの乱れです。それぞれを改善させる食生活にすることが重要です。
脂質を避けすぎない
大人ニキビは皮脂の分泌が十分にされず肌が乾燥することも発生する要因の一つとなります。脂質は高カロリーですが、エネルギー源になるだけではなくホルモンを合成したり体温を維持したり、内臓を保護したりするために必要不可欠な栄養素です。過剰に避けるのではなく、適度に摂取するようにしましょう。
脂質を摂取する際は血中のコレステロール値を低下させるオリーブオイルや血液サラサラ作用のあるDHA・EPAを含む魚類から摂取するのがおすすめです。
皮膚のターンオーバーを促す食べ物
大人ニキビは皮膚のターンオーバーに乱れが生じることで発生します。皮膚の新陳代謝や細胞分裂を活発にするビタミン、ミネラルが予防と治療のために重要です。大人になると栄養バランスが崩れやすくなります。コンビニのお弁当やファーストフードだけではなく、体と皮膚に優しい食べ物を意識して食べるようにしましょう。
- ホウレンソウ:ホウレンソウは肌のターンオーバーを促すβカロテンやビタミンC、お肌のシミやくすみを薄くするビタミンE、貧血を予防する作用のある鉄分など女性に嬉しい栄養素が豊富に含まれています。油と一緒に摂取すると吸収率の上がる栄養素が豊富に含まれているため胡麻和えやバター炒めなどで食べるとよいでしょう。
- 赤ピーマン:赤ピーマンはビタミンCが非常に豊富に含まれています。100gあたりに含まれるビタミンCの量は170mgとキャベツやレモン、ホウレンソウなどよりも豊富です。またエネルギーの代謝や肌の健康を維持するビタミンB群も豊富に含まれているためお肌に優しい野菜です。
- 手羽先:皮膚をターンオーバーさせるためには良質なタンパク質が必要です。手羽先にはタンパク質としてコラーゲンが豊富に含まれているため皮膚に必要なアミノ酸を摂取することができます。ただし脂質も多いので食べ過ぎには注意をしましょう。
- 牡蠣:牡蠣には細胞分裂や新陳代謝に必要な亜鉛が豊富に含まれています。またタンパク質が多く、脂質はほとんど含まれていないヘルシーな食品です。ダイエット中でも安心して食べることができます。
- 豆腐、納豆など:豆腐や納豆をはじめとする大豆製品には植物性のタンパク質が豊富に含まれています。またタンパク質だけではなく大豆イソフラボンという成分も豊富に含まれています。イソフラボンは体内でアグリコンという女性ホルモンに似た構造をしている物質へと変化します。女性ホルモンの働きを補い、肌の荒れを整える作用が期待できます。
スキンケア製品の選びかた
大人になると肌の新陳代謝が若い頃より低下します。そのため化粧水や洗顔剤、クリームなどによる皮膚のケアが必要になります。スキンケア製品を選ぶ際は以下のポイントを意識するとよいでしょう。
毛穴の奥の汚れを除去する成分が含まれていること
大人ニキビは、肌のターンオーバーが乱れて皮脂や古い角質が毛穴に溜まってしまうことで発生します。そのため毛穴の奥の汚れをしっかりと除去してくれる洗浄成分の含まれている洗顔剤を使用することが重要になります。
毛穴の奥の汚れをしっかりと除去してくれる成分には、粒子の細かい粘度や炭、皮脂をしっかり吸着する作用のある脂溶性の成分、サリチル酸などの古い角質を除去する作用のある成分などが挙げられます。
これらの毛穴の奥の汚れを除去する成分は、主に大人ニキビの予防に効果的です。またまだニキビの炎症が始まっていない白ニキビや黒ニキビの段階でも有効です。ニキビができやすい人は普段からそういった製品を使用するとよいでしょう。
ニキビの炎症を抑える成分が含まれていること
ニキビはアクネ菌が増殖したことによる炎症です。そのため皮膚に対する抗炎症作用を持つ成分が含まれているスキンケア製品を使用することで、効率的に治すことができます。皮膚の炎症を抑える成分としては、ビタミンCやカミツレエキス、コウキエキスが該当します。特にビタミンCの場合は美白作用があるためおすすめです。
ニキビの炎症を抑える成分は、既に炎症が始まってしまった赤ニキビの状態を改善するのに有効です。膿ニキビの改善にも一定の効果を示しますが、あまりゴシゴシとせず刺激を加えないことが重要です。
うるおい成分が含まれていること
大人ニキビは乾燥肌も大きな要因となります。特に洗顔をしたあとは肌が乾燥気味になるため、うるおい成分を含んだ洗顔剤を利用したり、うるおい成分を含んだ化粧水でうるおいを補ったりするとよいでしょう。
洗顔剤や化粧水に含まれているうるおい成分には、ヒアルロン酸や天然保湿成分(NMF)、セラミド、ビルベリー葉エキス、ローズマリーエキス、オレンジピールエキスなどが該当します。うるおい成分は乾燥肌を防ぐため、ニキビの予防に効果的です。毛穴の汚れを除去する成分と組み合わせることで大きな効果を期待できるでしょう。
