今回のテーマは「肌年齢」の謎について。
肌はその人の年齢を正直に物語っていることが多い。たとえば、若いうちは肌に張りやツヤがあり、いかにも元気そうに見えるが、年をとると自然にたるみやシワが目立ってくる。
これを「肌年齢」という。
では、加齢に伴い、肌の見え方は具体的にどう変わってくるのか? それは何が原因なのか? いつまでも肌が若く見える方法はあるのか? そんな様々な肌の疑問について調べてみた。
まず図1を見てほしい。
これは花王が作成した各年齢層の「平均顔」である。
東京大学名誉教授で日本顔学会会長の原島博さんが開発した技術を使い、年齢層ごとに約50人の女性の画像をコンピューター処理して平均的な顔を作成した。ざっと眺めると、20代から年をとるにつれ、段階的に目尻が下がったり、鼻の両脇から口の両端に伸びる「ほうれい線」が現れたりしている様子が読み取れる。
※平均顔は年齢層ごとに約50人の女性の画像を平均処理して作成。グラフは肌の色を分光測色機などで測定して算出。対象は日本人女性256人。花王調べ
■加齢で肌の色合い変化
だが、ここで特に注目してほしいのが「肌の色合い」だ。
「加齢に伴い、肌の色はより暗くなり、黄色みを帯びているのが分かる」。花王総合美容技術研究所の小島伸俊さんはこう指摘する。確かに、20代の肌はやや桜色がかった若々しい色をしているが、年齢を重ねるにつれ、徐々にくすみが強まり、やや茶色に近い黄色みがかった色へと変化している。
花王が測定した指数によると、50代の「肌の明るさ」は20代後半の水準の半分以下に低下し、50代の「肌の黄色み」は20代後半の水準の2倍近くに上昇している(調査対象は18~59歳の日本人女性256人)。つまり、「肌の色が黒ずんだり、黄ばんだりしてきた」――というのが「肌年齢」の重要な尺度になっているわけだ。
なぜ、このように年齢の違いで肌の見え方が違うのだろうか?
「実は、色素メラニンの成分量やムラの変化が大きく影響している」と小島さんは説明する。
図2・図3は肌のメラニン成分量やメラニンのムラと、加齢による変化をそれぞれ示したグラフである。
図2ではメラニン成分量が30~40代で急増。図3ではメラニンのムラが加齢とともに目立つようになり、30~40代でその個人差も一気に拡大している様子がうかがえる。「個人差はあるが、30~40代がお肌の曲がり角といってよい」と小島さんは語る。
■老けた印象の原因はメラニン
メラニンとは黒、褐色の色素のことで、過剰な光線を吸収し、肌を保護している。ただ、体に紫外線を過剰に浴び続けると、肌にたくさんのメラニンが生成され、色素沈着を起こしてしまう。これがシミ、ソバカスやメラニンのムラの原因となり、肌の色のくすみや黄ばみがより強くなるというわけ。以上が肌の色に関する加齢のメカニズムである。
実際、人のほお骨、額、鼻の頭など太陽光線を日ごろ浴びやすい部分のメラニンのムラを調べてみると、加齢に伴い、色素沈着が徐々に進み、ムラの部分がさらに周辺に広がっている状況が確認できる。こうしたメラニンの増加やムラの広がりが、白くてやや桜色の若々しい肌の色合いを失わせ、老けた印象を相手に与えているのだ。
メラニンだけではない。細かなシワも肌から張りやツヤを奪っている。
目の下のシワの程度の変化を示したグラフ(図4)によると、やはり30~40代でシワが急速に目立つようになっている。
細かいシワは、肌にいったん刻まれると、年をとるにつれ、さらに深まる傾向がある。その傾向を左右するのが「肌の弾力性」だとされる。
■加齢対策、重要な肌の保湿
「肌の水分が失われると、弾力性がなくなり、シワが出やすくなったり、一度出たシワがより深くなったりする。逆に、肌の水分を保ち、弾力性を保持していれば、シワができにくいし、もしシワができても深くなりにくい」と小島さん。だから、加齢対策には肌の保湿が重要なのだ。
図5はほおの部分の肌の張りのなさの変化を示したグラフである。真皮の弾力性は30~40代を境に急速に低下しているのが分かる。弾力性が失われると、その分、肌のシワは増える。つまり、図4と図5はちょうど反比例関係になっているわけだ。
花王が2011年1月に20歳から59歳の日本人女性2802人に聞き取り調査したところ、悩みとして「肌の色のくすみ」を挙げた回答率が、20代13.5%、30代28.9%、40代39.4%、50代38.5%、「肌に張りがない」を挙げた回答率が同様に、20代11.1%、30代25.4%、40代38.5%、50代41.8%で、ともに30~40代で急速に増えることが分かった。
これまで触れてきた傾向が、意識調査でも裏付けられた格好だ。
では、どうしたら肌をいつまでも若々しく保てるのだろうか?
「保湿と紫外線対策が二大要素」と小島さんは強調する。
肌は、表面に近い厚さ0.2ミリほどの「表皮」と、その下にある厚さ2ミリほどの「真皮」に分かれる。潤いのある美しい素肌とは、この「表皮」の最も外側の「角質層」に約30%の水分が含まれている状態を指す。その際、(1)角質細胞間をつなぎ合わせ、水分を保つセラミド(2)角質細胞内で水分を抱え込むケラチン(3)肌表面からの水分の蒸散を防ぐ皮脂膜――の3つの働きが重要だとされる。
こうした保湿機能が十分に発揮されるように、クリーム、ローションなどでこまめに肌をケアすることが大切になるそうだ。
■重要な紫外線対策・洗顔
紫外線対策も欠かせない。
シミやソバカスは一度できてしまうとなかなか元に戻りにくい。だから、色素沈着をできるだけ起こさないように注意することが必要だ。さらに1年では4~7月、1日では正午前後が紫外線量のピークになるので、こうした季節、時間帯には日焼け止めや紫外線防止剤を配合した基礎化粧品などで肌を保護した方がよいという。
紫外線には、肌深部の真皮まで作用する「UV―A」と、主に肌表面に作用する「UV―B」とがあるが、特に「UV―A」は雲や霧、窓ガラスなども透過するので油断できない。たとえ曇りの日でも、あるいは窓ガラス越しの室内にいても、対策が欠かせない。
このほかに重要なのが洗顔。
汚れや過剰な皮質を取り除き、皮膚を清潔な状態に保つことも老化予防には不可欠。洗浄料はよく泡立て、泡をクッションにして包み込むように洗うこと。ゴシゴシと力を入れて洗うと肌を傷つけてしまうからだ。洗顔後は、クリームやローションで肌を保湿するのも忘れてはならないという。
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