ダイエット……それは修羅の道

「食」という営みが生物の『生存本能』に深く根ざしているがゆえに、多くの人々がウエスト回りの贅肉に頭を、そして腹を抱え、数々のダイエット手法が世にはばかる昨今。

でも、ちょっと待った!
その方法で本当に痩せられる?

思い込みや勘違いで「無駄な努力」をしてはなりません。
どうせやるなら達成感のある「有意義な努力」にしましょう。

◆嘘1 汗をかくと痩せる

汗は体温の調節を可能とする。感熱ニューロンの位置する、視床下部の視索前野および前部にある中枢によって発汗は制御されている。

もしも、この機能が狂っていた場合、激しい運動をすると、発生した熱を冷ますことが出来ず、身体に熱が溜まり大変なことになります。
つまり……

嘘です。

そんな簡単に人の身体が燃えるなら、火葬場は年中閑古鳥が鳴いて食いっぱぐれてしまうでしょう。

ただそれでも、身体の温度が上がり過ぎると、様々な部分に不具合が出てきます。

例えば、生肉や生卵。熱を通してステーキやゆで卵にしてしまうと、もう元の「生」には戻せませんよね。
人間の身体も同じことです。

それを防ぐために、汗の「気化熱」で身体を冷やします。

流石に、タンパク質が変性するまで体温が上がることは稀でしょうが……。

ならば汗とダイエットの関係とは……

結論から言うと「あんまり」ないです。

あくまでも「運動→脂肪燃焼→『熱が発生』→汗が出る」だけです。
間違っても「運動→『熱が発生』→汗が出る→脂肪燃焼」ではない点に注意しましょう。

どうにも脂肪を「燃やす」というイメージから、体温が上がれば上がるほど、汗をかけばかくほど痩せるという勘違いが過去から現在にかけて蔓延しているようです。

もしそれで痩せられるなら、私は一日中コタツでゴロゴロしていたでしょう。

デトックス作用を始めとした健康に関する効果については、特に否定も肯定もしませんが、科学的根拠は今(2014/11/10)のところ明らかになっていないとだけ言っておきます。

でも、サウナに入ると体重が落ちるよ。なんで?

「体重が落ちる」のは事実ですが、「脂肪燃焼」したわけではないので、プロポーションは、一切変化しません。

実験をしてみましょう。
まず体重を計測します。
次に水1リットルを飲んで、もう一度計測します。
外見的な変化はないのに、体重が1kg増えます。
暫くしてトイレに行った後、もう一度計測すると、今度は減っているはずです。

つまり、スポンジなのです。
水を吸えば重くなり、絞れば軽くなるんですね。

◆嘘2 下剤で痩せる

上記の実験をそのまま食べ物に置き換えれば、もうお分かりだと思います。

「未消化物が排出されてカロリーオフに出来る」と思っておられる方は、ちょっと待った!
そんな「未消化物を強制排出させる」ような凄い効力の劇薬じみた下剤が市販されたら大問題です。

成分と量などによっては不可能でないかもしれませんが、それで体調を崩せば、ますますダイエット成功から遠のくだけなので、絶対におすすめしません。

薬の成分や服用者の体質によりまちまちですが、一般的に市販されているものですと、下剤の効果は摂取してから5~6時間後にあらわれます。

その頃には、食べた物の大部分が消化されていますし、仮に未消化のものが残っていたとしても、ほとんどが食物繊維です。

下剤は、便秘解消など、あくまでも正しい用途でお使い下さい。

飲む量を増すと、腸管に対する刺激も強くなります。その結果、とてつもないおなかの痛さになりますが、蠕動運動が増し、小腸、十二指腸の食物もどんどん先に送られ、腹の中の物は全て出切ります。

かなりの苦しみがありますし、それによって体調を崩しても当方は一切責任を負いません。
なお、実行したら1日は通常の生活は出来ません。
全て出切っても、おなかの痛みは続きます。

OKWaveのベストアンサーから引用。
形を残した固形に近い物質が腸内を動く様子など、想像するだけで脂汗が出そうです。

むくみには効かないの?

