流れとは、栄養の流れ。
栄養の流れを担うのは、私たちの家族ともいうべき、ミトコンドリア、友ダニ、常在菌。
しかし私たち自身の社会に目を向けると、日々の栄養を適切に受け取れているでしょうか?
受け取れていなければ、自分の家族の健康も危うい。
美しい肌を守るため、頼もしい家族がいま、集結する。3回シリーズの第一弾。
C6家族のコラム
第一回「たんぱく質のアパートメントに住む家族」
私たちは古来より、外から食料を得るために働き、それを家族に届け、生活を営んできました。
肌の上の栄養の流れも同じかもしれない、と思いを巡らし始めたとき、そこに住んでいるはずの常在菌との間に、妙な遠い距離感を感じました。身近なはずの常在菌ですが、顔が見えない、生活が見えない。
それと同時に、実際の社会で自分自身に届くはずの栄養の流れにも、同じような妙な遠い距離感を感じました。
これはもしかすると、共通する距離感ではないのか。社会の栄養の流れと、肌の上の栄養の流れ。本当にうまくいっているのか?
その強い懸念から書き殴ったのが、下の絵になります。
私たちは食材を購入するとき、そこにあふれるほどの栄養があることを期待する。
しかし口にしたとき、新鮮さを感じない時がある。食材の見た目はあまり変わらないのに、舌に伝わってくるのは、どこか空虚な味気無さ。
その理由は難しい話ではないでしょう。おそらく、テーブルに届くまでの間に、雑菌、洗浄水、酸化、紫外線によって栄養が失われている。
これと同じことが、スキンケアでも起きてはいないか。
FILTOMは、肌に新鮮な栄養成分を届けようと思った時から始まりました。
その活動の中で、自分自身の食卓に上る栄養成分についても関心が高まった。
おいしく感じるときもあれば、そうでないときもある。
そうでないときは、たいてい、食材が新鮮でないとき。新鮮に見えても、おそらく栄養が不足しているとき。
栄養が新鮮でない?不足してる?その原因について考え込んだとき、はじめて、皮膚上の常在菌と距離感が近くなった気がした。
常在菌とこの問題点を共有できたと感じたとき、彼らと一瞬目が合ったように感じた。
彼らは同じ家に住む家族。私は生活を支える大黒柱。向き合う必要がありそうです。
【たんぱく質でできたアパートメントに暮らす】
タンパク質でできたアパートメントという有名な言葉。より詳しく言えばこの体は、コラーゲンやエラスチンといった繊維状たんぱく質が構造材の集合住宅で、住民は、体細胞、ミトコンドリア、ダニ(ここでは親しみを込めて友ダニ)、そして常在菌です。
体細胞は私たち自身。大黒柱。
体細胞の中で生活しているミトコンドリアも、私たち自身といえるかもしれない。一体化したミトコンドリアは、大黒柱である私たちに、外から栄養を届けるだけの機動力を与えてくれた。酸素による好気呼吸という新型エンジンによって、エネルギー効率を19倍と飛躍的に上げてくれた。
友ダニ(ニキビダニ)はいつの間にかいる居候のような友達家族。角質細胞や過剰な皮脂を食餌にして生活している。毛穴がふさがるのを防いでくれてはいるものの、私たち自身への大きな利益も害もないため、片利共生と呼ばれていますが、この片利共生(Commensal)という言葉もおもしろく、ラテン語の com mensa(「テーブルを共有する」の意)に由来しています。友ダニは、まさしくリビングテーブルを同じくする家族です。
そして常在菌とは相利共生の関係にあります。切っても切り離せない家族です。主に、ユーバクテリウム、プロピオン酸菌、表皮ブドウ球菌、レンサ球菌、そしてコリネバクテリウムなど(詳しくはこちら(文献1))。彼らの数は1平方センチメートルあたり、なんと数十万個。肌というテーブルの上にびっしりバイオフィルムを張り、それはまるで透明の鎧。肌の乾燥だけでなく、敵対する菌の侵入を防いでいます。
私たち体細胞は、家の基本構造を作っていますが、メンテナンスはもっぱら友ダニと常在菌たちがしてくれています。
彼らが健全であれば、メンテナンスが行き届き、肌が健全に保たれる。
これが肌をもっとも美しく保つための基礎であることは間違いありません。
【家族は変化する】
