「古い角質を落とすときれいな新しい角質が出てくる」と思っていると、乾燥肌やニキビなどの肌トラブルからなかなか抜け出すことができません。
様々あるスキンケアの勘違いの中でもっとも罪が重いのが、「古い角質を落とすのは良いことだ」という間違いです。
今回は、古い角質を無理に落とすスキンケアの弊害について解説します。
角質は落としちゃダメなの?、頑張って落としてたのにショック・・・・
落としちゃダメじゃないけど、そんなに頑張って落とさなくても大丈夫!、頑張って落とすとお肌にさまざまなトラブルがで出ることがあるよ!
古い角質を落とすことの弊害
古い角質を落とすことを意識してスキンケアをしていると、しだいに肌のターンオーバーが早くなります。
美白化粧品のコピーに「ターンオーバーを早めて角質のメラニン色素を排出する」などとあるので、ターンオーバーが早くなるのはお肌に良いことだと思っている女性は少なくありません。
しかし、ターンオーバーが早くなるのは剥がされた角質を修復しようとする肌の反応で、ノーマルなことではありません。バリアの役目をしていた角質が剥がされるのですから、危険を察知した肌が角質作りを急ぐのです。
例えば、有名なシミの治療薬のトレチノインは、ビタミンA誘導体の作用で普通は4週間かかる顔の角質のターンオーバーを約2週間に短縮します。それによってシミを薄くする効果があるのですが、使用上の注意として必ず「トレチノインを使用中は肌のバリア機能が低下するので、乾燥対策、紫外線対策を十分に行なってください」と言われます。
つまり、ターンオーバーが早まると肌のバリア機能が弱くなるのです。トレチノインはシミの部分だけにピンポイントにつけるお薬なので影響も部分的ですが、日頃のスキンケアでターンオーバーを早めようとするのは、いわば高速道路を逆走するようなもので必ず事故(肌トラブル)が発生します。
角質を落とすことによって生じる弊害には次のようなものがあります。
- 肌の保水機能が低下して、乾燥肌になる。
- 肌の乾燥を防ぐために皮脂の分泌が増えて、テカリ肌(かくれ乾燥肌)になる。
- 角栓ができやすくなってニキビが増える。
- 角質層が薄くなることによって紫外線に対するバリア機能が低下し、シミができやすくなる。
最近、お肌が「敏感」になってきたのは「角質の落としすぎ」だからかも・・・
その可能性はあるかもね!?、角質を落としすぎだせいで「乾燥肌」や「敏感肌」を引き起こすのはよくあるコト!
古い角質を落とすと肌のバリア機能が低下するわけ
通常のターンオーバーが4週間なのは肌が怠けているわけではなく「本来それだけの時間かかる」からです。それを2週間にするのは、よく頑張ったというよりは「粗製乱造」が疑われる事態です。
急いで作られた角質もないよりはましなのですが、きちんとスケジュール通りに作った角質よりどうしても品質が低下します。
表皮は、基底層→有棘層→顆粒層という順序でしだいに細胞の中身を失って平らになっていき、最終的には細胞の膜だけが残った角質層になります。細胞の中身は失われますが、その代わりにふつうの細胞膜にはない丈夫さと保水機能が与えられます。
角質層は積み重なったレンガとそれを接着するセメントによくたとえられます。レンガは1つひとつの角質で、セメントの役目をしているのが角質細胞間脂質です。
角質層には次のような特徴があります。
- 1つひとの角質はケラチンという丈夫なタンパク質で作られている。
- 角質は天然保湿成分(NMF)を含んでいても水分をたもつ能力がある。
- 角質どうしをつなぐ角質細胞間脂質はセラミドという水分と親和性がある脂質で作られていて、水分をたもつ役目もしている。
このトリオが肌のバリア機能の主役をになうのですが、ターンオーバーが早まるとこの3つがいずれも充分に育たないまま「最前線」に立たされることになります。
