ロタウイルス感染症とは急性胃腸炎を引き起こす感染症で、1月2~4月にかけて最も多く発生します。生後6ヶ月~2歳頃の乳幼児をはじめ子供に多く見られますが、成人も発症して、下痢や嘔吐の症状が激しいことが多いことからも、感染しないように注意が必要です。今回は、あまり聞きなれないロタウイルスの症状や対策などについてご紹介します。
ロタウイルスってどんなウイルス?
ロタウイルスは1月から感染者数が増えてきて、ノロウイルスの発症のピークを過ぎた2~3月頃に猛威をふるいます。ロタウイルスはノロウイルスの倍ぐらいの大きさで、直径約100ナノメートル(1万分の1㎜)。大きさの面でいえば、ノロウイルスに比べたらまだ手指などに入り込みにくいかもしれません。
しかし、ロタウイルス感染者の下痢便1グラムの中には1000億から1兆個ものウイルスが含まれていると言われていて、便に含まれるウイルスの量が多いことで知られているノロウイルスよりもさらに上回ることから、ロタウイルスの感染力は.非常に強いといえます。「ロタ」とは車輪という意味のラテン語で、電子顕微鏡で見ると車輪のような形をしていることから名づけられています。
ロタウイルスは激しい嘔吐や下痢、白い便が特徴
ロタウイルスはノロウイルスと似ていて、発熱、嘔吐、下痢などの症状が見られますが、大きく異なるのは感染しやすい年齢です。ロタウイルスは特に生後6ヶ月~2歳の乳幼児。5歳までにはほぼ100%の小児が感染するといわれています。ロタウイルスは子供しか発症しないわけではありません。ロタウイルスは一度かかっても完全な免疫はできないため、繰り返しかかることもあり、大人になっても免疫力が落ちている時にロタウイルスに感染してしまう恐れがあるのです。
ロタウイルスの潜伏期間は1~3日で、ノロウイルスと比べて激しい嘔吐や下痢を3~8日間くらい繰り返します。38℃以上の発熱が起こり、これはノロウイルスよりも高熱です。
また、便の色が白色になることが多いのが特徴で、大量の水っぽい下痢が出ることから脱水症状に陥りやすく、注意が必要です。
通常であれば発症してから2~7日程度で症状は治まりますが、重症化するとけいれんや脳症を合併することがあり、ロタウイルスによって毎年数名の死亡例も報告されているというので、注意が必要です。
ロタウイルスに感染した時の対処法
ロタウイルスに効果のある治療薬はなく、嘔吐や下痢によってウイルスを体外へ排出させる必要があります。下痢がひどいからと言って、下痢止めを服用すると、ウイルスが腸管内に溜まり、回復を遅らせることになるので注意してください。
嘔吐や下痢、発熱が続くと脱水症状を起こす恐れがあるため、こまめに水分補給をしましょう。特に抵抗力が弱い小さな子どもの場合、体全体における水分の割合が高く、脱水になりやすい傾向があり、重症になると入院しなければならないことも。水分を摂ってもすぐに吐いてしまう、尿が出ていないなどの場合は、早めに病院を受診するようにしましょう。
ロタウイルスを予防するには
ロタウイルスは、主に経口感染と接触感染によって感染します。ご家庭では、汚染された水や食べ物を介して、あるいはドアノブや手すりなど汚染された物を触った手などから口に入り感染します。ロタウイルスは突発的に症状が現れるので、気づかぬうちに手や家具、お風呂場などさまざまなところにウイルスが付着していて、家庭内はもちろん、外出先でも感染を広げてしまう可能性があるので、注意が必要です。ロタウイルスの感染を予防するにはどうすれば良いのでしょうか。
1.手洗いはしっかり行う
ロタウイルスは、わずか10個程度のウイルスが体内に入っただけでも感染してしまいます。したがって感染を防ぐためには、流水と石けんによる手洗いをこまめにしっかりと行うことが基本です。
帰宅した時、食事の前、トイレの後はもちろん、患者の下痢や嘔吐物を処理した後は、石けんでしっかりと手を洗うようにしましょう。潜伏期間中から、そして発症してから10日後までの間、便の中からロタウイルスが検出されることがあります。感染した家族が治ってきたからといってもまだ二次感染の可能性はあるので、食事前やトイレ後の石けんでの手洗いは必ず行ってください。水道や石けんがない場合は、消毒用アルコールを手にもみこむのも一手ですが、ロタウイルスに対してアルコールはあまり効果がないと言われていますので、石けんがなくてもできるだけ流水では洗い流すようにしましょう。
また、家庭内の場合はドアノブや手すり、便座、水洗レバー、手洗い場や台所の蛇口、冷蔵庫や電子レンジの取っ手など、感染した人が触ったものにもロタウイルスがついている場合があります。特に子供が感染した場合は、おもちゃなど子供が使ったものにロタウイルスが残っている可能性が。触ったら必ず石けんと流水で手を洗うのと同時に、塩素系漂白剤を使ってこれらの共用の箇所をふき取るようにしましょう。
2.入浴や洗濯は別々に、入浴後のバスタブも消毒
ロタウイルスは嘔吐や下痢によって体外へ排出されますが、便をぬぐってもウイルスが体に付着した状態で入浴することで、同じお風呂場を共有した他の人へとうつることがあります。二次感染を防ぐためにも、感染した人の入浴は最後にし、入浴後のバスタブや洗面器、風呂場のイスなど、塩素系漂白剤を使って消毒を行うようにしましょう。
嘔吐物や便が付着した衣類も同様です。マスクや手袋をした状態で触れて、塩素系漂白剤を入れたお湯で20分以上つけておいて、よく絞ってから他の洗濯物とは別々にして洗濯をすると良いでしょう。また、お風呂場や洗面所でのタオルを共用することでもウイルスに感染するので、感染した人と他の人とは全てを分けるようにして、食器や食べ物などをシェアすることも避けましょう。
3.ロタウイルスのワクチンを受ける
ロタウイルスの重症化を防ぐワクチンがあります。任意接種で、生後6ヶ月までに2~3回接種する必要があります。費用は1回1万2000~1万5000円ほど。このワクチンによって、ロタウイルス胃腸炎の重症化を9割程度減らすことができると言われています。2種類ありますが、いずれも子ども向けになります。
4.腸内環境を整えて免疫力をつける
ロタウイルスは二次感染の恐れもあり、完全に予防するのは難しいかもしれません。それでも、ウイルスを寄せ付けない丈夫な体づくりを意識することで、少しでも根本からロタウイルスを予防させるのは可能です。そのためには、免疫力を高めることがいちばんです。
免疫力と呼ばれるパワーを司る免疫細胞の7割は、腸内で作られているといいます。普段から便秘や下痢の症状にお悩みの人は腸内環境が悪く、免疫力も低下しがちです。そこで、体の免疫力を上げるためには、日ごろから乳酸菌など腸内環境を整える作用のある食事を摂ることが、便秘や下痢の解消に通じるだけでなく、ロタウイルス感染予防への近道になるのです。乳酸菌にもさまざまな種類がありますが、ウイルスをはねつける免疫力をアップさせる役割を持つものとして、ラブレ菌やガセリ菌、乳酸菌抽出物LFKなどがあります。
いかがでしたか。ロタウイルスは幼い子供が発症することの多いですが、免疫力が弱っている大人でも感染することがあるので、身近に感染者がいる場合には油断できません。日ごろから手洗いや消毒は欠かさずに行うとともに、免疫力をつけるために乳酸菌などを摂って腸内環境を整えるように心がけていきましょう。