この頼りがいのある愛すべき家族たちは世代交代します。ここも実際の家族と同じです。
まず生まれたばかりの赤ちゃんはほぼ無菌状態。鎧のない状態です。
赤ちゃんは母親とのスキンシップによって、この見えない鎧を獲得し、常在菌シールドは全身に広がっていきます。
そして常在菌といった家族たちは、年齢とともに変化していきます。
下のグラフは腸内細菌の変遷ですが、皮膚上でも同じ変化が起こっていると想像できます(文献2より抜粋)。
また、年齢だけでなく、これまでC6コラムの主要なテーマにもなっていた「環境変化」でも家族は変化してしまいます。時には、常在菌シールドを失うこともあります。
乾燥、ストレス、抗生物質。こうした苛烈な環境変化は、常在菌にダメージを与え、それが肌トラブルとなる。
だからストレスは、スキンシップによって癒される。
ちょうど赤ちゃんが母親から健全な常在菌を得るように、スキンシップは肌の常在菌シールドを修復し、それが安心感となって伝わっていきます。
スキンシップは抽象的な安心感ではなく、物理的で具体的な安心感と言えます。
私たちは心身ともに、家族に頼って生活しています。
【健全な家族関係を築くには】
しかし頼るだけでは家族関係は成立しない。
実際の家族同様、お互いがお互いを支えあい、家事全般協力し、時には親しき中にも礼儀を守らなければならない。
そんな健全な家族関係を築くには、まだまだお互いを知る必要がありそうです。
まだ距離感は十分近づけていない。
知るには語り合わなければならない。語るには、集まらなければならない。
私たちの家族はいったいどんなことを私たちに期待しているのか。
どんな生活習慣を求めているのか。
どんな肌でいてほしいのか。
次回、人生初の、自分家族会議招集です。
尾池(工学博士)
【嫌気性菌】
ユーバクテリウム(Eubacterium)は、Eubacteriaceae科のグラム陽性菌またはグラム陰性菌の属。堅い細胞壁を特徴し、運動性または非運動性のいずれかでもあり得る。運動性の場合には、鞭毛を有する。
ユーバクテリウム(Eubacterium)は、Eubacteriaceae科のグラム陽性菌またはグラム陰性菌の属。堅い細胞壁を特徴し、運動性または非運動性のいずれかでもあり得る。運動性の場合には、鞭毛を有する。
プロピオン酸菌(Propionibacterium)は、無芽胞で耐気または嫌気性の菌。 一般に、ブドウ糖から乳酸、プロピオン酸、および酢酸を作り出す。 多くは皮膚に常在し、ニキビや体臭の原因菌として有名。
ペプトコッカス (Peptococcus)は、病原性を有する主要なグラム陽性嫌気性球菌。
【好気性菌】
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus coag.-)など、多くのブドウ球菌種はコアグラーゼ陰性で、弱毒菌であり、皮膚のひだなどの深部に常在する。一方、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus coag.+)はコアグラーゼ陽性のブドウ球菌であり、ブドウ球菌属の中で最も病原性が高くヒトの化膿性疾患やブドウ球菌性食中毒を起こす。
レンサ球菌(Streptococcus)は陽性球菌である真正細菌で、もっぱら乳酸発酵によってエネルギーを得る。一般に栄養要求性が厳しく、チョコレート寒天培地などが培養に用いられる。乳酸菌にも分類されヨーグルトの製造に利用される。
コリネバクテリウム属(コリネバクテリウムぞく、Corynebacterium)はグラム陽性桿菌で、放線菌に分類される真正細菌の一属。グルタミン酸菌、ジフテリア菌が含まれ、このうちジフテリア菌は病原性を有する。
参考文献:
1.光岡知足「常在菌の働き、役割」(日サ会誌, 2002;22:3-12)
2.光岡知足「プレバイオティクスと腸内フローラ」(腸内細菌学雑誌, 2002;16:1-10)
1.光岡知足「常在菌の働き、役割」(日サ会誌, 2002;22:3-12)
2.光岡知足「プレバイオティクスと腸内フローラ」(腸内細菌学雑誌, 2002;16:1-10)