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2016年06月17日タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」「造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月)」より内容を更新しました。
2006年10月10日掲載しました。

1.骨髄異形成症候群とは

血液中には免疫をつかさどる白血球リンパ球、酸素を運搬する赤血球、出血を止める(止血)働きがある血小板などの血液細胞があります。これらは、骨の内部にある骨髄(こつずい)で血液細胞のもととなる造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)から増殖しながら分化(未熟な細胞が成熟した細胞になること)をしてつくられます(図1)。造血幹細胞は、骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれ、前者から赤血球、血小板、各種の顆粒球(かりゅうきゅう)や単球が産生され、後者からBリンパ球、Tリンパ球、NK細胞などのリンパ球が産生されます。
骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplastic syndromes)は、3種類の血液細胞(赤血球、血小板、白血球)の大もとになる造血幹細胞に異常が起こった病気です。赤血球、血小板、白血球がそれぞれ成熟する3系統の過程に同時に異常が発生する場合だけでなく、まずそれぞれの過程に異常が生じて、次第に3系統へと進行していく場合もあります。1つの病気ではなく、複数の似たような病気の集まりと捉えられているため、症候群(syndromes)と呼ばれます。

異常な造血幹細胞からつくられた血液細胞には、機能の異常や、顕微鏡で観察したときの形の異常(異形成)が認められます。その異常のために、血液細胞の分化(参照:分化度)の過程で未熟な細胞のままで止まってしまったり、一応成熟したようにみえても無効造血(細胞が壊れる)などが生じて、血液の中を流れる血液細胞が減ってしまいます。そのため、骨髄異形成症候群では、まず血液検査で貧血(赤血球の減少)や血小板の減少、白血球数の異常(減少や増加)などの血液細胞数の異常が指摘されます。また、骨髄異形成症候群が進行すると、急性骨髄性白血病に移行することがあります。

急性骨髄性白血病については「急性骨髄性白血病 基礎知識」をご参照ください。

2.症状

骨髄異形成症候群では、血液細胞が減少し、正常に働かなくなるためにさまざまな症状があらわれますが、無症状のまま、健康診断の血液検査で血球減少などの異常により見つかる場合も多くあります。

症状のあらわれ方は、患者さんによって異なります。具体的には、赤血球減少による顔色不良、全身倦怠(けんたい)感、動悸(どうき)、息切れなどの症状や、血小板減少による皮膚・粘膜の点状出血や鼻出血などの症状があります。白血球の1つである好中球の減少や機能低下により感染症にかかりやすくなり、発熱などを伴うことがあります。

3.原因

ほとんどの場合、原因は不明です。骨髄の細胞の染色体を調べると、約50%に染色体異常がみられますが、これは先天的なものではなく、人に遺伝したり感染したりすることはありません。ただし、骨髄異形成症候群の中には、「治療関連骨髄異形成症候群(MDS)」と呼ばれるものがあり、これは過去に他のがんに対して細胞障害性抗がん剤(参照:抗がん剤)の治療や放射線治療を受けた数年後に、いわば治療の副作用として発症します。こうしたことから、何らかの原因によって血液をつくる細胞に遺伝子の異常が生じ、これが発症に関与すると考えられています。

4.疫学・統計

骨髄異形成症候群はあらゆる年齢層に認められますが、主に中・高齢者に多い疾患とされています。高齢化の影響もあり、発症数は次第に増加傾向にあるといわれています。
【参考文献】
  1. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編:造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月 第1版;金原出版
  2. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版;金原出版
  3. 日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会編:造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月);医薬ジャーナル社
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    2006年10月10日掲載しました。

    1.がんの診療の流れ

    この図は、がんの「受診」から「経過観察」への流れです。大まかでも、流れがみえると心にゆとりが生まれます。ゆとりは、医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう。あなたらしく過ごすためにお役立てください。

    がんの疑い

      「体調がおかしいな」と思ったまま、放っておかないでください。なるべく受診しましょう。
       

    受診

      受診のきっかけや、気になっていること、症状など、何でも担当医に伝えてください。メモをしておくと整理できます。いくつかの検査の予定や次の診察日が決まります。
       

    検査・診断

      検査が続いたり、結果が出るまで時間がかかることもあります。担当医から検査結果や診断について説明があります。検査や診断についてよく理解しておくことは、治療法を選択する際に大切です。理解できないことは、繰り返し質問しましょう。
       

    治療法の選択

      がんや体の状態に合わせて、担当医は治療方針を説明します。ひとりで悩まずに、担当医と家族、周りの方と話し合ってください。あなたの希望に合った方法を見つけましょう。
       

    治療

      治療が始まります。治療中、困ったことやつらいこと、小さなことでも構いませんので、気が付いたことは担当医や看護師、薬剤師に話してください。よい解決方法が見つかるかもしれません。
       

