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ル・クルーゼの「ル・クルーゼ ブラック」シリーズには、マットブラックとミストグレーが用意されている。丸型のシグニチャー ココット・ロンドと楕円型のシグニチャー ココット・オーバルを試した

 ル・クルーゼの鋳物ホーロー鍋は、カラフルでおしゃれなカラーのラインアップで女性に人気のブランドだ。1925年から製造が開始されている「ココット・ロンド」は、90年以上の歴史を持つ超ロングセラーアイテムだ。最近では、モノトーンを基調にした「ル・クルーゼ ブラック」という男性向けのアイテムも登場している。今回はこのシックなモデルを使ってみた。

内側のホーロー加工に違いあり

 ル・クルーゼの鋳物ホーロー鍋は、オレンジや赤などの鮮やかなカラーの外装と、内側の白いホーロー加工が代表的なイメージだ。しかしこの「ル・クルーゼ ブラック」シリーズは、外装がシックなだけでなく、内側には黒ホーロー(マットホーロー)加工を採用している。

 白いホーロー加工は、調理している食材の状況が見やすい一方、使っているうちに鍋に色移りしてしまうこともある。マットホーローは、熱に強いエナメル加工で、表面がわずかな凸凹がありザラザラしている。油なじみもよく、表面積が大きいので、食材の焼き付けにも向いている。また、色素が沈着しにくいので汚れが目立たず、燻製などにも使えるのがメリットだ。

シグニチャー ココット・ロンドは、従来のモデルよりも持ち手が少し大きく、つまみの形状も異なるなど、進化を見せている

 鋳物の特徴は熱伝導と蓄熱性が高いこと。ゆっくりむらなく熱が入るので、食材の甘みやうまみを最大限に引き出す。食材をしっかり煮込んだ調理でその実力を発揮する。ル・クルーゼの鍋は、フタが少し丸みを帯びたドーム型になっていて、この形によって、熱と蒸気が食材を包み込むように対流する。さらにフタには3カ所の細かいスチームポイントがあり、ゆっくりと均一に蒸気が抜け、素材の雑味を外に逃がしうまみを引き出すという。今回は丸型の「ココット・ロンド」と楕円形の「ココット・オーバル」を使っていろいろと調理してみた。

煮物調理は素材の甘みが引き出される

 まずはル・クルーゼのサイトに記載されていたレシピから「キャベツの丸ごとスープ」を作ってみた。春キャベツに切れ目を入れて、ベーコンをはさみこみ、丸ごと鍋に入れて作るスープで、材料を切って煮込むだけと手順は簡単。できあがったスープは豪快なできあがりで、鍋ごとテーブルに出して取り分けたい。じっくり煮込んだキャベツはやわらかく、野菜の甘みが引き出されている。野菜っておいしい、と思える一品だ。ポトフなども絶対においしくできあがるはずだ。

丸ごとのキャベツとベーコン、ウインナー、タマネギで作ったスープ。シンプルだが、野菜の甘みがしっかり引き出されていておいしい

 つぎはマットホーローを生かした、豚肉のポット・ロースト。鍋にオリーブオイル、ニンニクを入れて熱して、豚肉を焼き付ける。表面全体を焼き付けたら一度とりだして、タマネギを炒める。こうした焼き付けや炒め物の作業は、マットホーローのほうがきれいにできるし、鍋に色も残らないので使いやすい。タマネギを炒めたら、肉を戻し入れて、白ワイン、水を追加。ハーブやズッキーニなどの野菜も加えて、弱火で20分蒸し煮しよう。肉の上下をひっくり返してさらに弱火で20分でできあがり。粒マスタードベースのソースを添えてテーブルに。

マットホーローは焼き付けがしやすく、肉にしっかりと焼き色を付けてから、蒸し煮するといった料理に最適

 表面に焼き色がついているので香ばしく、中は蒸し煮でしっとりとやわらか。肉のおいしさを堪能できる。一緒に蒸し煮した野菜も、甘さを引き出されて、肉の添え物ではなくメインとしても楽しめるほど。焼き付けて蒸し煮しただけの簡単調理だが、パーティーなどにもぴったりの料理だ。

