インフルエンザ後に頭痛がひどい・続く場合は髄膜炎かも?
更新日:2016/12/15 公開日:2015/09/30
頭痛の種類と症状
インフルエンザや風邪を引いた後に、激しい頭痛や発熱が続いたら、髄膜炎を疑ったほうがいいかもしれません。放っておくと危険な髄膜炎の原因や症状、治療法についてドクター監修の記事で詳しくお伝えします。
激しい頭痛や発熱をともなう髄膜炎。ただの頭痛だと様子を見ていると、命の危険にさらされるかもしれません。ここでは、髄膜炎とはどんな病気か解説します。
インフルエンザにおける頭痛の症状とは?
インフルエンザと風邪の症状は、似通っているものが多くあります。風邪もインフルエンザも発熱をともない、鼻水やのどの痛みなどの症状が起こります。しかしインフルエンザの場合は、急に高熱になりやすく、頭痛や関節痛、倦怠感など全身に症状が出てきます。頭痛も風邪に比べると、強い痛みをともなう場合が多いです。
頭痛の原因
インフルエンザのときに起きる頭痛や身体の関節痛の原因は、ウイルスが体内に侵入したときに分泌される「プロスタグランジン」と呼ばれる物質にあります。このプロスタグランジンは、血流をよくするために血管を拡張したり、発熱を強めることによってウイルスの増殖を防いでいるのです。こうした身体の反応が頭痛や関節痛となって現れるのです。
インフルエンザも原因になる髄膜炎とは?
髄膜炎とは、脳と脊髄を覆っている髄膜の内部にある髄液に病原体が感染し、炎症が起きる病気です。頭痛、発熱、項部硬直(首の筋緊張、硬直により首が前に曲げられなくなる状態)、嘔吐などの症状が出るのが一般的です。原因は、細菌やウイルスの感染です。
これらの菌やウイルスはめずらしいものではなく、通常の環境に存在しているものです。脳にはバリアシステムが備わっているので、健康な状態であれば病原菌は簡単には侵入できません。しかし、風邪やインフルエンザをこじらせたり、なんらかの病気によって免疫力が低下しているときなどは、病原菌が脳や髄膜に入り込んでしまうことがあります。
髄膜炎の症状
髄膜が炎症を起こすと、全身の倦怠感、激しい頭痛、悪寒、高熱、吐き気、嘔吐といった風邪に似た症状が起こります。とくに頭痛は特徴的で、かつてないほど強烈な痛みに苦しむ人も多く、子供の場合は泣き叫んでしまうほど。首筋の硬直も起こるため、下を向くなどの動作が難しくなります。
中にはウイルス性のように症状が軽く済む髄膜炎もありますが、進行するにしたがって、けいれんや意識障害も引き起こす場合も珍しくなく、原因に合った適切な処置が必要です。
けいれんや意識障害が出た場合、脳炎も併発している可能性があり、ダメージを負った脳は髄膜炎が完治した後もなんらかの後遺症を残す可能性があるので、早めの受診が必要です。
次に、髄膜炎の原因によって大別される「細菌性髄膜炎」と「無菌性髄膜炎」の2つについてみていきましょう。
細菌性髄膜炎の原因と症状・治療法
細菌性髄膜炎は、細菌による感染で起こる髄膜炎のことです。
細菌性髄膜炎の原因菌の特徴
原因となる菌は多種類ありますが、年齢や基礎疾患(疾患とはいわゆる病気のことです)によって、感染しやすさに違いがあります。おもな特徴は以下の通りです。
・新生児〜生後3か月乳児
大腸菌、溶血性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌
・生後3か月以降の乳児〜幼児
インフルエンザ菌(ほとんどがインフルエンザ菌b型<Hibと呼ばれる>)、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌
・年長児〜青年
肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌
・成人
肺炎球菌、髄膜炎菌
・高齢者(50 歳以上)
肺炎球菌、グラム陰性桿菌、リステリア菌