    経過観察

      治療後の体調の変化やがんの再発がないかなどを確認するために、しばらくの間、通院します。検査を行うこともあります。

    2.受診と相談の勧め

    がんという病気は、患者さんごとに症状のあらわれ方が異なります。また、症状がなく検診でがんの疑いがあると言われることもあります。何か気にかかる症状があるときや、詳しい検査が必要と言われたときには、医療機関を受診してください。疑問や不安を抱きながらも問題ないとご自身で判断したり、何か見つかることを怖がって、受診を控えたりすることのないようにしましょう。受診して医師の診断を受け、症状の原因を詳しく調べることで、問題がないことを確認できたり、早期診断に結びついたりすることがあります。

    がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターでは、がんについて知りたい、話を聞きたいという方の相談をお受けしていますので、お気軽に訪ねてみてください。その病院にかかっていなくても、どなたでも無料で相談できます。対面だけでなく、電話などでも相談することができますので、わからないことや困ったことがあったらお気軽にご相談ください。

    詳しくは、「がんの相談窓口『がん相談支援センター』」のページをご覧ください。

    お近くのがん相談支援センターは「がん相談支援センターを探す」から検索することができます。

    3.がんと言われたとき

    がんという診断は誰にとってもよい知らせではありません。ひどくショックを受けて、「何かの間違いではないか」「何で自分が」などと考えるのは自然な感情です。

    病気がどのくらい進んでいるのか、果たして治るのか、治療費はどれくらいかかるのか、家族に負担や心配をかけたくない…、人それぞれ悩みは尽きません。気持ちが落ち込んでしまうのも当然です。しかし、あまり思いつめてしまっては心にも体にもよくありません。

    この一大事を乗り切るためには、がんと向き合い、現実的かつ具体的に考えて行動していく必要があります。そこで、まずは次の2つを心がけてみませんか。

    1)情報を集めましょう

    まず、自分の病気についてよく知ることです。病気によってはまだわかっていないこともありますが、担当医は最大の情報源です。担当医と話すときには、あなたが信頼する人にも同席してもらうといいでしょう。わからないことは遠慮なく質問してください。
    病気のことだけでなく、療養生活のこと、経済的なこと、薬のこと、食事のことのような身の回りに関しては、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士などが専門的な経験や視点であなたの支えになってくれます。

    また、あなたが集めた情報が正しいかどうかを、あなたの担当医に確認することも大切です。

    「知識は力なり」。正しい知識は、あなたの考えをまとめるときに役に立ちます。

    2)病気に対する心構えを決めましょう

    がんに対する心構えは、人それぞれです。積極的に治療に向き合う人、治るという固い信念を持って臨む人、なるようにしかならないと受け止める人などいろいろです。どれがよいということはなく、その人なりの心構えでよいのです。そのためには、あなたが自分の病気のことをよく知っていることが大切です。病状や治療方針、今後の見通しなどについて担当医からよく説明を受け、いつでも率直に話し合い、その都度十分に納得した上で、自分なりの病気に対する向き合い方を探していきましょう。

    自分自身の気持ちを伝えることは、自分らしく病気と向き合い、過ごしていくための第一歩です。あなたが自分の病状について理解した上で治療に取り組みたいと考えていることを、担当医や家族に伝えるようにしましょう。率直に話し合うことが、担当医や家族との信頼関係を強いものにし、しっかりと支え合うことにつながります。
      更新日:2016年06月17日 [ 更新履歴 ]
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      1.検査

      骨髄異形成症候群の診断と治療方針を決定するためには、以下のような検査が行われます。

      1)血液検査

      白血球赤血球血小板の数、血液細胞の形態異常の有無、未熟な血液細胞である芽球(がきゅう)の有無を調べます。肝臓、腎臓などの機能の確認も併せて行います。

      2)骨髄検査(骨髄穿刺、骨髄生検)

      病型を決定するために必ず行う検査です。骨髄穿刺(こつずいせんし)骨髄の中の骨髄血を採取し、骨髄生検では骨髄組織を採取します。採取した骨髄血・組織を顕微鏡で観察し、細胞の数や種類、形態異常の有無、芽球(がきゅう)という未熟な血液細胞の割合などを調べるとともに、染色体の異常についても調べます(染色体検査)。骨髄を採取する方法は、皮膚を消毒し、局所麻酔の後に腸骨(腰の骨)または胸骨(胸の中央にある骨)に針を刺し、骨の中にある骨髄液を吸引して採取します(図2)。骨髄液を吸引する際に痛みがあり、この痛みは局所麻酔では抑えられませんが、通常は一時的な痛みにとどまります。
      図2 骨髄穿刺の様子

      2.診断

      骨髄異形成症候群の診断は、血液検査で末梢(まっしょう)血に血球の減少と形態異常がみられること、骨髄検査で血球の異形成(形態の異常)が認められることで確定されます(表1)。再生不良性貧血などのような、血球が減少する他の疾患・病態と見分けることが重要となりますが、骨髄検査で鑑別できます。その他、血液や骨髄中の芽球の割合が20%を超えると、急性白血病と診断されます。

