金属のプレス加工や表面処理加工は東陽理化学研究所
表面処理加工:ステンレス表面処理
(1)電解研磨
電解研磨原理図
ステンレスをリン酸主体の酸の混合溶液中でプラス電圧を加えて電流を流し、品物表面の細かい凹凸の凸部を優先的に溶解し、滑らかな光沢を出す方法です。
■電解研磨の特徴
・表面の汚れ、異物は除去され、汚れの付着しにくい滑らかな表面となり、ステンレス本来の耐食性を得ることができるようになります。
・表面加工変質層の発生がなく、研磨砥粒、コンパウンド等の付着がなく、表面にクロムリッチの酸化皮膜が成長するため、素地よりも耐食性が上昇します。
・複雑な形状の部品、線、薄板、容器内面など機械的研磨を行うことが困難な品物も比較的簡単に研磨及び微小バリ取りが可能です。
・電解研磨だけでは大きなサイズ(うねりのような)の凹凸は除去されないため、完全な鏡面光沢は出せません。
平滑な表面を得るためには機械的研磨後に電解研磨を行います。
【用途例】
ステンレス器物、医療器具、装飾品、建築用ステンレス部品、真空ポット内面、半導体製造設備配管部品、精密バルブ、フィルターハウジング、真空設備部品、浄水機部品、食品製造設備配管部品、サニタリー配管部品、その他
(2)酸洗
硝酸・フッ酸混合溶液に浸漬し、ステンレス表面を溶解し、表面の汚れ、酸化皮膜、溶接スケールを完全に落とし、クリーンな表面にします。酸洗では電解研磨と逆に光沢が落ち、白い肌となります。表面が完全にクリーンになるとともに、酸洗後に新たに自然酸化皮膜が形成されるため、耐食性も素地よりも上昇します。反射防止、表面粗さ上昇などの機能的な特性改善にも利用されます。
【用途例】
ステンレス器物、医療器具、装飾品、建築用ステンレス部品、浄水機部品、その他溶接部のスケール除去、焼鈍品の酸化スケール除去、その他
(3)不動態化処理
ステンレスを特殊な溶液で処理することにより、加工時に表面に付着した異物(鉄分等)を溶解除去し、さらにステンレス表面のクロム成分を濃縮し、安定な酸化皮膜をつくることにより、耐食性の良い表面とします。処理によるステンレスの溶解は極わずかであり、寸法変化・表面状態(光沢、粗さ)の変化はほとんどありません。特にアルコール飲料・ソフトドリンク飲料等を扱う容器、配管部品を処理することにより、鉄イオンの飲料中への溶出を少なくでき、味の劣化を防止できます。
通常はステンレス製品を脱脂のみ行った状態で、不動態化処理を行いますが、溶接によるスケールが付いた部品では酸洗でスケールを落としてから処理を行います。ただし、この場合、光沢が生地とは変わってしまう点に注意が必要です。
【用途例】
ステンレス器物、医療器具、飲料容器、その他
(4)TF処理(特殊不動態化処理)
TF処理品の塩水噴霧試験結果
TF処理品の表面分析結果例
走査型電子顕微鏡による表面分析結果
SUS440Cの素地とTF処理後を比較
鉄に対するクロムと酸素の割合が大きく上昇します。
TF処理とはステンレス鋼の表面にクロムリッチの酸化皮膜を形成することにより画期的に耐食性を向上させる処理です。特に耐塩水性が大きく向上します。海洋で使用されるステンレス部品に対して処理することにより、絶大な耐食性向上効果があります。
処理による寸法の変化は0.5μ以下であり、精密部品に使用することができます。
■TF処理の色
通常のカラーステンレスと同じ色が出せますが、ベアリングのように色々な素材が組み合わされた状態での処理では部品、材料ロットにより色がばらついてしまいます。ただし耐蝕性に違いはありません。カラー発色の皮膜を薄くすることにより、ほぼ無色の処理も可能です。
【用途例】
リール用ベアリング、耐塩水が要求されるベアリング、釣り用金具、建築金物、自動車部品、その他