なお、免疫が低下している人は、肺炎球菌、グラム陰性桿菌、リステリア菌、黄色ブドウ球菌(MRSA)などの感染が多く見られます。
感染経路は、接触や咳・くしゃみなどによる飛沫感染が多いとされています。鼻や口、気管の粘膜に付着した細菌が血液に混ざり、髄膜に運ばれることによって発症します。
細菌性髄膜炎の症状
おもな症状は、発熱、頭痛、嘔吐ですが、進行すると意識障害、痙攣などの症状を引き起こします。また、急激に悪化し、敗血症などに至る場合もあるので注意が必要です。
細菌性髄膜炎の治療
治療は、症状を引き起こしている原因菌を特定し、その菌に合った抗菌薬の投与を行います。原因菌を調べるために、腰椎穿刺(背中に細い針を刺して髄液を採取する)が行われます。
細菌性髄膜炎は無菌性髄膜炎に比べて、重篤化しやすい病気です。致死率も高く、重い後遺症を残すことがあるので、迅速な治療を受けることが必要です。
無菌性髄膜炎の原因と症状・治療法
無菌性髄膜炎の原因、症状
無菌性髄膜炎とは、原因が細菌以外の髄膜炎を指します。一般細菌培養で病原体となった菌がみつからないものがすべて含まれるため、多種多様の起因病原体があります。
もっとも多いのはウイルスによる髄膜炎です。ウイルス性の原因の約70~80%はエンテロウイルスで、他におたふく風邪のウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスなどがあります。ヘルペスウイルスとインフルエンザウイルスは、脳炎を引き起こし重症化する場合があるので注意が必要です。
感染経路は原因となる病原体により異なりますが、接触や飛沫感染によるもの、食べ物からの感染、動物を介した感染などがあります。
無菌性髄膜炎の治療法
治療は起因病原体により異なりますが、対処療法が一般的。鎮痛解熱剤の投与、髄液の排除など保存療法が行われます。
髄膜炎は早期に正しい処置をすることが大切です。発熱をともなう頭痛が起きた場合は、早めに専門機関を受診するようにしましょう。
インフルエンザによる頭痛の対処法
(1)冷やす
まずは冷やすことです。インフルエンザによる頭痛は、炎症による痛みが原因です。痛む部分を冷やすことで、痛みが和らぎます。
(2)抗インフルエンザ薬を飲む
抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスが身体の中で増殖するのを防いでくれます。ウイルスの増殖が抑えられると、頭痛を引き起こす原因物質のプロスタグランジンの分泌も抑制されるため、頭痛の症状も早く治まります。ただし、抗インフルエンザ薬はドクターの診断が必要となります。
(3)解熱鎮痛剤
インフルエンザの時でも解熱鎮痛剤は、プロスタグランジンの分泌を抑える働きがあるので、頭痛を抑える効果を期待できます。しかし、成分によっては肝臓の機能異常などを引き起こすライ症候群やインフルエンザ脳症など、合併症を引きおこしてしまう可能性もあります。
頭痛があり、インフルエンザの疑いが少しでもあるときは自己判断せずに、すぐ病院で診察を受けましょう。
インフルエンザによる頭痛は、患部を冷やす・薬の服用などが有効です。しかし、頭痛や関節痛は、もともとは身体がウイルスを撃退しようとする過程で起こるものです。症状が軽いのに薬などで痛みや熱を無理に緩和させようとすると、免疫機能がうまく働かず、長引くこともあります。インフルエンザは安静にしていれば、一般的には5日から7日程度で症状がおさまるので、冷やし過ぎたり、むやみに薬に頼ることは避けましょう。
インフルエンザによる頭痛のまとめ
インフルエンザによる頭痛は、患部を冷やす・薬の服用などが有効ですが、症状によっては薬を服用しても頭痛がなくならない場合もあります。
合併症にかかっている可能性もあるので、自己判断せずにすぐに病院で診察を受けましょう。
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