ビューティ/デトックス
/リラクセーション

温泉ビューティ研究家

石井宏子さん推薦!

協力:石井宏子(温泉ビューティ研究家)

Special Thanks to Hiroko ISHII

秋も深まり、温かい温泉が恋しい季節。旅先は、ついつい知名度やホテルのブランドで選びがちになってしまうけれど、身体が求める目的からセレクトしてみると、思いがけない名湯・秘湯に巡り合えるかもしれない。そこで今回は、温泉の専門家・石井宏子さんに「ビューティ、デトックス&リラクセーション」の3つの作用から、9つの温泉宿を推薦していただいた。

心と身体が悦ぶ
美肌の湯3選

神奈川「宮ノ下温泉」
箱根吟遊

箱根連山を一望する渓谷に立つ絶景の宿『箱根吟遊』。客室の露天風呂と最上階の大浴場からの眺望だけでも十分に来訪する価値があるけれど、オリジナルの「Ginyu Spa」は『箱根吟遊』のハイライトだ。リラクセーションルームからの眺め、安らぎの水の音、風雅な香り……。箱根の深い森の中、豊かな自然を感じながら経験豊富なセラピストに身をゆだねる時間は格別。カップルや友人同士でトリートメントが受けられるペアルームも提供している。ナイトタイムはSpaパビリオンを貸し切って、Spa専用の源泉掛け流し露天風呂を贅沢に独り占めすることも可能だ。

国内クラブホテルズ・旅の宿

群馬「谷川温泉」
別邸 仙寿庵

広い敷地の中ゆるやかな曲線を描く回廊に、緑あふれる庭園。宿に一歩足を踏み入れると、そこには心を解きほぐす、ゆったりとした空間が広がる。国内の旅館ではわずか9軒のみが加盟する「ルレ・エ・シャトー」メンバーの『別邸 仙寿庵』は“本物”のホスピタリティを提供する一流の湯宿だ。芒硝(ぼうしょう)や石膏を含んだその温泉にはアンチエイジングや鎮静作用など、さまざまな美容効果が。併設のエステルーム「SORA」では、この温泉の恵みをプラスした『別邸 仙寿庵』ならではのエステを体験できる。

別邸 仙寿庵

群馬県利根郡みなかみ町谷川614

神奈川「湯河原温泉」
ゆがわら石亭

多くの画家や文人が療養に訪れてきた湯河原温泉。その硫酸塩泉の泉質は「傷の湯」とも呼ばれ、肌の乾燥やハリが気になる方に特におすすめ。温泉とともに体験したいのが、併設のスパ「Sobi」の「エサレン®マッサージ」だ。1960年代のヒューマン・ポテンシャル・ムーブメントから生まれたこのマッサージは、流れる波のようなハンドストロークで心と身体、双方に働きかけ、人間に本来備わる美しさを取り戻してくれる。

ゆがわら石亭

神奈川県足柄下郡湯河原町宮上261

「泉質は、イオン名の組み合わせや特殊成分によって数十種類以上も存在しますが、大きく9種類に分類することができます。泉質によって異なるそのパワーを知れば、温泉選びがもっと楽しくなるでしょう」―石井宏子

●単純温泉高齢者や子供にもやさしい湯
●塩化物泉保温効果の高い「熱の湯」
●炭酸水素塩泉スベスベ美肌の湯
●硫酸塩泉保湿力のあるツヤ肌の湯
●二酸化炭素泉血行促進の湯
●含鉄泉女性特有の症状に働く婦人の湯
●硫黄泉デトックスの湯
●酸性泉皮膚疾患・殺菌の湯
●放射能泉ストレス・万病の湯

なまった体が甦る
デトックスの湯3選

徳島「祖谷温泉」
ホテル祖谷温泉

深い祖谷(いや)渓谷の谷底に湧く祖谷温泉は、ホテルの建物からケーブルカーで170メートルも下って辿り着く、源泉掛け流しの露天風呂。まさに秘湯と呼ぶにふさわしいロケーションだ。特筆すべきは湯船の中を移動するのも大変なほどの、そのとろとろの泉質。じっと浸かっていると、新鮮な温泉に含まれる微細な泡が全身をやさしく包み込み、旅の疲れを癒してくれる。祖谷温泉の泉質はアルカリ性単純硫黄温泉。肌の余分な皮脂を落としてくれる作用や、毛細血管を拡張して代謝を活発にしてくれる作用が期待できる。