      診断の確定法については、下記の【診断基準について、さらに詳しく】の表1をご参照ください。
      【診断基準について、さらに詳しく】
      表1 骨髄異形成症候群の診断基準
      骨髄異形成症候群 下記A~Cのすべてを満たすもの
      A 臨床所見として慢性貧血を主とするが、時に出血傾向、発熱を認める
      B 血液検査および骨髄検査で下記a)~d)のすべてを満たす
      a)末梢血で、1~3つの血球系統に血球減少(※1)を認める
      b)骨髄検査で、1~3つの血球系統で血球に異形成所見(※2)を認める
      c)末梢血、骨髄のいずれにおいても芽球は20%未満
      d)末梢血中の単球(白血球の一種)の絶対数が継続して1,000/μlを超えることはない
      ※1: 成人における血球減少の定義
        ・ヘモグロビン濃度:男性12.0g/dl未満、女性11.0 g/dl未満
      ・白血球:4,000/μl未満、または好中球:1,800/μl未満
      ・血小板:10万/μl未満
      ※2:  高齢者や他の血液疾患、薬剤性血球減少症などにおいても、多くは赤芽球系に低頻度の異形成を認めることから、骨髄異形成症候群の診断には、該当血球系統の細胞の10%以上に異形成所見を認めることが必要である。
      C 血球減少の原因となる他の疾患・病態を認めない
      日本血液学会、日本リンパ網内系学会編「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」(金原出版) より一部改変し作成
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      3.病型分類

      診断が確定したのちは、芽球の割合、染色体異常や造血細胞の異形成(形態の異常)の程度などの特徴に応じて分類し、病型(病気の種類)を見極めます。芽球の割合が高いほど、急性白血病へ移行するリスクが高いとされています。

      病型の分け方には、従来は1982年に提唱されたFAB分類が使われてきましたが、現在は、2008年にFAB分類を改訂したWHO分類(表2)が一般的に用いられています。
      表2 骨髄異形成症候群の病型分類(WHO分類第4版、2008年)
      病名 末梢血所見 骨髄所見
      RCUD 単一血球系統の異形成を伴う不応性血球減少症
      (RCUD:refractory cytopenias with unilineage dysplasia)
      以下の病型を含む
      ・不応性貧血(RA:refractory anaemia)
      ・不応性好中球減少症(RN:refractory neutropenia)
      ・不応性血小板減少症(RT:refractory thrombocytopenia)
      ・1-2系統の血球減少(※3)
      ・芽球[-]またはごくわずか[1%未満](※4)
      ・1血球系統で10%以上の細胞に異形成
      ・芽球5%未満
      ・赤芽球のうち環状鉄芽球15%未満
      RARS 環状鉄芽球を伴う不応性貧血
      (RARS:RA with ring sideroblasts)
      ・貧血
      ・芽球[-]
      ・赤芽球系の異形成のみ
      ・赤芽球のうち環状鉄芽球15%以上
      ・芽球5%未満
      RCMD 多血球系異形成を伴う不応性血球減少症
      (RCMD:refractory cytopenia with multilineage dysplasia)
      ・血球減少
      ・芽球[-]またはごくわずか[1%未満](※4)
      ・アウエル小体(※5)なし
      ・単球1×109/l未満
      ・2血球系統以上で10%以上の細胞に異形成
      ・芽球5%未満
      ・アウエル小体(※5)なし
      ・赤芽球のうち環状鉄芽球[±]15%
      RAEB-1 芽球増加を伴う不応性貧血-1
      (RAEB-1:RA with excess blasts-1)
      ・血球減少
      ・芽球5%未満(※4)
      ・アウエル小体(※5)なし
      ・単球1×109/l未満
      ・1~3血球系統に異形成
      ・芽球5~9%
      ・アウエル小体(※5)なし
      RAEB-2 芽球増加を伴う不応性貧血-2
      (RAEB-2:RA with excess blasts-2)
      ・血球減少
      ・芽球5~19%
      ・アウエル小体[±](※6)
      ・単球1×109/l未満
      ・1~3血球系統に異形成
      ・芽球10~19%
      ・アウエル小体[±](※6)
      MDS-U 分類不能型骨髄異形成症候群
      (MDS-U:myelodysplastic syndrome-unclassified)
      ・血球減少
      ・芽球1%以下(※4)
      ・異形成は1~3血球系統に10%未満だが、MDSが推定される染色体異常がある
      ・芽球5%未満
      MDS
      associated with isolated del(5q)
      染色体異常(単独5番染色体長腕の欠失)を伴う骨髄異形成症候群:5q-(マイナス)症候群
      (MDS associated with isolated del[5q])
      ・貧血
      ・通常、血小板数は正常または増加
      ・芽球[-]またはごくわずか[1%未満]
      ・低分葉核を持つ巨核球が正常または増加
      ・芽球5%未満
      ・del[5q](5番染色体長腕の欠失)単独の染色体異常がみられる
      ・アウエル小体(※5)なし
      ※3  時に2系統の血球減少が認められる。汎血球減少(3系統の血球減少)の際はMDS-Uに分類する。
      ※4  骨髄中の芽球が5%未満であり末梢血の芽球が2~4%の場合は、RAEB-1に分類する。
      末梢血の芽球が1%のRCUDとRCMDは、MDS-Uに分類する。
      ※5  アウエル小体:正常な骨髄系白血球に存在する複数の顆粒が融合して桿(さお)状に変形したもので、骨髄性芽球の過程で特徴的にみられる。
      ※6  末梢血中のアウエル小体が5%未満、骨髄中の芽球が10%未満でアウエル小体を認める場合は、RAEB-2に分類する。
      Brunning R, et al. : WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues., 2008; 88-93, IARC.より作成
      【参考文献】
      1. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編:造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月 第1版;金原出版
      2. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版;金原出版
      3. Brunning R, et al. : “Myelodysplastic syndromes/neoplasms, overview,” WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues., 2008; 88-93, IARC.
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        更新日:2016年06月17日 [ 更新履歴 ]
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        2016年06月17日タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月(第1版)」「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」より内容を更新しました。
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        1.治療の選択

