少林サッカー
『少林サッカー』(しょうりんサッカー、原題:少林足球、英語題:Shaolin Soccer)は、2001年公開のチャウ・シンチー(周星馳)監督作品。
脚の怪我が原因で引退した元サッカー選手が、偶然見かけた少林拳の達人シン(チャウ・シンチー)とその兄弟弟子達によるサッカーチームを結成し、共に全国制覇を目指しながら誇りを取り戻していくという内容。
日本での公開は2002年6月1日で、興行収入30億、2002年間収入第8位のヒットを記録している。キャッチコピーは、「君はまだ、究極のサッカーを知らない。」。
サッカー界のスターであったファンは、チームメイトで子分だったハンから八百長を持ちかけられ小切手を受け取るが、試合でわざとシュートを外したことによって怒った観客に襲われ、足を大怪我して引退する。
20年ほどが経ち、ハンはサッカー界の絶対的な実力者へとのし上がっていた。いまやハンの雑用係となっていたファンは、ハンの配下のサッカーチームの監督を任されるという話を反故にされてハンに怒る。ハンはファンに、脚が使えなくなったのも八百長に手を染めた欲深さが原因ではないかと嘲笑い、さらに「実は観客が騒ぎを起こしてファンを襲ったのは全部自分が仕掛けた」と真相を話す。
自責の念と悔しさで街をうろつくファンは、少林拳の達人で清掃員のシンと出会う。シンはファンに少林拳の効用を説き始める。シンは幼い頃から辛い修行に耐えて武術を修めたが、現代中国の大都市では武術を生かす仕事はないうえに武術以外のことをなにも知らないのでつぶしがきかず、清掃のバイトに身をやつしながら少林拳の普及を夢見ていた。
自身の不自由な足を指摘され、一旦はシンの無礼さに怒ったファンだったが、やがてシンがサッカーボールで不良軍団を退治する場面に出くわし、サッカーを勧める。サッカーは少林拳の宣伝に使えるかもと考えたシンはファンと共に修行の歳月をともにした5人の兄弟弟子たちを訪れる。しかし兄弟弟子たちは武術の道を諦めて仕事に追われたり職探しをしており、シンの誘いを断る。だがシンの少林拳普及の熱意とサッカー全国大会の賞金の話に刺激されて全員シンの元へ結集し、ファンの指導下でサッカーチームを組んだ。
最初の練習試合の相手は以前シンが叩き伏せた不良たちのチームで、サッカーの素人で体もなまっている少林チーム(「少林隊」)はラフプレーで倒されたうえにリンチにあってしまう。しかしその最中に兄弟弟子たちは覚醒を起こし、超常的な技を蘇らせて不良チームを倒す。仲間に入れてくれと頼む不良たちの参加で少林チームは11人の選手をそろえて全国大会に臨む。
少林チームは少林拳とサッカーの融合で大会を勝ち進み注目を集める。シンは以前から、饅頭屋で太極拳を使って饅頭を作るムイという若い女性の実力を認めており、友人としてつきあっていた。ムイはシンに友人以上の感情を抱くが、シンは鈍感でなかなか気づかないうえに、全然似合わない精いっぱいのメイクを思い切りけなしてしまう始末だった。しかしあばただらけの顔で自信の持てなかったムイはシンたちとの交流で少しずつ自信をつけ始める。
少林チームは強敵を倒してついに決勝に進むが、その相手はサッカー界の権力者ハンが監督するデビルチーム(「魔鬼隊」)であった。ハンは新型薬物のドーピングと謎の科学トレーニングで選手たちを強化しており、デビルチームは少林チームのプレイをことごとくはねかえす上にラフプレーで少林チームの選手を潰してゆくが、ハンに買収されている審判や大会関係者は全く問題にせず反則をとろうともしない。ついに7人だけとなり試合続行が不可能になった少林チームだが、男装をしたムイが登場し、試合は続行される。ゴールキーパーになったムイは敵チームのシュートの餌食になるかと思われたが、襲い掛かるボールを太極拳で受け流して完全に支配し、シンにボールをパスする。シンの放ったシュートはデビルチーム全員とゴールポストを吹きとばして決勝点となった。
