私は大学を卒業して、テレビ番組を制作する会社にAD(アシスタントディレクター)として就職しました。
2年半で会社を辞めましたが、もうテレビ番組は見られなくなりました。
今日はその理由について書いてみたいと思います。
医療知識のないシロートが作る健康番組
まず最初に担当した番組は、あの悪名高き『発掘!あるある大事典』でした。
2003年当時、健康番組として人気だったと記憶しています。
スポンサーは花王のみの一社提供。(ココ、意外と重要ですよ〜。)
健康についての番組なので、人間のカラダについて学ぶのは必至。
先輩ADは”あるある歴”数年で、かなりの知識がありましたね。
でも、しょせんは番組制作会社の人であり、医療についての専門知識などありません。
そんな素人が人のカラダに影響を及ぼしてしまうかもしれない番組を作っているってことに正直驚きました。
(一応、最後に監修の先生を立てることにはなっていましたが。)
だって、私もイチADとして番組作りのためにリサーチとかするんですよ?
経済学部しか出てないし!
人間のカラダの知識なんて、小学生と同じくらい。
なにか食べたら、それが消化されてカラダに吸収されるとか、そんなもんですよ。
そんな戸惑いを感じながらも、お仕事ですからね。がんばりました。
そんな番組を作っていたときにぶつかった事実について書いてみます。
毛穴すっきりパックは悪?
”毛穴”について調べていたとき、数人の皮膚科の先生にお話を聞きに行ったことがあります。
当時はビオレの”毛穴すっきりパック”(花王)が大人気で、スポンサーの花王も番組で商品を推してほしかったのでしょう。
これこれ。(画像:http://sugartoy.net/)
そのインタビューした皮膚科の先生全員が、
毛穴パックなんてとんでもない!肌傷めるよ!
と言われたんですねー。
まあ話を聞いたのも数人ですからデータをとったとは言えませんが、それなりに雑誌にも出ている先生方に言われたので、ヒィィ!と驚いてヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ 、ソッコー毛穴パックは捨てました!ぽーい。
なにか情報を伝える者としては、このような見解も視聴者に伝えたいところ。
しかし、花王がスポンサーである以上は毛穴パックが悪いなんてことは言ってはいけない。
でも花王にもきっと優秀な商品開発をしている研究者の方がいて、その方たちは毛穴パックがスバラシイ商品だから世に出しているはずで。。(そうですよね?そう信じたい。。)
だから、毛穴すっきりパックが悪い!と一概に言うことはできないわけです。
これは報道者としてはジレンマでして、イチ個人としては、毛穴パックに否定的な意見もあるよ!とお伝えしたいのですが、スポンサーがらみで言えない。。
なので、テレビの情報は鵜呑みにしないほうがいいよ!
と大声で言っておきます。
当時、電車とかで女子高生が
「ねぇねぇ、昨日テレビで言ってたんだけど、〜っていいらしいよ!」
とか話しているのを聞くと、
やめて〜!テレビなんて信じないで!自分で調べてみて!
と叫びたかったのを覚えています。。
ヤラセの問題
よく問題になるヤラセについてです。
”あるある”の実験で「子顔になるエクササイズ」というものを一般の方(被験者と呼んでいました)にやっていただいたことがあるんですね。
もちろん番組としては、1日たったこれだけのエクササイズで子顔があなたのものに!というような流れを作りたいワケです。
時間もないし、もうゼッタイ効果を出してほしい。
効果がでなかったら、番組になりませんからね。これは死活問題です。
そこで先輩ADが被験者にこう言いました。
番組で紹介するとおり、1日10回はこういう顔の体操をしてくださいね。
でも、やれるなら20回でも30回でもやってください!
と。
えぇえ?(゚ロ゚;)エェッ!?
そこは、
番組では1日10回この顔体操をする、と放送するので、回数は守ってくださいね♪
じゃないのかな?
と思いましたが、口には出せず。。
つまり、番組を成立させることが一番大切なのであり、その正しさは二の次なのですね。
こんなことの延長で、あのねつ造事件が起こったのも頷けます。
台本ありきって基本だよ?
2007年に『発掘!あるある大事典』が打ち切りになったとき、新聞などの報道で台本ありきで番組を制作!とか大問題のように書かれてましたが、
それって普通だよ?なに言ってんの?
と思いました。
番組作るのって会社でなにか企画を通したいときにするプロセスと同じで、こういった情報があって、こういう話があるからオモシロくなります!
っていうプレゼンをするわけです。
その話がオモシロくなかったら台本の練り直しで、局の上の人からの台本オーケーがでないと撮影ができないわけです。
だから、それにそって撮影をすすめざるをえないんですねー。
もちろん、台本どおりに全然進まない!結果がでない!となったときには、台本を大幅に修正することになるわけですが、そんな時間の余裕はない。
切羽詰まってるんですよ、みんな!