洗顔剤での顔の洗い方
洗顔剤の成分だけではなく、顔の洗い方にも気を付けてみましょう。洗顔剤で顔を洗う時は以下のポイントを意識してみましょう。
1:なるべく泡立てる
泡立たないタイプのものは除き、泡立つタイプのものは洗顔ネットを使ってなるべく泡立てるようにしましょう。肌に対する負担と刺激が少なくなります。
2:皮膚に刺激を与えないようにやさしく洗う
皮膚に刺激を与えてしまうとニキビの炎症を悪化させてしまう原因となります。そのため、皮膚に刺激を与えないようになるべく優しく洗うようにしましょう。
3:すすぐときはぬるま湯で行う
熱いお湯ですすいでしまうと、必要以上に皮脂が除去されてしまう可能性があります。大人ニキビがUゾーンに出来やすい理由は、皮脂が不足し乾燥肌を招いてしまうため。そのためなるべくぬるめのお湯ですすぐようにしましょう。体温くらいの36-37度程度が適温です。
4:すすぐときは20回以上すすぐ
洗顔料が肌に残ってしまうと刺激になってしまいます。洗顔料が残らないように20回以上はすすぐようにしましょう。
5:顔を拭くときは清潔なタオルで
何度も使用したタオルを使って顔を拭くと、皮膚に雑菌が移ってしまいます。顔を拭くときは清潔なタオルを利用するようにしましょう。
6:しっかりと保湿をする
洗顔をした後は水分が気化して肌が乾燥しやすい状態にあります。化粧水や保湿クリームを使って保湿をするようにしましょう。
日常生活での注意点
大人ニキビを予防・治療したい時は日常生活で以下のポイントに注意をしましょう。
睡眠不足
大人であっても睡眠中は成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは細胞の損傷を修復させる働きをするため、夜しっかりと睡眠を取ることが大人ニキビを予防・治療するときに重要になります。成長ホルモンは夜の10時から2時までの間に多く分泌され、就寝後2時間後から分泌量が増えます。そのため、両者の時間が重なるように夜は8時から0時までの間に寝ることが重要です。
触らないようにする
大人ニキビはフェイスラインに発生することが多く、ついつい触ってしまいがちです。しかしニキビに触るとそこから雑菌が入り、さらに症状が悪化してしまう可能性が高まるため、触らないようにしましょう。潰してしまったらさらにニキビが悪化するので絶対に避けるようにしましょう。
皮膚の乾燥を避けるようにする
特に一日中、空調の効いた場所にいる人の場合は皮膚から水分が奪われ乾燥しがちです。卓上型の加湿器を使用したり、保湿クリームを塗ったりすることで肌の乾燥を避けるようにしましょう。
寝具は清潔に
大人ニキビはフェイスラインに発生しやすいため、枕や布団などの寝具に触れやすくなっています。寝具が不潔だと雑菌がニキビに入り込み症状が悪化してしまうため、清潔を保つようにしましょう。
化粧品はノンコメドジェニック、天然由来のものを
ニキビがある状態でも化粧をすることは問題ありません。しかしニキビに刺激を加えてしまうと症状が悪くなる可能性があります。ニキビを発生させにくい成分で作られているノンコメドジェニックの表示があるものや、天然由来の成分から作られているものを使用しましょう。
医療機関での大人ニキビの治療
大人ニキビの場合、新陳代謝が低下しているため治りづらく、跡にもなりやすいため、治療のために医療機関を活用するのもおすすめです。清潔を保って適切な食生活を送っているのにも関わらずなかなかニキビが治らない場合は、相談にいってみるのもよいでしょう。医療機関におけるニキビの治療は以下のようなものがあります。
内服薬、外用薬による治療
基本的に白ニキビや黒ニキビ、赤ニキビ、膿ニキビの段階では内服薬や外用薬によって治療をします。主な薬品の種類には以下のようなものがあります。
抗生物質
抗生物質は内服薬、外用薬どちらも存在します。ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑える働きがあるため赤ニキビの改善や白ニキビの症状を進行させない効果が期待できます。
抗炎症剤
抗炎症剤も内服薬、外用薬どちらも存在します。炎症を抑え赤みや肌の盛り上がりを改善させる働きがあります。赤ニキビの改善の効果が期待できます。
ビタミン剤、漢方薬
ビタミン剤、漢方薬ともに足りない栄養素を補ったり体の調子を整えたりすることで自己治癒能力を高めてニキビを治療します。ただし単体で効果が高いものではなく、他の治療と組み合わせて行うことが多いです。
低用量ピル