少林チームが優勝した一方、ハンは禁止薬物使用で逮捕され、全国的に武術が大ブームとなった。数年後、武術の達人だらけになった街角の上方には、武術ブームの立役者であるシンとムイのカップルが表紙になった雑誌の広告が掲げられていた。
- FW・"金剛腿(鋼鉄の脚)"阿星(シン)
- 演:周星馳(チャウ・シンチー)
- 強靭な脚力を誇る、少林拳を広めることに燃える青年。清掃員のアルバイトをしているが、給与の少なさから金欠に悩んでいる。悪気があるわけではないが無神経な面がある。逃げ足が異常に速い。歌唱力、作詞・作曲のセンスは壊滅的。
- 監督・明鋒(ファン)
- シンをサッカーの世界に誘った男。かつては黄金右脚(黄金の右脚)と呼ばれた名選手だったが、八百長試合に手を出して故意にPKを外し、暴徒と化したフーリガンに脚を潰されて引退。その後はハンの雑用係として生活していた。
- 強雄(ハン)
- 演:謝賢(パトリック・ツェー)
- サッカー界の最高権力者で、ライバルチーム「魔鬼隊(デビルチーム)」の監督。ファンの元チームメイトで、実は彼を陥れた張本人。自分の選手達にドーピングを行い、審判を買収して少林チームの選手を次々と病院送りにしたが、シンとムイの必殺シュートによって敗北。その後、ドーピングが明るみに出て逮捕され、選手達ともども全員永久追放となった。
- 阿梅(ムイ)
- 演:趙薇(ヴィッキー・チャオ)
- 饅頭屋で働く女性。太極拳の達人で、生地を自由自在に操る手捌きを持つ。顔中に吹き出物がある事から、女性としての自信が持てず、前髪を伸ばして顔を隠すようにしている。シンとの出会いから、少しずつ自分に自信が持てるようになり、彼に惹かれていく。
- シンの兄弟弟子たち
- MF・"無敵鐵頭功(鉄の頭)"
- 演:黄一飛(ウォン・ヤッフェイ)
- 何でも砕く頭を使って主にヘディングをする。ナイトクラブで働いていた。
- DF・"旋風地堂腿(旋風脚)"
- 両足を地上スレスレで高速で回転させてボールを操る。食堂で皿洗いをしていた。頭髪が薄い。
- DF・"金鐘罩鐵布衫(鎧の肌)"
- 演:田啓文(ティン・カイマン)
- 防御力と吸引力に優れた肌を使う。得意技は腹筋でボールを挟むこと。証券会社のサラリーマンとして忙しい日々を送っていたが、シンに説得されてしまう。
- GK・"鬼影擒拿手(魔の手)"
- 演:陳国坤(チャン・クォックァン)
- 擒拿というつかみ技で目にも見えぬ速さでボールを受け止め、跳ね返すゴールキーパー。失業中だった。試合中にブルース・リーになりきっており、ブルース・リーと同じ色のトラックスーツを着る。
- FW・"軽功水上漂(軽功・空渡り)"
- 演:林子聰(ラム・ジーチョン)
- 軽功により身体を急激に軽くし、空へ跳ぶことができる。スーパーで働いていた。少林寺にいた頃は痩せていたが、ホルモンの異常で過食症になり、現在では体重100キロを超えている肥満体。好物は生卵。
アメリカの映画誌『プレミア』とのインタビューで、チャウ・シンチーは次のように語っている。
やりすぎなCGと激しいサッカーの動きは、日本の昔のアニメ『キャプテン翼』からインスピレーションを得ています。『キャプテン翼』は10年以上にわたり香港で非常に人気があり、子供全員のみならず大人も夢中になったものです。ヨーロッパにも熱心なファンがいます。ただ、以前は『キャプテン翼』のようなプレイはインクと紙でしかできないものだったけど、CGの進歩で本当の人間もできるようになったのです…(それをカンフーと組み合わせるのは何年も前から頭の中にあったけど、CGの進歩を待つしかありませんでした)