てことで、みんなががんばって台本の流れに沿うようにするわけですね。
これが究極に悪い形で出たのが、”納豆ねつ造”事件だったのです。
個人的には、ねつ造をせざるをえない状況だったディレクターに同情します。
経済番組の制作で直面したガッカリな制作陣
『あるある〜』を経て別の番組のADもやりました。
”今の高齢者は若くて、趣味にお金をかけてステキ”みたいなテーマの番組でした。
(写真はイタリアのおばあちゃん)
そこで取材したのは、表参道のビューティーサロン。
そこに通っている方の年齢層に変化があり、おばあちゃんが増えているという話の裏付け取材でした。
しかし、サロンがおばあちゃんで一杯!みたいな映像が撮れず、画像のインパクトがないよね〜。みたいな話が会議で出たんです。
そのサロンには”マミーコース”という子ども連れでサービスが受けられるメニューがあったんですね。
その資料に目をとめた私が、
このマミーっていうの、フランス語で”おばあちゃん”って意味なんですよね〜。このお店がおばあちゃん向けのメニューを持ってる、とかだったら話が通りやすいのに。
と言ったら、みんなの食いつきがすごく、
それいい!それでいこう!
とナレーションに加えられることになったんですね。
え?でも、これ明らかに”お母さん”って意味のマミーですよ。お店に確認とったほうが。。
と言ったら
そんなことしたらマミーはおばあちゃんじゃないって言われるでしょ?そんなことしないで!
と返されました。
もうこれって嘘報道や〜ん!
これは今でもキョーレツに記憶に残っているエピソードです。
通常、番組の放送終了後には取材先にお礼の電話をするのですが、このサロンにはできなかったですね。。申し訳なさすぎる!('A`|||)
まとめ
というわけで、こんなことを経験すると、テレビ番組が見れなくなる、というか見る意味がわからなくなります。
(現に、ウチにはテレビというものがありません。)
ニュース番組も事実を切り取ったものですからね。真実とは限りません。
「〜という法案が通りました。」とか「〜さんが本日100歳になりました。」とか100%事実のものは別ですけどね。
ドラマとかも別で、完璧作り物だから見れますけどね♪
みんなも、メディアの報道は注意してね☆
おしまい!
2年半で会社を辞めましたが、もうテレビ番組は見られなくなりました。
今日はその理由について書いてみたいと思います。
医療知識のないシロートが作る健康番組
まず最初に担当した番組は、あの悪名高き『発掘!あるある大事典』でした。
2003年当時、健康番組として人気だったと記憶しています。
スポンサーは花王のみの一社提供。(ココ、意外と重要ですよ〜。)
健康についての番組なので、人間のカラダについて学ぶのは必至。
先輩ADは”あるある歴”数年で、かなりの知識がありましたね。
でも、しょせんは番組制作会社の人であり、医療についての専門知識などありません。
そんな素人が人のカラダに影響を及ぼしてしまうかもしれない番組を作っているってことに正直驚きました。
(一応、最後に監修の先生を立てることにはなっていましたが。)
だって、私もイチADとして番組作りのためにリサーチとかするんですよ?
経済学部しか出てないし!
人間のカラダの知識なんて、小学生と同じくらい。
なにか食べたら、それが消化されてカラダに吸収されるとか、そんなもんですよ。
そんな戸惑いを感じながらも、お仕事ですからね。がんばりました。
そんな番組を作っていたときにぶつかった事実について書いてみます。
毛穴すっきりパックは悪?
”毛穴”について調べていたとき、数人の皮膚科の先生にお話を聞きに行ったことがあります。
当時はビオレの”毛穴すっきりパック”(花王)が大人気で、スポンサーの花王も番組で商品を推してほしかったのでしょう。
これこれ。(画像:http://sugartoy.net/)
そのインタビューした皮膚科の先生全員が、
毛穴パックなんてとんでもない!肌傷めるよ!
と言われたんですねー。
まあ話を聞いたのも数人ですからデータをとったとは言えませんが、それなりに雑誌にも出ている先生方に言われたので、ヒィィ!と驚いてヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ 、ソッコー毛穴パックは捨てました!ぽーい。
なにか情報を伝える者としては、このような見解も視聴者に伝えたいところ。
しかし、花王がスポンサーである以上は毛穴パックが悪いなんてことは言ってはいけない。
でも花王にもきっと優秀な商品開発をしている研究者の方がいて、その方たちは毛穴パックがスバラシイ商品だから世に出しているはずで。。(そうですよね?そう信じたい。。)
だから、毛穴すっきりパックが悪い!と一概に言うことはできないわけです。
これは報道者としてはジレンマでして、イチ個人としては、毛穴パックに否定的な意見もあるよ!とお伝えしたいのですが、スポンサーがらみで言えない。。
なので、テレビの情報は鵜呑みにしないほうがいいよ!
