ニキビ

ニキビ(尋常性ざ瘡)

 ニキビは、ホルモンなどの影響により、毛穴で炎症が起こる病気です。治療が遅くなり、瘢痕(傷あと)ができてしまうと治療が難しくなるため、早めに皮膚科へ受診した方が良いでしょう。

症状

 まず、面皰(めんぽう)やコメドと呼ばれる毛穴の詰まりができます。これらは俗に白ニキビや黒ニキビとも呼ばれ、放っておくと赤いプツプツとしたニキビや、膿をもったニキビを生じます。さらにひどくなると皮膚のふくろや、しこりができることもあります。炎症が強く起こると傷あとが残ってしまうこともあります。

原因

  • 思春期ニキビ
     小学校の高学年からでき始め、思春期に症状がピークとなります。成長期に性ホルモンが活発になると、皮脂の分泌が多くなります。毛穴に皮脂が詰まると、皮脂を好むアクネ菌が増殖し、炎症を起こしてしまいます。
  • 大人ニキビ
     思春期に比べ、角質増殖による毛穴の詰まりが原因となることが多いです。女性に多く見られ、ストレス・睡眠不足・月経・乾燥などが悪化要因になります。間違ったスキンケアにより悪化している場合もあります。

検査

 診察だけで診断がつくことがほとんどですので、基本的に検査は必要ありません。まれに、ほかの病気との区別が難しい場合には、皮膚生検を行うことがあります。

治療

  • 抗菌薬
     炎症を起こしている赤いニキビに対しては、アクネ菌をターゲットにした抗菌薬が有効です。軽症の患者さまには外用薬(ゼビアックスローション、ダラシンTゲル、アクアチムクリームなど)を、重症の患者さまや治りにくい患者さまには内服薬(ビブラマイシン、ルリッド、ファロムなど)を処方いたします。
     抗菌薬は長期間続けると耐性菌が出現し、効果が出にくくなってしまいます。長くても3ヵ月ほどにとどめ、その後は維持療法としてディフェリンゲルやベピオゲルの外用を続けることが大切です。
  • ディフェリンゲル(アダパレン) ディフェリンゲルは皮膚の角化細胞に働き、角質層を薄くする作用がある外用薬です。白ニキビ・黒ニキビに有効で、継続して使うとニキビができにくい肌になります。効果が出るまで2~3ヵ月かかるため、赤いニキビがある場合には、抗菌薬を併用するのが良いでしょう。症状が落ち着いてからも、新しいニキビを予防するためには1年間ほど外用を続けるのが良い、と言われています。
     角質層が薄くなるため、塗り始めて1~2週間ほどは少し赤みや乾燥などの副作用が見られることが多いですが、そのまま塗り続けていると1ヵ月ほどで落ち着きます。洗顔後に直接ディフェリンゲルを塗らず、化粧水や乳液を塗ってからディフェリンゲルを塗るようにすると、副作用が少なくなります。反応には個人差があるため、赤みや乾燥が強く起きた場合には、塗る回数を週2~3回ほどに減らしていただくことがあります。
  • ベピオゲル(過酸化ベンゾイル) 2015年4月に発売された、アクネ菌への抗菌作用と、角質層が剥がれやすくなる作用を持つ外用薬です。耐性菌を生じないため長期間使用しても効果が落ちないことが利点で、赤いニキビだけでなく白ニキビ・黒ニキビにも有効です。
     2割ほどの方に赤みや乾燥などの副作用が見られることがあり、そのような場合には塗る回数を減らしていただきます。
     ベピオゲルには漂白作用があり、髪や衣服に付いてしまうと色落ちしてしまうことがあるため、注意が必要です。
  • デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン) 2015年7月に発売された、過酸化ベンゾイルにクリンダマイシンという抗菌薬を配合した外用薬です。過酸化ベンゾイル含有量がベピオゲルでは2.5%であるのに対し、デュアック配合ゲルは3.0%となっているため、ベピオゲルよりも高い効果を得られる可能性があります。
     しかしその一方で抗菌薬を配合しているため、長期間続けると耐性菌が出現するリスクもあります。使用は長くても3ヵ月ほどにとどめ、その後はベピオゲルに変更し維持療法として続けていただくのがおすすめです。
  • エピデュオゲル(アダパレン+過酸化ベンゾイル) 2016年11月に発売された、アダパレンに過酸化ベンゾイルを配合した外用薬です。角質層を薄くするアダパレンと、角質層が剥がれやすくなる過酸化ベンゾイルが同時に作用するため白ニキビ・黒ニキビにとても効果が高く、赤ニキビにも有効です。
     しかしその一方で、赤みや乾燥などの副作用がアダパレン単独や過酸化ベンゾイル単独に比べると強く出る可能性があります。アダパレンもしくは過酸化ベンゾイルのみでは副作用が見られず、さらに高い効果を求める方におすすめです。
  • イオウ・カンフルローション
     伝統的にニキビ治療に使われている外用薬です。アクネ菌を殺菌する作用と、角質を軟らかくしてニキビの芯や膿の排出を促す作用、皮膚を乾燥させる作用があります。皮脂が多い方に有効ですが、乾燥しすぎる場合があるため注意が必要です。
  • 漢方薬
     ほかの治療では効果が不十分な患者さまには、漢方薬が有効な場合があります。荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)などを処方いたします。

  •  ピーリングは余分な角質や皮脂を取り除き、皮膚の生まれ変わりを促す治療法です。現在は自宅で行うことができるピーリング剤も市販されていますが、効果が弱いのが難点です。皮膚科で行われるケミカルピーリングは、より効果が高いぶん、副作用を生じる可能性があるため、医療機関でしか行えないことになっています。
     ピーリング後は一時的に皮膚のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなる傾向があります。スキンケアや紫外線対策をしっかり行うことが大切です。
  • 面皰圧出
     針もしくはレーザーで穴をあけ、中にたまった膿や皮脂を押し出す治療法です。ほかの治療と併用することで、膿がたまっているニキビでも炎症を早く落ち着かせることができます。
  • ステロイド局所注射
     ほかの治療では効果が見られない、強い炎症が起きているニキビや、しこりになってしまったニキビには、ステロイド剤の局所注射が有効です。

日常生活での注意点

  • 洗顔
     洗顔の目的は、余分な皮脂と汚れ、毛穴をふさぐ角質を除去し、皮膚の清潔を保つことです。洗顔は重要ですが、擦りすぎるとニキビが悪化する原因になります。よく泡立てて、手と顔の皮膚が触れないよう洗うのが理想的です。洗顔回数は1日2回がもっとも良いとされています。
  • 化粧
     ニキビがあっても、メイク禁止というわけではありませんが、注意が必要です。化粧品はニキビ肌用のノンコメドジェニック製品や、油性成分を含まないもの(オイルフリー)または少ないものを使いましょう。油性成分が多量に含まれていると毛穴をふさいでしまうため、ニキビが悪化する原因になります。コンシーラーや、カバー力の高いクリームタイプ・リキッドタイプのファンデーションを使うことは避け、パウダータイプのものを使うのがおすすめです。また、ニキビ痕に対する化粧品としてイエロー系のものを使用すると、色素沈着が目立たなくなります。アイメイクやリップメイクなどのポイントメイクによって、視線を目元や口元に集めるのも有効で、ニキビを目立たなくすることができます。
  • 食事
     チョコレートや砂糖を含め、特定の食物がニキビを悪化させるという報告はありません。極端にかたよった食事を避け、バランスよく食べることが大切です。ビタミンB2・B6は皮脂の分泌をおさえる作用があるため、多めにとると良いでしょう。