女性の場合、生理によるホルモンバランスの乱れにより皮脂の分泌が増えたり、逆に乾燥肌になったりすることがあります。ピルを服用することでホルモンバランスを整える作用があり、女性ホルモンの乱れによるニキビを改善します。
外用レチノイド
外用レチノイドは毛穴の詰まりを改善する働きのある外用薬です。毛穴の汚れの排出を促すためニキビの治療効果が期待できます。白ニキビや黒ニキビなどの初期ニキビに効果が高いです。
高濃度ビタミンCローション
高濃度ビタミンCローションはアクネ菌を殺菌する作用があるためニキビの予防やニキビの症状を進行させない効果が期待できます。また皮膚への色素沈着を防ぐ作用があるため、赤身や色素沈着が起きるタイプのニキビ跡の予防にも効果的です。
施術による治療法
医療機関でのニキビ治療の最大のメリットは、ニキビ跡の改善も望めることです。ニキビ跡は通常のスキンケアや化粧などではなかなか改善することができませんが、レーザーや光による治療を行うことで限りなく目立たなくすることが可能です。美容皮膚科で行えるニキビ跡の施術には以下のようなものがあります。
レーザーによる治療
皮膚にレーザーを照射させることでわざと皮膚の細胞を軽く損傷させ、再生を促進させる治療法です。表皮の奥にある真皮のコラーゲン量を増加させ皮膚を盛り上がらせる作用があるため、クレーターのようになってしまったニキビ跡の治療に効果があります。
光による治療
ある種の光を肌に照射することで皮膚のシミやくすみの原因となっている色素を剥がす治療法です。ニキビによる赤みにも効果があり、なかなか赤みが治まらないときにおすすめの治療法です。
ケミカルピーリングによる治療
ケミカルピーリングはある種の酸を肌に塗り、古い角質を除去して肌のターンオーバーを促進させる治療法です。炎症によって損傷した肌を新陳代謝させ修復することで赤みの改善に効果があります。またアクネ菌の殺菌作用もあるためニキビの予防にも効果的です。
ニキビ治療にかかる時間と費用の目安
大人ニキビの場合、治りづらくニキビ跡にもなりやすいため最も有効な手段は美容皮膚科的な施術による治療です。レーザーや光照射、ピーリングなど手段は様々にありますが、おおよそ1回8,000円から15,000円ほど必要になるでしょう。
もちろん1回で治るわけではなく、複数回通うことで徐々にニキビやニキビ跡の治療を行っていきます。三か月ほど通い治療を続けたとして、10万ほどが費用の目安となります。費用が安めの施術、高めの施術など種類は豊富なため予算やニキビの症状、ニキビ跡の程度などにより医師に相談して施術を行うかどうかを決めてください。
大人ニキビによくあるQ&A
大人のニキビと思春期の頃のニキビは原因が違います。思春期の頃のニキビは皮脂の分泌過多が大きな要因になりますが、大人のニキビは肌の乾燥が大きな要因となります。皮脂の分泌量が低下したりストレスであったり女性ホルモンの乱れであったりと、様々な影響により乾燥肌を招いてしまうため、原因の特定は難しいです。日頃のスキンケアと食生活、生活習慣を大事にしましょう。
皮脂の除去と保湿の両方の働きをする洗顔剤で皮膚の清潔を保つことから始めましょう。皮脂が適度に除去され、十分に保湿されていれば皮膚のバリア機能が高まり、アクネ菌の増殖を防ぐことができます。アクネ菌の増殖を抑えるビタミンCが含まれた化粧水やローションを保湿目的で使用するのも有効です。
赤みが残ってしまうタイプやシミやくすみとして残ってしまうタイプのニキビ跡には美白有効成分が含まれた化粧品は有効です。ただしクレーターのようにデコボコが残ってしまうタイプのものには効果が薄いでしょう。
敏感肌で刺激が心配な場合は一度パッチテストを行ってみましょう。ピーリング剤を腕の裏側(採血などをする側)に一部つけてしばらく時間を起きます。そこで赤みやかゆみが生じた場合は肌質に合っていない可能性があります。パッチテストで問題がなかったとしても使用しているうちに違和感が生じたら使用を中止しましょう。
大人ニキビのまとめ
大人ニキビは思春期ニキビと比べて治りづらく、跡になりやすく、さらに原因も特定しづらいことが特徴です。肌のターンオーバーは思春期に比べて確実に落ちているため、日々のスキンケアや生活習慣の積み重ねが重要です。肌に気を使っているのにもかかわらずニキビが発生してしまう場合には医療機関での治療を受けることもおすすめです。
帝京大学医学部卒業。麻酔科標榜医、麻酔科認定医、サプリメントアドバイザー。 日本麻酔科学会、日本抗加齢医学学会(アンチエイジング学会)会員、生活習慣病アドバイザー。
「治療」よりも「予防」を重視して診療にあたる現役医師。麻酔科医として勤務するだけではなく、加齢による身心の衰えや疾患に対するアドバイスを行う。