        1)予後予測

        これまでの研究から、検査所見で病気の予後を予測できるいくつかの要素が明らかになっており、これを予後因子といいます。複数の予後因子を組み合わせて、リスク(治療経過の見通し)を評価することを予後予測といい、骨髄異形成症候群の治療方針を決めるために重要とされています。

        予後予測のための重要な指標の1つに、1997年に提唱された「国際予後予測スコアリングシステム(IPSS:International Prognostic Scoring System)」があります。これは、予後に深く関連すると考えられる骨髄での芽球(がきゅう:未熟な血液細胞)の割合、染色体異常の状態(参照:染色体)、血球減少の状態を点数化し、その合計スコアによって、リスクを「Low」「Intermediate(Int)-1」「Intermediate(Int)-2」「High」の4群に分類するものです。スコアがどのリスクに当てはまるかによって、予後や急性骨髄性白血病に移行する確率などが予測されます。

        2)リスク群分類と治療方針の決定

        治療方針や臨床的な対応は、多くの場合、予後予測に基づきリスク別に考慮されます。よく使用されるのは、国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)における「Low」および「Intermediate(Int)-1」に該当する患者さんを「低リスク群」に、「Intermediate(Int)-2」と「High」に該当する患者さんを「高リスク群」とするものです。当てはまるリスク群と、年齢や体の状態などを総合的に検討して、治療方針を決定します。

        図3に、骨髄異形成症候群に対する大まかな治療の流れを示しています。担当医と治療方針について話し合うときの参考にしてください。
        図3 骨髄異形成症候群に対する治療方法
        日本血液学会編「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」(金原出版)より一部改変し作成

        2.リスク群別の治療方針

        治療方針はリスク群や年齢などを総合的に考えて決められます。低リスク群においては、血球減少への対応が第一の目標となります。高リスク群では、白血病に進行する可能性が高いことから、より積極的な治療方針がとられます。

        1)低リスク群に対する治療方針

        低リスク群には、国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)で「Low」および「Intermediate(Int)-1」に分類される患者さんが該当します。血球の減少が軽度で自覚症状のない場合には経過観察となりますが、血球の減少が進行する場合には、血球減少への対応とその改善が治療の第一の目標となります。

        2)高リスク群に対する治療方針

        高リスク群には、IPSSで「Intermediate(Int)-2」および「High」に分類される患者さんが該当します。急性骨髄性白血病に転化するリスクが高いことから、より積極的な治療方針がとられます。
        【高リスク群に対する治療方針について、さらに詳しく】
        現在のところ、治癒が期待できる治療は同種造血幹細胞移植のみとなります。「同種」とは「同じ種類の生物」という意味で、ヒト(ドナーの方)から提供された造血幹細胞を、ヒト(患者さん)に移植することです。年齢や患者背景、ドナーなどの条件を満たす場合には、同種造血幹細胞移植の積極的な適応が考慮されます。

        移植を行わない場合には、細胞障害性抗がん剤のアザシチジン(AZA)が第一選択薬と位置付けられています。5番染色体長腕(5q)の一部が欠けている5q-症候群の患者さんでは、抗造血器悪性腫瘍剤のレナリドミドを使用することもできます。一部の患者さんには、急性白血病の治療に準じた化学療法が選択されることがあります。
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        3.自分に合った治療法を考える