(5)化学酸化発色カラーステンレスの色
・SUS420、440などマルテンサイト系ステンレス(ニッケルを含まない鋼種)Black
・SUS430などフェライト系ステンレス(ニッケルを含まない鋼種)
ブルー、グレー、ブラック、ゴールド、マゼンタ、グリーン
(オーステナイト系ステンレスと比較すると色調が暗くなります)
・SUS304、316などオーステナイト系ステンレス(ニッケルを含む鋼種)
ブルー、グレー、ブラック、ゴールド、マゼンタ、グリーン
(6)化学酸化発色カラーステンレスの原理
発色カラーステンレスの原理
加工可能サイズ
ステンレスの表面に10nm~300nm程度の膜厚の透明な酸化皮膜を化学酸化で成長させ、鮮やかなカラーの表面に変化させます。酸化皮膜自体は無色透明ですが、様々な波長の光を含む白色光が表面で反射する時、酸化皮膜の表面で反射する光と金属と酸化皮膜の界面で反射する光が干渉作用を起こし強められた波長の光が色となって見えます。強められる波長は酸化皮膜の厚さにより決定されるため、その厚さを精密にコントロールすることにより目的の色を得ることができます。発色原理としてはシャボン玉の薄い透明皮膜による虹色、水面に薄く浮いた油脂による虹色と同じです。当社が開発した連続コイルライン発色技術により、長尺のコイルでの発色も可能です。
(7)化学酸化発色カラーステンレスの製造方法
銘々皿
発色コイル
ステンレスを酸化力の強い薬品の混合溶液に浸漬し、化学的な酸化力により表面に酸化皮膜を成長させ発色させます。浸漬時間をコントロールして酸化皮膜の厚さを変えることにより色をコントロールします。発色後に硬膜処理を行い、耐摩耗性、耐食性を強化します。
マスキング印刷・エッチングを組み合わせることにより多色の模様付も可能です。
(8)化学酸化発色カラーステンレスの特徴
カラーステンレスの性能
試験材・・・SUS304BA素材及び発色品
カラーステンレスの抗菌性試験結果
試験素材・・・SUS304BA材
試験方法・・・JIS Z 2801:2010 フィルム密着法
抗菌活性値2.0以上で抗菌性有りと判定
・光の入射方向、見る方向により光の行路が変わり微妙に色調が変化するため、塗装などでは出せない深みのある色となります。
・極薄い透明な酸化皮膜による発色であるため、下地の金属の肌がそのまま見えます。これによりヘアライン仕上げ、鏡面仕上げ、ブラスト加工、ダルロール加工などの下地加工肌をそのまま生かした発色表面を得ることができます。
・染料や顔料を使用した着色と異なり、光による退色は全く起こりません。
・金属の酸化皮膜による発色であるため、耐候性も良好です。
・金属自体の極薄い酸化皮膜による発色であるため、密着性は良く、発色後に折り曲げ加工、軽度のプレス加工が可能です。
・処理工程で6価クロムを使用しますが、最終製品の表面には残留しません。
・発色カラーステンレスは抗菌性があります。抗菌性の必要な病院の手摺、内装への使用も効果があります。
【用途例】
屋根材、壁材、建築金物、店内装飾、モニュメント、装飾品、照明器具部品、IT筐体部品、手摺、病院内装、その他
(9)レーザーマーカーによる発色模様入れ
ステンレス素地、あるいは発色品をレーザーマーカーでエッチング、色抜き、発色をすることにより、多彩な外観を作り出すことができます。レーザーマーカーの特徴として自由自在に模様を変える事も簡単に可能です。多品種小ロットでの模様入れが可能となります。
(10)その他のステンレス表面処理
赤外線反射用銅メッキ(真空ポット用)、装飾メッキ(協力工場活用)、電解エッチング処理、バフ研磨、ブラスト処理、電解複合研磨、特殊研磨による微小バリ取り等、特殊な用途の表面処理の技術開発協力も可能ですので、お問い合わせください。