一時的に解消されるかもしれません。

しかし、基本的に無意味です。

水分が大量に出て行ってやつれただけなので、水を飲めば元通り。
それどころか、下剤でビタミンやミネラルが流れ出てしまうと、ますます水分を貯め込みやすい体質になり逆効果となることでしょう。

風邪をひいて熱が出ても、冷やすために水風呂に入ったりする人はいませんよね?
苦しみの原因であるウィルスに対抗すべく、身体を労り免疫力を高めるのが普通です。

それと同じで、むくみの根本原因(多くの場合は生活習慣の乱れ、場合によっては病気や体質)を改善することで対処しなくてはならないのです。

◆嘘3 無酸素運動は痩せない

いつ頃からかダイエットと言えば有酸素運動という風潮が主流となり、今でも広く信じられています。
筋トレのような無酸素運動は、血中のグリコーゲンを消費するだけで脂肪を燃やせないと言われてきましたし、最近まで私も信じていました。

しかし、実際は、カロリー収支がマイナスにさえなっていれば、布団でゴロゴロしていても脂肪は燃えます。

しかも、有酸素運動と無酸素運動の比較実験において「アフターバーン効果」或いは「EPOC」と呼ばれる状態が全く考慮されておらず、運動中の消費カロリーのみが注目されてしまったため、こういった誤解が広まってしまったようです。

運動後の回復過程で体は安静時の状態に戻ろうとするため、通常よりも多く酸素を摂取し消費するのです。この酸素の過剰消費量がEPOC効果の目安となります。

運動が終わった瞬間、汗がピタッと止まり、心拍数があっという間に平常値まで下がるような人間はいませんよね。
この安静時に戻るまでの間は、カロリー消費量が普段の状態よりも遥かに跳ね上がっているのです。

有酸素運動の“6倍”の脂肪燃焼効果と言われています。

一説によると20分のHIITで、有酸素運動40分の6倍の効果があるのだとか。
忙しい人には、うってつけ。

しかし、有酸素運動が駄目なわけではない

例として挙げたエクササイズを試しにやってみた方ならわかると思いますが、滅茶苦茶ハードで辛いです。
他の無酸素運動にしても、痩身目的で行う場合、かなりの負担となること請け合いでしょう。

無理に敢行して体調を崩したら本末転倒です。

結局大事なのは、有酸素or無酸素どちらが優れているかではなく、どちらが自分の性格や体質、そして目的に合うかなのです。

◆嘘4 筋トレして筋肉が増えれば、基礎代謝が上がって痩せる

これについて、日本語表現的に完全に嘘とは言い難いです。
字面だけみれば本当のことですが、ダイエット効果的には嘘っぱちです。

また、嘘3と矛盾したことを主張しているように感じられる方がおられるやもしれませんが、根本的に違います。
あくまで「無酸素運動後の代謝」がEPOCにより増えるだけで、「筋肉増強」によって痩せやすくなるわけではありません。

実際に基礎代謝を計算してみましょう

基礎代謝 kcal = 370+(21.6 x 徐脂肪体重 kg)
徐脂肪体重 = 体重kg × ( 1-体脂肪率% )

体重と体脂肪率がわかれば、あとは簡単な四則演算でOK

ただし、この計算でわかるのは、あくまでも一日中なにもせずに、ただじっと生きてるだけで消費されるカロリーです。
一日の消費カロリーが知りたい場合、適当な数字を掛け算しないといけないのですが、今回は比較が目的なのでやりません。

仮に一ヶ月で筋肉が1kg増えたとします。
本来なら「筋肉だけ」を1kg増やすのは、とてつもなく大変ですが、運良く脂肪が付かず1kg増えたとします。

除脂肪体重に+1kgしてみましょう。
式を見たら一目瞭然ですが、21.6kcalだけ基礎代謝が増えたと思います。

たった21.6kcalです。
ソフトキャンディ一個を頬張れば完全に相殺されます。
10kgも増量すれば、216kcal増となり、それなりに効果もあるでしょうが、そもそも、筋肉を10kgも増やすトレーニングを続けられるガッツがあるなら、そのやる気をダイエットに向けた方が建設的に思います。