        治療方法は、すべて担当医に任せたいという患者さんがいます。一方、自分の希望を伝えた上で一緒に治療方法を選びたいという患者さんも増えています。どちらが正しいというわけではありません。自分の生活や人生において何を大切にするのか、自分で考えることが大切です。

        まずは、詳しい病状を把握しましょう。わからないことは、担当医に何でも質問してみましょう。診断を聞くときには、病期あるいはリスク分類を確認しましょう。治療法は、病期や病態によって異なります。担当医とうまくコミュニケーションをとりながら、自分に合った治療法であることを確認してください。

        担当医と話すときの助けとして「わたしの療養手帳 自分に合った治療法は?」 もご参照ください。「患者必携 わたしの療養手帳」はさまざまな場合で必要なことを書きとめることができる手帳になっています。印刷もできますので、自分で記入してみて、わからないことや聞いてみたいことを整理してみましょう。

        診断や治療法を十分に納得した上で、治療を始めましょう。

        担当医以外の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞くこともできます。ここでは、(1)診断の確認、(2)治療方針の確認、(3)その他の治療方法の確認とその根拠を聞くことができます。聞いてみたいと思ったら、「セカンドオピニオンを聞きたいので、紹介状やデータをお願いします」と担当医に伝えましょう。担当医との関係が悪くならないかと心配になるかもしれませんが、多くの医師はセカンドオピニオンを聞くことは一般的なことと理解しています。納得した治療法を選ぶために、気兼ねなく相談してみましょう。

        セカンドオピニオンについては「セカンドオピニオンを活用する」もご参照ください。

        担当医以外でも、看護師など他の医療スタッフやがん相談支援センターのスタッフに相談することができます。あなたの抱えている問題点を整理し、一緒に考えてくれます。

        がん相談支援センターについては「がんの相談窓口『相談支援センター』」もご参照ください。
        【参考文献】
        1. 日本血液学会、日本リンパ網内系学会編:造血器腫瘍取扱い規約 2010年3月 第1版;金原出版
        2. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版;金原出版
        3. Greenberg P, et al.: Blood., 1997; 89(6): 2079-88.
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          2016年06月17日タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」「造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月)」より内容を更新しました。
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          1.同種造血幹細胞移植

          同種造血幹細胞移植は、骨髄異形成症候群の治癒が期待できる唯一の治療法ですが、ドナー(造血細胞の提供者)の有無や年齢、全身状態など条件があります。また、合併症など一定の危険性が伴う治療法のため、移植を受けるかどうかは、主治医と十分に相談し、治療方法を理解した上で決定されることをお勧めします。

          1)同種造血幹細胞移植の適応

          移植の適応を検討する上で、日本造血細胞移植学会では、国際予後スコアリングシステム(IPSS:International Prognostic Scoring System)分類による移植適応の指標を提唱しています(表3)。
          表3 骨髄異形成症候群に対する移植適応
          IPSS 病型リスク HLA適合
          同胞(兄弟姉妹)
          HLA適合
          非血縁
          臍帯血移植
          (※2)
          Low 低リスク群
          (※1)
          ○/△
          Intermediate(Int)-1
          Intermediate(Int)-2   高リスク群  
            High
            治療関連MDS  
          ◎:移植が標準治療である(合併症、QOLなどの不利益についても検討した上で総合的に決定すべきである)
          ○:(年齢など)症例により移植を考慮してもよい
          △:開発中であり、臨床試験として実施すべき
          ※1: 低リスク群の場合、血球減少が高度で、輸血依存性、あるいは重症感染症・出血のハイリスク症例で、他の保存的治療法が無効の場合に同種造血幹細胞移植を考慮する。
          ※2: 臍帯血(さいたいけつ)移植に関しては、移植前治療、患者年齢、臍帯血細胞数などにより、推奨度が異なる。
          日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会編「造血細胞移植ガイドライン第3巻[骨髄異形成症候群(成人)第2版](2014年)」(医薬ジャーナル社)より一部改変し作成
          【同種造血幹細胞移植の適応について、さらに詳しく】

          (1)低リスク群(IPSSのLow~Int-1)の場合

          同種造血幹細胞移植は推奨されていません。しかし、国際予後予測スコアリングシステム(IPSS)におけるリスクの悪化や悪化傾向がある場合や、血球減少のために輸血を頻繁に必要とする場合、重篤な感染症・出血などの合併症の既往やその危険性が高い場合には、移植を考慮することがあります。

          (2)高リスク群(IPSSのInt-2~High)の場合

          血球の減少や急性白血病へ進展するリスクが高いため、同種造血幹細胞移植が可能であれば、原則として速やかに移植を実施します。55歳未満で、白血球の型(HLA)が1座不適合以内の血縁ドナーが存在し、移植に耐えられる全身状態である患者さんが最もよい適応とされています。血縁ドナーが得られない場合には、HLAが一致する非血縁者ドナー(骨髄バンク)からの移植も考慮します。高リスク群のうち、染色体異常(参照:染色体)が予後良好を示す一部の症例では、急性骨髄性白血病に準じた治療などで比較的良好な予後を期待できる場合があるため、移植の適応を慎重に考慮します。

