「無農薬栽培」と表示された野菜があったら、高くても購入される方は多いでしょう。
普通の野菜よりも美味しくて体に良いというイメージがありますが、無農薬野菜の作り方や方法を知っている方は少ないと思います。
そこで今回は、無農薬野菜の栽培の方法についてご紹介しましょう。
何かと悪者にされがちな農薬ですが、土壌栽培をしているとどうしても必要になることが多いのです。
そこで今、土壌栽培にかわる水耕栽培が新たなる無農薬栽培の方法として期待されています。
興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。
目次
- 無農薬栽培とは?
- 無農薬栽培はどうして難しいの?
- 水耕栽培で簡単に無農薬栽培を実現
- おわりに
1.無農薬栽培とは?
この項では、無農薬栽培の定義についてご紹介します。
いったいどのような栽培方法で野菜を作れば「無農薬野菜」と呼ばれるのでしょうか?
1-1.無農薬栽培の定義とは?
無農薬栽培とは、農薬や化学肥料を使わないで野菜を育てる方法です。
「無農薬栽培」とパッケージに記載して販売するならば、たとえわずかでも農薬や化学肥料を使ってはいけません。
一般的な使用量よりも少ない量の農薬や化学肥料を使って栽培すると、「低農薬栽培」と呼ばれて区別されます。
1-2.有機農栽培とどこが違うの?
有機農栽培とは、昔ながらの堆肥で野菜を育てる方法です。
しかしこの方法で野菜を作る場合は、3年間農薬や化学肥料、さらに土地改良剤も使用してはいけません。
無農薬よりもさらにハードルが高いので、実践している農家は少ないでしょう。
1-3.なぜ、無農薬栽培は高いのか?
農薬は害虫が野菜についたり、病気の発生を防ぐために散布されます。
つまり、無農薬の野菜はそれだけ病気になりやすく、虫の被害にもあいやすいのです。スーパーで販売されている野菜は、みなきれいで形もそろっています。
これは農薬のお陰でもあるのです。
無農薬で形の良い野菜を作るのは大変な苦労がいります。
農薬を使用していたらひとりでできることを、10人がかりでやらなくてはならないかもしれません。
ですから収穫量も少なくなり、値段も高くなりがちです。
2.無農薬栽培はどうして難しいの?
農薬は大量に吸い込めば体に害があります。
無農薬栽培を実践している農家の人の中には「農薬を使い続けていると、健康が心配だから無農薬に切り替えた」という方もいます。
しかし、実は無農薬栽培というのはとても難しく、実践したくてもできない人が多いのです。
それはいったいなぜでしょうか?この項では、無農薬栽培が難しい理由をご紹介します。
2-1.病気は土を伝わって感染する
農家は農作物を栽培して売却することで利益を得ています。
その農作物が出荷できなくなってしまう、ということは収入源が無くなるということです。
ですから、農家は細心の注意を払って農作物を育てます。
しかし、野菜がかかる病気の中には土を伝わって伝染してくるものも多いです。
いくら農家の方が頑張っても、土の中の病原菌まで取り除くことはできません。
また、一株が病気になると周りの株も次々と病気になっていくでしょう。
早めに対処をしなければ、よその畑にまで広がっていくかもしれません。
害虫も同じことです。
ひとつの畑で害虫が発生すれば、周りの畑にも広がる危険性があります。
そうなればよその農家にも迷惑をかけるでしょう。
2-2.今の野菜は病気に弱い
今、私たちが食べている野菜は長い時間をかけておいしく改良されたものです。
野山に生えている食べられる植物の中には、えぐみや苦みを持っているものも多いでしょう。
しかし実はこれが植物を病気や害虫から守ってくれるのです。
害虫だって食べておいしくない物にはよってきません。
しかし畑で栽培される野菜は味を第一に考えて改良されていますので、その分病気にかかりやすくなっているのです。
また、おいしければ害虫もよってきやすいでしょう。
そのような野菜を形よく育てるのは大変です。
たとえ目立った被害が無くても、一度虫にたかられたり病気になった野菜は形が悪くなってしまうでしょう。
そのような野菜は買い取ってもらえないのです。
3.水耕栽培で簡単に無農薬栽培を実現
しかし、今は栽培方法を変えることで簡単に無農薬栽培を行おうとする動きもあります。
それが、水耕栽培です。
この項では水耕栽培のメリットや栽培方法、なぜ無農薬栽培が簡単にできるのかをご紹介します。
3-1.水耕栽培とは?
水耕栽培とは、土の代わりに肥料を溶かした水溶液で野菜を育てる栽培方法です。
土を使う必要がないので、屋外で野菜を育てる必要もありません。
太陽光の代わりにLED照明を使えば、屋内でも十分に野菜が育てられるのです。
ですから害虫の被害にもあいにくいでしょう。
3-2.なぜ、水耕栽培で簡単に無農薬栽培ができるの?
前述したように、屋外で野菜を育てると土を媒介にして病気になる可能性もあります。
また、よその畑から病原菌や害虫が風に乗ってやってくる場合もあるでしょう。
しかし、水耕栽培は屋内でも可能です。
ですから精密機械を製造する工場のように無菌空間を作ってそこで野菜を栽培すれば、害虫の被害にあったり病気になることもありません。つまり少ない人数でも無農薬栽培を行うこともできるのです。
3-3.室内で野菜を育てるメリットとは?
無農薬栽培を簡単に行える以外にも、室内で野菜を育てられるメリットは多いです。
例えば、室内で野菜を育てれば天候に影響を受けることはありません。長雨で病気になったり、収穫目前の野菜が台風で流されてしまうこともないでしょう。
また例年より暑かったり寒かったりしても、収穫量が大きく変動することもありません。
毎年安定した収穫量を保つことができるのです。
もうひとつの大きなメリットは、広大な農地を必要としないことでしょう。
農家が郊外に多いのは、野菜を育てるには広い土地が必要だからです。
しかし、水耕栽培は工場のような建物の中でも行えます。
つまり、その気になれば都会の高層ビルも中でも野菜が栽培できるでしょう。
実際、大阪のグランフロンティア大阪や、東京の新生丸ビルの中でも水耕栽培がおこなわれているのです。
3-4.水耕栽培で育てられる野菜とは?
現在。水耕栽培ではトマトなどの地表で身のなる野菜や、レタスなどの葉物野菜が作られています。
残念ながら今の技術では根菜や主食となるコメや麦などの穀物は水耕栽培できません。
しかし、水耕栽培の技術は年々進歩しています。近い将来水耕栽培で根菜や穀物が収穫可能になったら、日本の農業は大きく変わるでしょう。
4.おわりに
いかがでしたでしょうか。今回は無農薬栽培の方法や、無農薬野菜の作り方についてご紹介しました。
まとめると
- 無農薬栽培は手間暇がかかるので、どうしても収穫物の値段は高くなる
- 土壌栽培で無農薬の野菜を作るのは難しい
- 水耕栽培ならば、簡単に無農薬栽培を行える
ということです。
無農薬栽培の方法は決して難しくはありません。
しかし手間暇がかかるので、農家の方にとっては負担が増大するのです。
水耕栽培ならば、少ない人手で多くの野菜を無農薬栽培できるでしょう。
また、水耕栽培を都会で代替的に行うことができれば、地方から輸送費をかけて野菜を運んでくる手間が省けます。
本当の意味で「地産地消」が実現可能になるでしょう。
実際に津波で大きな被害を受けた東北の沿岸地域では、水耕栽培の施設を新たに建設し、そこで農業に再チャレンジしている方もいるのです。