国内クラブホテルズ・旅の宿

長崎「雲仙温泉」
雲仙観光ホテル

明治・大正時代から欧米人の保養地として栄えてきた雲仙温泉。昭和10年(1935年)創業の『雲仙観光ホテル』は、その古きよき時代を偲ぶ、格調高いクラシックホテルだ。その泉質は草津温泉に似た硫黄を含んだ酸性泉で、かなり強め。血行促進や疲労回復、皮膚疾患などに効果的とされる。温泉以外にも「近代日本の名建築(日本建築学会)」に選ばれた館内の見物や、季節の素材を活かした正統派フレンチのお食事など、楽しみの多いホテルだ。

雲仙観光ホテル

長崎県雲仙市小浜町雲仙320

国内クラブホテルズ・旅の宿

山形「蔵王温泉」
深山荘高見屋

創業享保元年(1716年)。名湯として名高い蔵王温泉の一角にある『深山荘高見屋』は、純和風の佇まいが旅情を誘う老舗温泉旅館。9つある湯殿は、黒塗りの板塀や太い梁に囲われた自家源泉掛け流しの「長寿の湯」など、ムードたっぷり。温泉旅館の風情を満喫しながら湯の恵みを存分に味わえる。湧出するお湯は乳白色の硫黄泉で、まろやかでやさしい肌触りが特徴だ。国内でも有数の高い酸性度の泉質は、デトックスに最適なのだとか。料理にもこだわりのある『高見屋』では、山形郷土料理の会席や、一日4組限定の「すきしゃぶ鍋」をぜひご堪能あれ。

心のコリをほぐす
リラックスの湯3選

北海道「花園温泉」
坐忘林

『坐忘林(ざぼうりん)』は、羊蹄山を望む深い木立の中にひっそりと佇むわずか15室の“隠れ家”。ニセコの自然と日本の美が、訪れる人を魅了する宿である。そのコンセプトは「陰翳礼讃」。無駄をそぎ落としたミニマルなデザインの建築やインテリアが雄大な景観としっくりと調和し、美しく静謐な空間が広がる。泉質は、美容作用が期待できるメタケイ酸を豊富に含んだ塩化物泉。客室専用の源泉掛け流しの露天風呂から、何も遮るものがない絶景を眺める、忘我のひとときを。

静岡「湯ヶ島温泉」
arcana izu

山深い天城の原生林の中、眺めるその時々によって表情を変える
狩野川の清流のほとりに佇むオーベルジュリゾート『arcana izu(アルカナ イズ)』。そのダイナミックなロケーション、源泉掛け流しの温泉、そして五感を刺激するエモーショナルなフレンチのどれもが、素晴らしい旅のひと時を演出してくれる。特に、大きなオープンカウンターで供される美食は『arcana izu』のハイライト。今年の7月、新たにシェフに就任したのは糸井佑磨シェフ。異なる生態系を持つ相模湾と駿河湾に囲まれ、富士山麓にも近い中伊豆ならではの、生命力あふれる食材を活かしたその料理は、ここでしか体験できない滋味深さだ。

栃木「大丸温泉」
那須別邸 回

『那須別邸 回』は、静かな時間の流れるプライベートな滞在にぴったりの高原リゾートだ。わずか9室の客室は、それぞれ趣の異なるギャラリーのようなモダンな雰囲気。すべてに広々とした専用の風呂が備えられ、一日中好きな時に温泉に入ることができる。食事も部屋でいただけるので、気の向くままに、ゆったりと、自分だけの温泉休暇を過ごすのに最適だ。秋の夜長にはムーディなバーラウンジでカクテルグラスを傾ける、そんな時間の過ごし方も華がある。メタケイ酸やナトリウム硫酸塩泉成分を含む大丸温泉の泉質は、肌の若返り作用や新陳代謝を促す作用が期待できる。高原の風を感じながら湯船に全身を預ける、心からくつろげるひとときを。

「シワ一つないシーツ、整然としたお部屋、折り目正しい仲居さん。『ああ、旅に来たんだ』という気持ちにしてくれる、洗濯したてのような宿の空気が大好きです。湯宿の顔である大浴場も、お客様の来訪に合わせて新鮮なお湯に張り替えている場合が多いもの。早めのチェックインで誰も入っていない“一番湯”を狙ってみるのも、温泉旅の楽しみ方の一つです」―石井宏子

石井宏子(いしい ひろこ)|温泉ビューティ研究家。一年のうち200日ほどを温泉を巡る旅に過ごす温泉のプロフェッショナル。温泉の美容力を研究する日本でただ一人の温泉ビューティ研究家。温泉や旅で心も体もきれいになる“ビューティツーリズム”を提唱し活動中。近書に『地球の力をチャージ! 海温泉 山温泉 花温泉 76』(マガジンハウス)、『癒されてきれいになるおひとりさま温泉』(朝日新聞出版)など。

2016.11.07