豚肉のポット・ローストは、焼き付けた豚肉をワインとハーブで蒸し煮した料理。香ばしさとしっとりとしたやわらかさを楽しめる

ごはんを炊いてもおいしい

 鋳物ホーロー鍋は、分厚い素材ゆえに蓄熱性が高いので、炊飯にも向いている。実際に鋳物ホーロー鍋でごはんを炊いているユーザーも多く、短時間でつやつやでぴかぴかのごはんが炊きあがる。手順もそんなに難しくない。米と水の量は、米1合(180cc)に対して、水1カップ(200cc)。20分ほど浸水した米を中火で沸騰させ、沸騰したら弱火にして10~13分炊いて火を消す。15分ほど蒸らしたらできあがりだ。細かい火加減も必要なく簡単にできる。

ル・クルーゼは実は炊飯も得意。鋳鉄ならではの蓄熱性でごはんがおいしく炊ける。空豆とさくらえびを使った炊き込みごはん

 今回は、炊き込みごはんを作ってみた。こんぶと桜エビのだしのきいたおいしいごはんが炊きあがった。色も鮮やかでおもてなしメニューにもなり、冷えてもおいしいので弁当にも向いている。鍋でごはんを炊くのは難しいと思いがちだが、蓄熱性が高く、熱効率の高い鋳物ホーロー鍋なら、沸騰したら弱火で加熱するだけで簡単にできる。面倒もなく、冷えてもおいしいごはんが炊きあがるので、ぜひやってみてほしい。

燻製に挑戦

 マットホーローは、熱に強く汚れが目立たないので、燻製(くんせい)も可能とのことで挑戦してみた。鶏肉にフォークで穴を開けて、塩、ブラックペッパー、オレガノをまぶしてラップをかけずに冷蔵庫に20~60分入れる。スモークにかける15分ほど前に、とりだして常温に戻しておく。鍋底にアルミホイルを強いて、スモークチップ、砂糖をまぜて載せる。その上に割りばしにアルミホイルを巻き付けたものを載せる。水気をふき取った鶏肉を、クッキングシートの上に載せて鍋にセットする。チキンの上にハーブを載せてフタをして、中火で25分。火を止めてそのまま10分ほど休ませると完成。

マットホーローは熱に強く、汚れも目立たないので、燻製料理もできる。スモークしたチキンはそのままでも、スープなどに使ってもおいしい

 そのままスライスしてもいいし、サラダなどにまぜたり、ベーコンのようにスープなどに入れても楽しめる。チキンだけでなく、チーズやウインナーなども一緒にするといい。マットホーローの内部が黒いので、煙の汚れも目立たないが、使用後の洗浄は、必ず常温に戻してから行う。もし煙のにおいが気になるなら、フタの部分などもアルミホイルで覆っておくと、片付けも楽になるだろう。

取り扱いには注意が必要

 鋳鉄の鍋は重く、20cmのサイズで約3.1kgの重量があり、持ち運びに注意が必要だ。ホーロー加工はガラス質でできているので、落としたり衝撃を与えるとかけたりひびが入ることもある。また強火での使用や空焚きも厳禁。ある意味デリケートな鍋だ。

 しかし、この重さが蓄熱性を高めて、中の蒸気を逃さず、素材のうまみを引き出す効果がある。ホーロー加工も金属のヘラなどを使用しなければいいので、フッ素加工の鍋と同じように使えばいいだけだ。とくにマットホーローのこの鍋は、汚れも目立たなく手入れもしやすい。

 鋳物ホーロー鍋では、ル・クルーゼはもっとも有名なブランドのひとつ。90年あまりに及ぶその歴史で、今なおフランスで職人たちが作っている。その一方で、細かい部分で進化もしている。製品にシグニチャーという名称がついたモデルがその進化型で、原型は崩さず、使いやすさを向上している。ハンドルの部分が従来より大きくなって持ちやすく、つまみの形状が変わり耐熱性も向上、耐久性がアップしたホーロー加工が適用されるなどの進化を見せる。

 この「ル・クルーゼ ブラック」シリーズも、従来の鮮やかなカラーのモデルに比べて、モノトーンな世界を見せる男性向けのモデルだ。外装のカラーだけでなく、内側のマットホーローなどの使いやすさも見逃せない。キッチンに置いて美しく、使い込んで便利な鍋として、キッチンのラインアップにぜひ加えてみてほしい。

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