          (3)治療関連骨髄異形成症候群(MDS)の場合

          また、以前にがん/腫瘍で薬物療法放射線治療を受け、その後に発症した骨髄異形成症候群を「治療関連骨髄異形成症候群(MDS)」といい、積極的な移植適応となります。
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          2)同種造血幹細胞移植の方法

          同種造血幹細胞移植の前には、大量の細胞障害性抗がん剤(以下、抗がん剤)や全身放射線照射による強力な治療が行われます。これを「移植前処置(いしょくぜんしょち)」と呼び、骨髄異形成症候群の異常細胞を含む血液細胞を破壊するとともに、移植するドナーの造血幹細胞が拒絶されないようにすることが目的となります。

          50~55歳未満でHLA(白血球の型)適合血縁ドナーがあるときは、移植前処置として大量の抗がん剤を投与し、骨髄を空にした後に移植を行います。50~55歳以上のとき、もしくは、移植関連の毒性が高いと予想される合併症があるときには、移植前処置の強度を落として患者さんの負担を軽くした移植法(骨髄非破壊的移植・ミニ移植ともいわれます)が一般的に行われます。

          移植前処置の後、HLAが一致したドナーから採取した正常な造血幹細胞を、静脈から輸血のように体内に入れて、破壊された造血幹細胞と入れ替え、造血機能を回復させます。
          【同種造血幹細胞移植の方法について、さらに詳しく】

          (1)骨髄移植

          化学療法、または放射線治療の組み合わせによって、骨髄(こつずい)を中心とする体の中の白血病細胞と正常な血液細胞を破壊し、HLAが一致したドナーから採取した正常な骨髄を、静脈から輸血のように体内に入れ、破壊された造血幹細胞と入れ替えます。

          (2)末梢血(まっしょうけつ)幹細胞移植

          白血球をふやす薬(G-CSF)を数日間ドナーの皮下に注射し、骨髄から全身の血管内に流れ出てきた造血幹細胞を採取し移植します。この方法では、G-CSFの投与に伴う副作用がありますが、全身麻酔による骨髄液採取は不要になるので、ドナーの負担が減る可能性があります。

          (3)臍帯血(さいたいけつ)移植

          臍(へそ)の緒の中に存在する造血幹細胞を、骨髄のかわりに用います。この治療は現段階では標準治療として推奨されていませんが、骨髄・末梢血幹細胞のドナーが得られない高リスク群の患者さんでは、臍帯血移植を考慮する場合があります。

          (4)骨髄非破壊的移植(ミニ移植)

          近年では、必ずしも大量の抗がん剤治療や全身を照射する放射線治療をしなくても、免疫抑制作用の強い薬を用いることによって、患者さんとドナーの造血幹細胞を入れ替えることが可能になりつつあります。高齢の方や、合併症のある患者さんへの移植が行われるようになってきました。通常の移植前処置を行う場合と比較して移植合併症による死亡は明らかに少ないものの、再発率が高いことがわかっており、再発率改善のために、移植前治療を工夫する試みが行われています。
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          2.化学療法(抗がん剤治療)

          薬剤を用いて、病気の状態を改善する治療法です。造血幹細胞移植が行えない高リスクの骨髄異形成症候群や、低リスク群の一部に対しては、抗がん剤のアザシチジン(AZA)による治療を行います。また、染色体異常(5番染色体の一部が欠失)のある低リスク群の患者さんには抗造血器悪性腫瘍剤のレナリドミドを使用します。芽球(がきゅう)の多い骨髄異形成症候群に対しては、抗がん剤を用いて、芽球の数を減らすことを目指します。
          【化学療法について、さらに詳しく】

          1)アザシチジン

          アザシチジン(AZA)は、同種造血幹細胞移植を行わない高リスクの患者さんに対しては第一選択薬とされており、明らかな増悪や強い副作用のための中止を除いて、少なくとも4~6コースを継続して投与し、有効性を判断します。

          低リスク群の骨髄異形成症候群に対しては、アザシチジンにより造血機能の回復が認められることがありますが、現時点では第一選択薬としての使用は推奨されていません。

          2)レナリドミド

          レナリドミドは、5番染色体長腕(5q)の欠失(染色体の一部が欠けていること)を伴う「5q-症候群」の患者さんに対して使用されます。低リスク群で赤血球輸血をたびたび繰り返す患者さんにおいては、レナリドミドの有効性が認められています。

          高リスク群の患者さんに対するレナリドミドの有効性はわかっておらず、使用は勧められていません。ただし、5q-症候群の患者さんで、第一選択薬であるアザシチジンの効果が得られないときに、レナリドミドの使用を考慮することがあります。