と大声で言っておきます。
当時、電車とかで女子高生が
「ねぇねぇ、昨日テレビで言ってたんだけど、〜っていいらしいよ!」
とか話しているのを聞くと、
やめて〜!テレビなんて信じないで!自分で調べてみて!
と叫びたかったのを覚えています。。
ヤラセの問題
よく問題になるヤラセについてです。
”あるある”の実験で「子顔になるエクササイズ」というものを一般の方(被験者と呼んでいました)にやっていただいたことがあるんですね。
もちろん番組としては、1日たったこれだけのエクササイズで子顔があなたのものに!というような流れを作りたいワケです。
時間もないし、もうゼッタイ効果を出してほしい。
効果がでなかったら、番組になりませんからね。これは死活問題です。
そこで先輩ADが被験者にこう言いました。
番組で紹介するとおり、1日10回はこういう顔の体操をしてくださいね。
でも、やれるなら20回でも30回でもやってください!
と。
えぇえ?(゚ロ゚;)エェッ!?
そこは、
番組では1日10回この顔体操をする、と放送するので、回数は守ってくださいね♪
じゃないのかな?
と思いましたが、口には出せず。。
つまり、番組を成立させることが一番大切なのであり、その正しさは二の次なのですね。
こんなことの延長で、あのねつ造事件が起こったのも頷けます。
台本ありきって基本だよ?
2007年に『発掘!あるある大事典』が打ち切りになったとき、新聞などの報道で台本ありきで番組を制作!とか大問題のように書かれてましたが、
それって普通だよ?なに言ってんの?
と思いました。
番組作るのって会社でなにか企画を通したいときにするプロセスと同じで、こういった情報があって、こういう話があるからオモシロくなります!
っていうプレゼンをするわけです。
その話がオモシロくなかったら台本の練り直しで、局の上の人からの台本オーケーがでないと撮影ができないわけです。
だから、それにそって撮影をすすめざるをえないんですねー。
もちろん、台本どおりに全然進まない!結果がでない!となったときには、台本を大幅に修正することになるわけですが、そんな時間の余裕はない。
切羽詰まってるんですよ、みんな!
てことで、みんなががんばって台本の流れに沿うようにするわけですね。
これが究極に悪い形で出たのが、”納豆ねつ造”事件だったのです。
個人的には、ねつ造をせざるをえない状況だったディレクターに同情します。
経済番組の制作で直面したガッカリな制作陣
『あるある〜』を経て別の番組のADもやりました。
”今の高齢者は若くて、趣味にお金をかけてステキ”みたいなテーマの番組でした。
(写真はイタリアのおばあちゃん)
そこで取材したのは、表参道のビューティーサロン。
そこに通っている方の年齢層に変化があり、おばあちゃんが増えているという話の裏付け取材でした。
しかし、サロンがおばあちゃんで一杯!みたいな映像が撮れず、画像のインパクトがないよね〜。みたいな話が会議で出たんです。
そのサロンには”マミーコース”という子ども連れでサービスが受けられるメニューがあったんですね。
その資料に目をとめた私が、
このマミーっていうの、フランス語で”おばあちゃん”って意味なんですよね〜。このお店がおばあちゃん向けのメニューを持ってる、とかだったら話が通りやすいのに。
と言ったら、みんなの食いつきがすごく、
それいい!それでいこう!
とナレーションに加えられることになったんですね。
え?でも、これ明らかに”お母さん”って意味のマミーですよ。お店に確認とったほうが。。
と言ったら
そんなことしたらマミーはおばあちゃんじゃないって言われるでしょ?そんなことしないで!
と返されました。
もうこれって嘘報道や〜ん!
これは今でもキョーレツに記憶に残っているエピソードです。
通常、番組の放送終了後には取材先にお礼の電話をするのですが、このサロンにはできなかったですね。。申し訳なさすぎる!('A`|||)
まとめ
というわけで、こんなことを経験すると、テレビ番組が見れなくなる、というか見る意味がわからなくなります。
(現に、ウチにはテレビというものがありません。)
ニュース番組も事実を切り取ったものですからね。真実とは限りません。
「〜という法案が通りました。」とか「〜さんが本日100歳になりました。」とか100%事実のものは別ですけどね。
ドラマとかも別で、完璧作り物だから見れますけどね♪
もしも記事の余白に、「これはあくまでも、限られた時間とスペースのなかで書いたものであって、ここで取り上げているのは、世の中に無数にある見方のほんの一つでしかありません」などと書くことができたら、どんなに気が楽になるだろうか……。そんなわけで、今日は長文!
みんなも、メディアの報道は注意してね☆
おしまい!