角質を落としすぎる、こんなケアとメイクにご用心
「古い角質を落とす」という考え方が間違いだということにガッテンしていただけたでしょうか? 古い角質は自然にはがれていきます。
落とそうとすると、どうしても落としすぎになるのです。
角質はむしろ、なるべく剥がさないようにという注意がたいせつです。「なるべく落とそうとする」のと「なるべく落とさないようにする」のでは、スキンケアやメイクの仕方がまるで違ってきます。
この違いが、長い間に「トラブルを起こしやすい肌」と「健康で美しい肌」の違いを生むことになります。
ではどんなときに角質の落としすぎが生じるのでしょうか? 角質の落としすぎにならない注意点として、次のようなものがあります。
すすぎの楽すぎるクレンジングを使わない
オイルタイプでもクリームタイプでも「すすぎの楽な」クレンジングには界面活性剤がたくさん使われています。毎日使っていると細胞間脂質が失われて角質が剥がれやすくなります。角質をつないでいるセメントを少しずつ溶かしているからです。肌の保水能力も低下します。
石けん洗顔は「こすらず」に泡で洗う
これは女性の常識と言ってもよいでしょうが、まだスクラブ石けんなどを使っている人もいるようなので念のため。
毛穴を特別にキレイにしようとしない
毛穴の黒ずみを気にしてきれいにしようとすると、どうしても洗い過ぎ、角質の落としすぎになります。毛穴は角質層が健康になれば自然にきれいに、目立たなくなります。ターンオーバーが早いと角質の育ちが悪く、毛穴が目立つ、ニキビができるなどのトラブルが多くなります。
熱いお湯で洗顔しない
熱いお湯での洗顔も細胞間脂質を失う原因になります。かゆみも出やすくなり、かくともちろん角質が剥がれてしまいます。お風呂も熱いお湯が好きな人は、腕や脚が乾燥しやすくなります。冬になると手足がかゆくなる人は湯温に注意してください。
化粧水をつける時に「パッティング」をしない
化粧水を浸透させるつもりでペタペタとたたくのは良くありません。化粧水はつけて軽くおさえるだけで充分角質層に浸透します。顔のマッサージも強くすると角質剥がしにつながります。
リキッドタイプのファンデーションを常用しない
汗に強いリキッドタイプのファンデーションは便利ですが、毎日使っていると界面活性剤や紫外線吸収剤の影響で角質にダメージを与えます。ふだんはパウダータイプを使用しましょう。
顔に触るクセを止める
頬杖をついたり、鼻の頭をこすったりで、何となく顔に触るクセがある人がいますが、これも角質を剥がす原因になります。メラニン色素が増えてくすみの原因にもなります。
じゅうぶんに紫外線対策をする
紫外線の影響は強烈で角質へのダメージとしてはもっとも大きなものです。その日の行動予定に合わせて適切な紫外線対策をすることが大切です。
ピーリングをしない
これは、ここまで読んでいただいた方には言うまでもないことでしょう。最初に述べたトレチノインは一種のピーリングで、ピンポイントでの使用だけが許される医療行為です。
まとめ
「ターンオーバーを早める」は「新陳代謝を活性化する」ことと混同されて良いことのように思われがちですが、誤解です。
角質を落とすことで確かにターンオーバーは早まりますが、それはトラブル肌をせっせと作っていることになります。
「古い角質」と思われがちな見た目のわるい角質は、実は早すぎるターンオーバーで作られた未成熟の角質の場合が少なくありません。
それを「古い」と思い込むとますます「角質を落とすケア」に走って悪循環におちいることになります。
「角質培養」という言葉がネットで話題になったことがありました。
角質をなるべく落とさないスキンケアを新しいケア方法とみなしてこう呼んだのですが、「培養」というほど特別なことではなく、肌の自然な新陳代謝のサイクルを乱さないのがスキンケアの基本だというあたりまえのことですね。