          3)その他の化学療法

          同種造血幹細胞移植が実施されない高リスク群の一部の患者さんで、第一選択薬であるアザシチジンの効果がない・投与できないという場合には、白血病治療に準じた抗がん剤投与も考慮されます。患者さんの年齢や全身状態などを考慮して、使用する薬剤や量などを検討します。
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          3.免疫抑制療法

          低リスク群の患者さんの一部には、免疫抑制療法により造血機能の回復を期待できる場合があることが報告されています。治療には、免疫抑制剤の抗胸腺細胞グロブリン(ATG:anti-thymocyte globurin)やシクロスポリン(CyA)が用いられますが、国内では保険適応になっていません。

          4.サイトカイン療法

          サイトカインとは、もともと体の中で血液細胞の産生を促している物質です。これを薬として投与し、血液細胞を補う治療方法を、サイトカイン療法といいます。

          低リスク群の骨髄異形成症候群の貧血に対しては、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)や、持続性エリスロポエチン製剤(ダルベポエチン アルファ)を投与すると、一部の患者さんに対して貧血が改善することがわかっています。国内では、持続性エリスロポエチン製剤が骨髄異形成症候群に伴う貧血に対して保険適応となり、血液中のエリスロポエチン濃度が低い場合や、赤血球輸血量の少ない場合には有効性が高いと考えられています。ただし、高リスク群の患者さんへの有効性や安全性は確立していません。

          5.鉄キレート療法

          骨髄異形成症候群により、定期的な赤血球輸血(月2単位以上の赤血球輸血を6カ月以上継続)を必要とする患者さんでは、輸血により体内に余分な鉄が蓄積し、血液中のフェリチン(血液中の鉄分量を維持・調節するタンパク)の値が上昇する「鉄過剰症」になる場合があります。鉄過剰症により、主要な臓器(心臓、肝臓、膵臓[すいぞう]など)に障害を起こすことがあるため、患者さんによっては、過剰な鉄を体の外に排出する治療(鉄キレート療法)を行うことがあります。具体的には、鉄キレート剤と呼ばれる薬剤を注射や内服により投与します。

          6.支持療法

          支持療法は、がん細胞そのものを減らしたり、がんを小さくしたりする治療ではありませんが、がんによって起こる合併症、治療に伴う副作用を予防・軽減する治療で、血液のがんの治療を進めていくにあたって極めて重要です。

          具体的には、治療に伴う白血球減少に備え、感染しやすい場所(口の中、気道、肛門周囲など)の治療やケア、白血球減少の状況での感染症の予防や治療のための抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌(カビ)薬の投与、貧血に対する濃厚赤血球の輸血、血小板減少に対する血小板の輸血、その他、血液製剤や吐き気止めの使用などです。症状の緩和だけではなく、長期にわたることの多い治療の間の精神的な支援を含めて、幅広い内容の支持療法が行われます。

          7.生活の質を重視した治療

          近年、がんと診断されたときから、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)の改善を目的とし、がんに伴う体と心のさまざまな苦痛に対する症状を和らげたり、患者さんとご家族がその人らしく過ごしたりするための緩和ケアが浸透し始めています。

          緩和ケアは、がんが進行したときだけではなく、がんと診断されたときから必要に応じて行われるものです。痛みや吐き気、食欲不振、だるさなど体の症状や、気分の落ち込みや孤独感など心のつらさを軽くすること、また、その人らしい生活を送ることができるように、緩和ケアでは医学的な側面に限らず、幅広い対応をしていきます。

          そのためにも、治療や療養生活について不安なこと、わからないことがあれば、ご自身の思いを積極的に担当医に伝えましょう。十分に話し、納得した上で治療を受けることが大切です。

          緩和ケアについては「緩和ケア」もご参照ください。
          【参考文献】
          1. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版;金原出版
          2. 日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会編:造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月);医薬ジャーナル社
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            更新日:2016年06月17日 [ 更新履歴 ]
            更新履歴
            2016年06月17日タブ形式に変更し、内容を更新しました。
            2006年10月10日掲載しました。

            1.経過観察と検査

            治療を行った後は、副作用による体力の低下に気をつける必要があります。細胞障害性抗がん剤(参照:抗がん剤)の副作用は、吐き気・嘔吐(おうと)、食欲不振、口内炎、下痢、便秘、だるさ、末梢(まっしょう)神経障害(手足のしびれ)、脱毛など自覚症状のあるものだけではありません。白血球減少貧血血小板減少、肝機能障害、腎機能障害、心機能障害、肺障害など、検査をしなければわからない副作用もありますが、適切な支持療法によって軽減することが可能です。治療終了後も定期的に通院して、担当医とよく相談することが大切です。

            治療後の通院の間隔は、治療の内容とその効果、継続して行う治療の有無、合併症や副作用の内容、治療後の回復の程度など、患者さんの状態によって異なります。担当医によく確認しておきましょう。

