しばらく前から、米国を中心に話題となっているシリアック病。主に小麦に含まれるグルテンというタンパク質が引き金となって、自己免疫疾患のような症状を起こす病気のため、小麦を主食とする国の人達に恐怖症を与えている現象でもあります。健康情報に敏感な人は「グルテン・フリー(グルテン無し)」という言葉も聞いたことがあるのではないでしょうか。
小麦は日本人においてもアレルギーをひき起こす7大アレルゲンの一つでもありますから、心配されている人もいるのではないでしょうか。でも、シリアック病は、グルテン不耐症(グルテン過敏症)や小麦アレルギーとは異なる病気ですから、心配しないでくださいね。
また、自己免疫疾患と診断された方が、グルテン・フリーの食事法によって症状が改善したケースも多数報告されています。シリアック病は、2002年に発見された新しい病気ですから、誤って自己免疫疾患と診断されてきた人がいらっしゃることも問題になっています。また、グルテン不耐症は、2012年に病気と認められましたが、まだ、その診断基準が確定していない病気です。
シリアック病とグルテン不耐症についてまとめましたので、参考となれば嬉しいです。
シリアック病
シリアック病は、正しい日本語では、腹腔小児脂肪便症(ふっくうしょうにしぼうびんしょう)と呼ばれる自己免疫疾患のひとつです。小麦、ライ麦、大麦、およびオート麦に含まれるグルテンというタンパク質に対する免疫反応によって引き起こされる消化器系の疾患です。
グルテンはうどんや素麺の「こし」を生む成分で、小麦粉はグルテンの強さによって、強力粉、中力粉、薄力粉に分類されます。日本語では「小児」という言葉が入っているので、子供の病気のような誤解を生みやすいですが、年齢は関係ありません。シリアック病をもっていると、グルテンによって小腸の内膜が損傷され、食物からの栄養素の吸収が妨げられ、どんなに食物を摂取しても栄養不良になる可能性があります。
グルテンが含まれている食品を食べると、胃痛、下痢、ガス溜り、むくみ、ゲップ、などの症状が現れる方、疑ってみる余地はありそうです。長期的には、悪性貧血症、がん、不妊症、リウマチを発症するリスクが高いと言われている病気です。シリアック病と診断された場合には、生涯、グルテンが含まれる食品を避ける以外に対処法はありません。しかし、グルテンを避けてさえいれば問題はないとも言えます。
もちろん、下痢、ゲップ、むくみ、筋肉痛、ガス溜り、便秘などは、過敏性腸症候群(IBS)によっても起こりますから、ただそれだけで、シリアック病だと考えることはできません。これら症状に加え、シリアック病に特有の貧血、肌荒れ(発疹、背中のひどいニキビ)、口内炎、歯並びや骨の異常、ムズムズ足症候群等があるかどうかが重要です。また、過敏性腸症候群に特有の症状は、便に粘液が含まれていることなので、参考にしてください。
グルテン不耐症
グルテン不耐症とは、自己免疫疾患ではないものの、グルテンによってシリアック病と似ている様々な不定愁訴が引き起こされる体質を言います。シリアック病との決定的な違いは、小腸の内膜損傷がないということです。
過敏性腸症候群の症状や神経痛、統合失調症(昔の言葉で言うと精神分裂症)、その他の自己免疫疾患(間接リウマチ、MS(多発性硬化症)、コーン病、1型糖尿病等)の症状、子宮内膜症、臓器炎症(ライム病、線維筋痛症等)の症状等、100以上の症状が含まれます。また、低血糖症は、甲状腺機能低下症の主な症状のひとつですが、グルテン不耐症においても起こる症状です。
つまり、これら100以上の症候群あるは病気と診断された方の中には、実は、シリアック病であったり、グルテン不耐症であったりする方がいる可能性があるということです。言い換えれば、治療法がないと言われてきたMS(多発性硬化症)や1型糖尿病、精神の病とされている統合失調症が、実は、脳とも膵臓とも精神とも関係なく、グルテンによって引き起こされている可能性があるということです。あるいは甲状腺機能低下症と診断された人が、実は、グルテン不耐症である可能性もあります。
グルテンを止めれば良いだけの人達が、誤った病名を与えられ、社会の偏見にさらされ、誤った薬を投与されている可能性があるのです。
発症確率
とはいえ、9割以上の人は通常グルテンに対してまったく問題ありません。シリアック病を発症するのは、小麦を主食とする国の人達の約1%と言われており、約6%の人達がグルテン不耐症ではないかと言われています。しかし米国では人口の約3分の1の人達がグルテン不耐症や過敏症であると自称するなどのヒステリックな反応が社会的な問題ともなっています。
他の自己免疫疾患などと診断された方で、もしやと思われる方は、シリアック病は血液検査で95%の正確性で検査することができます。残り5%まで確定するためには、バイオプシー(生体組織診断)が必要となります。まず、シリアック病で陰性であることを確かめた後、グルテン不耐症を疑うようにしてください。シリアック病はグルテンを厳密に厳格に食事から排除しなければならない病気ですから、シリアック病なのかグルテン不耐症なのかを明確にしておくことは大切です。
グルテン不耐症については、正確性が高い検査方法は、ありません。2-3か月、グルテンを抜いた食事(グルテン・フリー)を続けてみて、症状が改善するかどうかを観察する方法が一般的にとられています。負荷療法などによってグルテン不耐症をある程度、改善、軽減できると考えられていますので、医師と共にヘルスコーチの指導の下、経過を観察していくことができます。
それほど深刻ではないものの、グルテン不耐症が疑わしい人は、まずは、食事記録をつけることが大切です。そしてグルテンを含む食品を口にした後、体の反応を観察してみるようにしてください。3回同じものを別々の機会に食べて、3回とも同じ症状が現れたら、アレルギーあるいは不耐症を疑う理由となると思います。
シリアック病とグルテン不耐症の食事法
食事は、小麦、ライ麦、大麦、およびオート麦が含まれているもの以外であれば、何を食べても構いません。そのため、お米は大丈夫です。ただ、米粉パンを製造している工場で、小麦のパンもいっしょに製造しているような場合、小麦は空中に舞いあがると最長48時間くらい空中に残っているため、米粉パンに小麦が混在している可能性は否定できません。米粉パンのみを作っている専門店で購入するなどが必要です。その他の食品についても同様です。グルテンそのものでないことだけでなく、グルテンを含む食材といっしょの調理場で調理されていないことが大切です。