            検査としては、診察、血液検査、尿検査のほか、超音波検査(エコー)X線検査CT検査MRI検査などの画像検査があげられます。症状や検査の結果によっては、骨髄検査骨シンチグラフィが行われます。

            2.日常生活を送る上で

            治療後しばらくの間は、疲れたら無理をしないですぐに横になれるようにしておきましょう。この期間は、家の周りの散歩など軽い運動や簡単な家事をしながら、体力の回復に努めます。ただし、急に発熱したり、胸が痛んだり、しつこい咳や息切れなどを感じたら、すぐに担当医に連絡しましょう。寒い日は1枚余分に上着を羽織るなどして、体を冷やさない工夫も必要です。
            【日和見(ひよりみ)感染症について】
            日和見感染症とは、健康な人には害のないような弱い細菌や真菌(カビ)、ウイルスなどにより感染症を発症することです。血液がんにより、あるいは治療中に起こりやすい感染症で、重症化する場合もあります。

            人はさまざまなウイルスや細菌、真菌などから感染を受けながら、体の中の状態を維持しています。このような微生物は、大腸菌のようによい働きをしているものもありますし、静かに身を潜めているものもあります。しかし、免疫機能が非常に弱くなると、体内にいるこのような弱い微生物の活動さえも抑えられなくなり、感染症を発症することがあります。また、「麻疹(ましん:はしか)」や「水痘(すいとう:水ぼうそう)」など、幼少のころに感染して免疫を獲得していた場合でも、免疫機能が弱まることで再び感染する場合もあります。
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            3.社会復帰

            これまでの仕事や生活リズムにもよりますが、一般的には体力がついて副作用による症状も改善されれば、通常に近い生活リズムに戻すことが可能です。外出の回数を増やす、軽い運動をしてみるなど、少しずつ行動範囲を広げていきます。職場に復帰するときは、会社の人たちに大まかな治療の予定や生活上の注意点などを伝えておき、無理のない業務や就労時間でスタートしましょう。

            社会復帰については「社会とのつながりを保つ」もご参照ください。

            4.家族や親しい人の理解を得る

            1)治療前

            病気の状況や治療内容について担当医の話を聞くときは、家族など周りの人に付き添ってもらうようにしましょう。特に治療に関しては、副作用も含め、治療の予定や見通しについてもよく確認しておくことが大切です。納得して治療が受けられるように、担当医や看護師に尋ねたいことはあらかじめメモに書いて聞くようにしましょう。疑問や納得できないことがないように、担当医や看護師に確認しましょう。

            治療期間が長くなることが多く、また抗がん剤や支持療法に必要な輸血・血液製剤の費用などで、医療費が高額になることがあります。病気や治療の説明、今後の予定、経済的なことなど、わからないことはがん相談支援センターに無料で相談することができます。

            2)治療後

            治療の後も多くの場合、感染予防のためにマスクをしたり、こまめに手洗い・うがいをしたりするなど、日常生活の過ごし方に注意する必要があります。とはいえ、あまりに何もしないで過ごしていると、筋力や体力を低下させてしまうことがあります。できる範囲で家事や趣味、今までの生活を維持するように心がけ、家族や周りの人に支援をお願いしてみるとよいでしょう。

            感染予防には家族や周りの人の理解や協力も必要です。手洗い・うがいをこまめに行う、部屋を清潔にする、予防接種を受ける、などについて話し合っておきましょう。

            感染症の予防対策に関しては、「がん患者さんの感染症に対する予防」をご参照ください。
              更新日:2016年06月17日 [ 更新履歴 ]
              更新履歴
              2016年06月17日タブ形式に変更しました。「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」「造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月)」より内容を更新しました。
              2006年10月10日掲載しました。

              1.再発

              再発とは、治療の効果によりがんがなくなった後(寛解:かんかい)、再びがんが出現することをいいます。骨髄異形成症候群の再発のリスク要因には、同種造血幹細胞移植の前に寛解に至らない場合、移植前の治療(移植前処置)の強度を落としたミニ移植の場合、予後不良とされる染色体異常がある場合などがあります。

              再発した場合には、それぞれの患者さんの状況に応じた治療方針が検討されます。治療効果が得られない場合は、クオリティ・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を維持しながら病気と付き合っていくことを目指した治療を行うことになります。

              同種造血幹細胞移植後に再発した場合、ドナーリンパ球輸注(DLI:donor lymphocyte infusion)という方法に一定の効果が確認されています。詳しくは、「同種造血幹細胞移植後のドナーリンパ球輸注」をご参照ください。
              【参考文献】
              1. 日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版;金原出版
              2. 日本造血細胞移植学会ガイドライン委員会編:造血細胞移植学会ガイドライン 第3巻(2014年8月);医薬ジャーナル社
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